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No.2474 :イプシロンロケット6号機打上げ失敗原因調査状況
投稿日 2022年10月23日(日)18時15分 投稿者 柴田孔明

 2022年10月18日に開催された文部科学省調査・安全小委員会・イプシロン6号機打上げに関する第2回会合と、その後に行われた報道向けフォローアップブリーフィングです。
 文部科学省開催の会合は前半の公開部分のみで、後半の非公開部分は含まれていません。

・イプシロンロケット6号機打上げ失敗原因調査状況(資料より抜粋)
 ※今回の報告はフライトデータ(事実)に基づく原因究明で、製造・検査に基づく原因究明は実施中だが報告に含まれていない。

 ・概要
  ・2022年10月12日9時50分43秒(日本標準時)に、イプシロンロケット6号機打上げ。
  ・2/3段分離可否判断の時点で目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に投入できないと判断し、9時57分11秒にロケットに指令破壊信号を送出し、打上げに失敗。
  ・現在、山川理事長を長とする対策本部を設置し、原因究明を進めている。

 ・飛行状況
  ・イプシロンロケット6号機の打上げ後、1段モータ燃焼、フェアリング分離、1/2段分離、2段モータ燃焼は正常であり、飛行経路はノミナル経路に対して正常範囲内にあった。
  ・2/3段分離可否判断(※1)の時点で目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に投入できないと判断し、リフトオフから388秒後に飛行中断に至った。
   (※1):イプシロンロケットの第3段燃焼中はスピンにより機体姿勢の安定を確保している。そのため、2/3段分離前に第3段が軌道投入可能かどうかの判定(2/3段分離可否判断)を行っている。非であれば飛行を止め、可であれば飛行を継続する。

  ・態発生後、速やかに関係省庁等へ飛行中断の連絡を行うとともに、指令破壊による破片の落下予測域を航空局・海上保安庁に通報し安全の確保に努めた。航空局及び海上保安庁では電子的な警報手段により国際的な周知を図っており、同警報が発信されていたことは航空局及び海上保安庁に確認済。なお、指令破壊後の破片は、予め計画された第2段落下予想区域内に落下したと解析している。

 ・機体状況
  ・1段モータ燃焼中のTVC制御およびSMSJによる姿勢制御は正常に行われ、2段モータ燃焼中のTVC制御も正常。2段燃焼終了後、RCSによる制御のみになった際に3軸全ての姿勢角誤差がRCS制御終了まで拡大し続けた。
  ・2系統あるRCSの1系統(+Y側)の下流配管圧力がタンク圧力まで上昇せず、RCSとして機能しなかった。

 ・RCS制御終了/スピンモータ点火時点(リフトオフ後370秒)で目標姿勢とのずれ量は約21度であった。その後スピンモータは計画通り正常に燃焼し、前述の目標姿勢とのずれ量は維持されたままスピン安定姿勢となった。
 ※初号機から5号機までのずれ量は0.1〜0.5度という実績がある。

 ・2段RCS系統概略
  ・射場では安全確保のために推進薬をパイロ弁(推薬遮断弁)で遮断しており、打ち上げ後151.5秒後に誘導制御計算機からの信号(点火信号系統は冗長構成)でパイロ弁を開にしてスラスタ直近まで推進薬を送り、スラスタを開閉することで姿勢を制御する。
  ・誘導制御計算機からの信号により推薬弁を開閉させ、触媒反応による燃焼により推力を発生させる。

  ・2段RCS圧力データ
  ・本来であれば、X+151.5秒、X+152.5秒に送出されたパイロ弁点火信号のどちらかの信号によりパイロ弁が開動作し、タンク側からパイロ弁下流配管にヒドラジンが流入することにより、下流配管圧力がタンク圧力まで上昇するのが正しい動作となる。
  ・6号機では、2つのRCSの内、片方の-Y軸側は上記圧力挙動を示しているが、もう片方の+Y軸側はPSDB2からのパイロ弁点火信号送出後も下流配管圧力がタンク圧力まで上昇していない。つまりスラスタまで推進薬が供給されていない。

 ・2段燃焼終了後姿勢異常に対してFTA(Fault Tree Analysis)を実施し、飛行中に取得したフライトデータのみに基づいて要因の絞り込みを行った。
  結果として、2段RCSの片方が機能していない(片方の+Y軸側の下流配管圧力がタンク圧力まで上昇してない)ことが原因であると特定した。

 ・+Y側モジュールの下流配管圧力がPSDBからのパイロ弁点火信号送出後もタンク圧力まで上昇していない事象についてFTAを展開し、フライトデータに基づき、「PSDBスイッチ下流〜パイロ弁までの系統異常」、「パイロ弁の開動作不良」、「推進薬供給配管の閉塞」の3要因に絞り込んだ。

 ・パイロ弁点火信号系統
  ・PSDB2A/2Bの点火コマンドがONになっているため、OBC〜PSDB2A/2Bの点火指令系統は正しく作動した。
  ・-Y軸の下流配管圧力がタンク圧力まで上昇したことから、PSDB2A〜-Y軸パイロ弁の系統は正しく作動した。
  ・上記以外の系統の作動はフライトデータ上は判別できない。

 ・パイロ弁の概要
・パイロ弁は、飛行前は推進薬を遮断し、飛行中に火工品(イニシエータ 、ブースター)の点火により流路を開通させるバルブ。
  ・イニシエータは冗長構成であり 、2つのうち1つが点火すれば流路は開通する。
  ・パイロ弁の動作原理
    1.イニシエータに点火(時差で2つ点火)。
    2.ブースターに点火(ここから1つ)。
    3.ラムを下方へ押し出す。
    4.配管の仕切り板をラムが打ちぬく。
    5.流路が開通する。

 ・今後の進め方
  ・フライ トデータ を基に2段燃焼終了後姿勢異常に対する要因分析を行った結果、+Y側(2系統の内の1系統)の2段RCS(ガスジェット装置)が機能しなかったことが判明した。
  (姿勢異常の原因箇所として特定)
  ・2段RCS(ガスジェット装置)が機能しなかった要因として、+Y側のRCSの下流配管圧力がタンク圧力まで上昇していなかった。これまでの原因究明の結果、その上昇のきっかけとなるパイロ弁点火信号(信号は発信されたことを確認)送出後に以下の3つの要因の可能性が否定できない状況。
    ・PSDBスイッチ〜パイロ弁までの系統異常
    ・パイロ弁の開動作不良
    ・推進薬供給配管の閉塞

 ・引き続き、フライトデータ の詳細な分析と製造・検査データの確認を進め、更なる原因究明、是正対策/水平展開の検討を進めていく。

 ・参考
  ・H3の1段CFT(1段実機型タンクと1段エンジン(LE-9)を組み合せた地上燃焼試験)は上記の事象とは直接関係しないため計画通り11月に実施予定。
  ・イプシロンSロケット適用に向けて開発中の冗長複合航法システム(RINS)の飛行実証については当初よりリフトオフから2段スピンアップ前までのフライトデータを用いて評価する計画であり、評価に必要なフライトデータを良好に取得した。今後詳細データ評価を実施する。

 ・名称について
  ・OBC(On Board Computer):誘導制御計算機
  ・HIU2(Hardware Interface Unit 2):第2段ハードウェアインタフェース装置
  ・PSDB2(Power and Sequence Distribution Box 2):第2段電力シーケンス分配器
  ・TVC:Thrust Vector Control:ノズルを可動させることでモータを制御する推力偏向制御システム。1段および2段燃焼時のピッチ軸とヨー軸の制御に使用する。
  ・SMSJ:Solid Motor Side Jet:1段モータ後部にとりつけられた固体推進薬を用いた補助推進系であり、1/2段分離までの3軸制御の機能を有する。ただし、1段燃焼中はロール制御のみを実施する。
  ・RCS:Reaction Control System:2段モータに搭載される1液式ガスジェット装置であり、1/2段分離からスピンモータ点火までの3軸制御の機能を有する。ただし、2段モータ燃焼中はロール制御のみを実施する。
  ・スピンモータ:固体推進薬を用いた補助推進系であり、2/3段分離前にロール軸にスピンを与え、ジャイロ効果によって姿勢の安定性(スピン安定)を確保するために使用する。

・以下からフォローアップブリーフィング。
・質疑応答
・時事通信・原因の可能性として3点が挙げられていて、RSCの燃料を開く信号が伝わっていない可能性と、パイロ弁が開かなかった可能性と、パイロ弁の下の配管が詰まっていた可能性ということか。
・おっしゃった通りですが、パイロ弁の下流だけでなくタンクから圧力計までの配管が閉塞した可能性も否定できない。

時事通信・H3への影響で、資料ではCFTへの影響は無いとのことだが、H3ロケットそのものについてはどう見ているか。
・パイロ弁がひとつの要因(の可能性)として出されているが、H3でも同型のパイロ弁を使っていることが確認できている。CFTは進められると報告したが、CFTは1段の燃焼試験を行うのが主目的になっていて、そこにはまずは影響が無いので、そちらを進めると我々は考えています。

時事通信・H3にも同様のパイロ弁が使われているので影響を精査しなければならないが、CFTには影響は無いということか。
・はい、その通りです。

NHK・H3やイプシロンSへの影響は、まだ調べているのが現状か。
・はい。今、水平展開としてそちらへの影響も調べている状況です。H3は大型の開発試験であるCFTがございますので、そこまではしっかり進めていこうと考えています。イプシロンSはもう少し打ち上げが先ですので、時間はあると思っています。そういう時間を使いながら対策等の水平展開はしていく所存でございます。

NHK・H3のパイロ弁も同型とのことだが、RCSも同じなのか。
・2段の姿勢制御としてRSCは同じものを使っています。ただしメーカーを含めて違いまして、形なども違います。その中で使っている部品としてパイロ弁は同型だと判っている。

NHK・H3では、それ以外にも同型の部品を使っている可能性はあるか。
・RCSのそこ以外には今のところありません。

NHK・管を通っているヒドラジンは燃料なのか。
・ヒドラジンという推進薬になっています。パイロ弁を通ってスラスターに繋がっています。スラスターの中に触媒がありまして、そこにヒドラジンを通しますと触媒反応でガスを発生して、それを噴射することで姿勢を制御するという装置になっています。

NHK・ガスの元となる燃料と呼んで差し支えないか。
・問題無いと思います。

NHK・ガス噴射用のスイッチで川上と川下と二つに分けて説明されていたが、スイッチの異常の可能性があるというのはそういう理解でいいのか。(?)
・系統図でタンクにヒドラジンが入っていると思って下さい。その下にパイロ弁があります。ヒドラジンという推進薬は毒性があるということで、射場での取り扱い上、パイロ弁で完全に封鎖している状況になります。その下はパイロ弁が開くまではガスだけが入っている状況になります。パイロ弁が開くとタンクのヒドラジンがスラスタのところまで行きまして、実際の制御信号は8個のスラスタに姿勢に応じて切り替える信号を出すとそれが開いて噴射することになります。元弁が開いていないとしていただくといいかなと思います。

NHK・スイッチ下流からパイロ弁までの系統異常というのは、上流のタンクからパイロ弁までに情報を送るスイッチの部分という理解で良いか。(?)
・系統異常ですが系統図にOBC、HIU2、PSDB2A/Bがありますが、これがパイロ弁に信号を送るアビオニクス機器です。PSDB2AとPSDB2Bは冗長になっているが、その装置の中のスイッチがきちんと反応したのはフライトデータで確認しています。そこからパイロ弁に延びているが、ここは電気信号を送って作動したかで確認するので、ここの配線をどうやって確認するかが系統異常となります。ちなみにパイロ弁は閉の動作はなくて開けるだけです。

NHK・RCSが異常のあった場所と特定できているが、その要因として3つに絞られていて、これからそれを詳しく調べていくということか。
・その通りです。

共同通信・RCSでの姿勢異常というのは、地上でリアルタイムで検知できるのか。異常があった場合に地上で対応できるのか。
・地上でスラスタのバルブにコマンドがちゃんと出ているかはテレメータでモニタしています。今回我々が異常と感じたのは姿勢がずれていっている。そこで検知しています。RCSのスラスタが開くが、それだけで善し悪しは判断できない。その結果として出てくる姿勢が少し発散気味になっているというところで確認した。

共同通信・有識者から姿勢異常のままスピンモータに火を点けるのは危険との指摘もあったが、姿勢がおかしいという段階で次の段階に行かないという選択肢はあったのか。短時間だと難しいのか。
・姿勢がずれていても、今回はきちんとスピンモータは噴射して軸を保って回転しています。そこはシーケンス上は自動的にスピンモータを点火するようになってますので、異常を検知して止める機能は現在はございません。今回判断に使っているのは、スピンモータでスピンをかけて、そのスピンの安定性といったものが正常であることを確認して、分離して点火に行かすところで止めるかどうかを判断できるという仕組みをとっています。そこで姿勢がずれているのは判っていたが、その状態で3段モータを分離して燃焼させて、その後シミュレーションをして実際に衛星を軌道に投入できるかという判定をして、それがNGだということで指令破壊コマンドを送ったということになっています。そういった意味で3段に火を点けなければ安全に止められるという仕立てになっていますので、姿勢異常だけですぐに止める必用は無いと思っています。

読売新聞・もし弁に異常があると判った場合、H3の開発にはどのような影響が生じるか。
・まだこの時点ではあまり具体的なことは申し上げられない。どういった原因かいろいろなものを考えていくことになります。それによってどういう水平展開をしなければいけないかが決まっていきますので、申し訳ないのですが本日はそこはあまりお伝えできないと思っています。

読売新聞・同様のRCSは今後開発するイプシロンSや、今の主力ロケットのH2Aにも使われているか。
・イプシロンSは開発段階でございます。RCSは踏襲していくことで考えて設計を進めておりましたので、水平展開があればもしかしたら設計変更ということもあるかと思っています。時間があるので反映は考えていきたいと思っています。H3は同型と話をさせていただいたが、H2Aは使っていないことが確認できている状況です。

共同通信・RCSが機能しなかった要因を3つに絞ったが、モニタリングデータが無いので絞りきれなかったのだと思うが、今後これをどうやって絞っていくのか。
・並行していろいろ進めておりますが、RCSの可能性がある部分の製造・検査、射場でどういう手順で組み付けたかといった各種のデータを並行して洗っているところでございます。そういう中から要因になりそうなものがないかを究明していく作業を進めているところでございます。

共同通信・スピンモータの傾きの件で、21度というのは過去と比較してかなり傾いているので、これ以上飛行を続けられないというものになるのか。21度の誤差が出た段階で駄目だということか。
・説明が難しいが、21度というのは大きいと感じられると思います。ただそれが10度だったらどうかといった事例の計算はあまりしていない。実際には管制の方でその角度で3段が燃焼して燃焼終了し、それを軌道解析したときに、軌道に入れるのか入れないのかを解析していくことで見極めをしようとしております。ですので単純に角度がどうだからという判断だけでは、もしかしたら軌道に乗る可能性が残る物を破壊してしまうことにも繋がりますので、姿勢の角度だけでは判断していないということになります。

共同通信・点火時点での角度にはこれまでとった標準データがあると思うが、これを超えると異常という基準データは無いということか。
・判断基準として角度が何度といったものは無いです。

共同通信・スピンモータの点火はシーケンスで自動とのことだが、こういった事象があると点火しないといったチェックポイントはあるか。
・スピンモータの点火そのものは自動のシーケンスに組み込まれておりますので、止めるものは今はございません。

フリーランス大塚・火工品のイニシエータとブースターは、どういった流れで動作しているのか。
・電気を流して、その熱で最初に発火させます。その役割を持つのがイニシエータの部分になります。このパイロ弁は右と左に斜めに二つついていて冗長になっております。時間差をもって電気を流して、どちらが点いても下に伝わるようになっています。そのイニシエータのエネルギーをブースターというところで増幅したようなイメージを持っていただければと思いますが、ラムというものを下に動かす十分なガスを出すための発火をするという2段階の火薬の構成になっています。固体ロケットの点火そのものも同じような形で、最初に電気で点火するところと、そのあとブースター的に点火するところといった多段階の点火方式になっているという意味では、同じような方式になっています。

フリーランス大塚・ブースターの方を冗長化していないのは何か理由があるのか。信頼性が問題無いということなのか。
・おっしゃる通りイニシエータまでが冗長になっている作りになっています。今おっしゃった点も含めてどうだったのかと原因究明の中で突き詰めたいと思っています。

フリーランス大塚・この辺りで使われている部品や部材のフライト実績はどれくらいあるか。イプシロンだけなのか、あるいは海外も含めて幅広く使われているのか。
・まさしくそこの調査をかけているところです。今日は一般論で申し訳ないが、いろいろな宇宙機で使われているという意味では、実績がかなりあるのではないかと我々は考えています。

毎日新聞・H3で使っているRCSが同じ型ということだが、コアステージの第2段で使う予定ということか。
・コアの第2段の下辺りに実装されています。
・補足・パイロ弁は同じ型だが、RCS自体のメーカーは違う。

毎日新聞・今回の姿勢のずれは打ち上げ後どれくらいから発生し始めたと言えるか。
・300秒辺り。(資料は)5号機と6号機の比較だが、300秒の前くらいに2段の燃焼が終了しますとモーターのTVCによるピッチとヨーに対する制御力が無くなりますので、RCSでその辺も引き継ぐ形になります。その300秒の辺で少し乱れが生じているのが見て取れると思います。時間が経つとこれが収束誤差ゼロのラインに近づくのが5号機になるが、6号機の方はピッチで見ますと310〜320秒から右肩上がりで収束しない形になっている。何秒からという明確な時間は無いですが、5号機と比較すると収束しないまま発散してしまっている状況です。

毎日新聞・パイロ弁が開いていた可能性は残されているか。
・可能性を否定できない中の3つ目、閉塞というものを考えますと、パイロ弁の下流が詰まっていれば圧力が立たないことが考えられますので、その可能性はゼロでは無い。

毎日新聞・タンクの圧力はリアルタイムでモニターできていたのか。それともその後の解析で判ったのか。
・テレメータの情報としてはリアルタイムで地上に降りているので見ております。

毎日新聞・すると早い段階でRCSがおかしいとなっていたのか。
・下の配管についている圧力計が立たないという意味ではリアルタイムで見ていました。

TBS・イプシロンロケットの第2段に燃料を供給する2系統のうち1系統がうまく働かないので姿勢がずれたという理解で良いか。
・第2段の姿勢を制御する部分と置き換えてください。

TBS・姿勢を制御する部分に燃料を供給する2系統のうち1系統がうまく働かなかったということか。
・はい。

TBS・それがRCSと呼ばれるガスジェット装置か。
・はい。

TBS・何故うまくいかなかったかは3つの可能性があるということか。
・はい。

TBS・3つの可能性についてあらためて教えて下さい。
・一つ目の系統異常は誘導制御系であるOBCから信号が出て、最終的にはPSDB2からパイロ弁の火工品に対して点火電力を出力します。このPSDB2からパイロ弁までの間の配線等を含む系統に異常があると信号が届かないということで、これが要因として残っている。それからパイロ弁に信号は行ったが何らかの異常があって開かないと、上から下に燃料が供給されないという意味で、このパイロ弁単体が二つ目としてございます。それからタンクからの配管が何らかの要因で詰まっていたという状況にあると、パイロ弁が開いたとしても詰まっていて燃料が供給されない。そういう3つを絞り込んできている状況でございます。

NHK・資料にRCSのスラスタは8基あると書かれているが、資料の図では#1〜#6とあり、これは6方向ということなのか、それとも8基8方向で制御しているのか。
・右側に#2が2個、左側に#5が2個で、8個のスラスタを使っていますが#2のペアと#5のペアは一緒に吹くので表記上2個ずつになっている。8個のスラスタがあるという意味ではそれが正解です。

NHK・噴出の方向としては何方向にガスを噴射するのか。
・ピッチは機体を上に上げるか下に上げるかという意味で、#1と#6を同時に吹くと頭が上がりピッチを上げる姿勢制御になります。逆に下にある#3と#4を吹くと頭が下に向く。右に向けるときは#2を二つ吹く。#5を二つ吹くと左を向く。これがピッチとヨーの制御。機体を軸に沿って回すロールは、#1と#4を吹くと右に回り、これがロールのプラス側に回すもので、#3と#6を同時に吹くと左に回り、これがマイナス側となります。この3軸の制御をしているということになります。

NHK・8個あるが1つだけ動かすのではなく複数組み合わせて3軸方向の制御をするのか。
・そうです。

NHK・(資料の図より)リフトオフから370秒後に21度のずれとのことだが、2・3段の分離手前(指令破壊の段階)でもおよそ20度のずれのままと読み取れるがそれで良いか。
・(グラフの線が)多少波打っていますが、だいたい中心なところは21度くらいということで間違いありません。

NHK・3σの0.91度はその範囲に収まっているということか。
・はいそうです。

フリーランス秋山・2012年のISAS資料によると姿勢制御のガスジェット装置はMVロケットの3段に搭載されていたものを取り扱いやすくしたものと記述があるが、イプシロンロケット6号機のRCSもMVロケットから継承したものか。また製造・検査データに基づく原因究明の中でもまた説明をいただけるか。また今後、本日のような委員会傍聴、ブリーフィング等はどのようになるのか。
・基本的にイプシロンはMVからの資産をかなり継承するということで最初の開発をしておりまして、おっしゃるような技術をそのまま使ってきています。そういった意味で、その辺からの設計あるいは製造の状態といったものも総合的に調査することになります。
・委員会に関しては今後の開催方式も恐らく本日と同じように公開と非公開が組み合わさった議論になると思います。基本的に今回と同じようにこうした形で行うようにしたいと考えています。

株式会社アラフネ計画・打ち上げの失敗から1週間程度でここまで原因が狭められたのはスピード感があるが、当事者としてはどのような感想を持っているのか。
・我々の方でも迅速に原因究明を進めなければいけないという中で、フライトデータの解析はかなりのパワーをかけてここまで進めてきています。並行して製造検査データの調査を始めておりますけども、そういう意味ではかなり全力を尽くしてここまでやってきているというところでございます。

株式会社アラフネ計画・解析が早いのは構造的にイプシロンはH2Aよりも部品点数的に少ないといったことはあるのか。
・ロケットは大きくても小さくても制御とかの方式を含めて基本は似たようなところがございます。そういった意味でイプシロンが少し単純だということはなくて、今回起きた事象がフライトデータでここまで追い込めるということは、あまりロケットに依存しないと思っています。差が出るとすると液体と固体の差で、主に推進系と言われる部分で差が出るかもしれない。あとはテレメータで実際にとっている数とか、そういう所もトラブルシュートの時間にかなり影響してきます。小型だからということではあまり無いと考えています。

株式会社アラフネ計画・フライトデータの解析にかなりパワーを使ったとあるが、具体的にどれくらいなのか。具体的に何人か。
・何人かという数字は持ち合わせていません。この土日もメーカーさんも含めてかなり動いてここまで到達している。

株式会社アラフネ計画・指令破壊の信号を出すまでシミュレーションして軌道投入ができるか確認するとおっしゃっていたが、凄く短い時間の中で出来るもののか。どれくらいの時間でやっているのか。
・なかなか示せない所だが、基本は計算機で自動的に計算して、その判定結果をもとに判断をしたという形になっています。2・3段分離までの短い時間の中で、かなりの計算を回しているという意味では、随分短い時間での判断をしているが、確実に判断できるような手立てをとっている。

株式会社アラフネ計画・管制室で異常を検知してから破壊指令まではどれくらいか。
・その点は容赦願います。

宇宙作家クラブ・2段燃焼中のRCSのロール制御は冗長とおっしゃっていたが、これは+Yと−Yの2系統を指しているのか。
・2段燃焼中のピッチとヨーの制御についてはTVCでかなり大きな力で制御ができています。ロールは#1と#4、あるいは#3と#6のセットで吹く形になりますけども、もし片系が吹かなくてもピッチ・ヨーがTVCできちんと制御されていますので、一つのスラスタがロール方向に吹くことで、力は弱いので外乱が大きいと制御しきれなくなるが、その辺は1個で制御できた。

宇宙作家クラブ・冗長というのは+Yと−Yで考えていいのか。
・2個を吹いてロールを制御するということで冗長という言い方をしました。ロールを制御するのにRCSだけのフェーズになるとバランス悪くなってくるが、2段のモーター燃焼フェーズについてはピッチとヨーがTVCの方でしっかり制御できているので、ロールは1個だけ吹いてもなんとか制御ができるという意味で、2個セットで吹くのが正だが、1個が吹かなかった今回の事象でも回せたという意味での冗長です。

読売新聞・今回の打ち上げ前の整備に関して、大半をIHIがやっていたと思うが、RCSはどの程度チェックするのか。今回の原因と考えられる事象について点検ではどの程度まで確認をするのか。
・今回IHIエアロスペースさんにかなり入ってもらったが、もともとRCSの組み立てを含めた点検はIHIエアロスペースでやっていましたので基本的にそこの対応の仕方は変わっておりません。点検は簡単に言うと、電気の配線をして配線通りにコマンドがちゃんと伝わるかどうかといった点検をしております。ヒドラジンが入ってしまったものは開けたり閉めたりはできなくなっていますので、そこは点検をしないでそのまま使う。大まかにはそういった形になっています。

読売新聞・何か物が詰まったのは点検しても判らなかったが、事前の点検でチェックしていた他の二つの項目に関しては、開閉がうまくいくかについては見ていただろうということか。
・予断を持ってあまり細かいところはお伝えできませんが、電気は接続というのがありますので、それに応じて点検したデータを洗っています。その中で何か特異性がないか確認することになると思います。パイロ弁については購入した元が製品保証して、それを受け入れてということで、火工品は作動させての点検はできませんので、そこは製品の元の保証をどう確認していくかになると思います。配管については基本的に工場でヒドラジンを充填する過程でチェックをして持ってくるという意味では、射場ではなく工場での点検でどうかといった確認を洗い出して特異性がなかったかを原因究明としてやっていくことになると考えています。

読売新聞・落下予定区域の水深はどれぐらいか。
・そこは確認をしていません。

読売新聞・今後の原因究明の状況次第で引き上げに挑戦する可能性はあるか。
・捨ててはいないが、かなり難しいと思っています。

産経新聞・イプシロンSの打ち上げに関して来年度とされていたが、原因究明まではスケジュールが未定になっているのか、来年度のままなのか。
・現時点では来年度の打ち上げを予定していることに変わりは無い。

産経新聞・いつまでに原因の特定の目処をつけたいと考えているか。
・そこについても原因究明の結果、そして対策をどう打ってくるかという所でございますので、今のところスケジュールに関しては予断をもってお答えするのは難しいところです。

JSTサイエンスポータル・要因のひとつである配管の閉塞はどうして起こったのか。どういった可能性があるのか。
・その点はまだあまり絞り込んで話をしていないのが現状です。配管とかですので、コンタミと呼ばれるゴミみたいなものとか、氷結したとか、いろんな可能性を洗い出して、それが過程で作り込まれていないかとか、今後の原因究明の中でやっていくことになります。幅広く可能性を探っていきたいと思っています。

共同通信・姿勢のずれの21度はどちらを向いているのか。下を向いているのか。
・即答できないので確認します。
※最後に回答あり。

共同通信・詰まった可能性のある配管は細いのか。
・今そのデータを持ち合わせていません。サイズに関しては機微情報なので回答は差し控えさせていただきます。

共同通信・圧力が上昇していないとは、タンク部の圧力と配管の圧力が一緒になっていないという理解で良いか。
・(図で)タンクでヒドラジンと窒素ガスが黒い線で模式的に仕切られています。ゴムみたいなもので仕切るが、推進薬を工場で入れた後、窒素ガスでタンクを加圧し、2MPaくらいになっています。ここについた圧力計の値がタンク圧力と呼ばれるものです。パイロ弁の下にも圧力計があり、これが配管の圧力を測っている圧力計になります。パイロ弁が開くと下の圧力計に上のタンクと同じものがかかるということで、下流配管圧力がタンク圧力までどんと立ち上がる仕組みです。

共同通信・+Y側は全く変化が無かったということか。
・そうです。

共同通信・今回示された3つの可能性について、国内外で同様の事例はあるか。
・その点も実績を含めて調査を進めているところです。本日時点では不具合情報も含めて持ち合わせておりませんので、次回以降に明らかにしていきたいと思います。

時事通信・同系のRCSはイプシロンの初号機から使われていると思うが、過去の飛行データ等でこういった事には至らなかったが不具合があったということは、判っている範囲では無かったということか
・その点も予断無く調べていくことになると思います。微妙なデータが出ていなかったか、過去号機の全てを洗って比較をして原因究明の一助にしたいと思っています。その調査は今後とお考えいただければと思います。

時事通信・ヒドラジンと窒素ガスは工場で充填するとのことだが、工場で充填するのはイプシロンからだったのか。時間を置くことで悪い方向に向かう可能性は、ヒドラジンの特性から考えにくいのか。
・そこも検討の要素にはなると思います。充填後の寿命というのも、もともと規定されている範囲内で運用していますので、充填して時間が経ったからという短絡的なものは無いと考えていますが、その辺も要因のひとつとして捨てずに究明を進めていくことになると思います。

時事通信・パイロ弁が使われているということでH3ロケットの開発に関しては、向こうでも調べるということになっているのか。
・はい。既に三菱重工さんとの話も始めておりまして、その辺は連携して原因究明をしてくということに体制を整えています。

毎日新聞・RCSが作動しなかった要因のうち系統異常はパイロ弁への点火信号が通らなかったということだと思うが、系統異常は噛み砕いてどういう風な異常なのか。電気回路の異常と考えて良いのか。
・回路というとPSDBの中というイメージになるかもしれませんが、PSDBの中にスイッチがあって、その動作まではデータで確認されています。そこの出口から配線を繋いでパイロ弁までの系統全体ということになります。

毎日新聞・電気系統ということか。
・はい。

毎日新聞・6号機に使われているRCSは5号機までと全く同じ設計・製造ラインなのか。
・はい。そこは全く変更していません。

NHK・電気系統の部分で、スイッチの異常と言うと違うということか。スイッチの先の線も含めてスイッチと呼ぶのか。
・スイッチと表現いたしましたのは、回路の中身は公開できないのでPSDBとしか書いてございませんが、通常は電力を遮断していて、信号が来たときにスイッチを入れて電気を流すという、単純に言えばそういう機構になっています。スイッチというのはPSDBの箱の中の一部分のことを言っています。その先は配線がずっと繋がっているというイメージで捉えていただければと思います。

NHK・弁を開けるスイッチの異常とするとニュアンスが違うのか。
・スイッチの作動までは確認ができているので、スイッチという言い方は違うと思います。

NHK・スイッチ以外で判りやすい言葉はあるか。
・点火機器からパイロ弁までの電気系統という言い方が判りやすいかと思います。

NHK・弁を開ける電気系統の異常ということか。
・そうですね。

(※共同通信・姿勢のずれの21度はどちらを向いているのか)
・目標姿勢に対して右下を向いていたということです。

共同通信・目標姿勢に対して進行方向の右下を向いていたということか。
・そうです。


以上です。

No.2473 :イプシロンロケット6号機打ち上げ後会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月22日(土)10時52分 投稿者 柴田孔明

 イプシロンロケット6号機は2022年10月12日午前9時50分43秒に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、ロケットに異常が発生して指令破壊信号が送信され、打ち上げは失敗となりました。同日午後よりオンラインで記者会見が行われています。
 (※一部敬称を省略させていただきます。また一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました。なお今回は打ち上げ直後の会見となり、原因等については発表されていない段階となります)

・登壇者
 文部科学省官房審議官 原克彦
 JAXA理事長 山川宏
 JAXA理事/打上げ実施責任者 布野泰広

 ・本日イプシロンロケット6号機の打ち上げが失敗に終わりまして、国民の皆様の期待にお応えすることが出来なかったことは、誠に残念でございます。徹底的な原因究明を行い、再発防止に努めることが必用と考えているところでございます。事故発生後、文部科学省の長岡大臣から、文部科学省内に井出副大臣を本部長、山本政務官を本部長代理として対策本部を設置し対応するよう指示がありました。大臣からの指示を受けまして本日11時半に第1回の対策本部を開催し、井出副大臣から状況把握と原因究明作業に全力で取り組むよう指示をいただいたところであります。今後早急に事故原因の究明や対策を図りまして我が国の宇宙開発利用に対する皆様の信頼を取り戻すべく全力を尽くして参りたいと考えているところでございます。(原克彦)

 ・宇宙航空研究開発機構JAXAは2022年10月12日午前9時50分43秒に内之浦宇宙空間観測所から革新的衛星技術実証3号機QPS-SAR-3、QPS-SAR-4を搭載したイプシロンロケット6号機を打ち上げましたが、2・3段分離可否判断の時点で目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に投入できないと判断し、9時57分11秒にロケットに指令破壊信号を送出し打ち上げに失敗しました。地元を始め関係する皆様、また搭載された衛星に関係された皆様のご期待に応えられず深くお詫びを申し上げます。
 現在、私理事長を長とする対策本部を設置し、原因調査を開始しております。調査状況等につきましては随時お知らせいたします。(山川宏)

 ・この度は打ち上げが失敗することになってしまい、関係の皆様のご期待に応えられず、深くお詫び申し上げます。
 飛行の状況についてご説明申し上げます。イプシロンロケット6号機は予定通りの時刻に打ち上げを実施いたしました。その後、1段の燃焼終了後、フェアリングの分離、1・2段の分離、2段燃焼開始及び終了までは計画通りの飛行を実施しております。その後2・3段分離前に目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に衛星を投入できないと判断し、地上からの指令破壊を送出しました。指令破壊後の機体は計画していた2段の落下区域に落下したと推定してございます。状況については以上でございます。(布野泰広)

・質疑応答
時事通信・2・3段の分離前に姿勢がずれたとあるが時刻的には打ち上げ後何秒くらいか。異常のあったテレメトリはどんなものがあったか、他に異常はなかったか。
布野・異常があったのは9時57分11秒で、打ち上げは午前9時50分43秒で、9時57分に異常があり指令破壊した。テレメトリで何を見ていたかについては2・3段の姿勢情報等を見ていたという風に考えています。

時事通信・2・3段の姿勢がどういう風にずれていたのか。また57分11秒は指令破壊を出した時刻だと思うが、それに先立って異常があったと思うが、その辺りの時間ははっきりしていないのか。
布野・どういう風にずれていたのかの詳細は調査をしてからということで、いま具体的な数字を申し上げられる状況ではございませんが、衛星を目的とする軌道に入れられないという状況にあったので判断をしたものであります。どの時間帯かということについても、詳細にデータを見た上でのことになるということで、現時点で詳細な時刻までは特定ができていない状況でございます。

共同通信・指令破壊について。イメージとして宇宙に入る手前で爆破したイメージで良いのか。
布野・指令破壊は具体的には機体の飛行能力を失わせる。今回は2段と3段を同時に破壊する指令を出したということでございます。

共同通信・この破壊というのは、機能を失わせるだけなのか、物理的に爆破するのか。
布野・イプシロンロケットは固体ロケットということで、タンクと推進薬が一体になっている。推進力を失わせるという意味でタンク自体を破壊する。具体的に申し上げますと、2段タンクの表面に火工品というものが装着されていて、そこで火工品を破裂させることによってタンクを裂く形で破壊する。3段に関しましては、2段についている火工品で3段を破壊するという仕組みになっています。タンクを2段の火工品で破壊するという手段で指令破壊をしております。

共同通信・落下区域に落下したとみられるとのことだが、機体は地球に戻って人のいない海などに落ちたということか。
布野・1段と2段は正常に燃焼し計画通りに飛行しております。今回異常が起きたのは次のフェーズに入る、3段を着火する前に分離する訳ですが、そのタイミングで異常を検知して指令破壊をしています。そのタイミングというのはノーマルで飛行した場合には2段が燃焼を終了した時と同じですので、基本的にその時点で指令破壊をしたということで、当初想定していた2段の落下区域に落下したと判断しています。

共同通信・落下区域は海なのか地上なのか。
布野・基本的に海上に落下区域を設定しています。

日本経済新聞・イプシロンの打ち上げ業務をJAXAからIHIに移管する流れだったが、今回失敗したことで民間移管にどのような影響が出るか。
・イプシロンの6号機で移管に向けて歩を進める取り組みをしていた中でこういうことが起きてしまったということに対して非常に残念だと思っております。民間移管への影響については、まずはなぜ起きたのかという原因究明をやった上でのことと考えておりまして、現時点での言及については差し控えさせていただきたいと思います。

日本経済新聞・イプシロンSが来年度から打ち上げの予定だが、遅れるなどの計画変更の可能性はありえるか。
布野・それも原因究明をしてからの話だと考えています。

日本経済新聞・今後の受注への影響はあるか。
布野・それも原因究明をし、リターントゥフライトをどうするかにかかっていると思います。少なからず影響はあると思いますが、海外ユーザーは失敗した後どういった対応をするのかを見ていると考えてございまして、まずはきちんと原因究明をして対策を打つことをまず第一に取り組んでいきたいと考えています。

アイティメディア・今回の打ち上げ失敗は非常に珍しい事だと思うが、JAXAでこういった失敗はいつ以来か。
布野・指令破壊をした事例ですと、H2Aロケット6号機の打ち上げ時。その前ですとH2ロケットの8号機でも指令破壊をしたと思います。何年かは今具体的に記憶しておりませんので、必用ならば後ほどお知らせします。
(※後日回答分:H-IIロケット8号機:1999年11月15日打上げ、H-IIAロケット6号機:2003年11月29日打上げ)

アイティメディア・イプシロンロケット6号機に搭載された衛星はどうなったか。
布野・指令破壊をしておりまして、衛星は3段上段に搭載してあり、指令破壊により破壊されたか、あるいは破壊されないでも一体となって海上に落下したと考えています。

アイティメディア・状況はまだ詳しく判らないのか。
布野・そうです。

アイティメディア・今回の失敗について現状の分析で判っていることはあるか。
布野・2・3段の姿勢系に異常があったことは判っております。具体的にどこかについては今後の原因究明を待たざるを得ない状況です。

アイティメディア・再打ち上げなど今後の計画で決まっているものはあるか。
布野・今回の失敗が起こる前はイプシロンの第一段階の最終号機ということで、次は第二段階開発のイプシロンSロケットということで考えていたが、今後の取り組みについては今回の不具合事象を究明した上でどうするかを相談していくことになると思いますが、まずは原因究明をし対策を立てることが急務だと認識しています。

NHK・指令破壊は9時57分11秒だが、シーケンスで見ると異常があったのは燃焼終了と2段と3段の分離の間か。
布野・その通りです。

NHK・2段と3段の分離は確認されていないということか。
布野・されていません。

NHK・異常に気付いたのはどういうシチュエーションだったか。どうして気付いたか。
布野・3段を着火する前に姿勢が正しく向いていて所定の軌道に入れられるかどうかという所で、姿勢の異常があるということで、所定の軌道に入れられないという判断をして指令破壊をしたものでございます。

NHK・もともと姿勢のチェックを行うことになっていて、そこで異常だったということか。
布野・そういうことです。

NHK・原因究明をするとすれば、分離の仕方や分離機構といったところを中心に調べることになるのか。
布野・わかっているのは姿勢異常ということでして、姿勢を制御する機器はいろいろございます。それらを徹底的に洗って原因を究明していくことが急務と考えています。

NHK・姿勢制御が正しく行われて、その後2段と3段が分離する流れということか。
布野・そうです。

NHK・異常があって1分くらいで指令破壊だが、いわゆるスイッチを押したということか。
布野・指令破壊のコマンドを送信したということです。

NHK・それは内之浦の管制室か。
布野・飛行安全管制は種子島でやっていまして、RCC(Range Control Center)からコマンドを送信しております。

NHK・姿勢制御の確認はどういった流れか。前日などの打ち上げ前にコマンドを確認するのか。
布野・姿勢制御などのいろいろな機器に関しては、製品のスペック内に入っているかの受け入れ検査とかをやっている。打ち上げ前にすることではなく、開発段階に確認するとか、製品がきちんと出来ているのかという中で今回の打ち上げに至っているが、何が問題であったのかということについてはまだ何も判っていない状況ですので、徹底した調査が必用だと考えています。

NHK・落下したかは通信などで確認をしているのか。
布野・指令破壊をした段階で通信等は無いので、あくまで推定になるが、1段と2段で正常に飛行していて、その運動エネルギーを持ったまま推進力を失ったということですので、2段が落下する海域に落ちたと推定しております。

NHK・それは回収などはするのか。
布野・それは破壊されていますし、海の深い所ですし、なかなか難しいと思っています。

NHK・H3とのシナジーや商業衛星の受注などで影響が予測されるが受け止めは。
山川・国民の皆様の期待に沿えられず大変申し訳なく思っております。イプシロンに関しては民間に移管していくプロセスの途中でありましたし、また別のロケットではありますけどもH3ロケットが開発中であり、かつH2Aロケットの運用を続けている段階でありまして、いろんな影響が出てくることは否定できないが、まずは原因を正確に捉えて、それに対する対策を打つということが、このJAXAのロケットに対する信頼を取り戻す上で最も重要だと思っていますので、まずはそこに力を注いでいきたいという風に考えています。

毎日新聞・指令破壊は計画していた場所で実施されたとのことだが、今後の原因究明のために特にに調査される部品はどこになるか。またイプシロン6号機の総事業費を教えて下さい。
布野・調査する部品に関しては姿勢制御に関わる部品ということで、いろいろございます。2段のRCSというガスジェット装置、2段のTVC(Thrust vector control)という操舵する部品、2段と3段にはスピンをかけるスピンモーターといった諸々の姿勢制御に絡む部品があります。まずはそこらを中心に調べていくということです。総事業費は細かい数字を持っていないので後ほど答えさせていただきます。
(※後日回答分:イプシロン6号機の打上げ及び革新的衛星技術実証3号機の衛星開発製造費等の合計額は、総額77億円です。内訳については回答を控えさせていただきます。)

南日本新聞社・姿勢制御の問題について、これは技術的な問題か、それとも確認を怠ったためか。
布野・それも今予断をもってどうだとは言えないと思います。全ての可能性を洗い出して原因を究明することがまず必用だと考えておりまして、現状でそれには答えられないということです。

南日本新聞・民間移管に向けて請け負いの範囲を拡大しているとの話があったが、民間請け負いを拡大していることによる弊害や影響はあるか。
布野・全ての可能性について、予断を持たずに調査するのが基本姿勢と思っておりますので、現時点でそれに対する見解と回答は控えさせていただきます。あらゆる可能性を調べて原因を究明したいと考えています。

共同通信・今回の6号機はオプション形態だが、2段3段に初号機との違いはあるか。
布野・基本は無いと思っています。オプション形態は3段の上にPBS(Post Boost Stage)という軌道速度調整段を乗せる乗せないの違いでございまして、それ以外は基本は変わっていないと思います。

共同通信・イプシロンの固体燃料をH3でも使うことになっているが影響はあるか。
布野・イプシロンSとのシナジーということでH3と相乗効果を発揮させるという意味でやっているところ。H3と共通ということではイプシロンの1段と、H3の固体ブースターを共通化するというのがメイン。そういう意味では今回1段と2段は正常に飛行したこともありますし、直接的な影響は無いと思っていますが、可能性をあらかじめ排除するのではなくしらみつぶしで検討したいのが基本姿勢です。

朝日新聞・今回の姿勢制御の部分は、事前の確認ではわかり得ない原因なのか。
布野・実際に失敗という事が起きているので、ありえないとは言えない。ちゃんと原因を究明して、何か問題があったならば是正が必用であると思います。そこも今無いとは言い切れないと思っています。

朝日新聞・高度は何キロまで上がったか。
布野・いま数字を持っていないので後ほど回答します。
(※後日回答分:高度約230km。)

朝日新聞・搭載していた衛星についての補償はどうなっているか。
布野・今、契約的なところは承知していませんので答えを持っていません。
(※後日回答分:契約に基づき対応する予定です。詳細の契約条件については、契約相手方にも関わる内容であるため、回答は差し控えさせていただきます。なお「革新的衛星技術実証3 号機」の各実証テーマの実施機関との契約においては、損害賠償請求権を相互に放棄することとなっておりますが、各実施機関への対応を丁寧に行ってまいります)

フリーランス大塚・異常が判ったタイミングだが、3段はスピン安定なので、2段燃焼後にRCSで姿勢を調整し、スピンモーターを点火しスピンさせることになるが、姿勢異常が判ったのはどのタイミングになるのか。
布野・燃焼は終わったが、どのタイミングかの詳細は調査が必用で、現時点で回答できない。シーケンスについてはその内容です。

フリーランス大塚・スピンモーターの点火は分離前か。
布野・分離前です。

フリーランス大塚・姿勢制御系で前号機から少しでも変更はあったか。
布野・私は認識をしていませんが、それも含めて調査いたします。

読売新聞・予定の落下区域は概ねどの辺りか。
布野・フィリピンの東方海上です。

読売新聞・来年度打ち上げ予定のイプシロンSは開発中だと思うが、原因究明が済むまでは開発をストップするのか。RINSの実証実験できなかったことでH3のスケジュールに影響はあるか。
布野・イプシロンSへの影響は原因究明をするということで、影響がある場合は検討が必要と思っています。同じシステムを使っている訳ではないと評価できるものは進めることになるが、それも原因究明によるものと思っています。RINSもきちんとした評価をしてからと思っておりますが、1段と2段は正常に飛行しておりますので期待したデータがとれているのではないかと思っているが、それもきちんと評価をする。RINSはH3でも飛行実証を計画しているので、基本大きな影響はないのではないかと思っています。
 (※RINS(リンス): Redundant Integrated Navigation System)

読売新聞・イプシロンSの開発はストップではなく出来るところは進めるということか。
布野・できるところは進めたいと思っています。

共同通信・指令破壊をしないとどういった危険があったか。
布野・所定の軌道に入らないのと、どこに行くかわからないので指令破壊をした。

共同通信・地上に落ちるなどの危険性があったということか。
布野・そういうことです。

共同通信・飛行計画で1段の燃焼終了から2段の燃焼終了までは予定通りとのことだが、それぞれの時間を教えて欲しい。
布野・現時点で準備していないので後ほど。
(※後日回答分:リフトオフ日時は、2022年10月12日9時50分43秒(JST)です。指令破壊を行った日時は、2022年10月12日9時57分11秒(JST)であり、リフトオフから約388秒を経過した時点です。)

共同通信・破壊と落下の時間は得られるか。
布野・コマンドを送信した時間は判ると思いますが、落下時間は推定の域を出ないと思います。

毎日新聞・姿勢情報とはデータとしてどういうものか。
布野・いわゆるピッチ、ヨーなどの姿勢情報です。位置ではなく向きの情報。

毎日新聞・それがどれくらいずれたのか。
布野・それは今後データをきちんと解析して評価が必用だと思っています。

毎日新聞・指令破壊の基準で姿勢はどのように設定されているか。
布野・結果的に軌道に入らないことで評価している。細かい数字の規定はあると思いますが、軌道に入れられないことで判断をしたと思っております。

毎日新聞・姿勢制御はどのように行っているのか。
布野・1段は基本TVCで、固体モーターのノズルを振って制御するのと、脇にSMSJという固体のロール方向の制御をする機器がついていまして1段の飛行を制御しています。2段もTVCがついていて基本はそういう形とガスジェット装置で制御しています。3段に関してはスピンをかけてスピン安定をして燃やすのが大まかな姿勢制御の方式です。

毎日新聞・2段と3段のどちらに問題があったかは判っていないということか。
布野・問題があったのは姿勢制御系ということで、どこかは今後の調査を待つ必要がある。

以上です。


No.2471 :イプシロンロケット6号機は指令破壊 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月12日(水)12時52分 投稿者 柴田孔明

イプシロンロケット6号機についてJAXAより発表がありました。写真は宮原の報道席より撮影。

以下発表文です。
「2022年10月12日9時50分43秒(日本標準時)に、内之浦宇宙空間観測所から革新的衛星技術実証3号機、QPS-SAR-3、QPS-SAR-4を搭載したイプシロンロケット6号機を打ち上げましたが、ロケットに異常が発生したため、ロケットに指令破壊信号を送出し、打上げに失敗しました。現在、状況を確認しています。」


No.2470 :打ち上げ日時について
投稿日 2022年10月9日(日)14時16分 投稿者 柴田孔明

イプシロンロケット6号機の新たな打ち上げ予定日時は2022年10月12日9時50分43秒〜9時55分11秒(JST)となりました。
(2022年10月09日14時発表分)


(※投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれることがあります)

No.2469 :H3ロケット段間部 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月8日(土)23時25分 投稿者 柴田孔明

領収燃焼試験の後に報道向けに公開されたH3ロケット試験機1号機の段間部。


No.2468 :H3ロケット試験機1号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月8日(土)23時24分 投稿者 柴田孔明

領収燃焼試験の後に報道向けに公開されたH3ロケット試験機1号機の1段目。


No.2467 :領収燃焼試験の様子 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月8日(土)23時21分 投稿者 柴田孔明

2022年10月3日16時10分(JST)から行われたLE-9領収燃焼試験の様子。


No.2466 :H3ロケット第1段エンジンLE−9の領収燃焼試験 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月8日(土)23時18分 投稿者 柴田孔明

 2022年10月3日午後より、種子島宇宙センターでH3ロケットの機体公開と、初号機打ち上げに使われるLE−9エンジンの領収燃焼試験、そして概要説明が行われました。
 (※一部敬称を省略させていただきます。また一部内容を省略させていただきます)

・登壇者
JAXA 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史
JAXA 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 黒須 明英
JAXA 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 川島 秀人

・概要説明(岡田)
 ようこそ種子島にお越し下さいましてありがとうございます。今回の試験は天気に恵まれていて、9月に台風が2週続いて被害が出たということで、我々はエンジン試験をかなりタイトなスケジュールの中で進めている中で、本当に技術に加えて自然との戦いが続いておりました。今日は皆様のおかげで非常に好天に恵まれていい試験ができるのではないかと思っています。
 大抵は私が説明をする場なのですが、今日はロケットエンジンの立役者であります開発の担当責任者の両課長に一緒に並んでもらいました。黒須は今最難関と言われるターボポンプ開発の担当課長です。川島はロケットエンジンの燃焼器系とシステム全体を取りまとめている担当課長です。2人の他に小林という上に立っている立場の者がおりまして、2017年にエンジンを初めて公開したときに私と一緒に並んでいたと思います。
 今回はこの3人で皆さんとお話をさせていただこうと思いますが、ようやくこの2人がこういう場に来られる心境になってきたとお考えいただければと思います。

 ・領収試験について
  ・領収の意味:今回は燃焼試験を行うが、これは製造の一環で行っています。工場で製造されたエンジンがきちんと動作するかどうか、そしてその中でエンジンの狙いたい作動状態に調整するという2つの役割を持っています。それが終わりますと、このエンジンを受け取れる状態になる。機体側に引き渡して良いという状態になるという意味で領収燃焼試験としています。今回は試験機ですのでこれも開発の一環と言えるのですが、通常のロケットの運用でも領収燃焼試験は行います。
  ・今回のLE−9エンジンは1段目のエンジンで、2号機ではH3−30Sを予定していてLE−9は3基、1号機はH3−22SでLE−9エンジンは2基搭載します。ですので領収燃焼試験としては2式目となります。
  ・LE−9エンジンは主バルブを4つ持っています。水素系に3つ、酸素系に1つ。このメインバルブを開け閉めすることでエンジンの出力などを調整する。これをLE−9エンジンでは電動で行っています。これで面白いパターンの試験ができるようになっています。
 (※MFV:液体水素メインバルブ、MOV:液体酸素メインバルブ、CCV:燃焼室冷却バルブ、TCV:推力制御バルブ)

 ・試験の目的:燃焼特性を取得し、フライトへの適用が可能であることを確認。
 ・1基目の領収燃焼試験の結果
  ・2回の試験を実施し、フライトに適用可能と評価。
  ・試験機1号機の1段機体への取り付けを完了。

 ・本日の試験内容
  ・試験秒時:約65秒。OTP入口圧力下限を検知し、自動停止する予定。
  (※OTP:液体酸素ターボポンプ、FTP:液体水素ターボポンプ)
  ・試験パターン(イメージ)
   1.試験前半:LE−9エンジンと設備を連携させ、主バルブ(電動)の開度調整により所定の作動点に向け自動調整。
   2.主バルブの開度を固定しデータを取得。
   3.OTP入口圧力を目標値まで漸減させ、低入口圧力での特性を取得。
   ※ある一定の圧力まで下がったところで自動停止させる。この下がり方によって試験の秒時が変わってくる。

  ・試験機1号機打上げに向けた今後の予定。
   ・射場では実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)に向けた準備を開始。
    ・射点での燃焼試験は11月上旬から中旬を予定。
     ・保管していた1段/2段の再VOSを完了。
      (※VOS:Vehicle On Stand:移動発射台上にロケット機体を組み立てる作業)
     ・1基目のLE−9エンジン装着を完了。
     ・機能点検を実施しつつ、2基目のLE−9エンジンの完成を待機。
   ・CFT終了時点で、打上げ時期を見極める予定。
    ・H3プロジェクトチームとして、試験機1号機は2022年度内の打上げを目指す。
   ・まだまだ険しい道のりは続く。
    ・CFTは報道公開の予定。

・質疑応答
KKB・今回の領収燃焼試験に辿り着けた思いと、今日の試験でどういった成果を得たいか。
黒須・ターボポンプの開発がなかなか難しくて、結果的に2年遅れてしまったが、開発の中で自信をもってH3の1号機に供するだけのターボポンプができたという気持ちはあるので、今はほっとしている。領収燃焼試験は決められたことを確実にこなしていきたいと思っています。
川島・ここ2年打ち上げを延期していたが、この2年間非常に苦しい思いで皆やってきて、今日は領収燃焼試験ということで実際にフライトさせるエンジンの作動チェックを行える状態になったということで、非常に嬉しく思っています。ただ今日の試験は終わっていませんので、今日の試験を確実に行いまして、フライトに使えるということを確認したいと思っています。
岡田・ロケット本体もそうだがロケットエンジンはひとつひとつ個性がある。だから個性が全部判った状態ではないというのが正直なところ。今日の試験もまだ数機目のエンジンとしての領収燃焼試験なので、心してかからないといけない。我々は神様ではなく生身の人間なので、何かしらいつもと違うことが起きないとも限らないので、ほっとしている反面、かなり緊張しています。

フリーランス大塚・今日の領収燃焼試験(AT)で3つのフェーズがあり、最後の方がOTPの圧力を低減したときのデータをとるとのことだが、これは何を見たくて行うのか。フライト中盤で圧力が下がるのを模擬するのか、あるいはこういう状態が見られるなどの意図があるのか。
黒須・このエンジンはまだそんなに数を作っていない。技術的に確認すべきところがあると思っています。実際のフライトでOTP入口の圧力がここまで下がるだろうというところを見る。
岡田・ロケットが飛んでいると自身の加速度などで入口の圧力が勝手に変わる。そこはある程度の範囲で模擬して、いちばん厳しい作動状態の中でもエンジンとしては作動することを確認する。

フリーランス大塚・1機目(エンジン)も同じような感じで行ったのか。
黒須・その通りです。

読売新聞・射点での燃焼試験は、実際にロケットを組み立ててエンジンを作動させる試験を行うのか。
川島・その通りです。射点にロケットを組み立てておいて、そこでエンジンを燃焼させる。

読売新聞・その試験(CFT)は今日の結果で変わるか。
川島・詳細な試験の条件等は、今日の試験結果であるとか今後の技術検討の結果を踏まえて最終的に決まっていく。

読売新聞・今日の試験で使うエンジンは、1号機に使うものと同じモデルということか。
川島・いえ、実際のフライトするエンジンです。
岡田・CFTではエンジンを完成体として取り扱っているが、新しい取り組みとして1段の燃料タンクから直接エンジンに燃料を送ります。燃料タンクをある程度加圧した状態にするが、それはエンジンの途中からガスを引っ張り出して加圧する。エンジンのみならず1段のシステム全体を確認する試験という意味で、かなり確認領域が広い。一発勝負なのでかなり緊張しています。

KKS・今日の試験は成功とか失敗というのはあるのか。
川島・領収燃焼試験は正常に作動して合格であるという領収条件を定めています。それを満たすかどうかでうまくいったかどうかを判断するという流れになります。

KKS・満たすかどうかは試験後すぐ判るのか。
川島・判るのは、翌日の夕方にデータを詳細に分析した結果を関係各社さんと協議する場がありまして、そこで最終的に判ります。
岡田・試験データが出力されて見られるのは、試験後の皆さんとの質疑の後になります。皆さんにお話できるとしたら無事に終わったかどうかくらいだと思います。リアルタイムで見ているデータはあるが、それはほんの一部です。その範囲の中では無事終わって良かったと言えるかどうかです。

日経BP松浦・CFTはエンジン3基の2号機(H3−30型)でもやるのか。
岡田・2号機の前にやる予定です。

日経BP松浦・エンジン3基で変わってくるところがあるのか。
岡田・システムとしては全く新しいので、ぜひ確認したい。BFT(厚肉タンクステージ燃焼試験)でも1段を模擬はしているが完全に同じ物ではない。

宇宙作家クラブ渡部・試験データの主バルブの開度は、どのバルブを指すのか。
川島・線が4つあります。紫がCCV、水色がTCV、緑がMFV、赤がMOVの動きです。

宇宙作家クラブ渡部・今回2基目の領収燃焼試験だが予定は1回か2回か。
川島・1回で終える計画です。もう少し詳細なデータをとる必用がある場合はもう1回実施する可能性がありますが、基本的に1回で終える予定です。

南日本新聞・現時点でLE−9の不具合は解消されているのか。1基目と2基目は全く同じ試験内容になるのか。
岡田・2段階開発にしていますので、1号機向けのエンジンに関しては既に解消して領収燃焼試験に臨んでいます。2号機向けについては、どういった設計が適しているかを検討しているところです。
川島・2台目の試験は基本的に1台目と同じになります。各エンジンで少し個体の特徴があるので、そのぶん若干設定の条件を変えるが、基本的には同じ事を行います。

以上です。


No.2465 :イプシロンロケット6号機打ち上げ前プレスブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2022年10月8日(土)00時42分 投稿者 柴田孔明

 2022年10月5日14時よりイプシロンロケット6号機の打ち上げ前プレスブリーフィングがリモートで行われました。なお同日13時に10月7日に予定されていた打ち上げの延期が発表されています。
 (※一部敬称を省略させていただきます。また一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました。写真は2022年10月6日の整備塔)

・登壇者
 JAXAイプシロンロケットプロジェクトチームプロジェクトマネージャ 井元 骰s 
 JAXA超小型・小型衛星宇宙実証研究ユニット長 鈴木 新一 

・延期について(井元)
 JAXAにつきましては、イプシロンロケット6号機の打上げを今年(2022年)10月7日に予定しておりましたが、ロケットの飛行状況確認に必要な条件が整わないということで、打ち上げを延期することといたしました。強化型イプシロンロケット最終号機ということで、打ち上げ成功に向けて万全を期すという観点でこのような結果に至りました。新たな打ち上げ日につきましては、決定し次第お知らせいたします。

・イプシロンロケット6号機について(井元)※配付資料より
 ・イプシロンロケット6号機は革新的衛星技術実証3号機(6基)と受託衛星(2基)の合計8基を打ち上げる。
 (※革新的衛星技術実証3号機の6基は、小型実証衛星3号機(RAISE-3)と、キューブサット5基[1.MITSUBA(九州工業大学)、2.WASEDA-SAT-ZERO(早稲田大学)、3.MAGNARO(名古屋大学)、4.KOSEN-2(米子工業高等専門学校)、5.FSI-SAT(未来科学研究所)])
 ・受託衛星QPS−SAR(QPS-SAR-3とQPS-SAR-4)は株式会社IHIエアロスペース(IA)からJAXAが打上げを受託。これに対応した複数衛星搭載構造をIAが開発。

 ・イプシロンロケット6号機は強化型最終号機として、以下の特徴を有する。
 1.イプシロンSロケットの打上げ輸送サービス事業者として選定されたIAの主体性を発揮させる取り組みを進め、段階的かつ着実な民間移管を推進(打上げ実施者はJAXA)。
  ・具体的には、これまでJAXAが行ってきた発射整備作業およびペイロードインテグレーション作業をIAの請負範囲に拡大し、打上げ直前までのロケット系準備をIA主体の作業に変更。
  ・Y-0リハーサルまでの準備作業において、上記体制のもとで良好に作業を完了。
 2.イプシロンSロケット適用に向けて開発中の「冗長複合航法システム(RINS*)」の飛行実証を実施。
  ・RINSはロケットの位置・速度を計測する機器。イプシロンSとH3で共通的に搭載予定。
  ・民生部品を使用し、冗長回路技術により放射線耐性を高め、低コスト化を図る。
  ・イプシロンロケット6号機に飛行実証用のRINSを搭載し、実飛行環境下での機能・性能を実証。
  (*)RINS(リンス): Redundant Integrated Navigation System

 ・準備状況について
  ・2022年5月24日:各段モータ射場搬入
  ・〜7月6日:各段作業
  ・全段作業
   ・〜9月8日:複数衛星結合
   ・8月25日:1段射座据付、1段/2段結合
   ・9月16日:頭胴部結合
   ・〜9月28日:全段点検
  ・10月1日:Y−0リハーサル

 ・打ち上げ当日の予定について(資料より抜粋)
  ・打ち上げ7時間10分前:第1回GO/NOGO判断
  ・同6時間30分前:Y−0作業開始
  ・同3時間40分前:第2回GO/NOGO判断
  ・同3時間00分前:ランチャ旋回、住民退避完了、国道車両通行規制
  ・同30分前:最終GO/NOGO判断
  ・打ち上げ後30分:国道車両通行制限解除

・革新的衛星技術実証3号機について(鈴木)※配付資料より
 ・「革新的衛星技術実証プログラム」とは?
  ・宇宙基本計画上の「産業・科学技術基盤を始めとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化」の一環として、 大学や研究機関、民間企業等が開発した部品や機器、超小型衛星、キューブサットに宇宙実証の機会を提供するプログラム 。

 ・「革新的衛星技術実証3号機」は公募により選定された9機の衛星(15の実証テーマ)から構成。
  ・部品・コンポーネント・サブシステム:7テーマ
  ・超小型衛星:3テーマ
  ・キューブサット:5テーマ
  ※イプシロンロケット6号機打上げスキームの変更に伴い、超小型衛星3機は別ロケットでの打上げが予定されている。

・小型実証衛星3号機(RAISE-3)の打ち上げ後の予定。
  ・小型実証衛星3号機(RAISE-3)は、ロケットから分離された後、地上局との通信と発生電力を確認することでクリティカルフェーズを終了。その後、約1か月間、初期運用フェーズとして衛星搭載機器のチェックアウトを実施予定。

・質疑応答
NHK・打ち上げ延期の詳しい理由を教えて欲しい。
井元・記者発表資料に「ロケットの飛行状況確認に必要な条件が整わない」と記載しています。こちらにつきましては測位衛星とロケットの位置関係によりまして、ロケットに搭載している電波航法機器での機体の位置と速度が適切に計測できない恐れがある、その可能性があるということで延期しております。飛行計画の段階で飛行経路を検討し、打ち上げ時刻における測位衛星のデータを使って解析を実施しています。その解析で条件が整わないという形になっています。

NHK・今回この時点で出て来たものなのか、事前に予測できないものだったのか。
井元・事前に解析したものは、その時点で打ち上げ時刻に相当する予測は実施しています。それから測位衛星のデータが更新されており、最新のデータを使って解析したところ、条件が整わないという結果になっています。

KKB・延期の理由の部分で、ロケットに搭載した測位衛星とのことだが、ロケット本体の不具合か周辺設備の不具合か。
井元・ロケットと設備は全て健全な状況にあります。ロケットに測位衛星を搭載している訳ではなく、今宇宙空間にある測位衛星のデータを使って飛行するが、そちらの配置がたまたま飛行の条件が整わないことでございます。事前の解析でも希にそういったケースがあるが、今回の10月7日で予測される測位衛星のデータを使ったところそういう状態になっている。不具合とかそういうものではございません。

KKB・不具合ではないとすると、いつ頃に目処がつくか。
井元・その先の解析をしているところでございます。8日と9日は非常に難しい状況になっておりまして、10日についても総合的に判断してなかなか難しいという状況。11日以降です。

NVS・測位衛星の電波が入りにくいとのことだが、これはRINS(リンス)か。イプシロン本体は問題が無く実証実験をするRINSが電波が入りにくくなりそうということか。
井元・実証実験のRINSは大丈夫だが、運用に使用する機器(RINA)になります。

南日本新聞・測位衛星の配置が想定と違っていたという理解で良いか。
井元・これは日々更新されるものでして、更新された結果たまたまという形になります。

南日本新聞・たまたまというのは宇宙の飛行状況の環境が悪かったということか。
井元・いえ、そうではありません。衛星の配置と飛行経路の相対関係になります。

南日本新聞・非常に低い確率のものか。
井元・はい。事前解析では殆ど発生しないものでございましたが、今回本当にたまたま発生したという状況です。

時事通信・今回の予備期間いつまであるか。
井元・今回は10月末までです。

時事通信・万が一、10月末まで打ち上げられない場合はどうなるか。
井元・関係者に対して調整が必要になってきまして、関係者のご了解が得られれば打ち上げ期間を延長するという形になります。

時事通信・関係機関との再調整ということか。
井元・はいそうです。

JSTサイエンスポータル・測位衛星との相対位置の関係で延期するのは非常に珍しいとのことだが、過去にこのような理由で打ち上げが延期されたことはあったか。また3日間も打ち上げられないほど測位衛星との位置関係が難しいことになるのか。
井元・日本のロケットに関して同様の理由で延期したことはございません。7日〜9日の3日間はロンチウインドウ(打ち上げ可能期間)が数分間と非常に短い。その関係もありトータルで数分×3回という形で、この僅かな十数分という期間でたまたまこういう状況になっている。

JSTサイエンスポータル・手がかりにしているのはどの測位衛星か。
井元・そこは機微な情報となります。

共同通信・不具合ではないとすると衛星の指令を出すなどの作業はあるか。あるいは待つしか無いのか。
井元・今回の延期の要因になりました測位衛星関連につきましては待つしか無いという状況になります。衛星の状況などが更新されたらもう一度解析する。こちらは受け身といいますか、解析作業を実施する形になります。

共同通信・北朝鮮のミサイル発射の影響はあるか。
井元・それは無いです。

読売新聞・データが更新され次第解析をするとのことだが、データの更新はいつぐらいで、解析はどれくらいを目処にされるのか。その時点で打ち上げ日の発表となるのか。
井元・衛星のデータ更新は日々ある。運用の計画変更が解析対象となってきます。その関係でそれは突発的な形になりますので、今の解析状況では数日間は難しい。それ以降は全てOKという形になっています。運用の更新が起こったときに現状の計画でOKとなっているところに変更がないか解析を実施する予定でございます。

読売新聞・測位衛星との相対的な位置関係で電波が入りにくいというのが具体的な理由ということか。
井元・ロケットにアンテナが搭載されていまして、そのアンテナのパターンと衛星の位置との相対関係となりますので、おっしゃった内容で正しいと思います。

JSTサイエンスポータル・測位衛星との位置関係を手がかりにロケットを飛ばすようになったのはいつ頃からか。
井元・H-IIAやイプシロンの初めの頃は、レーダートランスポンダを機体に搭載して地上のレーダーで位置と速度を計測していました。イプシロンでは2号機で電波航法機器の実証をして、4号機から正式に適用して、4・5・6号機という形になっています。

JSTサイエンスポータル・こういった延期を回避するには測位衛星の数が増えるしかないのか。
井元・強化型イプシロンでの搭載は今回で最後となります。イプシロンSにつきましては今回実証するRINSを搭載いたします。開発の経緯がございまして、今搭載しているRINAは8基の衛星を捕捉できる。RINSは12基の衛星を捕捉できるということで進化させております。

NVS・搭載している小型衛星は乗せっぱなしか。何日くらいなら待てるのか。
鈴木・今回搭載しているRAISE-3、キューブサット5基はいずれもバッテリを使用するが、こちらについては充電容量の関係で10月末まで追加の充電も無くできることを確認しています。

NVS・その他の小型衛星はどうか。
鈴木・キューブサットについても同様に追加充電も無く大丈夫と確認しています。

NHK・機体などではなく珍しい理由での延期だが、受け止めは。
井元・今まで10月7日に向けて、台風などいろんな影響があったが、オンスケジュールで実施しております。それに対して事前の解析で、機体や設備の不具合ではない状況で打ち上げを延期せざるを得ないことに対しては、少し残念ではあるが、強化型イプシロンロケットの最終号機の打ち上げという観点で、ここは万全を期すべきであるということで、一旦頭を冷やして更に確実な打ち上げに向けて、GOが出た後は対応していきたいと思います。

NHK・11日以降とあるが、これは確実なのか、11日以降の可能性が高いという表現になるのか。
井元・可能性が高いという表現の方が正しいと思います。

フリーランス秋山・(配付資料の)飛行計画でWASEDA-SAT-ZEROの分離が高度570kmで、その後のQPS−SARが574kmとあるが、別の図では軌道が下がっているように見える。どういう風に飛行するのか。
井元・これはイメージ図でございます。これはQPS−SAR3の分離の前に減速すると言いたいものです。減速すると地球の反対側の軌道が下がる。その場ですっと下がるものではない。それが軌道力学になります。それに対して飛行計画の高度は地表面との高度を示しています。地球の中心からの高度は殆ど変わらない。地表面からの高度につきましては、地球の扁平などの関係で少し数値が上がっているように見える形になります。

フリーランス秋山・QPS−SAR分離の高度は大西洋との距離か。
井元・そうです。

共同通信・別ロケットに乗る超小型衛星は今回の延期とは関係無く別ロケットになるという理解で良いか。
鈴木・正式には今年の7月に別ロケットで打ち上げると決定していました。

共同通信・今回の延期とは無関係か。
鈴木・そうです。

読売新聞・現行のRINAという機器は8基分の衛星を捕捉できるとのことだが、位置関係に問題があったのは何機か。RINSで衛星が増えることで延期の可能性が低くなるのか。
井元・RINAだが飛行経路全体でずっと条件が揃わないのではなく、数秒から十数秒の期間で条件が整わない。そのときは8基のうち2基の受かりが悪く、機体の姿勢も含めてそういった結果になっています。次期のRINSは12基受かりますので、1つ2つとれなくてもNOGOになる可能性は低くなる。

日本経済新聞・もし打ち上げたらどういったリスクがあったのか。
井元・最悪条件になりますが、ロケットがどこを飛んでいるかわからない状況になる可能性があるというものでございます。

KYT・測位衛星とロケットのアンテナの相対的な位置関係の電波障害で延期となったと感じたが、そのときの位置関係とは衛星とロケットのアンテナが直接的に電波が繋がりにくいのか、それともその位置関係で地上からの電波を受けるのが難しくなるのか。
井元・まずロケットにアンテナを搭載しています。電波航法機器のRINAが機体に搭載されています。機体の姿勢によっては捕捉していた測位衛星をロスしてしまう。アンテナのリンクの状態によってそういう状態になってしまう可能性が解析上はある。実際どうなるかはまた別の話となる。
地上という話ではなく、ロケットと測位衛星の関係になります。

KYT・位置関係が悪いのは17分と短い時間とおっしゃっていたが、それが明日明後日では解消されにくいということか。
井元・十数分で正確な数字ではない。10月7日〜9日の3日間はトータルで十数分のロンチウインドウがあるが、そのフライト中の短い期間だが電波の条件を満たさないという解析結果になっている。

KYT・不定期にロストする時間帯があるということか。
井元・そうです。

読売新聞・3基の衛星が別のロケットで打ち上げられることになり、かわりにQPSの衛星打ち上げが優先されたが、これはIAからの提案だったとあるが、QPSの初の商業衛星打ち上げを優先した理由は何か。
鈴木・政策的な観点など様々なものから総合的に判断されたと理解しています。イプシロンロケットにとっても民間からの受注というのは、今後の活動においても重要であり、QPSさんのコンステレーションという観点でも重要である。影響を受ける3つの大学の方々にとっては大きな事ではありますが、そういった背景も含めて丁寧に説明してご了解をいただいたという経緯になっております。

NVS・最悪ロケットの位置がわからなくなる可能性があるとのことだが、その結果、指令破壊をせざるを得ない状況が起こると考えて良いか。
井元・最悪そうなる可能性はあります。

NVS・ロスしたら即指令破壊になる訳ではないのか。
井元・冗長がありますし、その他のセンサがありますので、ひとつで発生したら即破壊ということではありません。

NVS・GPS以外の方法で飛行位置が追尾できていれば指令破壊にはならないのか。
井元・そもそもRINAにつきましては冗長系があります。それ以外にもセンサがありますので、そういったところの総合的な判断になります。

以上です。


No.2464 :打ち上げ延期
投稿日 2022年10月5日(水)13時22分 投稿者 柴田孔明

2022年10月7日に予定されていたイプシロンロケット6号機打ち上げは、ロケットの飛行状況確認に必要な条件が整わないため延期になりました。


(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれることがあります)

No.2463 :はやぶさ2サンプル分析の成果 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年9月23日(金)11時10分 投稿者 柴田孔明

 小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルの研究成果の論文が科学誌「Science」に掲載され、サンプル内に液体の水(水とCO2を主成分とする液体)が存在したことなどが公開されました。サンプルの特性からシミュレーションを行ったところ、小惑星リュウグウの母天体は直径100キロ程度で、太陽系内でも太陽光の届かない星雲ガス内で生まれた可能性や、水が大量に含まれていたこと、内部が50度C程度まで加熱されたことや、その後に母天体に直径10キロ程度の天体が衝突してリュウグウなどが生まれたことが判ってきました。
画像提供:東北大学、NASA/JSC、SPring-8


No.2462 :観測ロケットS−520−32号機の打ち上げの瞬間 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月14日(日)01時57分 投稿者 柴田孔明

画像提供:JAXA


No.2461 :VAS−I撮像 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月14日(日)01時55分 投稿者 柴田孔明

VAS−I撮像結果(※(C)東海大学 白澤研 VAS班)


No.2460 :打ち上げ時の電離圏状況 ●添付画像ファイル
投稿日 2022年8月14日(日)01時53分 投稿者 柴田孔明

打ち上げ時の電離圏状況(※(C)国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所の電子航法研究所)


No.2459 :打ち上げ時の電離圏状況
投稿日 2022年8月14日(日)01時52分 投稿者 柴田孔明

打ち上げ時の電離圏状況(※(C)国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所の電子航法研究所)