投稿日 2001年3月7日(水)22時13分 投稿者 江藤 巌
・ミール落下は今月の17日から20日頃
ロシアの航空宇宙庁(RKA)によれば、ミール宇宙ステーションの落下は3月の17日から20日の間になりそうであるが、最終的にミールを落下させる日取りはまだ決まっていない。
文部科学省のミール関連情報のサイトから、有用な情報を引用する。
軌道離脱計画はミールが高度250kmに到達した時点から開始される。
(1)今後のスケジュール
3月 9日頃(高度250kmに到達) →落下に向けた姿勢制御
3月11日頃(落下予定2日前) →第1回、第2回エンジン噴射
3月12日頃(落下予定1日前) →第3回エンジン噴射 3月13日頃(落下予定当日) →第4回(最終)エンジン噴射
※実際の日付は太陽活動の影響等により変更
地上に到達すると予想される落下物
部品 燃え残る破片の最大質量 燃え残る破片の個数 燃え残る破片の総質量
ソユーズ/プログレス接続部 500 kg 5 個 最大 800 kg
スペースシャトル接続部 700 kg 5個 最大1200 kg
姿勢維持装置 120 kg 25個 最大1750 kg
推進システム及び補強部材 50 kg 最大 320個 最大3450 kg
基地構造部材 110 kg 最大450個 最大8000 kg
機材部品 50 kg 最大100個 最大1800 kg
光学部品 50 kg 最大100個 最大 500 kg
科学装置部品 20kg 最大450個 最大3500 kg
合計 約 1500個 20〜25 ton
軌道離脱計画の日本への影響について
計画どおり軌道離脱計画が実施された場合:日本に破片が落下する可能性は無い。
日本が落下軌道(地球約7周の軌道)に入らなかった場合:日本に破片が落下する可能性は無い。
日本が落下軌道(地球約7周の軌道)に入った場合:落下軌道が日本を通過する場合については、「ミールが我が国に落下するとすれば、△時×分から△時×分頃(時間幅としては40分程度)になる」と予測することが可能である。
最終減速が計画以上の場合:異常発生の約30分後に、日本の南東の海域が落下地域に含まれる可能性が否定できない。
最終減速が計画以下の場合:異常発生の約120分後(異常発生後、地球を1周して日本周辺に戻ってくる時間)に、日本の南西の海域を落下軌道が通過する可能性が否定できない。
これ以後も、異常発生後2日以内に、落下軌道が日本を通過する可能性が否定できない。(日本を通過する可能性のある凡その時刻は、異常発生の15〜17時間後、22〜24時間後、39〜41時間後及び46〜48時間後である。)
落下軌道が日本を通過する場合については、「ミールが我が国に落下するとすれば、△時×分から△時×分頃(時間幅としては40分程度)になる」と予測することが可能である。
現時点における所見
軌道離脱計画は現在のところ、順調に進められている。ロシア政府のこれまでの発表やロシアの宇宙開発におけるこれまでの成果等を総合的に判断すると、計画が完遂される公算は大きい。
ロシア政府の計画が失敗し、落下物が日本に影響する場合の可能性は、地球上の広い範囲が落下軌道に入っていることから、完全には否定できないものの、極めて小さいと考えられる。
一方ロシアでは、ミール内で突然変異したバクテリアや黴が地上の生命に及ぼす影響まで取り沙汰されている。
・ロシアがミール落下の損害に保険
ロシア政府は、ミールが落下して第三者に与えた損害を補償する保険を掛けることにした。
宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約)によって、宇宙からの落下物が損害を与えた場合には、打ち上げた国が補償することになっている。
ロシアが掛ける保険の額は約2億ドル(230億円)相当で、すでに保険会社と最終交渉に入っている。
Space.com
CNN
SpaceDaily
参考
月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(1967年発効)
第7条(損害に対する当事国の責任)
条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合叉はその領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体叉はその構成部分が地球上、大気空間叉は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国叉はその自然人若しくは法人に与える損害について国際的に責任を有する。
・X-33のエンジン・テスト中止に
NASAのステニス宇宙センターで行われる予定だったX-33のエンジンのテストが、NASA本部の命令で中止された。
X-33はリニア・エアロスパイクと言う特別のノズルを持ったエンジンを使う予定で、認証型のエンジンは2月6日に最初のテストに成功し、あと8回のテストが予定されていた。
X-33計画中止についての声明
・ジョン・グレンの家が記念館に
アメリカ最初の宇宙飛行者で最年長宇宙飛行記録保持者のジョン・H・グレンが育ったオハイオ州ニュー・コンコード郊外の家が、市の中心街に移設されて記念館に改装されることになった。
グレンが2歳から成人するまで住んだ二階建ての家は、1999年に彼の母校マスキンガム・カレッジに寄付されている。
FLORIDA TODAY
ジョン・グレンと家
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