宇宙作家クラブ
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No.232 :LE-7Aエンジン領収試験でトラブル発見
投稿日 2000年11月1日(水)01時10分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)が10月18日に種子島宇宙センターで行ったH-2Aロケットの第1段用LE-7Aロケット・エンジンの領収燃焼試験の後の通常点検で、液体酸素ターボポンプのメッキ剥がれ及び液体酸素タンク加圧配管の漏洩のトラブルが発見された。現在原因は究明中であるが、対策と試験が遅れるようだと、来年の2月に予定されているH-2A 1号機の打ち上げも延期される可能性がある。
H-IIAロケット試験機1号機LE-7Aエンジン領収燃焼試験の状況について
LE-7A燃焼試験履歴
10月18日の試験概要
 この領収試験は、来年2月に飛行するH-2A 1号機に実際に搭載される予定のLE-7Aエンジンを、地上であらかじめ試験して性能を確認するためのものである。10月18日の試験はこのエンジンの3回目で、120秒間燃焼させた。このエンジンは10月10日と14日にも試験されているが、10日の最初の試験では50秒間燃焼の予定が水素ターボポンプの回転不足で21秒で早期停止している。

 国際宇宙ステーション(ISS)第一次常駐クルー/フライト2R関連。
FLORIDA TODAYのミッション速報
NASA発表
国際宇宙ステーションに長期滞在する第1次搭乗員(国際宇宙ステーション組立ミッション(2R))の打上げについて
エネルギヤ社のプレス・リリース
SpaceRef.comのISSユーザー・ガイド
ISSの現在位置(MSFC)
Expedition Oneプレスキット(pdf)

No.231 :宇宙ステーション常駐時代へ出発 ●添付画像ファイル
投稿日 2000年10月31日(火)16時50分 投稿者 江藤 巌

 ロシア人二人、アメリカ人一人からなる国際宇宙ステーション(ISS)第一次常駐乗員を載せたロシアのソユースTM-31は、計画通りの0752GMTにカザフスタンのバイコヌール・コスモドロームから離昇した。ソユースTM-31が飛び立った発射台は、四十年近くも前にユーリー・A・ガガーリンが人類史上最初の宇宙飛行に出発したのと同じ発射台である。
 ソユースTM-31は11月2日にISSとドッキングし、三人が乗り移って約4カ月にわたる第一次滞在ミッションを開始することになっている。現在ISSにはプログレス無人補給船がドッキングしているが、1日にはISSから離脱する指令を送って、TM-31のためにドッキング装置を空けることになっている。ソユースTM-31のミッションは、ISSのフライト2Rにあたる。
YAHOO! News
フライト2Rミッション概要


 右はISSフライト2Rのミッション・パッチで、ロシア語の名前は左がギジェンコ(Gidzenko)、右がクリカリョフ(Krikalyov)。




No.229 :NASAが今後20年間の火星探査構想発表と白い火星仮説
投稿日 2000年10月31日(火)10時52分 投稿者 江藤 巌

 失敗続きで根本的な見直しを迫られていたNASA(米航空宇宙局)の火星無人探査計画だが、このほど今後20年間の新しい探査スケジュールが公表された。NASAのプレス・リリース
 それによると、まず2001年にマーズ・オービター(Mars Orbiter)が打ち上げられ、また2003年には2機の無人火星車(Mars Exploration Rovers)が火星の表面に着陸して探査することになっている。
 これら二つの計画はすでに承認済みで進行中だが、新たな計画として2005年に火星偵察周回機(Mars Reconnaissance Orbiter)が送り込まれることになった。 MROは火星軌道を周回しながら、20〜30cmの地上解像力で火星の地形を撮影する。さらに2007年には、火星表面に高度の機能を持った移動無人研究所が送り込まれる予定である。
 これとは別に計画サイクルの短い小型の斥候(scout)ミッションが、2007年以降いくつも火星に送り込まれる計画である。
 2010年代にもオービター、ランダー、ローヴァーが計画され、惑星科学者の長年の夢だった火星表面のサンプルの地球への持ち帰りも計画されている。現在の計画では、最初のサンプル・リターン・ミッションは2014年に打ち上げられ、2016年には2号機が続くが、最初のミッションが2011年まで早められる可能性もある。
 今後5年間にこれらの計画に投じられる予算は、総額4億ドルから4億5000万ドルと見積もられている。

 ところで、火星表面にかつて大量の水が流れた痕跡があると言うのは多くの惑星科学者の信じるところだが、この通説に反対するユニークな理論がSpaceDailyに紹介されている。
 詳しくは記事を読んでいただきたいが、この説のポイントは火星の地下には大量の固体化した二酸化炭素(つまりドライアイス)が存在する可能性である。この二酸化炭素は気化して火山のように一気に地表に噴出することがあり、その際に生じる冷たい火砕流が、火星表面にあたかも水の流れた跡のような地形を刻んだということである。
 この「白い火星」(White Mars)仮説について詳しく知りたい人は、提唱者のニック・ホフマン博士のサイトを御覧になると良い。 

No.227 :宇宙ステーション常駐クル-31日に出発
投稿日 2000年10月31日(火)02時09分 投稿者 江藤 巌

 カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、モスクワ時間10月31日午前10時53分(日本時間10月31日午後4時53分)に、ロシア人二人アメリカ人一人からなる国際宇宙ステーション(International Space Station)の第一次常駐乗員(Expedition One crew)が飛び立つ。この飛行はISSフライト2Rとも呼ばれる。
 ソユースTM-31に乗ったユーリー・P・ギジェンコ(露)、ウィリアム・M・シェパード(米)、セルゲイ・K・クリカリョフ(露)の三人は、11月2日にISSとドッキングして乗り移り、来年の2月末までISSに滞在する予定である。彼等と交代に第二次の常駐乗員が送り込まれるので、今年の11月以降は地球を回る軌道には常に人類が周回していることになる。
宇宙開発事業団(NASDA)のISSホームページ
ISSフライト2R
フライト2Rミッション概要
第一次滞在クルー
NASDA発表文

 ここでISSの最初の常駐者3名を簡単に紹介しておこう。
常駐乗員の指揮官(Expedition Commander)に任命されているウィリアム・マクマイクル・シェパード海軍大佐は、1949年7月生まれの49歳。米海軍兵学校(アナポリス)卒業後海軍に入り、ダイバーとしてSEAL(海軍特殊部隊)に参加していた。1984年にNASAの宇宙飛行士候補に選抜、その1年後に正式に宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)に昇格した。1988年12月にSTS-27で初飛行、1990年10月にSTS-41、1992年10月にSTS-52で飛行した。合計した宇宙滞在時間は18日になる。
 ソユースTM-31の船長(Soyuz Commander)を務めるユーリー・パヴロヴィッチ・ギジェンコ空軍中佐は、3人の乗員の中で一番若く、経験も少ない。1962年3月生れの38歳。ハリコフ軍航空学校を出て空軍のパイロットとなり、1987年から宇宙飛行士の訓練を受けた。1995年の9月から翌年の2月まで、ユーロミール95共同飛行(ソユースTM-21)でミール宇宙ステーションに滞在した。宇宙滞在時間は179日になる。
 フライト・エンジニアのセルゲイ・コンスタンチノヴィッチ・クリカリョフ技師は、今回が5回の宇宙飛行になる現役宇宙飛行士の中でももっとも経験豊かな一人であろう。1958年8月生まれの42歳で、レニングラート工学大学卒業後宇宙技術者としてエネルギヤ公団(NPO)に入り、宇宙ステーション計画に参加した後、1985年に自らも宇宙飛行士に選ばれた。最初の飛行のソユースTM-71988年11月から1989年4月までミールに滞在、次の1991年5月のソユースTM-12でもミールに乗り込んだが、宇宙滞在中に母国ソヴィエト連邦が崩壊、混乱の中で迎えのソユースを打ち上げる資金を当局が捻出できず、彼の帰還は1992年3月まで延びた。1994年2月には初の米露共同スペースシャトル飛行の乗員としてSTS-60に搭乗、ロボット・アームの操作も行った。1998年12月には最初のISS組立ミッションとなるSTS-88にMSとして乗り込み、ユニティ・ノードをザリャー・モジュールにドッキングさせた。これまでの4回の宇宙飛行(そのうち2回がNASAのシャトル搭乗)で、宇宙滞在時間は合計して1年と約4カ月にもなる。
 万一この3人に支障が生じた場合のバックアップ乗員としては、アメリカのK・D・バウアーソックス、ロシアのV・デジュロフ、同じくミハイル・チューリンの3人が指名されている。この3人は第三次常駐乗員を構成し、順当なら年月にISSフライト7A.1として飛行する予定である。

No.226 :ミールは廃棄?運用継続?
投稿日 2000年10月26日(木)00時25分 投稿者 江藤 巌

 内外に2001年2月でミール廃棄の方針決定と伝えられたロシアのクレバノフ副首相の発言だが、ミールの商業運用を目的にオランダに設立されたミール社ではそのようには解釈してはいない。
ミール社のプレス・リリース
 同社によれば、クレバノフ発言は後段で資金の目途が立てばミールの運用を継続することも有り得ると述べており、これはミール社の活動を公式にも認めたものである。
同社としては、今年の末に予定している株式公開で資金を集めて、ミールの運用を来年2月以降も続けたい意向である。
ミール社が募集した市民宇宙旅行者(Citizen Explorer)の第一号であるアメリカの実業家デニス・ティトー氏(60歳)は、来年に控えたミール乗り組みに備えて訓練の最終段階にある。
ミールには現在プログレスM-43無人補給船がドッキング中で、プログレスの推進システムを使って軌道を押し上げ、ミールの軌道寿命を延ばすことになる。
 ミール社の思惑とは別に、仮にロシア政府がミールを2001年2月を以て廃棄するとしても、そのための費用をどこが負担するかが問題になる。現在のミールの運用はミール社の提供する資金と、エネルギヤ社の自己負担で賄われているが、これらの企業がミールの廃棄のための資金を出すとは思えない。しかしいまのロシア政府が、ミール廃棄に必要な6億ルーブル(2000万ドル)を捻り出すことはかなり難しいと言わなければならない。

 「ドラゴンフライ」と言えば、ミールでの宇宙生活の裏話を描いたノンフィクションだが、そのミールで「ファイアフライ」(Firefly)と名付けたユニークな実験を行う計画が進んでいる。これは国際非政府宇宙開発財団FINDS(The Foundation for the International Non-governmental Development of Space)と言う団体が構想しているもので、宇宙ステーションから伸ばしたワイアに電流を流すことにより、推進力を生じさせようというものである。

 衛星軌道にウェブサーバーを置く計画が進行中

宇宙開発事業団(NASDA)発表
 若田宇宙飛行士搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-92/国際宇宙ステーション組立ミッション(3A))の着陸について
 理事長談話
 

No.225 :ディスカヴァリーようやく帰還 100回目のミッション終了
投稿日 2000年10月25日(水)09時57分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#28
FLORIDA TODAYの着陸速報

 スペースシャトル・ディスカヴァリーは、24日1559CDT(25日0559JST)に、カリフォーニア州エドワーズ空軍基地(AFB)の22滑走路に着陸した。STS-92の飛行時間は、予定より約2日間延長されて、12日と21時間43分となった。ダフィ(CDR)、メルロイ(PLT)、チャオ、マッカーサー、ワイソフ、ロペス=アレグリア、若田の7人の宇宙飛行士は元気で、着陸後に短い記者会見に応じた。

 スペースシャトルの100回目のミッションは、国際宇宙ステーション(ISS)の組立という当初の目的に関しては完璧な成功を収め、ISSにZ1トラスとPMA-3と言う新しいコンポーネントを付け加え、11月初めからの最初の恒久的滞在に道を拓いた。
 しかし同時に、打ち上げはメカニカルなもんだいなどで3回にわたって延期され、また着陸も天候を理由に2回も延期されるなど、スペースシャトルの運航の定時性に疑問を投げかける皮肉な記念飛行ともなった。
 スペースシャトル・オービターがケネディ宇宙センターではなくエドワーズAFBに着陸するのは、1996年3月のSTS-76以来のことである。

No.224 :再びエドワーズ着陸を目指す
投稿日 2000年10月25日(水)02時37分 投稿者 江藤 巌

 ミッション管制センター(MCC)は、先ほどディスカヴァリーに対して、ペイロード・ベイ・ドアを閉じて再突入の準備に入るよう指示した。
ディスカヴァリーはケネディ宇宙センターへの着陸を諦め、エドワーズ空軍基地(AFB)に降りる予定で、202周目の24日1454CDT(25日0454JST)にデオービットし、1549CDT(0549JST)にエドワーズAFBの22番滑走路に着陸する。
202周目の再突入経路
202周目の進入
202周目の着陸
 もしこのチャンスを逃しても、203周目の1631CDT(0631JST)にデオービットし、1735CDT(0735JST)にエドワーズに着陸することが出来る。
203周目の再突入経路
203周目の進入
203周目の着陸
 エドワーズAFBの天候は良好である。KSCでは雲が厚くときおり雨が降っている。
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#27

No.223 :NASDA五代副理事長退任・衛星設計コンテスト
投稿日 2000年10月24日(火)18時02分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)の五代富文副理事長(68歳)が、10月24日付で退任することになった。
五代氏は東京大工学部航空学科卒、民間企業を経て1982年にNASDA入り、1988年に理事、1996年からは副理事長を務めていた。この間一貫してロケット開発に携わり、H-2ロケットの生みの親とも呼ばれる。昨年内田勇夫理事長が辞任した際には、後任の理事長が決まるまで理事長代行を務めた。
後任の副理事長には石井敏弘理事が昇格、またH-2Aの打ち上げ責任者には柴藤羊二理事が就任する。
YAHOO NEWS(毎日)
NASDAの体制

 10月22日に第8回衛星設計コンテストの最終審査会が東京都立航空工業高等専門学校で開催されて、全国の理工系学生からの19点の応募作の中から、設計大賞、アイデア大賞などの作品が決定した。
設計大賞には「JetGun Sat突風[toppu]」東京工業大学大学院理工学研究科宇井恭一他5名が、アイデア大賞には「The TAKO (Target Collaborativize) −Flyer(ターゲットを協力化させる衛星回収システム)」東北大学工学部中西洋喜他3名が選ばれた。
第8回衛星設計コンテスト最終審査会の結果について

衛星設計コンテストHP
 主催: 日本機械学会 日本航空宇宙学会
     電子情報通信学会 宇宙科学研究所
     宇宙開発事業団  日本宇宙フォーラム
 共催: 読売新聞社
 後援: 文部省 郵政省 科学技術庁
 協力: 小型衛星研究会

No.222 :ディスカヴァリー二日連続で着陸延期
投稿日 2000年10月24日(火)09時50分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#26

 NASAはディスカヴァリーの帰還を、二日続けて延期した。24日午後(日本時間25日明け方)に三度目の帰還の試みを行う。スペースシャトル100回目のミッションは、打ち上げも帰還も予定通りとは行かないようである。
 ディスカヴァリーは23日午後にも帰還のための準備に入ったが、東海岸ののケネディ宇宙センター(KSC)では横風が強く着陸は不可能だった。また第2着陸場に指定されている西海岸のエドワーズ空軍基地(AFB)も、雲が厚く雨まで降り始めて、着陸時の気象条件を満たさないようになった。このためミッション管制センター(MCC)は、23日1627CDT(日本時間24日0627JST)に着陸延期の決定を下した。
 24日には着陸のチャンスはKSCに2回、エドワーズAFBにも2回あるが、KSCの天候は相変わらず不良で、KSCへの着陸はまずないと思われる。
KSCへの最初の着陸は200周目の1252CDT(25日0252JST)、2回目は201周目の1428CDT(0428JST)になる。
エドワーズAFBへの着陸は、最初の機会が202周目の1454CDT(0454JST)にデオービットして、1539CDT(0539JST)に着陸、2番目の機会は203周目の1631CDT(0631JST)にデオービットして、1735CDT(0735JST)に着陸となる。
ディスカヴァリーの宇宙飛行士は、23日2100CDT(24日1100JST)に就寝して、24日0517CDT(1917JST)に起床する予定である。
宇宙開発事業団(NASDA)の発表

No.221 :エドワーズへの着陸1周延期
投稿日 2000年10月24日(火)02時02分 投稿者 江藤 巌

 NASAはディスカヴァリーを186周目にケネディ宇宙センター(KSC)とエドワーズ空軍基地(AFB)のどちらにも着陸させず、次の周回に再度エドワーズAFBへの帰還を試みることにした。
これはエドワーズAFB上空に低い雲が垂れ込めているためだが、カリフォーニアの気象条件は今後改善する見込みがある。
しかしKSCでは相変わらず強い風が吹いており、KSCへの着陸は可能性がきわめて低い。
187周目にエドワーズAFBに着陸を試みる場合には、デオービットは23日1551CDT(24日0551JST)、着陸は1658CDT(0658JST)となる。
これを逃しても、188周目の1729CDT(0729JST)にデオービットして、1835CDT(0835JST)にエドワーズに着陸するチャンスはある。
帰還時の飛行経路
ディスカヴァリーの現在位置

No.219 :ディスカヴァリーはエドワーズ着陸へ 他
投稿日 2000年10月24日(火)01時23分 投稿者 江藤 巌


 NASAでは強風のためケネディ宇宙センター(KSC)へのディスカヴァリーの着陸を諦め、23日1523CDT(24日0523JST)にカリフォーニア州のエドワーズ空軍基地に着陸させることを決断した。KSCの滑走路への横風は24ノット(12.3m/s)を超えている。
再突入/着陸計画
経路
 ディスカヴァリーは、北緯1度東経62度の西インド洋上空で1415CDT(0415JST)にデオービット噴射を行う。大気圏突入インターフェイス(高度121.9km通過)は1455CDT(0455JST)、速度が音速以下に落ちるのは1519CDT(0519JST)となる。
ディスカヴァリーは太平洋を減速しながら飛び越えて南南東からエドワーズに迫り、旋回してから滑走路04に進入する。この亜音速で行われる旋回はHAC(Heading Alignment Cylinder)と呼ばれ、オービターの最終的な速度と高度(エネルギー)の調整を行うためのものである。

 アメリカのビール・エアロスペース・テクノロジーズ社は、10月23日を以て一切の企業活動を停止することを発表した
 ビール社は、実業家のアンドルー・ビールが民間資本による衛星打ち上げ機開発を掲げて1997年に設立したベンチャー企業で、過酸化水素を酸化剤、ケロシンを燃料とするロケットのBA-2の開発を行っていた。BA-2は2002年の打ち上げを目指していた。
BA-2は三段式で、高さは72m、最大径は6.2mある。各段の推進剤タンクはフィラメント巻き付け式の複合材料で造られ、推進剤はヘリウムの圧力でロケット・エンジンに送られる。
同社は今年3月には、BA-2の第2段用のBA-810ロケット・エンジンの地上燃焼試験にも成功していた。BA-810の推力は367tで、テキサス州の同社の試験施設で21秒間燃焼した。

 ロシア連邦のクレバノフ副首相は、ミール宇宙ステーションを2001年の2月限りで放棄するロシア政府の方針を表明した。クレバノフ副首相は、具体的なミールの投棄方法の検討を指示したことまで明らかにしたが、ミールを運用しているエネルギヤ社や、ミールの商業運用を掲げているミール社(オランダ法人)などの利害関係者の中には、このロシア政府の方針に納得しないものもありそうだ。ミールの命運が決したと見るのはまだ時期尚早であろう。

SPACE DAILYの記事
FLORIDA TODAYの記事

No.218 :ディスカヴァリーはエドワーズに着陸か
投稿日 2000年10月23日(月)13時05分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#24
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#23

 ケネディ宇宙センター(KSC)の滑走路の横風のため帰還を1日延期したディスカヴァリー(STS-92)だが、KSC周辺には相変わらず強い風が吹いており、着陸が予定されている23日午後(日本時間24日深夜)にも天候の改善は見込めない。このためNASAでは、ディスカヴァリーを第二着陸場であるカリフォーニア州のエドワーズ空軍基地(AFB)に着陸させることを検討している。
 23日の帰還のチャンスはKSCには2回、エドワーズAFBには3回ある。
まず1243CDT(24日0243JST)にデオービット(軌道離脱)の逆噴射を行った場合には、KSCに1351CDT(0351JST)に着陸する。
その1周後の1415CDT(0415JST)にデオービットした場合、エドワーズAFBに1523CDT(0523JST)に着陸できる。
この機会をパスしても、同じ周の1421CDT(0521JST)にデオービットすると、KSCには1528CDT(0628JST)に帰着する。
またその次の周の1531CDT(0631JST)にデオービットして、1658CDT(0758JST)にエドワーズに着陸することも出来る。
23日の最後の帰還のデオービットのチャンスは1729CDT(0729JST)で、エドワーズに1835CDT(0835JST)に帰着する。
ディスカヴァリーの再突入経路
 天候などが理由でこれらの機会を逃すと、帰還はさらに1日間延期されることになる。
KSCの天候はこれから2,3日も思わしくなく、エドワーズ周辺の天候も今後悪化が予想されるため、NASAではKSCへの着陸が無理な場合には、23日中にエドワーズにディスカヴァリーを降ろすことになろう。
 エドワーズAFBにオービターが着陸した場合には、ボーイング747ジャンボジェット改造機の背中に載せて、アメリカ大陸を横断してKSCまで輸送することになる。そのための経費は100万ドルで、2週間の余分な時間が掛かってしまう。このためオービターをエドワーズに降ろすのは、実用飛行が始まってからはよほどせっぱ詰まった時だけである。
 推進機関を持たないオービターの着陸は、やり直しの効かない文字通りの一回勝負であり、横風などの外乱を極端に避けねばならない。そのため滑走路の横風成分が15ノット(7.7m/s)を超えると予想される際には、デオービットを中止して再突入を延期することになる。NASAではこれをwaveoffと呼んでいるが、もともとは航空母艦(空母)に着艦進入してきた艦上機が、着艦条件が合わずに上昇して着艦をやり直すことを指す。
宇宙開発事業団(NASDA)着陸予定日時の延期について

No.217 :ディスカヴァリー着陸延期
投稿日 2000年10月23日(月)01時45分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・ディスカヴァリーの着陸は、ケネディ宇宙センター(KSC)の天候不良を理由に、23日午後(日本時間24日深夜)に延期された。「
 NASAでは、23日にもKSCの天候が思わしくない場合には、カリフォーニア州のエドワーズ空軍基地(AFB)にも着陸を試みることに決定した。これは23日にはKSC周辺の天候の一層の悪化が予想されるためである。23日には着陸のチャンスは5回ある。
KSCには1351CDT(24日0351JST)、1526CDT(0526JST)。
エドワーズAFBには1322CDT(0522JST)、1700CDT(0700JST)、1834CDT(0834JST)。
 エドワーズにオービターが着陸した場合、打ち上げ場所のKSCまでの移送に約100万ドルの費用と多大な手間が掛かるので、NASAとしては飛行期間を延長しても可能な限りはKSCに降ろしたいところである。
FLORIDA TODAYのミッション速報
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#22

No.216 :ディスカヴァリー着陸は延期の公算大
投稿日 2000年10月23日(月)01時10分 投稿者 江藤 巌

 日本時間で23日の夜中3時過ぎに予定されているディスカヴァリーの着陸は、ケネディ宇宙センター(KSC)の天候を理由に、24日深夜まで延期されそうである。
 STS-92の乗員達は、22日0517CDT(1917JST)に起床して、着陸の準備に入った。169周目での軌道離脱に備えて、すでにディスカヴァリーのコンピューターには再突入と着陸用プログラムのOPS3が裏ロードされ、ペイロード・ベイのドアを閉じる指示も与えられている。
 問題はKCSの天候で、東のよう上の高気圧からの風が滑走路に横向きに吹きつけ、横風は17〜18ノットに達している。規定では横風が15ノット以上の時には、着陸は行わないことになっている。
着陸の最終的な決断は、宇宙飛行士室長のチャールズ・プリコート宇宙飛行士自らシャトル訓練機(STA)に乗ってKSCの滑走路に着陸を試みたあとになり、1220CDT(0220JST)にはディスカヴァリーに軌道離脱ゴー(実施)かノー・ゴー(中止)の決断が伝えられることになっている。

No.215 :プログレス無人補給船がミールとドッキング、相次いで通信衛星打ち上げ
投稿日 2000年10月22日(日)21時52分 投稿者 江藤 巌

 ロシアが16日に打ち上げたプログレスM43無人補給船が、21日にミール宇宙ステーションと無人でドッキングした。
プログレスM43は、ミールの軌道を押し上げるための推進剤を供給する。
これまでのプログレスとミールのドッキングは、プログレス打ち上げから2日後に行われていた。今回ドッキングまでに時間を掛けたのは、プログレスの推進剤の消耗を出来る限り少なくしてミールに移送出来る推進剤の量を少しでも増やすためで、ミールの軌道寿命延長に対するロシアの執念が窺える。

 アメリカ・ロシア合弁のILS(International Launch Services)社は、グリニッジ時間(GMT)21日1400(日本時間22日0400)にカザフスタン共和国のバイコヌール基地から、プロトンKでGEアメリコム社の静止放送衛星GE-6を打ち上げた。
FLORIDA TODAYの打ち上げリポート

 シー・ローンチ社は21日0552GMT(1452JST)に、南太平洋上のプラットフォームからロシア/ウクライナ製のゼニート3SLを打ち上げて、アラブ首長国連邦の通信衛星トゥラヤ(Thuraya)を静止遷移軌道に載せた。
トゥラヤ社の発表
シー・ローンチ社の発表
FLORIDA TODAYの打ち上げリポート