投稿日 2017年6月3日(土)20時52分 投稿者 柴田孔明
H-IIAロケット34号機は2017年6月1日9時17分46秒に種子島宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは順調に飛行し、搭載した準天頂衛星「みちびき2号機」を正常に分離しています。
同日11時頃より、打ち上げ経過記者会見が行われました。
(※一部敬称を省略させていただきます)
・登壇者
内閣府特命担当大臣 鶴保 庸介
文部科学省大臣官房審議官(研究開発局担当) 大山 真未
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 理事長 奥村 直樹
三菱重工業株式会社 執行役員 防衛・宇宙ドメイン長 阿部 直彦
・側面列席者
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 局長 田 修三
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官 守山 宏道
・打ち上げ結果について・阿部
三菱重工業株式会社及び宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成29年6月1日9時17分46秒に、「みちびき2号機」を搭載したH-IIAロケット34号機を予定通り打ち上げました。
ロケットは計画通り飛行し、打ち上げ後28分21秒に「みちびき2号機」を正常に分離した事を確認しました。
ロケット打ち上げ時の天候は曇り、北北西の風2.8 m/s、気温24.2度Cでした。
「みちびき2号機」が軌道上での初期機能確認を無事終了し、所期の目的を成功裏に完遂されることを心より願っております。
本日の打ち上げ成功でH-IIAは通算34機中33機の成功、成功率は97.1%になりました。H-IIBと合わせると通算40機中39機の成功、成功率97.5%です。またH-IIA/B、34機連続の打ち上げ成功です。
天候が心配されましたが、おかげをもちまして無事打ち上げることが出来、大変安堵しています。
引き続き皆様に安定的な打ち上げを提供できるよう、さらに心を引き締め、細心の注意と最大限の努力を傾注して参ります。
今回の打ち上げに際し、多くの方々にご協力ご支援を頂きました。あらためて関係者の皆様に心よりお礼を申し上げるとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
・奥村理事
ただいま三菱重工殿からH-IIA34号機による「みちびき2号機」の打ち上げ成功に係るご報告がございました。今回の打ち上げにあたりまして私どもの役割でございます、打ち上げ安全管理業務も無事達成致しましたことをご報告致します。
毎度のことですが、今回の打ち上げにあたりましても地元の皆様をはじめとして、関係機関のご支援ご協力のもとに成し得たものでございます。本打ち上げに際し、ご支援ご協力をいただきました皆様にあらためて御礼申し上げたいと思います。
今後とも確実な打ち上げ業務に協力できますように誠心誠意取り組んでまいりたいと思います。
なお、将来に向けた次世代の測位衛星高精度システムの研究開発業務を内閣府殿より委託するなど、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える実施機関と位置づけられておりますJAXAも、衛星測位分野の発展に引き続き協力してまいりたいと考えてございます。今後ともご理解ご支援を賜ればと思います。
・鶴保特命担当大臣
我が国のH-IIAロケット34号機による内閣府所管の人工衛星「みちびき2号機」の打ち上げが成功したことに対し、関係者の皆様のこれまでの努力に心より感謝を致したいと思います。
「みちびき2号機」の打ち上げ成功によりまして、準天頂衛星システムの4機体制確立に向けた確実な一歩を踏み出すことができました。
引き続き「みちびき2号機」を所定の軌道に投入の上、軌道上での試験等を着実に実施致しまして、万全な体制で運用を始めたいと考えております。
2018年度からの正式サービス開始に向けて、「みちびき3号機及び4号機」を今年度中に着実に打ち上げると共に、準天頂衛星システムによる各種測位サービスを多くの方が円滑に利用できるよう、引き続き関係者と連携してまいる所存であります。
さらに、宇宙政策全体を担当する立場から、準天頂衛星システムを含む宇宙開発利用の拡大に向けて、引き続き努めてまいりたいと思いますので、関係者の皆様のますますのご協力をよろしくお願いいたします。
・大山審議官
H-IIAロケット34号機の打ち上げが成功し、大変喜ばしく思っております。打ち上げに際しましてご尽力ご支援いただいた関係者の方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今回の打ち上げ成功によりまして、基幹ロケットH-IIA/B・イプシロンとしては36機連続の成功となり、我が国が有するロケット技術の着実な発展と信頼性の向上を示すものと考えております。準天頂衛星は来年度から4機体制で運用し、自動車の自動走行などに活用可能な位置情報サービスが実現されると聞いております。今後も「みちびき2号機」の運用が予定通りに行われますことを期待しております。文部科学省におきましては、基幹ロケットのさらなる安全性信頼性の向上とともに、次期基幹ロケットであるH3ロケットの開発にも着実に取り組んでまいります。
・質疑応答
鹿児島テレビ・日本版GPSと呼ばれるみちびきの打ち上げが続くが、このみちびきが国民にもたらすメリット、どのような未来を描かれているか。
鶴保・4機体制を実現すれば、正確なセンチメートル単位の世界最確度の安定した測位体制が実現するわけですから、これらを使って、さきほど紹介のありました自動運転でありますとか、農業機械の測位を使った運用でありますとか、工業、i-Construction等々のものもありますし、それぞれの分野でそうしたものを使って大きく広がっていくことがまずは考えられる点であると思います。
ただ私共としては今これをやりますと限定的に申し上げるのではなくて、S-NETというものを使って多くの方に集まっていただいてアイディアを募集し、新たなるイノベーションに繋げてゆく努力も並行してさせていただいているところであります。先ほど申し上げましたが、これからが皆さんと一緒に作り上げてゆく、そのスタート台に立ったという認識です。ぜひご協力を賜りたいということであります。大いに可能性を秘めたものであることをお伝え致します。
ニッポン放送・GPS衛星はそもそもアメリカの軍事目的で作られた。昨今の世界情勢の中で、この「みちびき」が安全保障分野での活用はあるのか。
鶴保・宇宙基本計画では安全保障上の有効利用について検討を行うこととされております。その限りにおいては可能性は無いとは言えない。ただ、現状では防衛省及び自衛隊において具体的なことは何も決まってはおりません。総じて申し上げるとこうした科学技術と防衛転用の問題というのは、その時代において、その場面場面において考えていくものではないかと思っています。従いまして、こうした測位衛星のシステムが当たり前になってきた時代にまた議論は変わったものになってゆくので、ぜひ皆さんと一緒にこれを考えていくということです。
日経新聞・今年は行程表上では打ち上げが多いが、その1本目、幸先が良いスタートだが手応えは。
阿部・最初の1号機だが、しかし1機1機が我々にとって大事。特に1号機でどうということはない。本年度について言いますと多数機が比較的平滑化されたインターバルで打ち上げられると伺っておりますので、私どもにとってありがたいと思っております。慌てず焦らず、ひとつひとつ成功を継続して皆様の期待に応えたいと思っております。
奥村・今年度は最多になると思います。こういった計画に対して、実は地上でこの種子島あるいは内之浦での地上における、いかに効率的にやるかという大変地味な仕事を業者の皆さんと一緒に進めてきております。そういう意味で、こういった地味な仕事に徹している諸君にとっては大変大きな力になるのではないかと思います。今年度も力を合わせて行程表のスケジュールを守れるように努力していきたいと、私のみならず職員も思っておりますので頑張ってまいりたいと思います。
産経新聞・みちびき初号機は春までJAXAが運用主体で内閣府にバトンタッチした。2010年に打ち上がってから、いろいろな技術実証的なところも含めて検証されてきた立場だと思いますが、その手応えをどう感じられているか、またどんな所感でバトンタッチされたのか。
奥村・ご指摘の通り、2010年に打ち上げられてからつい最近まで私どもの方で運用を委託しておりまして、無事移管できてほっとしております。この1号機があって2号機以降の活躍の場ができる訳でありますので、そういう意味で日本版GPSみちびきの体制を完成する意味で、この1号機の役割は不可欠でありますので、それを十分機能保全したままお渡しできたことをたいへん誇りに思っております。その間で得た知見を蓄えまして、次世代の4号機以降の研究開発についても内閣府殿から受諾できているのは、私どもの蓄積した知見もご配慮いただいたものではないかと私どもは理解しております。
毎日新聞・「みちびき」は7機体制を目指すが、GPSとの併用でそれなりの精度が出る中で、あえて多額の予算をかけて純国産を進めるメリットは何か。
鶴保・一にも二にも信頼性の確保ということです。安定的にサービスを提供できることを目指すことが我々の立場であります。防災用途のメッセージなど国民のニーズに応えた形を、よりきめ細かく進めていきたいと考えています。米国のGPSに依存しない我が国の測位衛星システムをなんてしても作り上げていきたいと考えております。
毎日新聞・それはアメリカが突如GPSをやめる懸念があると考えているのか。
鶴保・機械の話でもあり、突然何かが起こることは全く可能性として排除できるものではありません。我々としてそれに対応できる体制は大切。基礎的なインフラになってゆく前提として、できるだけ自前のものをもっていくことを考えている。
日経新聞・28回連続打ち上げで感じたことは。
奥村・打ち上げを確実に行うことは必要な条件でございますけど、そのためには毎回毎回多少異なってゆく機体の状況とか環境とかある訳で、いかに確実に連続して打ち上げていくか、私は大変なことだと思っております。そういう意味で一歩一歩、一機一機ではありますけど、この実績は必ずや次のH3に繋がり、また打ち上げサービス事業の将来における国際競争力の確保という面でも貢献するものと思っております。次号期以降大変多数の衛星を打ち上げる予定でありますけれども、一機一機一歩一歩確実に任務を果たしてまいりたいと考えております。
南日本新聞・7機体制を目指す理由として、万が一GPSが使えないときに国産の衛星でまかなえるとのことだが、一方で宇宙基本計画の中ではGPSと連携して日米同盟を強化すると謳われている。そこの整合性について考えをお聞きしたい。
鶴保・もちろん日米同盟に対しての意識の中で7機体制ということではなく、私達としてはあくまで技術的、サービスのインフラとしての安定的供給体制を整えるという意識になります。ただあえて申し上げるならば、日本には様々なサービスのこれから可能性があります。防災のため、あるいはスポーツへの転用、技術力の向上などこうしたことも考え得るそんな時代にあって、そうしたことの技術、そうしたことのサービスがビジネスを生むチャンスが大いにあると考えます。こうしたことの先駆的な取り組みをさせていただくためにも、機動的なお安定的な供給体制が、社会インフラの、基礎的インフラのひとつとして必要になるのではないかと考えます。計画として今年度中にあと2機を打ち上げさせていただき、来年度からはサービスインということで、その中で様々な論点あるいは議論が上がってくると思いますので、そのことに謙虚に耳を傾けながら7機体制を目指すことに尽きるのだと思います。
・H-IIAロケットF34打ち上げ経過記者会見(第二部)
・登壇者
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官 守山 宏道
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門鹿児島宇宙センター長 打上安全管理責任者 藤田 猛
三菱重工業株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙セグメント 技師長 打上執行責任者 二村 幸基
・側面列席者
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 企画官 松本 暁洋
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官補佐 川津 泰彦
・質疑応答
日経新聞・機体移動直前に確認で予定より遅くなったが、どういった事があったのか。
藤田・大型ロケット組立棟(VAB)から出して射点に移動する訳ですが、組立棟の内部で環境モニタの値の確認に時間を要したため、30分程度移動の開始時間をずらした。
(※機体移動は5月31日の18時30分に開始予定だったが、直前に19時00分に変更されていた)
読売新聞・今日の打ち上げ速報で「みちびき2号」の分離が28分21秒だった。飛行計画では分離高度は275キロだったが、これも予定通りか。(※飛行計画では分離は28分20秒)
二村・分離秒時については計画値と1秒程度のずれで、ほぼ計画値でございました。分離高度につきましては、ロケット側で把握している実績値は272キロ。衛星の分離も含めまして軌道要素はいろいろございますが、最終的な評価は衛星側の方からいただくことになっています。
日刊工業新聞・衛星の今後のスケジュールをお聞きしたい。
松本・今日打ち上げられた衛星は二週間かけて軌道遷移してまいりまして、その後1.5ヶ月程度かけて初期の機能チェックを行います。
(※打ち上げ前ブリーフィングで衛星の今後の予定について説明あり)
日刊工業新聞・準天頂軌道で技術的に難しいところは何か。
二村・H-IIAロケットのシーケンスでは、ほぼ通常の静止遷移軌道に入れるシーケンスとほぼ同等でございます。打ち上げ角度もほぼ同じような角度で打ってまいります。最終的には軌道傾斜面を今回の準天頂遷移軌道に近づける最後の動きをいたしますが、打ち上げとしては殆ど実績のある範囲でまかなえると思っています。
産経新聞・みちびきについていろいろな幅広い用途が期待されていて、いろいろ実証が行われてきたと認識しているが、それらはスケールが大きいものだった。より生活に身近な、携帯端末など国民が身近に感じられるアイディアや構想はあるか、またその実現のための課題はあるか。
守山・ご指摘の通り農業や自動運転の世界であったり、物流効率化みたいなところであったり、各省庁・産業界の皆様と数年にわたりやってきている。まず衛星が順次打ち上がって身近に感じる部分というのは、最新のスマートフォンの方で準天頂の信号対応が始まって、カーナビについても始まっていますので、これが完全に揃って24時間信号が確実に高いところから降ってくることになれば、これらのスマートフォンやカーナビの位置情報サービスの精度が上がって効果が出てくるものだと思います。また、さきほど大臣からお話がありましたが、いろんな分野で活用していただくという観点から、これまで宇宙にあまり馴染みのなかったような企業の皆様や民間の取り組みなどとも連携はしていきたいと考えています。さきほどありましたS-NETと呼ばれるようなプラットフォームを立ち上げて、新しいアイディアを発掘して事業化するところまでやっていきたい。関連する話ですけども、今月からS-Booster 2017というものを始めてまして、これはビジネスアイディア募集のコンペティションで、賛同いただけた企業4社の皆様から賞金を出していただいて、こちらの方でいいアイディアがあれば賞金を活用して、実用化に向けた取り組みができないかというものを始めています。そういった事業者様の取り組みに大変期待している。繰り返しになりますが、位置精度が上がっていくことで、今までできなかった消費者様に物をお届けするなどそういったところで、数年前から事業者様と意見交換をしてきたが、もうちょっとサービスが始まることで抜本的に取り組みの推進を強化していきたいと考えている。
課題面は、やはり受信機とか受信システムのところと、具体的サービスのところで、その産業で使っている機械が正確な位置情報を使ってサービスに対応できる、アプリケーションの部分で高まってきますので、我々の課題は受信機とか受信システムで小型化かつコストを安くといったところでありますし、今ホットなもので言えばIoTという取り組みをフルに活用していくこと、アプリケーションを一緒に開発して、そういったものはユーザー目線が大事なので、そういった企業様としっかり連携してゆくことが課題であり今取り組み始めているところであります。
産経新聞・今のスマートフォンやカーナビの対応は、ビルの谷間などでのGPS補完のことか。
守山・その通りです。
南日本新聞・受信機の安価・小型化はセンチメートル級の補強の話か。
守山・センチメートル級とメートル級について引き続きやってゆく余地がある。
南日本新聞・測位サービスの海外展開の展望で、数センチ規模は世界的にレベルが高い。アジア・オセアニアへの展開も考えていると理解しているが、経済効果が2020年時で2兆円を見込むなど具体的な数字があるということは具体的な展望があるのか。
守山・準天頂衛星を核とする海外展開でございますけども、地上直下軌道が8の字を描くということで、アジア太平洋、東南アジア、オセアニア、豪州までしっかりカバーができているということで、日本で企業の皆様とアプリケーションを開発し、国際的に見ても競争力の強化が望まれている農業分野であったり建設の分野であったり物流の部分であったり等々、こういったところをアジア太平洋の中でもニーズが高まっていますので、これを準天頂システムを核として実現化をしてゆくことを目指しています。その観点で、2020年で2兆円強という数字は、もともと経済産業省さんが国ごとに、セクターごとに、どういった新サービスが出て市場規模がどれくらい出るのかというものを内外で計算したものを私どもの方で一昨年だったかに見直しを行ったという事であります。基本的な考え方は準天頂衛星システムの高精度のサービスに関連して、そういった産業関係や個人消費向けを含めてアジア太平洋地域に展開をしてゆくことを考えています。いろいろ先駆け的な動きがありますが、国ごとにこういった事について取り組みたいという関心が寄せられていて、次のステップに進めそうだという事もあります。具体的にはシンガポールにおいて三菱重工さんが次世代のゲートを使わない課金システムを受託し、それは準天頂衛星システムをかませることが前提になっているなど、そういった動きが出て来ています。私どもはアジア太平洋地域の発展という観点からも、しっかり手を携えて、皆様の協力をいただきながら進めていきたいと考えています。
南日本新聞・ロケットの打ち上げで6月は初めてと聞いており、氷結層など天候が不安定、この時期の難しさと、それを乗り越え成功した手応えと自信など。
二村・6月の打ち上げは私個人が把握している範囲では初めてであったと思っています。正確には後ほど広報からお答えさせていただきます。特に今回に限っても、打ち上げの直前期までは比較的安定した晴天が広がっていたのですが、6月1日を挟んでの天候が非常に不安定になった。気象データとしては非常に適切なものをJAXAさんの方から提供いただいて、それを見て我々が判断させていただいてますけれど、データが更新される度に、その差分が非常に大きい。つまり、予報も非常に不安定であった。この6月1日を最終的に打ち上げができるかどうか非常に悩ましかったのが正直なところでございます。しかしながら気象のデータも含めて傾向、予報のずれの傾向も含めて我々は見ておりまして、最終的に予定通りのこの日を選択して正解であったと私は思っております。こういった難しい時期に、しかも比較的チャンスが少ない気象の中でも確実に打ち上げることができたというのは、JAXAさんの安全管理と設備といったものの通常のメンテナンス、それから我々の機体の整備、それから打ち上げに向けた準備といったものが、打ち上げるチャンスが少なくても確実に打ち上げる準備を整えることができるようになったことを感じておりました。これからも仮に非常に限られたチャンスの中で打ち上げるにしても、確実な準備を、これまでに行ってきたことをさらに改善しながらでも手を入れながら、お客様のご要望される日に打ち上げられるように引き続き努力していきたいと思っています。
(※5月中旬から後半なら実績あり)
・「みちびき」システム無しのGPS誤差はどれくらいか。
守山・私どもが収集した情報によれば、GPSオンリーでは約10メートルの誤差だと承知しています。
・6センチ程度の精度が安定的に出せるとの話だったが、スケールからすると何桁の精度が上がることが、単純に日本上空に衛星が展開するだけで実現できるのか。
守山・センチメートルの精度は国土地理院さんが設置している電子基準点網とセットで実現するようになっています。1メートル級のサービスがもう一本独立してありますけども、これも方法としては同じ考え方で、基準点を設置して実現することになっています。今の質問は上空1機の準天頂衛星と10メートル誤差のGPS衛星の組み合わせでどうしてセンチメートルの誤差になるのかという意味だと思いますが、補強する信号を準天頂衛星から高いところから正確確実に降らせることを仕組んでいます。それを受けた受信機側がちゃんと対応していると、センチメートル級であったり1メートル級の精度が実現する。そのとき引用されている準天頂衛星とGPS衛星は同じ信号にしている。それぞれの基本信号を活用してどういった誤差があるか電子基準点を使って解析をして、その情報を補強信号として確実に入れることで誤差の補強を実現する、そういった仕掛けになっています。
読売新聞・初号機から7年ぶりの2号機の打ち上げで、この7年という時間はどう見ているか。そもそも予定だったのか、何らかの変更があったのか。
守山・衛星を作るのに5年かかっている。奥村理事からもありましたが、いろいろ実証でどう成果が出るか、それをどう評価し、どう実用化に持って行くかの検討もなされていた。加えまして鶴保大臣の言葉を引用させていただくと、利活用の幅がいろんな産業に広がっていくことが想定された中で、どういった体制で衛星システムを開発して運用していくのか、アプリケーションとしての利活用の展開もやっていくのか、そういった検討が同時並行でなされた時間も必要で、そういった事を着実に積み重ねていった結果として2017年6月1日に2号機が上がったと理解しています。
以上です。
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