宇宙作家クラブ
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No.33 :毛利さんの搭乗するシャトルを見てみよう
投稿日 2000年2月12日(土)03時46分 投稿者 野尻抱介

 毛利衛さんの搭乗したスペースシャトル、STS-99の打ち上げが成功しました。
 スペースシャトルは条件がよければ地上から肉眼でも観測できます。
 倉敷科学センターのウェブサイトで、SAC会員の三島和久氏が毛利さんの搭乗するシャトルを見てみようというページを開設しています。観測予報は最新のものをリロードしてください。

No.32 :ISASの打ち上げ失敗
投稿日 2000年2月10日(木)18時07分 投稿者 江藤 巌

 文部省宇宙科学研究所(ISAS)のロケットが打ち上げに失敗したのは、1995年1月のEXPRESS微小重力実験カプセル打ち上げ以来の出来事である。
 1998年には、火星探査機「のぞみ」(PLANET-B)が所期の軌道に乗れず、火星到着が大幅に遅くなるというトラブルがあったが、これは軌道制御の問題で、M-V-3ロケットによる打ち上げには成功している。
 EXPRESS以前の失敗というと、1976年2月のX線天文学衛星CORSA-Aにまでさかのぼる。この当時はまだ宇宙研ではなく、東京大学宇宙航空研究所である。
 なお昨年打ち上げに失敗したH-II-8は宇宙開発事業団(NASDA)のロケットで、あちらは液体推進剤ロケット、今回のM-Vは全段固体推進剤ロケットと、技術的な共通点はまったくないと言っても良い。メーカーも別、打ち上げ場所も異なり、二つの打ち上げ失敗に共通の原因を求めるのは無理なことではないかと思える。

No.31 :鹿児島宇宙観測所より撤収
投稿日 2000年2月10日(木)17時54分 投稿者 笹本祐一

 松尾教授、小河原衛星主任をはじめとする主要スタッフは、今も検討会議を続けています。
 しかし、おそらく新事実を発表できるのは2から3日後になるだろうとのこと。
 この記事を最後に、笹本とあさりも本日は鹿児島宇宙観測所を引き揚げます。

 今回、専用電話を記者室に引いたことにより有機的な記事の公開が可能になりましたが、おれはちっとも嬉しくないぞ。

No.30 :剣の舞いのコッペリア
投稿日 2000年2月10日(木)17時25分 投稿者 笹本祐一

 M-Vロケットには、ある程度の軌道の擾乱を自律修正する飛行能力が組み込まれている。今回、この機能がフルに発揮された。
 発射後55秒、ピッチ方向に噴き出した燃焼ガスにより飛行姿勢を乱された4号機は、まずピッチ制御でそれを修正しようとし、それが使用不能になっていたために機体を90度ロールさせ、ヨー制御用のアクチュエーターでノズルを振って発射後75秒、2段目の分離までに姿勢を回復させた。
 2段目の点火と同時に行われる1段目の分離は正常なタイムスケジュールに従って行われたが到達速度が足りない。2段目は、速度を稼ぐためにいったんロケットを降下(ダイブ)させようとまでしたが、制御系のリミッター作動によりそれは果たせなかった。
 1段目は機体損傷に即座に対応してこれを立て直し、2段目はそれを受けてリミッター限界まで機体を振り回してそれをリカバーしようとしたのである。

 今、この文章を的川先生にチェックしてもらい、事実関係に誤認がないことを確認しました。

 これも、ライトスタッフだと思う。

No.29 :M-V-4号機 発表文
投稿日 2000年2月10日(木)16時41分 投稿者 笹本祐一

   M-V-4号機発表文

              平成12年2月10日
              宇宙科学研究所
              観測ロケット実験班

 M-V-4号機は、日本標準日時の平成12年2月10日10時30分、ランチャ設定上下角79・7度、方位角93・7度で発射されました。第2段及び第3段の燃焼及び制御は計画通り実行されましたが、第1段モーターの異常により、予想外に大きな姿勢擾乱が発生し、これに起因する速度不足分を第2段/第3段で回復することができませんでした。その結果、ASTRO−E衛星を所定の軌道に投入することができず、第1回の可視時間帯に衛星からの信号を受信することができませんでした。
 現在、原因を調査中です。
 本日の天候は快晴、地上風北西1m/秒、気温8度Cでした。
 光学班は発射後300秒までロケットを追跡しました。

 なお、この実験実施にご協力いただいた関係各方面に感謝します。

No.28 :MVロケット4号機打ち上げ後記者会見
投稿日 2000年2月10日(木)16時28分 投稿者 笹本祐一

 三時半から、主要責任者による正式な記者会見が行われた。
松尾所長「残念ながらご期待に添えない結果になりました」
 この記者会見での情報は、あくまで速報的なものであり、正確な原因究明に関しては、調査委員会が行うことになる。あくまで現段階での推定的な原因。
 まず最初に訂正、ピッチ方向の姿勢制御が55秒から作動不能になり、その後回復したのは誤りだった。これはそのまま作動不能が続き、しかしロケット本体が90度ロールしたために生きていたヨー方向の姿勢制御でピッチ制御を行った。
 MVロケットは、ランチャーに取り付けられた状態でランチャー側を0度とした360度の座標を持っている。0度と180度がピッチ方向、90度と270度がヨー方向。
 発射後55秒から、ロケットノズルのランチャー側(0度)の温度が急に上昇している。しばらくして反対側が上がっている。
 25秒と、41、42秒付近にロケット本体の振動が検知されている。
 宇宙研が撮影した地上からの画像及び搭載カメラの画像によると、火花が噴煙の中に飛んでいる。正常な飛行ではありえないくらい火花がいっぱい飛び、白熱した光を放つ物体が吐き出されている。
 以上の現象から、原因を推定すると、ロケットのノズルのグラファイト製のスロート部分が、部分的に割れ、41、42秒あたりで噴射ガスと共に吐き出されているものと思われる。
 燃焼ガスは固体燃料の中で燃え上がり、すぼまったスロート部分でこれを絞られて加速される。これが破壊されたとすると、燃焼室の噴き出し口の面積が急激に広がるため、推力低下、燃焼圧力低下というデータとも符合する。
 グラファイト製のスロートが吹き飛び、通常のケーシングが約三〇〇〇度の燃焼ガスに晒され、発射後55秒くらいに溶損、燃焼ガスが0度方向に噴き出し、ピッチコントロール用のアクチュエーターを破壊した、と考えると、打ち上げ失敗の経過にあった展開になる。
 宇宙研では、ロケットモーター本体に起因する打ち上げ失敗ははじめてである。
松尾所長「おそらく原因究明ではかなり苦労するものと覚悟しております」
「システムとして安定して来た矢先の失敗なので、非常に残念です」
 衛星本体は、クリスマス島でそれらしいデータがわずかに捕捉されているがこれは確認されていない。その後、いっさい衛星が確認できないので、大気圏に再突入して燃え尽きたと思われる。
 NASA、ESAのX線望遠鏡衛星がすでに打上げられており、これと共同観測できるはずだったのだがそれが不可能になった。
 幸いなことに7年前に打ち上げたあすかが現在生きており、おそらくあと1年くらいは使えるだろうと思われている。日本のX線天文学はこれを使って観測を続けることになる。

No.25 :2パスでの捕捉失敗
投稿日 2000年2月10日(木)14時08分 投稿者 笹本祐一

 アストロEの二回目の上空通過にあわせて34メートルパラボラアンテナの足元に行ってみたのですが、ディッシュは水平線に向いたまま、ついに上を向くことはありませんでした。
 2度目の可視についても、宇宙研はアストロEを捉えることは出来ませんでした。

No.24 :的川先生による説明
投稿日 2000年2月10日(木)13時05分 投稿者 笹本祐一


 12時35分に的川先生が記者室に登場、現時点でわかっていることの記者説明をしてくれる。
 12時40分から各部門の責任者による次の検討会が行われる。的川先生は検討会は専門家にまかせてずっと記者室にいて質問を受けるという。
 はやくて14時半くらいに次の正式な記者会見が行われるだろう。
 衛星の追跡班は12時から待ち受けており、予想される範囲にアンテナを向けて10分近く待っていたが電波は受信できなかった。
 衛星班は、第二可視に備えて、次のキャッチを狙っている。
 それからNORAD(北米防空司令部)にアストロEのキャッチを緊急依頼している。これで正確な軌道要素を知ることが出来れば捉えられる可能性は高くなる。

的川「非常に残念、第二可視のトライアルが残されているが、今の時点では新しいX線天文台衛星の誕生は悲観的である。次のミレニアムに威勢のいい出発をしたかったのだが、残念である」
記者「どこかのレーダーが捕らえてませんか」
的川「どこのレーダーも追いかけてませんから」
 第3段の燃焼終了時点で、軌道投入が確認されており、近地点、遠地点の計算が出来る。
 おそらく燃焼終了高度が350キロ、遠地点はそれより高い400キロくらい、近地点はそこから地球の反対側で80キロから100キロくらい。
 本来の燃焼終了は高度280キロだったので、姿勢制御の結果それより高いところまで燃やしたことになる。
 衛星分離予定の1418秒時点ではクリスマス島で衛星分離確認の電波を捉えることができなかった。
 内之浦では発射後500秒までは衛星を追跡していた。
「そこから先はどうして追跡できなくなったんですか?」
「水平線の下に行ってしまったからです」
「その次はどこで捕らえる予定だったんですか?」
「内之浦から見えなくなって、次にクリスマス島で見えるまでは途中経過の追跡局はありません」

 2段目と3段目は正常に燃焼したらしい。第1段の燃焼中にロケットが急激にピッチアップ(立ち上がった)したおかげでロケットの水平成分の速度が減少したのが今回の失敗の原因。なぜそうなったのかは今調査中である。ただし、1段目のミスをリカバーするために2段目、3段目はフルに活躍している。

No.23 :第1パスでの確認失敗
投稿日 2000年2月10日(木)12時25分 投稿者 笹本祐一

 内之浦観測所、記者室の笹本です。
 12時21分、内之浦基地にアナウンスが入りました。
 テレメーター班は、第一パスでのアストロEの電波を捉えることに失敗しました。
 12時30分から、検討会が開かれます。

No.22 :アストロE、軌道投入に失敗か? ●添付画像ファイル
投稿日 2000年2月10日(木)11時43分 投稿者 笹本祐一

 11時20分から行なわれた第一回記者会見での発表をお伝えします。

 MVロケット発射後42秒から燃焼圧力が下がり、55秒から姿勢が代わり、アクチュエーターの作動も不明になり、それからノズル系の温度が急上昇、70秒で一段の姿勢制御系が回復、作動、燃焼終了末期に乱れ、頭が立った姿勢になり、予定の速度に達しなかった。それに対処する姿勢変更をコマンド送りして、第2段で姿勢制御してリカバーしようとした。
 結果として衛星が投入された高度は近地点がかなり低い高度、80キロから100キロ、遠地点で300から400キロと予想されている。
 クリスマス島で可視時間が少なかったために衛星の分離は確認できていない。内之浦上空に戻って来る次の可視まで衛星の状態は確認できない。
 分離が行なわれていれば、衛星の持っている推進系で救える可能性はある。ただし、第一可視まで戻ってこなければそれが出来るかどうかもわからない。
 近地点の高度が低いので、非常にクリティカルな状況ではあるが、まだ失敗したとは断言できない。
 今回はNASAの協力を得ていないので、海外局による追跡が出来ない。次回の可視は、内之浦上空にアストロEが戻って来る12時過ぎになる。


No.21 :MVロケット4号機打ち上げ速報
投稿日 2000年2月10日(木)10時59分 投稿者 笹本祐一

 笹本です。
 雲ひとつない快晴の中、MVロケット4号機は定時に打ち上げられました。
 ただし、現時点では未確認ですが、第3段の姿勢が乱れたという情報があります。
 続報はわかり次第お伝えします。

No.20 :2月9日打ち上げ準備進行中
投稿日 2000年2月10日(木)08時10分 投稿者 笹本祐一

 笹本です。
 内之浦では本日の打ち上げ準備が順調に進んでおります。
 天候は昨日よりよくなっており、風も静かで気温も高めです。
 またなにか変化があり次第お伝えします。

No.19 :MVロケット4号機打ち上げ延期、続報 ●添付画像ファイル
投稿日 2000年2月9日(水)12時31分 投稿者 笹本祐一

 MV004は発射一分前に打ち上げ中止された。
 11時30分より記者室において打ち上げ中止記者会見が行われた。講義してくださったのは、的川先生と竹前さん。
 今回の打ち上げ中止の原因は、宮崎追跡局のコンピューターのコネクターのゆるみだった。
 宮崎大学の工学部の構内を借りる形で、ロケット打ち上げの追跡局のひとつがある。ここは、ロケットを真後ろからレーダー観測する形になる内之浦と違い、真横から観測する形になるので観測所としてかなり重要である。
 しかし、宮崎と内之浦では距離があるため、宮崎局は内之浦局から送られて来る時刻データを自分のところで使えるものに追随(スレイブ)して、独自の時刻データで追跡を行う。
 発射五分前の最終チェックの最後で、この時刻取り込みのコネクターがゆるんでいるのが発見された。発射1分前にコネクターは結線し直されたのだが、MVロケット本体の着脱電源は発射4分前にはずされ、ロケットはすでに内部電源に切り替わっている。この内部電源が生きているのはわずか15分。軌道投入まで5分ちょっとしかかからないから、飛んでいくだけならこれで充分なのである。しかし、再充電には数時間かかるという。
 宮崎側のコンピューター再起動、およびセッティングに30分かかり、この間現在の状態を維持するとロケットは打ちあがっても飛んでいる最中に次々に電気が切れていくということになってしまう。
 このため、本日の打ち上げは明日、2月10日の同じ時間に延期された。
 なお、冷媒に使っている固体ネオンの保持は3日が限度。したがって明日打上げができなかった場合、素子の再冷却のために再び2日間の冷却期間が必要になるかもしれない。

 今夜は再びコスモピアに宿を取ることに成功した我々である。明日の天気は、雲ひとつないものの風は冷たかった今日よりはさらに良好になるものと予想されている。


No.18 :MVロケット4号機打ち上げ延期
投稿日 2000年2月9日(水)11時05分 投稿者 笹本祐一

 笹本です。
 表記のとおり、地上局のアンテナの不具合のため、本日のMロケットの打ち上げは延期になりました。
 詳しい情報は解り次第お伝えします。

No.17 :打ち上げ準備進行中
投稿日 2000年2月9日(水)08時03分 投稿者 笹本祐一

 昨日は串良に宿を取った笹本です。
 午前八時現在、打ち上げ準備は順調に進行中です。