投稿日 2001年10月27日(土)15時37分 投稿者 江藤 巌
宇宙開発事業団(NASDA)は、27日午後に東京で「ロケットシンポジウム Part2〜H-IIAロケット新たなる挑戦〜」を開催した。
開催日時: 平成13年10月27日(土)13:30〜15:30
場 所: 千代田放送会館(東京都千代田区紀尾井町1−1)
主 催: 宇宙開発事業団
後 援: 文部科学省(予定)
コーディネーター(ノンフィクション作家) 山根一眞
13:30〜13:40 開演
13:40〜14:30 第1部
H-IIAロケット試験機1号機の成功と新たなる挑戦
会場からの質問
宇宙開発事業団H-IIAプロジェクトチーム
プロジェクトマネジャー 渡辺 篤太郎
「なにか気がついてないところはないだろうかと言う、
漠然とした不安があった。これで成功だと確信したのは、
2段目の二回目の燃焼が終わった時点で、『これで成功だ』と
思わず叫んでしまって、『まだLREが分離していません』と
言われてしまいました」
「ロケットシンポジウムの第1回では、こちらにも悲愴感があったのか、
皆さんに激励されてしまって、主客転倒していたかもしれません。」
「1号機は成功しましたが、1機で良しとしているわけではありません。
やっと片目が開いたかな、と言うところです。」
「将来の課題としては、行きっぱなしのロケットではなくて、
帰ってこなければいけないと思います。そのための手段を開発したいです。
もっと将来には、誰でも気軽に乗れるようなロケットが望ましいですね。」
サブプロジェクトマネジャー 今野 彰
「いろんなことをやったので、不安はなかったです。
一番心配するのは、発射台をクリアするまで、5、6秒までです。
これは事前に試験で確認できないんですよね。」
「我々の仕事は、十数年掛けて開発してきて、
成功か失敗か、結果は30分くらいで出るんですよね。
我々も失敗しましたけど、外国も失敗しているんです。
失敗したから駄目だというのではなくて、
失敗を糧として乗り越えなければならないと思います。」
(番外発言)
山根「ブロックハウスってまるでトーチカみたいですよね。避難用の深いトンネルがあって、ほとんどタリバンですね」
14:30〜14:40 休憩
14:40〜15:30 第2部
ロケットの今後の活用と将来の日本の宇宙開発
会場とともに考える
宇宙科学研究所
教授 的川 泰宣
「2年後くらいまでに日本の宇宙関係の三機関が統合されるが、
統合が先に決まって、なにをするかは後から考えることになる。
自分としては、商業化、有人飛行、宇宙科学、宇宙教育を柱にしてゆきたい。
特に教育を軸に宇宙を立て直して行くことを、自分の今後の
生涯の課題にしたい。」
「日本は、たとえ経済状況が良くなったとしても、宇宙に対する
『欲望』のようなものが薄いのではないか。経済が厳しい時期には、
宇宙に逃げて行くという発想が出がちだが、これは間違っているのではないか。
やはり宇宙に進出するのは、人類の活動が盛んになって、その延長として
行くべきだろうと思う」
航空宇宙技術研究所
宇宙輸送システムプロジェクトセンター長
白水 正男
「海外旅行に行くくらいの気軽さで宇宙に行ける輸送システムを開発している」
宇宙開発事業団
宇宙輸送システム本部副本部長
スポークスマン 丹尾 新治
「今回の打上げは、音がすごく大きかったのが印象的だった。
H-2Aの打上げはいまのところ13機が計画されているが、
13機すべてを成功させたい。」
(会場からの質問に答えて)
「平成14年度と15年度に情報収集衛星を打ち上げる計画である。
日本は人口は世界の2%に過ぎないが、世界の資源の15%を加工し輸出している。
個人的な意見だが、日本は世界に対する貢献として、衛星で収集したデータを
積極的に世界に公開すべきではないか。人は他人を知れば知るほど愛着が生まれる。
世界の国がお互いに知り合えば、紛争はなくなって行くのではないか。」
「世界の商業打上げ市場は大変厳しい状況にある。H-2Aも商業打上げだけで
自立して行くのはむつかしいのではないか。政府の打上げなどとも合わせて
成り立たせて行くことになるのではないか。」
宇宙飛行士 古川 聡
「宇宙に出て個人的にやってみたいことは、新しい遊びをやってみたいですね。
ボールを持っていてバスケットボールをしてみるとか、自分がボールになるとか、
ビリヤードをしてみるとか。」
(番外発言)
NASAカーカム氏
「H-2A1号機成功おめでとうございます。
宇宙ステーションをぜひ人類の平和のために利用して欲しい。
宇宙開発事業団副理事長石井氏
「H-2の5号機、8号機の連続失敗の後も国民の温かい激励を受けて
それが大変に励みになった。この冬のH-2A2号機もぜひ成功させたい。
ロケットは部品の数も多く、大変厳しい技術である。
皆さんの熱意を糧として、2号機の打上げに向けて、NASDA一丸となって
努力して行きたい。」
山根
「では次のシンポジウムは2030年に宇宙で開くことにしましょう。」
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