投稿日 2003年10月16日(木)23時22分 投稿者 江藤 巌
16日昼過ぎには、アレクセイ・レオーノフ、M・スコット・カーペンターの両宇宙飛行士の共同記者会見が開かれ、宇宙飛行に関する質疑応答があった。
話題はもっぱら中国の有人宇宙飛行成功で、
カーペンター「宇宙飛行を実現した国に加わることを歓迎する。
宇宙飛行士になりたいという子供に言いたいことは、出来る限り長く学校に留まって、
いろいろな知識を吸収することだ」
レオーノフ「宇宙飛行士にとっていちばん重要なのは長く生きることだ。
飛び立った回数と着陸した回数が同じでなければいけない。
宇宙飛行士という仕事を出来るだけ長く続けてもらいたい」とのメッセージがあった。
江藤の質問「宇宙ミッションの際に恐怖を感じることはありませんでしたか?」
カーペンター「恐怖は常に存在する。恐怖とパニックを混同してはならない。
パニックは有害だが、恐怖は正しく利用するならば生命を守ってくれる」
レオーノフ「恐怖感のない人間は有り得ない。
恐怖を感じていないとしたら、それは状況を理解していないということだ。
しかし懸命な者は、恐怖の中でも状況を理解しようとする。
一番難しいのは、恐怖からパニックに陥ることだ。
しかし人間は自分をコントロールすることが出来る。
自分の乗ったヴォスホート2号の前に行われた無人実験で、無人宇宙船が事故で失われてしまったことがあった。
設計主任のS・P・コロリョフは、計画を変更して、無人の実験をもういちど行おうとした。
しかし我々の乗る予定の宇宙船を無人実験に使ってしまうと、次の宇宙船が完成するまでに1年掛かり、
計画が大幅に遅れてしまう。そこで我々乗員はコロリョフに直訴して計画決行を求めた。『我々は十分に学習して来ました。すでに3000もの緊急事態に備えて訓練もしました』
その熱意にほだされたのか、コロリョフはヴォストーク2号の打ち上げを認めたが、
その際にこうも言った。『なるほど、3000の緊急事態には対応できるかもしれない。
しかし覚えておくが良い、3001番目の緊急事態がありうるのだと言うことを』
しかし仮に3000の緊急事態にも対応できるのならば、きっと3001番目の事態にも適切に対処できるだろう」
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