宇宙作家クラブ
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●ダイナ★コン・ゲスト参加の記
文:小川一水(1999年 10月9日)


 去る10月9日土曜日夜,名古屋近郊の五色園で,合宿形式のSFコンベンション「DAINA☆CON16」が行われました。
 親鸞ゆかりの不気味な人物像があちこちに配置された五色園についたのが午後3時半。会場はお寺の宿泊所で,古い建物にありがちな,本館・別館・新館などが迷路のように増設された構造。

 四人部屋に入ってしばらくすると,江藤さんがいらっしゃる。ROCKYというお名前からごつい人を想像していたら,ジーンズ姿の温和そうな方だったので,意外。野田篤司さんのときにも同じことをやっていたので,自分の先入観をちょっと反省。

 江藤さんは,さっそくという感じで分厚い写真集を取り出す。これがいきなり,マンハッタン計画における臨界事故の記録の本。開かれたページには,目の前でウランを臨界させてしまった研究者の,真皮まで剥けあがった腕の写真。それに,実物のウラン塊を使って平然と臨界の説明をする研究者の写真も。
 続いて到着された笹本さん,野尻さんにも,江藤さんは同じページを開いて説明されている。笹本さんはその本にしばし熱中。
 後の開会式では,江藤さんがこの本を紹介したとたん,そのタイムリーさに会場全体からブラックな笑い声が巻き起こりました。

 今回のダイナコンは,マッドティーパーティーなるコスプレ企画がメインだったため,開会式ではいきなり,赤いドレスの女王様が御登場。慣れないわらわ言葉で開会の辞をのたまわる。
 この女王様はその後も節目節目でお色直ししてご登場されていたが,小川的には,もっと流れるように侮蔑的な言葉を吐くサディスティックな御方でもよかったかなと。あと眼鏡はとられたほうが良かったのではないかなと。私見ですけど。

 夕食後に,本格的な企画が始動。総参加者は百名ほど。小川はまず「初心者の部屋」を覗いたのだが,そこにいた初心者はわずか三人。説明に引用される過去の大会の人名・用語に,目を白黒。
 20時からは広い道場で宇宙開発秘話,回想のアポロ計画。これは今大会の隠れたメイン企画の座を勝ち得ていたようで,30人以上の参加者が聴講に来ていた。SACの面目躍如といったところか。壇上でメインの流れを作る主役の江藤さんと,両脇で的確な補足質問をする野尻さん・笹本さんのトリオが絶妙。小川はすみっこでお客を決め込む。
 しかし小川がびびったのは,お三方相手にガンガン突っ込む一般参加者が結構いたこと。私,ついて行けませんでした。というかここでも,ほとんど一番若造だったんです。後々,口下手とキャリアの浅さで周囲になじめず,小川は壁の花化する。

 不届きにも小川はそこを途中で抜け出して,隣室のコスプレ企画に参加。というのも,家を出るときにふと,手持ちの服を組み合わたところ,それなりにあるキャラの格好が出来てしまっていたので。
「マトリックス」の主人公ネオを気取って,マッドティーパーティーにもぐりこむ。女王様の前で,ダースモールや不思議の国のアリス,ピカチュウを差し置いて一番手で一発芸を披露。そう,あの名シーン,「リンボーダンスで弾丸を避けるキアヌ・リーブス」をブチかましたのです。
 ……腰,イタイ。全治3日。

 22時からの「宇宙作家同窓会」に,パンくわえながら遅刻して走りこむ。
 例のお三方に加え横山信義さんがいらっしゃる。不勉強にして著作を存じ上げなかったので,声もかけられず。
 小川が到着したころには,話題は笹本さん主導の,夏の宇宙研〜秋山邸探訪になっていた。それ以前は聞き逃す。
 笹本さんが凄いのはワープロの前だけではなかった。座は10人程度と小規模だったが,強者らしい参加者相手に,宇宙研のレールガンから福島の大人のことまで,立て板に水の早送りで語り倒す弁舌に圧倒される。時々小川も話題を振られるが,上がりまくりで一体なにを言ったのやら。ゲストの青札が重かったです。
 ……それにしても,レールガンと聞いて,「将来はそれで宇宙まで船を上げるつもりなんでしょうか」と聞いた人がいたけど,あの人はカタパルトのやつを想像していたのだな,と今ごろ気づく。それに対して「宇宙研だからねえ,やる気かもしれない」と答えていた笹本さんに納得してしまっていたのだけれど。

 深夜に入ってPXは狂乱の巷に。小川もピッチを上げてみたけれど,なぜかちっとも酔わず。いや,酔っていたけど周囲も同じテンションだったのかも。
 シューティングのコーナーでガスガンをぱしぱし撃っていると,野尻さんがふらりと現れる。紙の上では秒速何十キロのものをブンブン飛ばしているくせに,豆粒撃ち出すだけのガンの前では,これなあに,という表情。軍事に関する知識は必要最小限の野尻さん,妙にピュアな感じですごくイイです。
 余談ですが,小川は速射競技でベスト2に入って,ちっこい鋳物のPSG‐1を頂きました。

 別に自慢にもなりませんが,初めて,自分の本を差し出されてサインを頼まれるという経験をしました。たった二人でしたけど。
 書いて差し上げた二人より,小川の方が嬉しかったです。

 人々の顔に顕著な赤方偏移が認められるようになったころ,野尻さんと江藤さんは部屋でリタイア。
 小川はスタジオDoDoの部屋に参加。誰かがお題を出して,それをプロの漫画家と一緒に絵に仕立て,みんなでわあわあ採点して笑う,という趣向。一本木蛮さん,富士原昌幸さん,環望さんなどのプロが列席。
 一発目のお題はジャージャー・ビンクス。目が出ている,という特徴をうまいぐあいにボケてみた望遠鏡マナコのジャージャーが馬鹿ウケ。
 二発目から小川も参加したが,ヒョータンツギ,ヒゲオヤジ,のび太のママなどから段々おかしなものになっていって,ビッグXや巨大ロボットあたりでは実物がわからずボケるしかなくなる。
 結局,総合一等を取ったのは,のび太のママを華麗にリアルタイプ化した誰かの絵。すみません,誰だったか忘れました。

 丑三つ時を過ぎると,企画も沈静化。PXではゲスト連が集まってファンと作家の集い。小川は投扇興をちょこちょこと。
 そのうち東の空が白み始めて,さしもの不夜城も暁の光の前に幻と消えて行きました。

 その後。
 小川はしつこく金魚の糞ぶりを発揮して,野尻さん,江藤さん,それにの参加者の方と一緒に,完徹を押して,近所のトヨタ博物館急襲に参戦。
 たまたまやっていたイベントで,クラシックカー試乗の幸運に預かります。車は1920年アメリカ製,オープンのパッカード・ツインシックス。トラックのようにドコドコ音を立てて走る80年前の骨董品のドライブは,不思議で爽快な体験でした。


●パッカードに乗るSACの面々