投稿日 2006年2月17日(金)16時25分 投稿者 松浦晋也
H-IIAロケット9号機打ち上げの、種子島からの中継を開始します。
本日午後3時からのY-0ブリーフィングの様子です。
出席者は、園田昭眞打ち上げ実施責任者代理(種子島宇宙センター所長)、筒井弘ロケットシステム統括責任者代理、大本博行ロケットシステム渉外主任、日原勝也国土交通省航空局航空衛星室長、大島隆気象庁気象衛星課長
写真は、日原航空衛星室長(左)と大島気象衛星課長(右)
まず、園田代理から本日の発表。
昨日のY-1点検は、雷のため本日未明までかかったが無事終了。本日は、夜9時過ぎから準備作業を開始、午後11時に機体移動のGO/NO GOを判断して打ち上げ準備作業を開始する。
今のところすべて問題なし。
打ち上げ時刻が15時26分〜15時44分から、15時27分〜15時44分に変更。国際宇宙ステーション(ISS)との衝突解析(COLA解析)の結果。原則として打ち上げから地球一周回の間にロケット、ロケットからの分離物とISSとが衝突しないという条件が要求されている。実際には十数秒だけなのだが、1分だけ打ち上げを遅らせた。
明日の天候は晴れのち曇り、打ち上げ時刻前後は曇り、北の風のち北東の風、6〜8のち5〜7m/s。
追跡は小笠原とクリスマス局で行う。間に関し不可能領域があるが、その部分はロケット噴射を行わないコースティング
衛星準備について
日野原室長から
昨年11月19日に衛星をセンターに搬入。現時点ではバッテリーを補充電。衛星搭載気象センサーの光学系保護カバーを外す仕事が残っている。打ち上げ4時間前には搭載電子系を設定する。
鹿児島テレビ 園田代理に。現在の心境を聞きたい。確実な打ち上げを行っていたが。
園田 平常心でスタッフが打ち上げ準備を進めてくれることを願っている。
毎日新聞 打ち上げ時刻の1分遅延の理由は。ISS側の軌道が変わっていたのか。
園田 3日前の計算でも、最初の1分は干渉するという結果を得ていた。それを本日再確認したということだ。
毎日新聞 15時26分というのは、衛星側要求のみで決まっていたのか。
園田 その通り。
時事通信 明日の打ち上げへの期待を。
日原 昨年に引き続き是非成功して欲しい。
大原 成功して欲しいという緊張感と期待感がある。
鹿児島読売テレビ 大島課長に。長らく気象衛星の予備機がないという状態が続いた。予備機への期待を
大原 新品の軌道上予備機は今回が初めて。旧GMSでは、先代が予備機の役割を果たしていた。アジア太平洋地域の観測に期待している。
テレビ朝日 1ヶ月の間隔の打ち上げにメリット、デメリットはあるか。
園田 メリットは、習熟度が上がるので作業がスムーズに進んだ。デメリットはスケジュールがきつかったということで、作業者の負担が増えた。総体ではメリットのほうが大きいと思う。
NHK 8号機から1ヶ月。9号機にかける意気込みを聞きたい。
園田 スケジュールがたまたまこうなったということだ。ただ、周囲の期待は大きくなっている。私としてはわくわくしているのが本音だ。
宇宙作家クラブ 気象衛星は継続的に調達しなければならないはずだが、今後どのようなスケジュールで次世代衛星を調達数rの化。
大原 昨年度打ち上げた6号は気象観測センサーの寿命5年で、衛星自体の寿命は10年在る、今回のMTSAT-2も同じだ。気象センサーの寿命は、センサーの可動部の寿命で決まっている。これが5年。センサーを使用しなければ、軌道上でそのまま5年の寿命を保管できる。まずひまわり6号を5年使い、しかる後にMTSAT-2を5年使うということで、あと9年10年はこのペアで運用をしたい。今後継続して気象観測を続けていくためにはもちろん次の衛星は必要で、現在は検討を始めたところである。まだ具体的な計画にはなっていない。
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(記者会見後の補足):
質問 気象衛星の製造には5年はかかる。だから5年、6年後に次の衛星を打ち上げないと、予備機があるという体制自体が組みにくくなるのではないか。
答え もちろん5年後に次の衛星を打ち上げれば、常に新品の軌道上予備機があるという状態になるので、我々気象庁としては望ましい。しかしそういう予算はなかなか出にくい状況だ。
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共同通信 打ち上げ途中で、地上からモニタできない領域があるというがそれはいつからいつまでか。その空白に第1段切り離しが入るのではないか。
園田 各段切り離しはモニタ可能。第2段の第1回と第2回燃焼の間は、コースティング、つまり慣性飛行をしており特にイベントがないので、モニタはしない。
共同通信 具体的時間は。
園田 プレスキットのイベント表の12番以降の7〜8分程度。打ち上げ後13分で小笠原が信号受信を終了、その後クリスマスが20分30秒後からクリスマスが受信を始める。この間が空く。
共同通信 その間は何が起きても分からないということか。
園田 データ受信をしていないので、そうだ。
アビエーション・ウィーク 資料でCOLA解析の対象は有人宇宙システムとあるがISS以外はないのか。
園田 スペースシャトル、ソユーズなどだ。今回は両方とも飛んでいないので、対象はISSだけとなる。
不明 過去の2024と比べてSSBの天下タイミングが異なるが、上昇速度、炎の出方などどう異なるかを知りたい。
筒井 SSBは約60秒燃焼する。打ち上げ後10秒と20秒に分けて点火するので、LE-7A、SRB-A SSBのすべてが打ち上げ後20秒から50秒間は燃焼する。この間は炎が大きくでる。また、晴れれば4本のSSBが分離するところが見えるだろう。速度は、最初はゆっくりだ。SSBが点火すると加速が大きくなる。ロケットは燃えると軽くなっていくので、同じ推力でも加速は大きくなる。
東京新聞 ISSとの衝突については、具体的にどの程度避けるということになっているのか。
園田 ISSの進行方向200km、それ以外は50km以内に入ると避けるということになっている。
イカロス出版 この衛星に関して航空管制では、どのような準備をしているのか。また神戸の航空衛星センター、福岡の航空交通管理センターの開設とどう関係しているのか。また、1号機でトラブルが出たと聞いているが、
日原 すでに1号機は神戸の航空衛星センターで管制している。昨年の末に発表したトラブルは地上側の問題で、すでに解決している。今年2月16日に管制権を東京から福岡の航空交通管理センターに移している。今後衛星経由の管制は、航空衛星センターを経てすべて福岡の航空交通管理センターから行う。
毎日新聞 2機連続のメリットが大きいということは当初から予測していたか。作業者負担の増加ということだが、特にきつかったのはどのへんか。
園田 鹿児島の所長として申し上げると、2機シリーズで準備が進んだので土日の休みがなかなかとれないということになった。打ち上げ準備のほかに施設保全の通常業務があったので、
共同通信 延期なしで打ち上げたらいつ以来か。
園田 H-IIAの5号機以来だ。
不明 ロケットシステムとしては最後のH-IIA打ち上げとなるはずだが、現在の心境を聞きたい。
筒井 昨年9月頃から整備が始まっているので、今まで考えるヒマがなかった。今回最後に、MTSAT-2という国民生活に影響の大きい衛星を打ち上げさせて貰う。是非とも成功させたい。
読売新聞 衛星のスケジュールだが。搭載ミッション機器の評価試験はどれぐらいまでかかるのか。また衛星2機による航空管制は再来年度からと聞いているが、具体的にいつ頃か。
大原 衛星の静止化成功後、数ヶ月はかかるだろう。夏までには、と考えている。
日原 まず衛星が上がることが大前提。まだH19年度のいつ頃からできるかは、まだ確定できない。
読売新聞 ロケットシステムが残した教訓はあるか。
大木 打ち上げサービスの契約、衛星とのインタフェースのノウハウなどは蓄積されたと考えている。
以上です。
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