宇宙作家クラブ
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No.1986 :ジオスペース探査衛星(ERG)の報道公開・内之浦 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年10月20日(木)21時36分 投稿者 柴田孔明

 2016年10月20日、内之浦宇宙空間観測所にてジオスペース探査衛星(ERG:Exploration of energization and Radiation in Geospace)の報道公開が行われました。
 先の相模原キャンパスで行われた公開時と外観は変わっていませんが、こちらでは打ち上げに向けた試験が進められています。なお、打ち上げ時期は今年度となっております。

・登壇者
JAXA宇宙科学研究所 ジオスペース探査衛星プロジェクトチーム
 プロジェクトマネージャ 篠原 育
 (宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授)
 プロジェクトサイエンティスト 三好 由純
 (宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 客員准教授 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 准教授)

・質疑応答より

読売新聞・ERGの観測期間はどのくらい計画されているのか。
篠原・打ち上げ後3ヶ月間は初期チェックアウトで、伸展部の展開や軌道高度を上げるなどのオペレーションをして、観測機を立ち上げて性能を確認するフェーズ。そのあとの定常観測はノミナルで1年間(設計寿命は1年)を予定しているが、機器が動いている限りは延長し科学成果を出し続けたい。過去の「あけぼの」や「GEOTAIL」なども最初は1年とか3年しか計画していなかったが、実際には20年くらい動いた。

読売新聞・変わった軌道だが、これに入るのが3ヶ月ということか。
篠原・遠地点高度は打ち上げ後に到達し、近地点は低いので打ち上げ後2週間から1ヶ月以内で上げる。(※遠地点高度:約33,200 km、近地点高度:約300 km、軌道傾斜角:約31度)

読売新聞・打ち上げ日はいつか。
篠原・今年度中で調整中です。

読売新聞・ERGの開発者としてイプシロンロケットを使うメリットは何か。
篠原・もともと固体ロケットは宇宙科学研究所の開発。ロケット側と衛星側のコミュニケーションの仕方がいろんな意味で密。理工一体でこのユニークな軌道を実現した。

毎日新聞・きわめて厳しい放射線環境での観測技術とあるが、厳しいとは具体的にどのようなものなのか。
篠原・ヴァン・アレン帯は高エネルギーの粒子が飛び交い、電子機器に飛び込むとショートの原因になり、そのノイズが機器の動作にとって厳しい環境。観測的には、高エネルギー粒子がセンサに偽の信号を生み出してしまう。本来計りたい正確な粒子の数を数えられなくなってしまう。私達の観測機器はそのノイズ対策に工夫をすることによって、自然界にそんなに多くない粒子を正確に数えられるようになっている。

以上です。


No.1985 :観測機器4 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時51分 投稿者 柴田孔明

磁場センサ[サーチコイル](PWE-MSC)(※大きな黒い筒。伸展マスト)
(※右の斜めの機器はSSC)


No.1984 :観測機器3 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時50分 投稿者 柴田孔明

超高エネルギー電子分析器(XEP-e)(※手前の小さい方)
磁場観測器[フラックスゲート](MGF)(※大きな黒い筒。伸展マスト)
上部に見える円盤はアンテナ。同型が下面にもある。


No.1983 :観測機器2 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時49分 投稿者 柴田孔明

中間エネルギーイオン質量分析器(MEP-i)(※大きい方)
低エネルギー電子分析器(LEP-e)(※小さい方)


No.1982 :観測機器1 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時48分 投稿者 柴田孔明

高エネルギー電子分析器(HEP-e)(※六角形)
中間エネルギー電子分析器(MEP-e)(※真ん中)
低エネルギーイオン質量分析器(LEP-i)(※手前)


No.1981 :衛星外観 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時46分 投稿者 柴田孔明

ジオスペース探査衛星(ERG:Energization and Radiation in Geospace)


No.1980 :ERG概要説明より ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時45分 投稿者 柴田孔明

プロジェクトサイエンティスト 三好 由純
(宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 客員准教授 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 准教授)


No.1979 :ジオスペース探査衛星(ERG)の報道公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月29日(木)22時43分 投稿者 柴田孔明

 2016年9月29日午後より、JAXA相模原キャンパスでジオスペース探査衛星(ERG)の報道公開と概要説明が行われました。ERGは今年度中に内之浦宇宙空間観測所よりイプシロンロケット2号機で打ち上げられる予定です。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
JAXA宇宙科学研究所 ジオスペース探査衛星プロジェクトチーム
 プロジェクトマネージャ 篠原 育
 (宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授)
 プロジェクトサイエンティスト 三好 由純
 (宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 客員准教授 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 准教授)

・概要説明 ジオスペース探査衛星(ERG:Energization and Radiation in Geospace)について
(※報道資料より抜粋)
 
 ・宇宙環境擾乱にともなって激しく変動するヴァン・アレン帯の中心部において、10電子ボルトから20メガ電子ボルトの6桁におよぶ広いエネルギー帯域の電子などを総合的に直接観測することによって、高エネルギー電子がどのように生まれ/失われるのかを明らかにする。
 ・ヴァン・アレン帯の中心部で直接、高エネルギー電子が生まれる過程を世界ではじめて観測するために、台湾から提供される1機器を含む8つのセンサーによって幅広いエネルギーの電子とイオンと超高時間分解能電磁場変動を観測します。
 ・更に関連する地上観測ネットワークと組み合わせることで、総合的なヴァン・アレン帯探査を行います。
 ・ERG衛星は、国内外の大学、研究機関の100人を超える研究者がプロジェクトに参加する太陽地球環境科学の中心的ミッションです。

・衛星諸元
 形状:太陽電池パドルを持つ箱形(約 1.5 × 1.5 × 2.7 m)
  展開した太陽電池パドルの両端間:約 6.0 m(X軸)、約 5.2 m(Y軸)
  伸展マスト: 5 m(片側のみ。2つ搭載)
  ワイヤーアンテナ: 15.0 m(四隅から4つ展開)
 総重量:約 350 kg
 電力:約 700 W以上
 予定軌道
  種類:楕円軌道
  近地点高度:約 300 km
  遠地点高度:約 33,200 km
  軌道傾斜角:約 31 度
  周期:約 580 分
 姿勢:スピン安定方式
 スピンレート: 7.5 rpm (8秒で1回転) 太陽指向
 ミッション期間:定常運用移行後1年以上
 衛星バス:SPRINTバス(※「ひさき」と同じ)
 ・ミッション機器
  超高エネルギー電子分析器(XEP-e)
  高エネルギー電子分析器(HEP-e)
  中間エネルギー電子分析器(MEP-e)
  低エネルギー電子分析器(LEP-e)
  中間エネルギーイオン質量分析器(MEP-i)
  低エネルギーイオン質量分析器(LEP-i)
  磁場観測器(MGF)
  プラズマ波動・電場観測器(PWE)
  ソフトウェア型波動粒子相互作用解析装置(S-WPIA)

・今後の予定
 10月上旬:JAXA宇宙科学研究所から内之浦宇宙空間観測所へ輸送。
 10月中旬〜:射場での準備。
 2016年度中の打ち上げを予定。


No.1976 :可視赤外放射計(センサユニット) ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月20日(火)21時13分 投稿者 柴田孔明

「ひまわり9号」の可視赤外放射計(センサユニット)


No.1975 :ひまわり9号 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月20日(火)21時11分 投稿者 柴田孔明

公開された「ひまわり9号」。

同8号と外観は全く同じです。


No.1974 :静止気象衛星「ひまわり9号」の報道公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年9月20日(火)21時09分 投稿者 柴田孔明

 2016年9月20日午後、種子島宇宙センターにて気象衛星「ひまわり9号」の機体公開と概要説明が行われました。前日から台風16号が種子島に接近して影響が心配されましたが、公開時には台風一過の、たいへん良い天気となりました。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
気象庁 観測部 気象衛星課 衛星整備計画官 大友 猛
三菱電機(株) 鎌倉製作所 宇宙システム部 ひまわりプロジェクト部長 西山 宏

・概要説明 「ひまわり8号・9号」について
 ・平成21年度、衛星の製造に着手。
 ・「ひまわり8号」は平成26年10月7日に打ち上げ、平成27年7月7日に運用開始。
 大きなトラブルも無く順調に観測を続けている。
 (※今現在は7号が待機運用中)
 ・「ひまわり9号」は平成28年11月1日に打ち上げ予定、平成28年度中に待機運用を開始。
 同じ型の気象衛星2機体制となる。
 平成34年度から8号の後継機として観測を開始予定。
 ・気象衛星は運用系と待機系の2機体制。
 ・「ひまわり8号・9号」で平成41年まで観測。
 ・観測機能について8号と9号は同じ。
 (※7号から解像度、観測回数、観測画像の種類、データ処理と伝送等が向上している。また、姿勢制御も地球センサからスターセンサになり、より安定した姿勢制御を行って、ブレの無い気象画像を可能にしている)
 ・軌道上における静止化は打ち上げ後1週間程度。
 ・静止化後、衛星機能の確認試験を約3ヶ月間予定。
 ・全体的な機能確認後、待機衛星として今年度中に運用開始。
 ・軌道上展開後の大きさは、全長約8m
 ・打ち上げ時質量約3,500 kg、ドライ約1,300 kg
 ・太陽電池発生電力、約2.6 kW(静止軌道初期)
 ・衛星バス:三菱電機標準バス「DS2000」。
 (※DS2000は、現在軌道上運用中が9機、製造中が7機。累計58.2年の動作実績があり保険料も安くなっている)
 ・設計寿命:衛星は15年、ミッションは8年以上。


・質疑応答

共同通信・なぜ2機体制で、待機と観測の交代を行うのか。すぐ側にいるのか。
大友・衛星のバスの寿命が15年と長くなった。カメラには可動部があり設計寿命は7年。設計寿命を考慮し、7年後に交代する計画。ほぼ同一軌道、東経140.7度の赤道上にいる。

不明・8号と9号は同じ性能とのことだが、全く同じなのか。マイナーチェンジなどはやっていないのか。
大友・同一の機能で間違いない。
西山・衛星も同じです。

・その他、衛星公開中の質疑より。

・観測中に内部ソフトウェアの書き換えは行えるのか。
・可能なものとできないものがあるが、運用を開始する前に殆ど終えている。パラメータなどは運用中にも書き換え可能。

以上です。


No.1973 :ミッションマーク ●添付画像ファイル
投稿日 2016年7月26日(火)23時41分 投稿者 柴田孔明

段間部の「こうのとり」6号機のミッションマーク。


No.1972 :H-IIBロケット6号機2段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年7月26日(火)23時38分 投稿者 柴田孔明

同じく2段目。エンジンはLE-5B-2。


No.1971 :H-IIBロケット6号機1段目 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年7月26日(火)23時36分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIBロケット6号機1段目。


No.1970 :H-IIBロケット6号機のコア機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年7月26日(火)23時34分 投稿者 柴田孔明

 2016年7月26日午後より、三菱重工業株式会社飛島工場にてH-IIBロケット6号機コア機体の報道公開と概要説明が行われました。

・登壇者
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者 二村 幸基
三菱重工株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 徳永 建

・計画概要
 打ち上げ予定日:2016年10月1日午前2時16分頃(JST)
 ※時間は宇宙ステーションの最新の軌道によって調整。
 打ち上げ予備期間:2016年10月2日〜2016年11月30日
 目的:宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV-6)を所定の軌道に投入する。
 ミッション終了後、ロケット第2段を南太平洋上に制御落下を行う。
 ※飛行経路やシーケンス、制御落下は2号機から同じ。

・特記事項
 MHIの打ち上げ輸送サービスで3機目のH-IIB。
 H-IIAロケットに適用済みのコストダウン項目をH-IIBにも適用。
 (※例:照明装置への電源を他電源と共用させることで専用電池を削除)

・機体の製造状況及び今後の予定
 コア機体は工場での機能試験を終了し、出荷準備中。現在のところ7月30日に飛島工場から出荷し8月1日未明に宇宙センターに搬入予定。
 固体ロケットブースタ(SRB-A)は工場での作業を完了のうえ射場へ搬入済み。コア機体起立後に結合予定。
 衛星フェアリングは射場へ搬入済み。


・質疑応答

時事通信社・フェアリングと「こうのとり」は種子島にあるのか。また「こうのとり」のフェアリングへの格納はいつになるか。またドッキングはいつ頃になるか。
二村・フェアリングは種子島に搬入済み。「こうのとり」も種子島で打ち上げに向けた準備が進められている。「こうのとり」のフェアリングへの収納は、打ち上げの二週間くらい前。余談だが「こうのとり」はレイトアクセスがあり、ロケット本体に組み上げた後にフェアリングの搬入用の穴から物資をのせることができる。それが打ち上げの数日前。ドッキングについてはJAXAに聞いていただくことになるが、 概ね5日くらいと記憶している。

フリー大塚・コストダウンを適用したのはH-IIAの何号機からか。コストと軽量化のどちらもあると思うが具体的にどのくらい。
二村・H-IIAの29号機から適用している。金額については回答を差し控えさせていただく。大きくコストダウンをしている訳ではなく、塵も積もればの世界で、たとえ100万円単位でも我々としては必ずトライしてゆくと思っている。機器を減らすことで数十キロ単位、という事になる。

日本経済新聞・H-IIAは信頼度の高さが強みとの話があったが、H-IIBの強みは何か。
二村・ロケットの不適合や、設備の不都合が原因による延期が今やほとんど無い。天候以外の要因で延期が無い点でH-IIAもH-IIBも同じ。

鳥嶋・5月に公開したH-IIAロケット31号機の打ち上げはいつか。H-IIBが先に上がる場合はH-IIAはどのような対応になるのか。
二村・H-IIA31号機(ペイロードは「ひまわり9号」)は、年内の打ち上げとして調整中で確定には至っていない。参考までに打ち上げ日は、ほぼ2ヶ月前に公表できる。31号機は機能点検前まできている。H-IIBが先に上がる場合、H-IIAは最終準備の手前で止めて、H-IIBの作業に切り替えを行い、この打ち上げ後にH-IIAの作業に切り替える。種子島宇宙センターは(VABに)H-IIAとH-IIBを各1機起立させて作業できるポテンシャルはあるが、共通設備があり同時に点検できない設備もある。その設備のモード切り替えが必要。