投稿日 2001年8月28日(火)11時29分 投稿者 松浦
8月28日,種子島は未明に雨が降りましたが夜明け前には止みました。天候は曇りですが雲は高く,時折陽光も差しています。
昨日までの天気予報では,打ち上げ当日の29日は曇り一時雨でしたが,本日になって,曇り時々晴れへと変わっています。
打ち上げ準備作業は順調です。本日28日は,ロケット本体の火工品に最終的な配線結線を行うアーミング,追尾やテレメトリデータ取得のための電波系統点検,射点で最後までロケットに接続しているアンビリカルケーブルの最終準備などを行う予定です。現在種子島宇宙センターは二交代の勤務シフトを敷いており,24時間体制で打ち上げ準備を進めています。
最終的な打ち上げに向けた作業は本日深夜0時から。間に4回のGO/NO GO判断を挟んで,Tマイナス110分からターミナルカウントダウンを開始します。
主なイベントの予定は以下の通りです。
午前0時〜機体移動準備と推進剤重点に向けた推進系最終準備
午前2時:第1回GO/NO GO判断:機体移動するか否か
午前2時半頃:機体移動開始。約30分の予定。機体組み立て棟から移動発射台に乗ったH-IIAが姿を現し射点に向かいます。
移動後,移動発射台と射点設備を接続し,接続状況を確認。
午前5時半頃:第2回GO/NO GO判断:推進剤充填を開始するか否か
午前6時半頃:推進剤充填に向けたタンク予冷開始。推進剤を流して機体を冷やします。
午前7時半頃:本格的な推進剤充填開始。ほぼ2時間ほどでロケットのタンクはいっぱいになり,その後は蒸発分を補充していきます。
午前10時頃:人員準備を確認。第3回GO/NO GO判断:最終的なターミナルカウントダウンを開始するか否か。
午前10時半:X-110分のターミナルカウントダウンを開始。姿勢制御系の作業を点検。機体位置。姿勢自動初期設定。最新の風観測データによる飛行プログラムの更新(第1回)。
H-IIAは飛行に対する風の影響を最少にするために,最新の風観測データによって機体に内蔵する飛行制御プログラムのパラメーターを変更します。これはH-IIAで初めて採用された手順です。
午後11時50分:X-40分,30分のカウントダウン・ホールド。カウントダウンにはトラブルが起きた場合に備えて,30分の予備の時間が組み込んであります。ここで一時カウントダウンを止めて,その時間を消費します。
午後0時20分:カウントダウン再開:最新の風観測データによる飛行プログラムの更新(第2回)。
午後0時30分頃:第4回GO/NO GO判断:最終的な打ち上げの可否。
打ち上げ420秒前(X-420):秒読み開始。H-IIAからは人間による秒読みはなくなりました。合成音声による自動秒読みが流れます。
x-400:各系統が自動カウントダウン開始にOKサインを出す。
X-280:打ち上げ指揮者より自動カウントダウン開始にOKサインが出る。
X-270:自動カウントダウン開始。ここから後はコンピュータが自動的に打ち上げシーケンスを実行していきます。
X-215:推進剤充填完了。
X-200:各タンクのベントリリーフバルブを閉鎖してタンク内の加圧を開始します。
X-180:電源を設備電源から機体内電源に切り替え。
X-80:発射台下部の水素ガス処理用トーチに点火。煙道に注水開始。
X-30:セーフアーム装置作動。機体火工品への配線を遮断している最後の安全装置を解除します。
X-18:誘導制御系を飛行モードに切り替えます。
X-11.7:エンジンからの水素ガス処理トーチを点火。
X-4.7:LE-7A点火
X-0:LE-7A定格運転到達を確認後,固体ロケットブースター(SRB)に点火。リフトオフ。
打ち上げ後の飛行計画は以下の通りです。
1分39秒:SRB燃焼終了
1分50秒:SRB投棄
4分5秒:衛星フェアリング投棄
6分30秒:LE-7A燃焼終了
6分38秒:第1段・第2段分離
6分44秒:第2段第1回燃焼開始
12分24秒:第1回燃焼終了
24分51秒:第2回燃焼開始
27分50秒:第2回燃焼停止
39分35秒:ミラーボール衛星LREを分離
1時間45分55秒:第2段残存推進剤の輩出を開始。これをしないと第2段が破裂して,スペースデブリをまき散らすことになります。
打ち上げ成功の条件は第2段第2回燃焼が無事に終了すること。その時点で静止トランスファー軌道には行っていることです。燃焼終了時の感性速度は秒速10.2km/秒。この速度が出ているかどうかで,成否が判断できます。
写真は昨日27日の記者会見で説明を行う渡辺篤太郎プロジェクトマネージャー(左)と,丹尾新治スポークスマン。
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