宇宙作家クラブ
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No.448 :アトランティス発射台へ他
投稿日 2001年6月25日(月)13時51分 投稿者 江藤 巌

・アトランティス発射台へ移動
 スペースシャトルOV-104アトランティスは7月12日に予定されている打上げ(STS-104/ISSフライト7A)に備えて、6月22日にケネディ宇宙センター(KSC)機体組立ビルディング(VAB)からクロウラー・トランスポーターに乗せられて、39B発射台へと移動した。
8月の5日にはOV-103ディスカヴァリーの打上げ(STS-105/ISSフライト7A.1)も予定されているので、6月27日にはディスカヴァリーも隣りの39A発射台へと移動することになっている。
KSCシャトル・ステイタス・リポート
FLORIDA TODAY
KSC地図
Space.com
CNN


・ISSのロボットアームのテスト成功
 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している第二次遠征隊の宇宙飛行士達は、ステーションに取り付けられたロボットアーム(カナダーム2)のテストに成功した。
ロボットアームは、来月のSTS-104/ISSフライト7Aで運び込まれるエアロックをISSに取り付ける作業に絶対に必要である。
このアームが正常に機能したことで、7月12日のアトランティスの打上げは予定通り行われる可能性が高まった。
Space.com

・ISASが垂直ロケット実験
 文部科学省宇宙科学研究所(ISAS)では、将来の単段軌道直行(SSTO)型の再使用宇宙輸送システム研究の一環として、無人の小型実験機の離着陸実験を能代ロケット実験場(NTC)で行った。
 6月25日には第3回の離着陸実験が行われて成功した。
 この実験機は1999年3月に離着陸実験に成功しているが、今回は外側に円錐形のエアロシェルを取り付けた形で実験を行った。
実験機は液体水素/液体酸素ロケット・エンジンの力で垂直に上昇し、高度約9mに到達した後垂直に降下、離昇から約10秒後に設置した。
再使用ロケット実験情報

再使用ロケット実験機・第2回離着陸実験(RVT-6)計画概要


・NASDAサマー・スクール
 宇宙開発事業団(NASDA)では、高校卒業以上の者を対象に、8月1日〜3日に筑波宇宙センターサマー・スクールを開催する。受講料は無料で、スクールの内容は「宇宙ステーションこれからの利用のかたち」、「宇宙飛行士への夢と職業としての現実」等、筑波センターの施設見学もある。
定員は約30名で、申込締切は7月13日。募集要項

・国際宇宙ステーション利用計画ワークショップ
 NASDAではISSの利用計画に関するワークショップを、7月23〜25日に東京で開催する。
第23回宇宙ステーション利用計画ワークショップの開催について
第23回宇宙ステーション利用計画ワークショッププログラム

No.447 :野口宇宙飛行士のシャトル搭乗決まる
投稿日 2001年6月22日(金)11時00分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)の宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)野口聡一が、2002年6月に打上げが予定されているスペースシャトルSTS-113/ISSフライトULF-1に搭乗することが決まり、6月19日にNASDA本社にて記者会見が行われた。
STS-113/ULF-1は、国際宇宙ステーション(ISS)の16回目の建設ミッションで、イタリア製の多目的補給モジュール2(MPLM-2)や外部保管プラットフォーム2(ESP2)、バッテリー充放電ユニット(BCDU)などをISSに運び込む。またSTS-113の打上げ時にはISSの第六次遠征隊が搭乗し、期間時には彼等と交替した第五次遠征隊が搭乗することになる。
野口聡一宇宙飛行士のスペースシャトルSTS−113(国際宇宙ステーション組立ミッション(ULF1))への搭乗決定について
STS-113/ULF-1ミッション概要
野口宇宙飛行士のメッセージ

No.446 :シャトル打上げは7月12日他
投稿日 2001年6月21日(木)01時59分 投稿者 江藤 巌

・シャトル打上げは7月12日に
 NASAのスペースシャトルの次の打上げは、7月12日と決定した。
シャトルの打上げは、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームのトラブルのため延期されていたが、アームの現在の状態でもシャトルで運ぶエアロックをISSに取り付けられる見通しが立ったため、再度の打上げ延期とはならずに済みそうである。
 シャトル・アトランティスは現在の機体組立てビルディング(VAB)から、6月20日にケネディ宇宙センター(KSC)の発射台へと移動することになっていたが、フロリダの悪天候で移動は21日以降に延期された。
KSCシャトル・ステイタス・リポート
MISSION: STS-104 -- 10th ISS Flight (7A) - Airlock
Vehicle Atlantis/OV-104
Location Vehicle Assembly Building (VAB)
Target KSC Launch Date/Time NET July 12, 2001 at 5:04 a.m. EDT
Target KSC Landing Date/Time July 23, 2001 at about 1 a.m.
Mission Duration 10 days, 20 hours
Crew Lindsey, Hobaugh, Kavandi, Gernhardt, Reilly
Orbital Insertion Altitude and Inclination 122 nautical miles/51.6 degrees
CNN
Space.com
Space.com
Space.com
FLORIDA TODAY

・三菱とボーイングが宇宙で手を組む
 三菱電機は、アメリカの航空宇宙最大手ボーイングと、航空宇宙事業で全面的に提携することとなった。
 三菱電機とボーイングは商業通信衛星などを共同で開発、販売し、また衛星通信や衛星を使った航空管制などの分野でも協力する。
また三菱電機はボーイングのデルタ4打上げ機を購入、衛星を打ち上げることになる。
 またこれとは別に三菱電機、三菱重工業とボーイングの3社が、国際宇宙ステーション(ISS)など宇宙の商業利用の分野で提携することになった。
 三菱電機は宇宙関係事業の売り上げでは日本国内でトップの地位にあり、三菱重工はすでにボーイング(ロケットダイン部門)との間で液体水素燃料ロケット・エンジンMB-XXを共同で開発している。
 ボーイング社は、デルタ打上げ機を手掛ける旧マクドネル・ダグラス社や、通信衛星の最大手ヒューズ・エアクラフト社の衛星部門を買収して、宇宙分野でも最大手の地位を確保している。
またボーイング社はロッキード社と一緒に共同事業体のUSA(United Space Alliance)を設立しており、NASA(米航空宇宙局)からの依託でスペースシャトルの整備を一手に引き受けている。ISS計画でもボーイングは主契約社となっている。

・宇宙観光二人目はロシアのポップスター?
 19日付ロシアのイズヴェスチャ紙によれば、M・シヴィトコイ文化相は航空宇宙局(ロスアヴィアコスモス)のY・コプチョフ長官に書簡を送り、ロシアの人気男性ポップグループ”NaNa”のメンバーの一人を宇宙に送り出して、史上最初の宇宙と地上を結ぶコンサートを開かせる案に興味を示している旨表明した。
 先のアメリカ人実業家デニス・ティトーに続く宇宙観光旅行者の候補としては、カナダ人の映画監督ジェイムズ・キャメロンの名も挙がっている。
CNN
YAHOO!News

・HESSI打上げ再延期
 NASAの太陽観測衛星HESSI(High Energy Solar Spectroscopic Imager)の打上げは、ペガサス空中発進打上げ機の問題から無期限に延期されている。
ペガサスは先にNASAのX-43A極超音速実験機を搭載して発射された際に、空力翼面が脱落して制御不能となり指令爆破されている。
CNN
FLORIDA TODAY

・アトラス2AS打上げ
 6月18日ケイプ・カナヴェラルからアトラス2ASで、ICOグローバル・コミュニケイションズ社の601改通信衛星が打ち上げられた。
SpaceDaily

No.445 :H-2A打上げは8月下旬他
投稿日 2001年6月21日(木)00時11分 投稿者 江藤 巌

・H-2A打上げは8月下旬に決定
 宇宙開発事業団(NASDA)は6月19日に開かれた宇宙開発委員会において、H-2Aの試験機1号機(H-2A TF1)の打上げ計画を報告し承認を得た。
報告では打上げの時期は平成13年(2001年)の夏期となっているが、具体的には8月下旬から9月に掛けての時期と見られる。H-2A TF1には、性能確認用ペイロード(Vehicle Evaluation Payload-2)が搭載される。
H-IIAロケット試験機1号機の飛行試験について
平成13年度夏期ロケット打上げ及び追跡管制計画書
H-IIAロケット試験機1号機の開発状況について
H-IIAロケット試験機1号機の理解増進活動について
第23回宇宙開発委員会の開催について
飛行計画
H-2A TF1主要諸元

・NASDAがロケット・シンポジウム開催
 NASDAではH-2Aの8月下旬の初飛行に先立って、ロケット技術者などを集めたロケットシンポジウムを7月14日に日本科学未来館みらいCANホールで開催する。
このシンポジウムには、現在日本科学未来館の館長を務める毛利衛博士をはじめ、NASDAの新旧の宇宙飛行士7人全員が顔をそろえることになっている。
参加申し込み(7月4日必着)

・NASDA短報
国際宇宙ステーションロシアサービスモジュール利用材料曝露実験搭載試料選定結果について
ISSフォーラム2001(独ベルリン)
ライフサイエンス国際公募

No.444 :宇宙観光時代に向けて他
投稿日 2001年6月17日(日)15時25分 投稿者 江藤 巌

・宇宙観光時代に向けて
 16日付朝日新聞は、日本航空協会が宇宙観光用ロケットの研究会を7月に発足させると報じた。
日本ロケット協会がすでに「観光丸」と名付けた単段軌道直行式(SSTO)の観光宇宙船の構想をまとめており、日本航空協会の航空宇宙輸送研究会もこの構想から出発する。

「宇宙開発に関する基本計画(案)」(宇宙開発委員会)

No.443 :シャトル打上げさらに延期?他
投稿日 2001年6月16日(土)01時06分 投稿者 江藤 巌

・シャトルの打上げさらに延期か?
 NASA(米航空宇宙局)ではスペースシャトル・アトランティスの打上げをさらに延期し、場合によってはディスカヴァリーを先に打ち上げることを真剣に検討している。
アトランティスのミッションは国際宇宙ステーション(ISS)にエアロックを取り付けるのが最大の目的だが、エアロック取り付けにはISSのロボットアーム(カナダーム2)が正常に機能することが不可欠である。
しかし現在ISSのロボットアームは肩関節のバックアップ制御プログラムの不調に悩まされており、7月半ばに予定されているアトランティス打上げまでに不調が解消されるかどうか分からない。
6月14日に行われたエアロック取り付けのリハーサルでは、アームの関節は問題を起こさず作動したが、アームの先端がISSの外壁にぶつかるという予想外のトラブルが発生してNASAを面食らわせている。
 このためNASAではアトランティスの打上げを9月まで延期して、8月初旬に予定していたディスカヴァリーの飛行を先にして、ロボットアームの問題解決までの時間を稼ぐことも検討している。ディスカヴァリーにはISSの第三次遠征隊が乗り組むことになっており、現在ISSに滞在している第二次遠征隊は彼等と交替にディスカヴァリーで地上に戻ることになる。
第三次遠征隊の宇宙滞在はすでに100日を超えている。
 事態を一層複雑にしていることには、ISSは7月17日から三週間にわたってシャトルとのドッキングに適さない軌道を回ることになる。また8月18日から一月の間、ISSやシャトルを追跡する軍用ステーションが整備点検のため使用不能になる。
CNN
Space.com
Space.com
FLORIDA TODAY

・情報収集衛星の打上げを延期
 日本政府は6月13日の情報収集衛星推進委員会で、2002年の予定だった情報収集衛星(偵察衛星)の打上げを、部品の調達が間に合わないとの理由で延期すると決定した。
情報収集衛星は2002年の秋と2006年初めに2機ずつを打ち上げる予定であったが、最初の打上げは2002年の冬まで延期され、2回目の打上げは2003年夏まで延期されることになった。
情報収集衛星は宇宙開発事業団(NASDA)のH-2Aロケットで打ち上げられる。

・「きぼう」利用多様化プロジェクトで宇宙CM製作
 ISSの日本モジュール「きぼう」(JEM)の利用多様化のためのパイロット・プロジェクトに、電通の「ISS映像を活用したCM制作実験・実施プロジェクト」が選ばれた。
電通では近くCMの対象となる企業を選定して、ISS内でハイビジョンを使ったCMを撮影、早ければ年末にも放映する。
ISS内での撮影費用約400万円はNASDAが負担するが、宇宙飛行士の撮影訓練の費用などCM制作費は総額で数千万円以上になると思われる。
「きぼう」利用多様化のためのパイロット・プロジェクト選考結果について
電通ニュース・リリース

・インターネット・ライブの成果
「国際宇宙ステーション長期滞在クルー」教育イベントについて

国際宇宙ステーションロシアサービスモジュール利用材料曝露実験搭載試料選定結果について
ライフサイエンス及び宇宙医学分野の国際宇宙ステーション利用研究テーマの国際公募

・アリアン4でインテルサット打上げ
 アリアンスペース社は6月11日にフランス領ギアナのクールーから、アリアン44Lで国際通信衛星機構(インテルサット)インテルサット901通信衛星を打ち上げた。
これはアリアン・シリーズの通算141回目の打上げになる。
インテルサット901衛星は赤道上空東経342度の静止位置から、南北アメリカ大陸とヨーロッパ、アフリカをカバーする。
CNN

・宇宙観光客第2号は?
 アメリカ人のデニス・ティトーに続いて自分の金で地球を飛び出す宇宙観光客は、アカデミー賞映画監督のジェイムズ・キャメロンだとも、また南アフリカの富豪とも、ロシアのミュージシャンとも言われている。

No.442 :シャトル打上げさらに延期
投稿日 2001年6月8日(金)17時09分 投稿者 江藤 巌

 NASA(米航空宇宙局)は、スペースシャトルの次回と次々回の打上げをさらに延期することになった。
これは先の延期の原因となったロボットアーム(カナダーム2)のトラブルが解消しないためで、7月2日以降と発表されていたSTS-104/ISSフライト7A(OV-104アトランティス)は、少なくとも7月9日まで延期される。
STS-104は国際宇宙ステーション(ISS)にエアロックを運ぶことになっているが、エアロックの取り付けにはISSのロボットアームが正常に機能することが必要である。
 その次の打上げのSTS-105/ISSフライト7A.1(ディスカヴァリー)は、打上げは8月の5日以降から16日以降へと延期された。11月29日に予定されていたSTS-108/ISSフライトUF-1(エンデヴァー)の打上げには、いまのところ変更はない。
 ISSのロボットアームのトラブルが解消しない場合、STS-104より先にSTS-105を打ち上げて、補修部品を持って行かせる可能性も検討されているという。
ケネディ宇宙センター(KSC)シャトル・ステイタス・リポート
CNN
Space.com

No.441 :インターネット宇宙授業間もなく
投稿日 2001年6月6日(水)14時06分 投稿者 江藤 巌

・ISSインターネットライブ間もなく始まる
 インターネットで国際宇宙ステーション(ISS)と毛利衛元宇宙飛行士、全国の小中学生を結んで行われる宇宙授業が、今日の5時ころから始まる予定。
宇宙授業

・X-43失敗の原因は尾翼の脱落?
 6月2日のX-43A無人極超音速実験機の最初の飛行の失敗の原因については、B-52からの投下直後に翼面が脱落したのが原因ではないかとの見方が出ている。
X-43を先端に取り付けたペガサス空中発射ブースターを捉えたビデオの連続画像でも、右の水平尾翼らしい物が脱落、その直後に機体が制御不能に陥る姿が捉えられている。

・余波でHESSI衛星打上げも延期
 X-43の失敗の原因がペガサス空中発射ブースターにあるのはほぼ間違いないため、NASA(米航空宇宙局)では同じくペガサスを使う高エネルギー太陽スペクトル計衛星(High Energy Solar Spectroscopic)の打上げを、原因が解明され対策が施されるまで延期することを決定した。HESSIの打上げは6月7日に予定されていた。
NASAニューズ
OSCニュース・リリース
Space.com
SpaceDaily

No.440 :次のシャトル打上げは7月2日以降に
投稿日 2001年6月5日(火)16時11分 投稿者 江藤 巌

 NASA(米航空宇宙局)のスペースシャトルの次の打上げは、7月2日以降になる予定。次回の打上げはSTS-104ISSフライト7AOV-104アトランティス)で、国際宇宙ステーション(ISS)にエアロックを取り付ける。
 STS-104の打上げは当初6月14日に予定されていたが、アトランティスのタイルに染み込んだ水を乾燥させるため6月20日まで延期されていた。その後ISSのロボットアーム(カナダーム2)のトラブルが解消しないためさらに打上げは延期された。アトランティスが7月2日に打ち上げられた場合、着陸は7月13日になる。
 STS-104に続くシャトルのミッションはSTS-105/ISSフライト7A.1(ディスカヴァリー)で、打上げは8月5日以降と発表されている。年内のシャトルの打上げはあと3回だけで、11月29日にSTS-108/ISSフライトUF-1(エンデヴァー)の打上げが予定されている。
ケネディ宇宙センター(KSC)シャトル・ステイタス・リポート

No.439 :NASAのX-43極超音速実験機試験失敗
投稿日 2001年6月3日(日)12時16分 投稿者 江藤 巌

 NASA(米航空宇宙局)の無人の極超音速(ハイパーソニック)実験機X-43Aの最初の試験は、極超音速への加速段階で墜落する失敗に終わった。
 X-43Aは6月2日昼過ぎにNASAのB-52研究機の主翼に吊り下げられてエドワーズ空軍基地を飛び立ち、太平洋上の試験空域で高度2900mからペガサスXLブースターと共に空中投下された。
しかしX-43Aを先端に取り付けたペガサスは、マッハ7まで加速する代わりに制御不能に陥りコースを逸れた。
NASAの安全担当者はX-43Aもろともペガサスを爆破、破片は太平洋に落下した。
 X-43Aは超音速燃焼ラムジェット(supersonic combustion ramjet)、通称スクラムジェット(SCRAMJET)の無人実験機で、風洞実見の困難なマッハ7〜10の領域でスクラムジェットを約10秒間作動させることになっていた。
X-43Aは使い捨てで、試験を終えた後は太平洋に落下して失われる。
 NASAは全部で3回のX-43Aの飛行実験を計画しており、あと2機の無人機を保有しているが、2日の実験失敗の原因が判明するまで実験は延期されよう。
 X-43A計画の総予算は1億8500万ドルである。
NASA X-43計画HP
NASA ハイパーX計画HP
CNN
SpaceRef
FLORIDA TODAY
FLORIDA TODAY
Space.com
SpaceDaily
SpaceDaily

No.438 :NASA創設期の幹部シルヴァースタイン博士死去他
投稿日 2001年6月2日(土)23時27分 投稿者 江藤 巌

・NASA創設期の幹部シルヴァースタイン博士死去
 NASA(米航空宇宙局)の前身NACA(全米航空諮問委員会)当時からの幹部技術者で、初期の宇宙計画に大きな貢献をしたエイブル”エイブ”シルヴァースタインが、6月1日に92歳で死去した。
 エイブ・シルヴァースタインは1908年にインディアナ州に生まれ、ローズ工科大学の機械工学科を卒業後1929年にNACAに入り、ラングリー研究所(現ラングリー研究センター)で風洞技術者として研究に従事した。1943年にはルイス研究所(現グレン研究センター)に移り、NACAの高速空気力学研究をリードした。
 1958年5月にシルヴァースタインはワシントンDCのNASA本部に転属となり、同年10月にNASAが設立されると宇宙飛行計画の総責任者になった。彼は有人無人の宇宙計画全般を指導し、マーキュリー有人宇宙計画やアポロ月計画などをスタートさせた。
 しかしNASAマーシャル宇宙飛行センター所長のW・フォン・ブラウンと宇宙計画の主導権を巡って衝突し、結局シルヴァースタインは1961年にルイス研究センターに所長として戻ることになる。彼はルイス・センターで液体水素燃料ロケットの開発を指導し、セントー上段の実用化に貢献した。
 シルヴァースタインは1969年10月にNASAを定年退職した。
NASAのシルヴァースタイン略歴
グレン研究センターのシルヴァースタイン略歴
Space.com

・ISS第二次遠征隊滞在1カ月延長
 NASAがスペースシャトルの打上げ予定を延期したため、現在国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在を続けている第二次遠征隊の三人は、当初の計画の4カ月を超えて5カ月宇宙に滞在することになる。
 シャトルの打上げが先送りになったのは、ISSに取り付けられたばかりのロボットアーム(カナダーム2)のテストが不調のためで、6月半ばに予定されていたSTS-104ISSフライト7Aが7月初めまで延期され、その次のSTS-105ISSフライト7A.1は8月初めまで延ばされた。STS-105では第三次遠征隊がISSに送り込まれて、第二次隊が交替して地上に戻って来ることになっている。
 第二次遠征隊の三人はすでに軌道上で86日を過ごしている。
KSCシャトル最新ステイタス
CNN
FLORIDA TODAY
Space.com

・宇宙での性行為は望ましくない
 先ごろISSを訪問して戻ったカザフスタン生まれのロシアの宇宙飛行士タルガト・ムサバイェフはインタビューに答えて、宇宙での男女の性行為は医学的に禁止されていると語った。
これは女性宇宙飛行士が妊娠した場合に無重量状態が胎児に与える影響が未知数のためで、実際これまで宇宙飛行士が軌道上で性行為を行った事例はないと、きっぱりと噂を否定した。
 またムサバイェフ宇宙飛行士は、ロシアの宇宙飛行士の「宇宙飛行手当て」が一日当たり300ドル相当(税込み)であることも明らかにした。彼がソユースTM-27でフランス人のレオポルト・アイアール宇宙飛行士と一緒に飛んだ際には、アイアールの給与は彼の31倍も多かったという。
Space.com
SpaceDaily

No.437 :シャトル打上げ7月まで延期
投稿日 2001年5月31日(木)03時20分 投稿者 江藤 巌

・ISSのロボットアーム不調でシャトル打上げ延期
 国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられたばかりのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System)がテストでトラブルが生じたため、次回のスペースシャトルの打上げ(STS-104ISSフライト7A)は7月初め以降まで延期されることになった。
 ISSでは3人の第二次遠征隊がのテストを行って来ているが、アームの肱の部分のエレクトロニクス・ボックスが故障し、地上から送ったパッチ当てプログラムも効を奏さなかった。
このためNASAではウサチョフ、ヴォスの二人の宇宙飛行士に宇宙服を着させて、アームのエレクトロニクスを交換させることも検討している。
 シャトル・アトランティスの打上げは最初6月16日に予定されていたが、前回のミッションの着陸後に雨に降られて断熱タイルに水が浸入、これを乾かすため6月20日まで打上げは延期されていた。
ケネディ宇宙センター(KSC)でのアトランティスのタイル乾燥作業はすでに終了している
FLORIDA TODAY
CNN
Space.com

・ロシアが軍事衛星打上げ
 ロシアは5月29日にプレセツク射場からソユースU打上げ機で軍事衛星を軌道に送った。
ロシアの軍事衛星打上げは今年初めてである。
SpaceDaily
Space.com

・「きぼう」のロボットアーム試験
 日本が製作するISSのモジュール「きぼう」(JEM)ロボットアームの2回目の操作性評価試験が5月21日から筑波宇宙センターで行われている。試験には若田光一宇宙飛行士らも参加し、6月1日まで続けられる。
第2回「きぼう」日本実験棟ロボットアーム操作性評価試験

・火星の岩石も検疫が必要
 NASAが進めている火星の岩石標本の地球持ち帰り、”マーズ・サンプル・リターン”計画で、回収された火星の岩石を研究する前に、地球にない細菌などが持ち込まれないよう検疫する必要があるとの見解が、全米科学会の全米研究評議会(National Academiesof Science National Research Council)から示された。
アポロ計画でも、宇宙飛行士が持ち帰った月の標本を研究する前に、宇宙飛行士と共に隔離して危険な細菌などが付着していないかどうかを検査している。
Space.com
SpaceDaily
CNN

・オービタル(OSC)がGPS事業を手放す
 オービタル・サイエンシズ社(OSC)は、参加のGPS(全地球測位システム)関連2社をセイルズ社に売却することで合意した。
売却されるのはOSCの子会社のマジェラン社とナヴソル社で、マジェランは衛星測位システムの携帯ターミナルでは世界的なシェアを誇っている。
2000年の両社の売り上げは合わせて1億4400万ドルで、セイルズへの売却価格は約7000万ドルになる。
セイルズ社は、フランスのトムソン社がアメリカに設立した航空宇宙・防衛関連のエレクトロニクス企業である。
SpaceDaily

・NASA新長官に退役空軍大将?
 新政権発足から4ヶ月以上にもなるのにまだ決まらないNASA(米航空宇宙局)の新長官だが、最新の噂では空軍の元副参謀長のトマス・S・ムーアマン,Jr.が新長官に擬せられている。ムーアマンは1997年に大将で空軍を退役して、現在はコンサルタント会社ブース・アレン&ハミルトン社の副社長を務めている。

・コズミック・カレッジ参加者募集中
 宇宙開発事業団(NASDA)では、宇宙開発に関する青少年への普及活動の一環として8月にコズミック・カレッジを開催するが、その参加者を募集している。申し込みは6月29日まで。
夏期に開催する「コズミックカレッジ」の参加者募集について

No.436 :ヒリアード=ロバートスン宇宙飛行士死去
投稿日 2001年5月26日(土)00時13分 投稿者 江藤 巌

 5月22日軽飛行機の操縦練習中に墜落して全身火傷を負ったNASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士候補パトリシア・コンソラトリクス・ヒリアード=ロバートスン医学博士が、24日にヒューストンの病院で死亡した。享年38。
ヒリアード=ロバートスンは1998年にNASAの宇宙飛行士候補に選ばれて、すでに宇宙飛行士としての訓練を終了しているが、まだ実際に宇宙を飛んだ経験はなかった。
 ヒリアード=ロバートスンは故郷のペンシルヴェニア州に葬られるが、彼女が宇宙飛行士(候補)として所属していたテキサス州ヒューストンのジョンスン宇宙センター(JSC)では、彼女を悼んで植樹が行われる。
Space.com

No.435 :アトランティス打上げは6月20日以降に延期他
投稿日 2001年5月25日(金)17時14分 投稿者 江藤 巌

・タイルが湿ってアトランティスの打上げ延期に
 NASAは6月の14日に打上げを予定していたスペースシャトル・アトランティスのミッション(STS-104ISSフライト7A)を、6月20日以降に延期することを決めた。
これはアトランティスの機体表面の断熱タイルの中に水が入ってしまい、そのまま宇宙に出ると内部で凍結してタイルが割れたり、機体からはがれ落ちたりする危険が予想されるからで、タイルの水分が完全に除去されるまで打上げは延期されることになった。
 アトランティスは2月21日にSTS-98/ISSフライト5Aを終えてカリフォーニア州の砂漠の中にあるエドワーズ基地に着陸したが、ケネディ宇宙センター(KSC)まで空輸するためボーイング747改造機(SCA)の背中に載せるまでの間に砂漠では珍しい大雨に遭遇し、その際にタイルに水が染み込んだようだ。
シャトル・オービターは発射台上では風雨にさらされているが、その場合にはタイルに防水が施してある。防水皮膜は大気圏再突入の際の熱で飛んでしまうので、着陸直後のオービターは降雨に対して無防備である。
 NASAではアトランティスをKSCの格納庫に入れて、赤外線ランプでタイルを温めて水分を蒸発させようとしているが、現在の作業の進み方では6月14日に予定していた打上げに間に合わせるのは不可能として、打上げの延期を決めたものである。
NASAシャトル・ステイタス・リポート
SpaceDaily
CNN
Space.com
FLORIDA TODAY

・シャトルのミッション入れ替えか?
 これとは別にシャトルのSTS-104/フライト7Aミッション(アトランティス)と、7月中旬に予定しているSTS-105ISSフライト7a.1(ディスカヴァリー)とを入れ替えて、ディスカヴァリーを先に飛ばす計画が持ち上がっている。
これは国際宇宙ステーション(ISS)でのロボット・アーム(カナダーム2)のテストが予定より遅れているためで、STS-104でISSに取り付ける予定のエアロックがアームのテストの邪魔になる恐れがあるので、補給ミッションであるSTS-105を先に打ち上げようというものである。
STS-105では、現在ISSに滞在している第二次遠征隊と第三次遠征隊との交替も予定されている。

・ケネディ大統領のアポロ演説から40周年
 今年の5月25日は、故J・F・ケネディ大統領がアポロ計画に正式にゴーサインを出し、1960年代中の月着陸を宣言してから40年目に当たる。
1961年5月25日アメリカ両院合同議会におけるジョン・F・ケネディ大統領の演説の抜粋。
"I believe that this nation should commit itself to achieving the goal, before this decade is out, of landing a man on the Moon and returning him safely to the Earth. No single space project...will be more exciting, or more impressive to mankind, or more important...and none will be so difficult or expensive to accomplish."
演説の草稿(pdf)。直前までケネディ自身により手が入れられている。演説の上記の個所は67ページから68ページにかけてである。

No.434 :宇宙飛行士候補が飛行機事故で重体
投稿日 2001年5月24日(木)02時39分 投稿者 江藤 巌

・宇宙飛行士候補ヒラード=ロバートスン博士飛行機事故で重体
 NASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士候補のパトリシア・C・ヒラード=ロバートスン医学博士が、軽飛行機の事故で大火傷を負って重体である。
 非ラード=ロバートスン博士は5月22日友人のパイロットとともに単発軽飛行機を操縦してヒューストン近郊の飛行場で離着陸の練習中に墜落炎上して、両名とも助け出されたが二〜三度の火傷を負い、ヒューストンの病院に収容されたが重体である。
 ヒラード=ロバートスン(38歳)は1989年にペンシルヴェニア医科大学を卒業して、NASAのジョンスン宇宙センター(JSC)の航空宇宙医学者となり、1998年に宇宙飛行士候補(ASCAN)に選ばれている。ヒラード=ロバートスンはまだ宇宙飛行の経験はないが、すでに宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)の基礎過程を終了しており、これまでであれば宇宙飛行士候補ではなく正規の宇宙飛行士として扱われるところであった。
しかし今年になってNASAでは、特定のミッションに指名されて訓練中の者以外の宇宙飛行未経験者はASCANの名で呼ぶことに方針を変更している。
Space.com
YAHOO!News

・プログレスM1-6がISSとドッキング
 ロシアが5月21日に打ち上げた無人補給船プログレスM1-6が、23日に国際宇宙ステーション(ISS)と自動ドッキングした。
プログレスM1-6はISSに食料や水、衣類、家族の手紙などを送り届けた。
NASA ISSステイタス・リポート#01-05
CNN
SpaceDaily
SpaceRef

・露豪が宇宙協定結ぶ
 ロシア航空宇宙庁(ロスアヴィアコスモス)とオーストラリア化学資源省は5月23日、両国が平和的な宇宙分野で協力を押し進める協定を結んだ。
この協定によって、オーストラリアの建設する射場からロシアの衛星打上げ機を飛行させることが可能になる。
すでにオーストラリアのAPSC(Asia Pacific Space Centre)がロシア製のソユース打上げ機を、スペースリフト・オーストラリア(SLA)社が同じくスタールト打上げ機をそれぞれ南半球から打ち上げる構想を発表している。
SpaceDaily
CNN

・毛利宇宙飛行士の宇宙授業
 宇宙開発事業団(NASDA)通信放送機構(TAO)は、6月の6日に宇宙授業「宇宙ステーションと話そう〜毛利宇宙飛行士のインターネットライブ〜」を行う。現在ISSに滞在している第二次遠征隊の三人の宇宙飛行士と、現在は日本科学未来館(東京都江東区青海)の館長の毛利衛元宇宙飛行士が、埼玉県川口市の十二月田中学校を初め全国の学校にいる子供達と直接に交信する。
放送は6月6日午後5時からの予定。
NASDA宇宙授業のページ
TAO宇宙授業のページ


 NASDAではISSの日本モジュール「きぼう」(JEM)に搭載するロボットアームの二回目の操作性評価試験を5月21日から筑波宇宙センター(TKSC)で実施する。
試験にはNASDAの若田光一土井隆雄の二人の宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)と、NASAの二人の宇宙飛行士も参加する。
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟のロボットアーム操作性評価試験(第2回)の実施について
「きぼう」日本実験棟とロボットアームの概要