宇宙作家クラブ
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No.2017 :イプシロン2号機打ち上げ1日前記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月19日(月)18時55分 投稿者 松浦晋也

12月19日午後3時から、内之浦宇宙空間観測所で行われた、イプシロンロケット2号機打ち上げ前記者会見の概要です。

出席者 森田泰弘イプシロンロケットプロマネ 篠原育ERGプロマネ


森田:いよいよです。
準備状況について。順調(詳細は省略)。
天気について。現在強い高気圧に覆われているが、明日20日の夕方から天気は下り坂。最新の情報に注意が必要。

篠原 衛星準備状況について。相模原を10/3出発、10/6内之浦到着。輸送後の検査を実施。衛星推進薬搭載し、11/12にロケット側に引き渡し、ロケットの結合作業を実施。搭載状態での試験を繰り返したが衛星状態は良好。

ここから質疑応答
朝日新聞:天候は現状では打ち上げは厳しいのだろうか。
森田:現状では高層大気の状態が若干不安定。雷注意である。
朝日新聞 打ち上げ前のスケジュールの詳細が知りたい。何時頃何をやるかという程度でいいので。
森田 午後2時にロケットの準備が始まるが、制御系の点検が午後3時ぐらい。地上系では海外局との通信チェック。安全監視だと住民待避や船舶の監視など。
篠原 衛星は午前8時から準備開始。まず簡易電気試験を行う。打ち上げ3時間前から、衛星の各種パラメーターの設定を行う。

NHK カウントダウンシーケンスが欲しい。
広報 確認して出せるようなら出せる。

NHK 主要シーケンスで第3段の燃焼開始高度(229km)が、燃焼終了高度(224km)よりも高いのだがどうしてか。
森田 第3段の役割は高度は維持で速度を上げることのため。

NHK 22日は発雷の予想が出ているが、明日打てない場合は大きく延びるのか。
森田 今後の予報次第。予報はどんどん変化していくものだ。

鹿児島テレビ 意気込みを聞きたい。また今回が成功すれば将来のコストダウンにどのようにつながるのか。
森田 強化型イプシロンは3年かけて開発してきた。昨今のJAXAの状況下では絶対に成功させねばならない。苦しい状況にある。開発の過程でスケジュールは厳しく、特別点検などもあり、かなり関係者は疲れている。なんとか努力の成果としてみんなの力で成功を勝ち取りたい。
 コストは一切合切で50億円で、うち安全管理費用などが5億円。ロケット関連が45億円だが、これは開発時特有の点検やリハーサルの費用が含まれている。2号機の成果を踏まえれば特別な点検やリハーサルを省略できるかどうかが分かるので、今回の成果でどれぐらい安くなるかがはっきり分かるだろう。

鹿児島読売テレビ 成功すれば今後どのような展望が開けるのか。
森田 強化型イプシロンは小型衛星のニーズに応えるものなので、これで小型衛星の打ち上げをリードしていきたい。今後の開発に向けての大事な一歩でもあるので、成功させたいと思っている。
篠原 ERGは遠地点高度3万3000kmで静止軌道の手前まで連れて行ってもらえるので、使えるロケットになっているのではないかと思う。科学分野で小型衛星のニーズは大きく、新たな観測手法を試す機会が増えるのではないかと期待している。

産経新聞 3年振りの打ち上げで地上施設は機能を維持できていたのか。
森田 機体はどんどん新しくなるが、設備は大切に長く使うという方針で運用している。古い部位をどう使っていくかいろいろな工夫をした。軽微なトラブルはいくつもあって、乗り越えてここまで来たというのが正直なところだ。
産経新聞 地元との関係はどうか。
森田 内之浦の地元とは、ここまで一緒に射場を作ってきた関係である。今回も街の熱気を感じている。千羽鶴を頂いたり、交流会を開催したり・・・私も32年内之浦に来ているが、旅館の方を家族のように感じている。
産経新聞 ERGの観測が実社会に還元されるということだが、分かりやすく説明してもらえないだろうか。
篠原 ヴァンアレン帯の高エネルギー粒子が増えると、衛星搭載機器に悪影響を与える。放送衛星や気象衛星が磁気嵐時にトラブルを出してサービス停止になることもある。ヴァンアレン帯のメカニズムが分かれば宇宙天気予報を出して磁気嵐を避けることもできるし、磁気嵐に耐えられる衛星システムを開発することも可能になる。これは地球に限らず強い磁場を持つ木星や土星を調べる探査機にも使える。

時事通信 ひとみ事故以後初めての科学衛星の打ち上げだが、プレッシャーはあるか。事故後の総点検についてやってよかった点があれば教えて欲しい。
篠原 プレッシャーはある。総点検では衛星の生き残り性と運用について集中的に提言を頂き、対策をとった。当初計画よりはミスが少ない形で運用できる体制ができたと思う。

東京会場へ。

赤旗 全段固体というロケットの構成は、打ち上げが延びた場合に、液体ロケットと比べるとどんな利点があるのか。すぐに打ち上げ可能なのか。
森田 打ち上げが延びた場合、物理的準備と別に関係各所との調整で中二日は必要。物理的には天候が回復すればすぐに打てるが、搭載機器状態や関係する射場施設のチェックなどでも2、3日はかかるだろう。
打ち上げ隊からの補足 延期は中2日と決まっているわけではない。隊員の疲労なども関係するので。
森田 隊員の士気も重要な要素です。


朝日新聞 昨今のJAXAの状況を見ると絶対に成功させたいとのことだが、どういう意図なのか。
森田 強化型イプシロンのデビュー戦であり、成功すれば内之浦から小型衛星をどんどん打ち上げることができる。ひとみの事故後の最初の宇宙科学の衛星であり、なんとも成功させたい。だからこの打ち上げは非常に重要だという認識がある。



NVS 今回イプシロンが午後8時打ち上げの理由は。
篠原 ERGの主目的のひとつにコーラスという自然の電波の観測がある。発生場所は地球の朝側の上、しかも磁気赤道の上にある。つまり遠地点が磁気赤道の上でしかも太陽から観て朝側に来る軌道に打ち上げたい。しかも衛星の観測開始が打ち上げ3ヶ月後なので、そのタイミングで遠地点が条件を満たしているようにしたい。その結果、午後8時打ち上げとなった。
NVS イプシロンの夜打ち上げは初めてだが、なにか注意しているか。
森田 気温の低下を心配していたが、気温は心配ないようだ。

フリーライター林 天候条件で、イプシロンは何に強く、なにに弱いのか。
森田 M-Vの頃は雨に弱いと言われていたがイプシロンは、地上系とロケットとのコネクターを露出させない設計にするなどして、雨には強くなっている。風は小さなロケットのほうが影響されやすいので、H-IIAよりも注意が必要。かなり精密に風の影響を計算、予測するなどの工夫をしている。

南日本新聞 具体的にどの部分の改良で小型衛星をどんどん打ち上げられるようになったのか。
森田 第2段の強化とフェアリングスペースの大型化でより大きく重い小型衛星が上げられるようになった。

読売新聞 今回の二重の矢デザインにどんな意図が込められているのか。
森田 いろんな人がいろんな思いを込めていますが、私は「これからどんどん進化するイプシロン」をイメージしています。

宇宙作家クラブ 打ち上げ施設にクリスマスに加えてマーシャル諸島のマジュロのダウンレンジ局を加えている理由はなにか。
森田 衛星からの分離信号をリアルタイムで受信するためです。
 記者会見終了後のぶらさがりでの補足。マジュロには可搬局を持ち込んで運用している。

以上です。


No.2016 :宮原方向から見たイプシロン2号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月17日(土)23時56分 投稿者 柴田孔明

宮原方向からのイプシロンロケット2号機。
今回は夜間打ち上げの予定です。

リハーサルでは当初予定の20時頃打ち上げの予定から、わざと21時打ち上げに変更する対応も行われていました。

なお、2号機打ち上げではランチャの空調ダクトの配管が大きく変えられ、初号機では外にあったものがランチャの中に格納されています。


No.2015 :イプシロンロケット2号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月17日(土)23時51分 投稿者 柴田孔明

イプシロンロケット2号機。


No.2014 :イプシロンロケット2号機のリハーサルと機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月17日(土)23時48分 投稿者 柴田孔明

 2016年12月14日午後よりイプシロンロケット2号機の打ち上げリハーサルが行われ、併せて報道関係者への機体公開と概要説明が行われました。

・登壇者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門イプシロンロケットプロジェクト プロジェクトマネージャ 森田 泰弘

・イプシロンロケットについて
 ・射場作業期間をMVの42日から9日まで短縮を目指す。
 ・衛星最終アクセスから打ち上げまで、MVの9時間から3時間に。
 ・運用・設備・機体の3点セットからなる打ち上げシステム全体を改革(コンパクト化)。
 ・機体、ユーザにとっての利便性(乗り心地と軌道投入精度)、機動性(ロケット技術の革新)。

・強化型イプシロンについて。
 ・2段目モータの大型化。推進薬量を10.7 tonから15 tonに増量。
 (※2015年12月21日、秋田県能代ロケット実験場で燃焼試験を行った)
 ・フェアリング内の衛星格納スペースの拡大。
 ・構造・艤装の軽量化などを行っている。

・打ち上げに向けた準備状況について。
 ・イプシロンロケット2号機は(強化型の)基本形態での打ち上げとなる。
 (3号機はオプション形態のPBS[Post Boost Stage]付きとなる)
 ・射場に格段モータの搬入を行い、9月12日より射場作業を開始している。現在、全段組立・点検を終了し、Y-0リハーサルを実施中。

・2号機の機体デザインについて。
 ・海側(記者席や宮原側)に加え、山側(第5光学観測所側)からもマーキングが見えるように2位相に記載。
 ・更に進化するイプシロンをあらわす2重の矢(ダブルアロー)を追加。肝付町名物、流鏑馬の矢の意味も含む。(2号機のみの予定)
 ・2重の矢には応募したメッセージも記載している。(肝付町提案)
 ・1段目上部のサブのラインを銀色(宇宙研伝統の色)から紫に変更。メインの赤とこの紫は、光のスペクトルの両端であり、宇宙科学ミッションから地球観測ミッションに至るまで、そして日本のユーザから世界のユーザまで幅広く利用できるようなロケットを目指していることを表す。

・質疑応答
鹿児島テレビ・打ち上げ当日も5時20分にランチャ旋回が始まるのか?
森田・作業の進捗によって前後するが、おおよそ5時15分から同20分。
(※このあとのリハーサルでは少し早めに開始された)

鹿児島テレビ・3年ぶりの気持ちなど。
森田・言いも悪いも強化型イプシロンに3年かけた。我々の気持ちとしては全くの初心。3年前の大成功はすっかり忘れて今号機が新たなデビュー戦という気持ちで臨む。絶対成功の気持ちは試験機以上。

鹿児島読売テレビ・成功によってどのような展開が期待されるか。
森田・試験機開発で利便性を改革した。今回はロケット本体の改革、性能を上げる。衛星のサイズと重さを拡大した。これから予定されている小型衛星をばんばん打ち上げることができる。ニーズにしっかりこたえる。

NVS・ロケットの打ち上げが続いているが、種子島と共通の施設で苦労している点は何か。
森田・種子島のレーダー、テレメトリ、飛行安全の装置が共通で使っている。設備は問題ではないが、人のやりくりがある。もともと種子島の設備は液体の大型ロケット向けで、小型のものは操作の人にとって初めての部分もある。しかしJAXAに統合される前から連携してやっていたので連携はスムーズにやっている。

NVS・熱電池はリハーサルではどうするか。
森田・熱電池の駆動はするが、SMSJ(固体モータサイドジェット)の点火はしない。自動管制装置を使う関係で必ず止まる。今日は練習で、打ち上げ時刻の再設定も行う。

朝日新聞・モバイル管制でネットワークを使うリスクはあるか。
森田・遠隔制御はロケットと宮原のECCの間だけ。メーカーさんに繋がっているのはモニタだけで制御は含まないため、ただちにロケットの飛翔に影響することは無い。ロケットと管制室の通信は秘密の直接通信。

朝日新聞・今の誘導技術はどの程度のものか。
森田・誘導制御はまったく自動化され、地上支援無しで最終軌道に到達できる。

朝日新聞・安全保障などでイプシロンに何か意味合いはあるか。
森田・直接そういった意味合いのものを感じたことは無い。上げる衛星の検討はしているが地球観測、宇宙科学、諸外国の地球観測衛星がターゲット。

朝日新聞・打ち上げの費用で50億だが内訳はどうなっているか。
森田・安全管理費用が5億円、その他45億円。ただし今号機は基本形態でPBSの分安い。

NHK・初号機では延期があったが、それをふまえて意気込みをお聞きしたい。
森田・ロケットに限らず宇宙開発は成功と失敗の狭間でやっている。昨今のX線天文衛星「ひとみ」の事件のように一つでも間違えると失敗してしまう。開発からリハーサルまでやるべきことはしっかりやる。あらかじめ決めたこと以外でも想像力を発揮して自問自答して答えをぶつけて打ち上げる。100%を超えて120%の自信。それでもなおかつ思い至らない部分の教訓が初号機の緊急停止。そういうことを乗り越えない限り新しいことはできない。教訓として失敗はしてはいけないが、乗り越えないといけないこともある。どう生かしたかというと、あのあと3週間の総点検の活動を行った。我々だけでなく第三者の目でしっかりロケットを点検。あの出来事を前向きに取り込んで、総点検を定常化して取り込んでいる。常時、独立評価チームの方々の力を借りて、プロジェクトを常時第三者の目で判断が正しかったか、試験のやり方が正しかったか、こういった試験で十分だったのかを常時総点検という形で進めるように態勢を作った。やるべきことにプラスアルファという観点では、試験機の教訓をしっかり踏まえていい形で開発を進めた。そうは言ってもまだやるべきことは沢山あるので、来週の打ち上げに向けて最後の最後までしっかり準備を進めたい。

以上です。


No.2013 :H-IIBロケット6号機打ち上げ 竹崎展望台より ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月17日(土)02時17分 投稿者 柴田孔明

H-IIBロケット6号機打ち上げ。
竹崎展望台から撮影。


No.2012 :H−IIBロケット6号機打ち上げ後記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月17日(土)02時12分 投稿者 柴田孔明

 2016年12月9日22時26分47秒(JST)に打ち上げられたH-IIBロケット6号機打ち上げ後記者会見が、日付が変わった翌10日0時頃より行われました。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者(第1部)
文部科学省 大臣政務官 樋口 尚也
内閣府 副大臣 石原 宏高
宇宙航空研究開発機構 理事長 奥村 直樹
三菱重工業株式会社 常務執行役員 防衛・宇宙ドメイン長 水谷 久和
※側面列席者
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局長 高田 修三
文部科学省 大臣官房審議官(研究開発局担当) 白間 竜一郎

・打ち上げ結果報告(水谷)
 三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成28年12月9日22時26分47秒(日本標準時)に、宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)を搭載したH-IIBロケット6号機(H-IIB・F6)を予定通り打ち上げました。
 ロケットは計画通り飛行し、打ち上げ後約15分11秒に「こうのとり」6号機を正常に分離した事を確認しました。
 今回のH-IIBロケット6号機打ち上げ実施にご協力頂きました関係各方面に心より深甚の謝意を表します。
 なお、ロケット打ち上げ時の天候は晴れ、北西の風(4.3m/s)、気温 15.5度Cでした。

・打ち上げ結果報告(奥村)
 ただ今、三菱重工業株式会社殿より打ち上げ成功の報告をいただきました。私どもJAXAは今回の打ち上げにあたりまして、私どもの責任である安全管理業務を滞りなく遂行いたしましたことを皆様にご報告したいと思います。
 今回の打ち上げにあたりましても毎回同様に地元の皆様方のご協力ご支援、および関係機関のご支援を賜りました。この場を借りてあらためて厚く御礼申し上げたいと思います。
 この「こうのとり」6号は12月13日を目途にISSに到着、翌14日に「きぼう」に結合完了ということで、引き続き私どもは運用にあたって気を引き締めて業務を遂行して参りたいと思っております。
 今回、「こうのとり」6号機には日本製のリチウムイオン電池を使用した新しいバッテリを運ぶという重要な役割を担っております。特にバッテリにつきましては、「きぼう」だけでなくISS全体の主要電源として重要な役割を果たすものであります。この6号機はこの重要な部品である電源を運ぶ、能力的に唯一の輸送船でございます。そういう意味ではISSに役割を果たす上で今回のミッションは特に私どもは重要な役割を果たしているのではないかと考えております。
 また今回の輸送品の中には、特徴的な物をいくつかご紹介しますと、ISSの超小型衛星の放出能力を倍増させる設備を持ってまいります。これまで6Uという単位でしたが、12Uまで倍増する。これは世界各国から小型衛星の放出要望が高まってきていることを背景に、今回こういった措置をとったものであります。今回6号機では7機の小型衛星を放出するという事でございますけども、この数も初めてのことでございます。加えて今回トルコが提供する材料をISSに運んで材料実験を行うミッションも組まれております。さらにシャープさんとの共同開発による薄膜の太陽電池、こういったものが出来ますと宇宙機の重量が非常に軽くなることが期待されますが、これの実証を行う。さらにISSから分離したあと、スペースデブリの除去を目的とした要素実験、導電性テザーを用いたKITEと呼ばれる実験を予定しております。今回のミッションには数多く組み込まれております。物資輸送に加えて新しい実験の世界を切り開いてゆくということで、ぜひ皆様方にもご理解を賜りたいと思っております。


・登壇者からのご挨拶(樋口)
 H-IIBロケット6号機打ち上げの成功に際し、搭載していた「こうのとり」6号機について所定の軌道への投入を完了したことを大変喜ばしく思っております。打ち上げに際しましてご尽力ご協力をいただきました、またご支援をいただきました皆様方に、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思います。今回の打ち上げ成功によりまして、H-IIBロケットとしては6機連続、基幹ロケットの打ち上げとしては32機連続で成功し、成功率が97.4%となりました事は、我が国が有するロケット技術の着実な発展と信頼性の向上を示すものであると考えております。さきほど油井亀美也宇宙飛行士と話をしましたが、「こうのとり」はISSから見ると金色の宝箱だとおっしゃっておりました。今回の「こうとのり」には飲料水や小型衛星などの実験用の機器に加えまして、ISSの新型バッテリとして日本製のリチウムイオン電池を搭載しているところであります。今後、「こうのとり」6号機が順調な飛行を続けると共に、ISSとドッキングが成功し、搭載している補給物資を届け、我が国の宇宙開発利用技術への国際的な信頼にしっかりとこたえていくことを期待しております。

・登壇者からのご挨拶(石原)
 H-IIBロケット6号機が無事に打ち上がりまして、「こうのとり」6号が国際宇宙ステーションに向かっているところで、大変喜ばしく思っております。今の臨時国会で宇宙関連法が、内閣府が所管しておりますけど、成立をした後の打ち上げでうまく発射されたことを喜んでいるところであります。ISS計画はトップとの協力を通じて技術を獲得する事として重要であるだけでなく、有人宇宙活動の国際協力として我が国が存在感を発揮するに資するものと認識されます。今回の「こうのとり」の打ち上げがISSで様々な成果を生み出すことを強く期待しております。

・質疑応答。
NHK・5号機では緊急物資を運び、今回も「こうのとり」でしか運べないバッテリと、プログレス補給船の失敗のあとに成功したが、打ち上げ成功の意義はどう考えているか。
奥村・まだISSに届いていないので仮定での話になるが、ISS全体の機能を維持するのに不可欠な部分を「こうのとり」あるいは日本が担っていることの意味は非常に大きいと思っている。前回5号機の前に米ロの輸送船が失敗し、そのあと我々が緊急輸送を引き受けて打ち上げた訳だが、これはISS加盟国からの日本に対する強い信頼を私も直接受けてまして、ISS運用をしていく中で日本は外国の皆さんから不可欠のメンバーではないかというくらいの強い気持ちを感じ取っております。従いましてなんとしても13日に接近して14日に結合完了、物資の移送完了というステージに持って行きたい。引き続き気を引き締めて頑張りたいと思っております。

?・信頼が今後どのような一歩に繋がるか。
奥村・宇宙の非常に大きなリスクは失敗がありうること。これを可能な限り下げて信頼を獲得して行くことは、通常の共同研究や様々な国際協力で私どもの意見がより理解されやすくなることに繋がってゆく。違う言葉で言えば、我々の考えていることが他の国の機能をも使って実験・研究ができることに繋がる。ベースになる信頼をどれだけ獲得するかは、極めて大きい。特に宇宙分野でそのことを強く感じています。

NVS・小型衛星の放出機構をアップグレードしたが、ソリューションの拡大はどう考えているか。
奥村・私どもも、小さな衛星をISSから放出してほしいと希望が寄せられている。根っこにある要望を我々も可能な限りうかがうようにしている。いくつかあるが、ひとつはやはり人材育成。きちっとした機能をもつものを作り上げて宇宙から放出する、制作した物がきちんと機能するかは教育上非常に望ましい。若干推測が入るが、若い人(大学生より下)に裾野が広がっている。今回の7機のうち1機はブラジルの小学校の生徒さんということで、彼等だけでできたのではなく宇宙機関がサポートしたことになっている。宇宙の裾野が広がってきている。もっとも良い手段として小型衛星に目をつけられているのではないか。学校以外でもメーカー大学以外にも宇宙を事業その他に使おうという動きが出ている。小型衛星の要望は強くますますなっていくのではないかと感じている。
(※ブラジルの小学校:UbatubaSatのこと。ブラジルUbatuba市のTancredo小中学校。ブラジル国立宇宙研究所[INPE]が支援。この衛星はTuPODという小型衛星に搭載された子衛星である)

日本経済新聞・三菱重工の今後の事業強化について。ロケットの生産能力の強化と売り上げの目標は。
水谷・生産能力の前に製品が競争力を持たないと沢山売れない。いろいろなお客様に高く評価していただけるような、いろいろな意味での製品力の強化をどう具体化するかが根本的にあると思います。今我々はH3の開発に取り組ませていただいているので、2020年初号機打ち上げのスケジュールでございますが、そこに向けてきちっと仕上げてゆく、これができればコスト的な競争力も含めて十分世界に互していける宇宙事業の製品ができる。これが今、我々が取り組んでいる中心になる基幹ロケットをベースにした事業の目指す方向。今回、H-IIA/Bの連続打ち上げ成功を伸ばすことができた。コスト的にこのH-IIA/Bロケットで世界に勝てるかというとなかなか厳しいが、我々のパフォーマンスの積み重ねが少しずつではありますが、海外のお客様から評価をいただいているという認識を持っている。今年の3月にUAEから打ち上げの仕事をいただいているが、アメリカと互して我々なりに精一杯の提案をさせていただいて、どうもお客様が我々の発揮しているパフォーマンスが評価された結果だったと受け止めている。H3までの間に、H-IIAロケットの高度化の技術も手に入れておりますが、H-IIAの信頼性と安全性を海外のお客様に認識評価をしていただいて、1機でも2機でも受注につないでゆく。これが早く実現することが、次の仕事に繋がって行くのではないかということで、今の開発作業と平行して取り組んでいる。

NVS・今後基幹ロケットは打ち上げを増やしてコスト削減を目指すことになるが、地元との関係などを教えて頂きたい。
奥村・これから数を増やしてゆく計画を持っているが、これは何と言っても地元の皆様方のご理解を得ることは非常に大きな事で、そういったご理解の上で初めて成り立つ事業と感じております。従って周りの方のご理解ご援助が第一と、それから主に重工さんの方で尽力されていますが、打ち上げ期間をどうやって短縮するか、射点の整備を迅速に行うか、という事も回数を増やす上で大変重要な課題で、その他の課題解決に繋がってゆくだろうと思っております。打ち上げ条件の緩和について、私どもも雷に対する打ち上げ条件の制約について、重工さんとも相談してかなり緩和してきております。まだその緩和を実例として使ったことは無いが、そうやって少しずつではありますけど、確実に打ち上げ回数が確保できるような条件整備を続けて参りたいと考えている。

南日本新聞・「こうのとり」の新しい使い方。今回のKITEのような実験ができる意義と期待感をお聞きしたい。
奥村・ISSから分離した以降に実験を行うのは初めて。まずはKITEの実験を成功させたい。もうひとつ、薄膜太陽電池の実験を行う。せっかく行く宇宙環境を最大限に、将来に繋がる技術開発に使うという考え方をずっと持っている。あらゆるチャンスをそういった事に生かせるように努力していきたいと思っております。


・登壇者(記者会見第2部)
宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 HTV技術センター 技術領域上席 高橋 哲雄
宇宙航空研究開発機構 鹿児島宇宙センター所長 打上安全管理責任者 藤田 猛
三菱重工業株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 打上執行責任者 二村 幸基

・質疑応答
NHK・リチウムイオン電池を積むような「こうのとり」でしかできない事があるが、成功の受け止めと意義。
高橋。リチウムイオン電池はISSのバス系で非常に重要。それを運ばせてもらえたのは非常に誇らしい。リチウムイオン電池はもともと日本で開発。HTVもリチウムイオン電池を使っている。HTVがリチウムイオン電池を使いながら宇宙ステーションにリチウムイオン電池を運んだのは、日本の技術力を世界に示しているのではないか。(打ち上げ成功は)当然嬉しいが、まだ宇宙ステーションに届いていない。宇宙ステーションに届いて、物を運んで、届けて、宇宙ステーションから物を回収して、KITEの実験を成功させて、南太平洋に落として、それで喜びたいと思います。

産経新聞・運用を最後まで完遂する意気込みをお話いただきたい。
高橋・JAXAのHTV運用チームは、非常に訓練して試験を行った人しかやれないシステムになっている。そういった人たちで運用しているので、ある意味安心。万全の態勢で運用チームを作っているので、安心して見てください。

NHK・H-IIBは全6機成功。ノミナルだった。秘訣は何か。また課題は何か。
二村・H-IIBは6機、H-IIAは6号機を除く31号機まで成功。ロケットは毎回新しいものを作って打ち上げている。我々としてはメーカーという面もあり、作り込みを着実にやるということ。これまで培った点検技術といったものがあり、これらは省略をすることなく愚直にやり続ける。製品の品質を高める活動は日々さらに工夫を重ねながら。打ち上げに関しては、リフトオフした後は手が出せないので、地上にいる間にフライト状態になったとしても問題が無いことを点検の中で見いだすか、これまでの経験もあって異常になる兆候を見つけ出す工夫というものがあって、それが今日の信頼度に繋がっている。具体的にこれだけの機数を重ねてきているので、色んな試験データがたまってきているので、過去のデータと常に比較をして、僅かでも異常な兆候、数値に差が現れた場合には徹底的に違いを追求することで、あまり明確になっていない不適合の芽をつぶすことが最近はできるようになってきている。このあたりが打ち上げ成功を続けられているひとつの要素と考えている。
 課題としては、これだけ長くH-IIA/Bというロケットを使っている経験が無いので、当然年数が経てば人が変わってゆく。当然技術を紡いでいっているが、次第に経験の少ないものが主力になって打ち上げに携わっていくことになる。人材の育成は重要なポイントと思って努力をしてゆくつもりでおります。

NVS・HTVの状況と、2段目の制御落下の結果はどうなったか。
高橋・HTVはロケットから分離してアメリカのデータ中継衛星と通信リンクが確立、そのあと三軸姿勢制御も確立した。明日の6時頃に第1回のスラスタ噴射で軌道マヌーバを行う。
二村・予定通り南太平洋上に落下しました。

日刊工業新聞・人材育成について具体的にどのようにして行うか。
二村・いろいろな手法があるが、いま注力しているのはノウハウではなくNo Whyの教育。要はH-IIAを開発した当時に実際に作業に携わった者が打ち上げに携わり続けている訳ですが、次の世代は残念ながら実際に開発していない世代も入ってきているので、なぜこういう設計になっているかとか、点検パラメータをなぜこう設定しているのかを、こうすればうまくいくではなく、なぜそうしたのかを伝えてゆくことがひとつの大きなポイントだと思っております。

南日本放送・これまでの打ち上げでもルーティンという言葉があったが、それはどんなものか。
二村・打上執行責任者という立場なので、どのタイミングで何を確認するのか。業務的なところで定められた手順、定められたタイミングで抜けなくやるということをしている。個人的には、成功を祈って験担ぎというものもやっている者もいて、それも含めてやりきるのがルーティンとなっている。それぞれが打ち上げ当日にやり残した事が無い状態で臨む。私にもいくつかそういったものがございます。

NHK・ただ物資を運ぶだけでないということで、今後のことも含めた意義はどういったものか。
高橋・「こうのとり」はもともと輸送機として開発された。大きさを利用していろいろな実験機器を積める、しかもある意味安く実験ができる。プラットフォームの提供という意味で凄い意義があり、使ってくれるようになってくれて価値が上がったと思っている。
 今後HTV7、8、9号機まである。もともと輸送機として開発され、実験に対して必ずしもベストの環境ではない。たとえば通信リンクが細く、使いづらい所がある。そういったところはHTVの後継機がカバーしてくれるのではないかと期待している。

日刊工業新聞・後継機というのは9号機のあとのHTV−Xか。
高橋・そうです。

朝日新聞・「こうのとり」6号機の漏洩の対策は。
高橋・7月の試験中にヘリウムが漏れた。分解修理で打ち上げが二ヶ月遅れた。原因と対策は分析して手を打って、既に7号機以降に反映する計画になっている。溶接の欠陥が発生したので、溶接の仕方の改善、溶接の条件の見直し、検査工程の強化、組み上がったあとの配管の試験の強化を行う。6号機はこれが反映されておらず、発見できなかった。

日経新聞・コストカットについての努力は何を行っているか。H3へのフィードバックは。
二村・H-IIA/Bでは大きなコストダウンはやりにくい。これは技術移転を受けて利用している立場のため、根本的な性能機能に関わる大きな設計変更はなかなか行えない。たとえば複数の機器をまとめるとか、点検のやり方でも二回に分けていたものを一回でやる工夫など。日々考え実現している。ただ大幅なコストダウンというのは、なかなか難しい。H3はJAXAが主体で開発し、我々も参画しているが、それを使って我々が打ち上げ輸送サービスのビジネスをやっていくことになるので、製造を非常に低コストでできるようにすること。また種子島に持ってきて打ち上げるまでの点検期間を大幅に短縮するといったことを実現することで、今に増して大きくコストを下げて行くことに繋がると期待している。

NVS・HTVの1号機から6号機にかけてパック(荷物)が増えている。この6号機でフルなのか。
高橋・かなり工夫している。容積的に上限に近づいているのではないか。レイトアクセスのときに見たが、梯子のまわりが荷物だらけになっている

講談社・成功のための験担ぎについて、具体的に教えて欲しい。
二村・典型的なものは、打ち上げの前の日のお昼ご飯を必ずカツカレーにして、自分の中にかつを入れるといったような事をやっております。

読売新聞・テザーなど野心的な使い方があったが、今後HTV−Xに繋げるにあたってやってみたい事など。
高橋・HTVを使った実験の中で今開発しているのは、超小型の回収カプセルがある。これは昔あった「i−Ball」と似たコンセプト。与圧部のハッチの頭に入れて分離時に離して回収カプセルだけ落とすものを開発中。
 (※i−BallはHTV3とHTV4に搭載された)

読売新聞・残り3機だが、どういう使い方をしたいか。
高橋・ちょっと世界が狭くなるがHTV−Xに繋がるセンサの実験を考えている。たとえばカメラなど。

・登壇者(第3部)

アメリカ航空宇宙局 ISS副プロジェクトマネージャ Dan Hartman
アメリカ航空宇宙局 リチウムイオンバッテリ開発プロジェクトマネージャ Eugene Schwanbeck
株式会社ジーエス・ユアサテクノロジー 代表取締役 社長 加藤 泰一郎
株式会社ジーエス・ユアサテクノロジー 取締役(特殊・大型リチウムイオン電池本部 本部長) 武田 浩一
宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 HTV技術センター 技術領域上席 高橋 哲雄
宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 HTV技術センター 技術領域主幹 辻本 健士
(※注:英訳の部分については一部省略があり、またこちらの聞き取りの関係で不正確である可能性があります)

・登壇者の挨拶(Dan Hartman)
 すばらしい打ち上げ成功にお祝い申し上げます。今後のHTVのキャプチャに関しても期待しています。クルーもトレーニングをして皆準備が整っています。HTVは非常に貴重な物資を運んでくれています。食料、水、重要なコンポーネント、リチウムイオン電池。この電池が8つのうちの2つに組み込まれることになる。すぐハッチを開け、数日後からオペレーションを開始します。忙しい38日間の日々が始まる。ロボットアームでバッテリのインストールを始める。これらも打ち上げの成功があったからこそ出来ること。ISSからHTVの打ち上げを見ることができたという報告を受けています。

・登壇者の挨拶(加藤)
 GSユアサテクノロジのリチウムイオンバッテリが国際宇宙ステーションの電源に採用いただき、世界の宇宙開発に貢献できるということは、日本のメーカーとして大変名誉なことだと考えております。電池の開発につきましては長年JAXAさんから貴重なアドバイスをいただいて参りました。おかげで本日、こういう名誉に浴することになりました。改めましてJAXAさんのアドバイス、ご指導に感謝したいと考えております。本日、私どものリチウムイオン電池がISSに運ばれるということになりましたが、実は打ち上げのロケット、あるいは「こうのとり」にも私どもの電池が搭載されています。今後もJAXAさんの有人宇宙開発事業に引き続き貢献していきたいと考えております。

・登壇者の挨拶(高橋)
 先に言われてしまったのですが、リチウムイオンバッテリに関してはHTVの最初の頃から使っていて、宇宙ステーションに運ぶのは延びちゃったのですけど、予定通りならトップランナーとして使う予定だった。こうのとりはリチウムイオンに縁がある。

・質疑応答。
?・なぜ日本製のリチウムイオン電池を選んだのか。
Schwanbeck・GSユアサを選んだ理由は、ISS用のバッテリを5年かけて開発しました。多くの企業を世界中から探した。宇宙ステーションの環境の中でどういった反応をするかテストした。宇宙ステーションで唯一の補給源として大量の電池が何年にもわたって必要。GSユアサが私達にとってベストという結論になった。

宇宙システム開発利用推進機構・リチウムイオン電池採用の決め手はどうお考えか。
加藤・私ども世界中の衛星128機に採用いただいている。過去10年間ずっと使い続けていただいています。この間、不具合の報告は受けていません。幅広く長い実績がNASAに認められた決め手ではないかと考えています。

?・日本の技術力はどのような存在か。
Hartman・米国の機材をJAXAと日本の企業が開発しています。日本の「きぼう」のエアロックの特性も生かしたいと思っています。現在、既に多く使われています。もし機材に問題があったとき、宇宙ステーションの中で修理が出来る。日本の技術が私どものISSに大きく貢献していることになる。

ニッポン放送・リチウムイオンバッテリが既に宇宙での実績があるが、宇宙仕様の安全性の面で工夫があるのか。一般的にリチウム電池は性能はいいが安全性に問題があるようだが。
武田・宇宙用の電池は10年以上の利用があり128機の実績。用途ごとに作り方がある。ISSへの採用の課程として、開発の最初のところから度重なる厳しい監査評価をいただき採用となっております。ひれが自信となって、さらに宇宙用の電池を発展させていきたい。

日刊工業新聞社・宇宙用リチウムイオン電池が地上の研究開発にフィードバックされているのか。
加藤・GSユアサのキャッチフレーズは「深海から宇宙まで」。過酷な環境で高性能のバッテリを要求されるお客様に対して電池を供給してまいりました。今回、宇宙の環境で耐えるバッテリ、あるいは深海に潜る潜水艇へのバッテリ、こういうものを開発していまして、過酷な環境の中で高性能が私どもの方向であると考えています。

NVS・補給船への失敗があり宇宙は難しいが、ISSへの補給で苦労している点は何か。
Hartman・1年前、食料と飲料水で厳しい時期があった。14ヶ月で3回連続で失敗した。しかしそれ以降は成功率が上がっている。約6ヶ月の食料と水のリザーブがある。ロシアの問題があったがまだ6ヶ月のリザーブが確保されている。このあとスペースXが打ち上げられます。また3月に打ち上げが予定されています。HTV打ち上げを含め、継続したISSの研究をサポートすることができます。補給がしっかり確保されています。

NHK・バッテリをどのように評価しているか。ISSにとって日本の役割は大きくなっているのか。
Schwanbeck・電池の評価は実は簡単なことではない。過剰テストや通常ではありえない負荷。安全はどこまでか。シミュレーションで貫通するとどういった反応があるか。そういったことの評価でどの製品がこの環境で良いのか判断した。
 過去数年間エンジニアに言い続けていたのは、ただ単に電池を作っているのではない。ステーションは全て電池で動く。信頼できる電源がないと実験ができない。電池はバックアップと思われるかもしれないが、ISSは45分ごとに太陽が昇って沈む。45分は太陽光は全く当たらない。電池が無ければISSは運用できない。毎日16回太陽が当たらない非常に厳しい環境のため、いろいろな状況の中で電池は確実に動かなくてはならない。

NVS・ISSのリフレッシュや軌道の維持についての課題は。2024年までの運用が当面の目標か。
Hartman・そうです、2024年まで。常にシステムをモニタしている。今回のミッションにも多くの交換品が載っています。二酸化炭素除去や水分離機。また、太陽電池も徐々に劣化してゆく。信頼性を大幅に改善していかなければならない。そうしないと火星に到達できない。

講談社・ISS用のバッテリで求められる性能、カスタマイズした点など。
武田・ISS用ということで、エネルギー密度でどれだけためられるかという事と、一日16回の充放電があるので充放電の効率を良くすること、それと長寿命化といった改善をして今回の開発に臨みました。

NHK・ISSバッテリに選ばれたことについてどう思うか。打ち上げ成功で取り付けが迫っているがどんな気持ちか。また会社にとってどんな一歩か。
加藤・国際宇宙開発に貢献できて非常に誇らしく光栄。今日は打ち上げに成功して、これからISSで機能するまで安心できない。緊張感をもって見守りたい。将来にとって、誇りであるとともに、私どもの技術力をご評価いただいた。「深海から宇宙まで」過酷な環境の中での高性能が私どもの目指すべき技術的方向性。これによってビジネスが拡大することを期待している。

以上です。


No.2011 :打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月10日(土)09時28分 投稿者 柴田孔明

H-IIBロケット6号機の打ち上げ。
リモートカメラで撮影。


No.2010 :打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月10日(土)01時06分 投稿者 柴田孔明

H-IIBロケット6号機は2016年12月9日22時26分47秒(JST)に打ち上げられました。


No.2009 :射点に着いたH-IIB F6 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月9日(金)07時28分 投稿者 柴田孔明

機体移動は約30分で終了し、これから打ち上げに向けた準備が始まります。


No.2008 :H-IIB F6機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月9日(金)07時27分 投稿者 柴田孔明

2016年12月9日午前6時(JST)よりH-IIBロケット6号機の機体移動が行われました。


No.2007 :H-IIBロケットF6打ち上げ前ブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2016年12月7日(水)19時44分 投稿者 柴田孔明

 2016年12月7日14時より種子島宇宙センターにて、H-IIBロケット6号機/「こうのとり」6号機(HTV6)の打ち上げ前プレスブリーフィングが行われました。

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 HTV技術センター 技術領域上席 高橋 哲雄
宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット長 長田 弘幸
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 MILSET長 平嶋 秀俊
(※MILSET:Mitsubishi Launch Site Service Team :三菱打上サービス射場チーム)

・打ち上げ日時について
 打ち上げ日 :2016年12月9日(金)
 打ち上げ時間 :22時26分47秒(JST)
 打ち上げ予備期間 :2016年12月10日〜2016年12月31日
 (予備期間の日時については国際宇宙ステーションの運用に係る国際調整により決定する)

・ロケット側の準備状況と今後の予定。
 7月30日:飛島工場からH-IIBロケットを出荷。射場作業を開始。
 〜9月22日:機能点検。機体の各機器が正常に作動することを確認。
 9月23日〜11月14日:機体休止保管。(※H-IIAロケット31号機打ち上げのため)
 11月14日〜11月19日:作業再開に伴う点検。各機器の機能が維持されていることを確認。
 11月21日:カウントダウンリハーサル。関係要員に対し打ち上げ当日の対応手順を周知徹底するために、打ち上げ時の作業を模擬。
 11月25日:「こうのとり」6号機とロケット機体の結合作業。
 11月27日:ロケット機体の最終的な機能点検。
 12月4日〜:発射整備作業を実施中。
・打ち上げ当日(12月9日)の予定
 午前2時45分頃:機体移動可否判断。
 午前6時頃:機体移動を予定。
 午前11時45分頃:ターミナルカウントダウン作業開始判断。
 13時〜:ターミナルカウントダウン。
 21時25分頃:X-60分作業開始判断。
 22時15分頃:X-10分作業開始判断。
 12月9日22時26分47秒(JST):打ち上げ予定。

・HTV6側の準備状況と今後の予定。
 4月:作業開始。
 7月6日:全機結合
 7月20日:配管から微量の漏洩を確認。
 8月5日〜7日:機体結合解除。
 9月10日:全機再結合。
 11月〜:推薬充填、ロケット結合、打ち上げ作業等。レイトアクセスも行われた。
 12月9日22時26分47秒(JST):打ち上げ予定。
 12月13日20時頃(JST):ISSによるHTV6の把持を予定。
 ISS離脱〜7日間:KITE実証実験を予定。

・質疑応答
産経新聞・前回H-IIB5号機との違いはあるか。
平嶋・変更はありません。

鹿児島テレビ・「こうのとり」の役割や期待感について。
高橋・今、HTVは宇宙ステーションにアクセスできる最大の補給機。昔はスペースシャトルがあったが、今はHTVだけでしか運べないものが多々ある。宇宙ステーションの維持・運用・利用になくてはならないと自負している。非常に役立ってくれてうれしく思っている。

読売新聞・HTVの機体を使った実験は今回初めてなのか。
高橋・小さい実験は4号機や5号機でも表面電位の測定などをやっていた。HTV本体ではないがi-Ball(HTV3)で大気圏再突入実験なども行った。

読売新聞・大きい実験への期待感。
高橋・HTVは宇宙ステーションに物を運ぶミッションだったが、いろんな使い道が出てきて役立っていてうれしいです。

時事通信・ロケットを含めた「こうのとり」6号機全体の予算をお聞きしたい。
平嶋・金額に関してはお答えできません。
・HTVは約140億円。

毎日新聞・レイトアクセスだが、先日のロシアのプログレス打ち上げ失敗で積み増しはあるか。
高橋・NASAに問い合わせたが無かった。

共同通信・組立棟(VAB)から第2射点までの距離はどれくらいか。
平嶋・約400m(会見中の500m強という回答は第1射点)

NVS・約二ヶ月の延期で変更点はあるか。
高橋・遅れたための増減は無かった。

日経新聞・KITE実験の予定時期はいつか。
高橋・宇宙ステーションからの離脱時期は調整中だが、1月下旬から2月上旬にかけてを予想しています。

日経新聞・SFINKSの実験期間はいつか。どこからどこまでが3ヶ月か。
高橋・この実験は地球からのコマンドも無く、電気も自前でまかなっている。打ち上がって大気圏外に出てから再突入までが実験期間。

南日本放送・配管の漏れの原因は何か。打ち上げ日延期以外の影響はあったのか。
高橋・原因は配管の溶接部の不良。溶接不良によるクラックから漏れた。原因究明と修理以外に、カーゴの積み降ろしがないかの問い合わせ、打ち上げ時期の再調整を行った。

南日本放送・溶接不良は人為的なのか、設備的なものなのか。
高橋・溶接のところは配管の異種金属間のもの。溶接がうまくいかなかった。今後は訓練、条件の見直し、検査の充実で対策をとっている。

産経新聞・打ち上げ成功への思いや抱負をお聞かせ願いたい。また、順調か。
平嶋・ひとつひとつ確実丁寧に平常心をもって打ち上げに対応したい。作業は順調です。

講談社・重いバッテリを運ぶための強化は具体的に何を行ったのか。
高橋・暴露部の構造強化を行った。バッテリを繋げる機構の開発を行った。

・その他
Q.再突入直前にKITE実験のテザーを切り離すのは何故か。
A.テザーがHTVの機体に絡まる可能性があるため。

Q.漏洩は1カ所か。(配布資料では二カ所にも見えるため)
A.1カ所です。(同じ場所を外と内側から示したため)

以上です。


No.2006 :H-IIBロケット6号機の打ち上げ日時
投稿日 2016年12月7日(水)14時01分 投稿者 柴田孔明

 H-IIBロケット6号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機(HTV6)の打ち上げ日時は、2016年12月9日22時26分47秒(JST)に決定しました。
なお機体移動は同日の朝6時頃に行われる予定です。

No.2005 :超小型衛星TRICOM-1の報道公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月22日(火)21時10分 投稿者 柴田孔明

2016年11月22日、JAXA相模原キャンパスで超小型衛星TRICOM-1が公開されました。平成28年度中に内之浦宇宙空間観測所からSS-520-4号機で打ち上げ予定です。
衛星の重量:約 3 kg
寸法:116 mm×116 mm×346 mm(アンテナ格納時)
投入予定軌道:地球との近地点約180 km×遠地点約1,500 kmの楕円軌道
投入予定軌道傾斜角:約31度
姿勢制御:スピン安定
バスを除く搭載機器:Store and Forwardミッション機器、地球撮像用カメラ
Store and Forwardミッション:地球を周回しながら地上端末から送信されたデータを収集し、地上局の指示でデータを転送する。
地球撮像ミッション:メインカメラ1台とサブカメラ4台を搭載し、初期運用時や地球指向制御が不安定な状態でも地表撮影を可能とする。
衛星開発:東京大学


No.2004 :衛星分離時のプレスルーム ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月4日(金)23時39分 投稿者 柴田孔明

衛星分離と共に拍手が沸き起こりました。


No.2003 :H-IIA F31の打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2016年11月4日(金)23時37分 投稿者 柴田孔明

打ち上げ時、竹崎展望台から撮影