宇宙作家クラブ
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No.976 :H-IIA9号機Y-0ブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2006年2月17日(金)16時25分 投稿者 松浦晋也

 H-IIAロケット9号機打ち上げの、種子島からの中継を開始します。

本日午後3時からのY-0ブリーフィングの様子です。

 出席者は、園田昭眞打ち上げ実施責任者代理(種子島宇宙センター所長)、筒井弘ロケットシステム統括責任者代理、大本博行ロケットシステム渉外主任、日原勝也国土交通省航空局航空衛星室長、大島隆気象庁気象衛星課長

 写真は、日原航空衛星室長(左)と大島気象衛星課長(右)

 まず、園田代理から本日の発表。

 昨日のY-1点検は、雷のため本日未明までかかったが無事終了。本日は、夜9時過ぎから準備作業を開始、午後11時に機体移動のGO/NO GOを判断して打ち上げ準備作業を開始する。
 今のところすべて問題なし。

 打ち上げ時刻が15時26分〜15時44分から、15時27分〜15時44分に変更。国際宇宙ステーション(ISS)との衝突解析(COLA解析)の結果。原則として打ち上げから地球一周回の間にロケット、ロケットからの分離物とISSとが衝突しないという条件が要求されている。実際には十数秒だけなのだが、1分だけ打ち上げを遅らせた。

 明日の天候は晴れのち曇り、打ち上げ時刻前後は曇り、北の風のち北東の風、6〜8のち5〜7m/s。

 追跡は小笠原とクリスマス局で行う。間に関し不可能領域があるが、その部分はロケット噴射を行わないコースティング

 衛星準備について

日野原室長から
 昨年11月19日に衛星をセンターに搬入。現時点ではバッテリーを補充電。衛星搭載気象センサーの光学系保護カバーを外す仕事が残っている。打ち上げ4時間前には搭載電子系を設定する。

鹿児島テレビ 園田代理に。現在の心境を聞きたい。確実な打ち上げを行っていたが。

園田 平常心でスタッフが打ち上げ準備を進めてくれることを願っている。

毎日新聞 打ち上げ時刻の1分遅延の理由は。ISS側の軌道が変わっていたのか。

園田 3日前の計算でも、最初の1分は干渉するという結果を得ていた。それを本日再確認したということだ。

毎日新聞 15時26分というのは、衛星側要求のみで決まっていたのか。

園田 その通り。

時事通信 明日の打ち上げへの期待を。

日原 昨年に引き続き是非成功して欲しい。

大原 成功して欲しいという緊張感と期待感がある。

鹿児島読売テレビ 大島課長に。長らく気象衛星の予備機がないという状態が続いた。予備機への期待を

大原 新品の軌道上予備機は今回が初めて。旧GMSでは、先代が予備機の役割を果たしていた。アジア太平洋地域の観測に期待している。

テレビ朝日 1ヶ月の間隔の打ち上げにメリット、デメリットはあるか。

園田 メリットは、習熟度が上がるので作業がスムーズに進んだ。デメリットはスケジュールがきつかったということで、作業者の負担が増えた。総体ではメリットのほうが大きいと思う。

NHK 8号機から1ヶ月。9号機にかける意気込みを聞きたい。

園田 スケジュールがたまたまこうなったということだ。ただ、周囲の期待は大きくなっている。私としてはわくわくしているのが本音だ。

宇宙作家クラブ 気象衛星は継続的に調達しなければならないはずだが、今後どのようなスケジュールで次世代衛星を調達数rの化。

大原 昨年度打ち上げた6号は気象観測センサーの寿命5年で、衛星自体の寿命は10年在る、今回のMTSAT-2も同じだ。気象センサーの寿命は、センサーの可動部の寿命で決まっている。これが5年。センサーを使用しなければ、軌道上でそのまま5年の寿命を保管できる。まずひまわり6号を5年使い、しかる後にMTSAT-2を5年使うということで、あと9年10年はこのペアで運用をしたい。今後継続して気象観測を続けていくためにはもちろん次の衛星は必要で、現在は検討を始めたところである。まだ具体的な計画にはなっていない。

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(記者会見後の補足):
質問 気象衛星の製造には5年はかかる。だから5年、6年後に次の衛星を打ち上げないと、予備機があるという体制自体が組みにくくなるのではないか。

答え もちろん5年後に次の衛星を打ち上げれば、常に新品の軌道上予備機があるという状態になるので、我々気象庁としては望ましい。しかしそういう予算はなかなか出にくい状況だ。
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共同通信 打ち上げ途中で、地上からモニタできない領域があるというがそれはいつからいつまでか。その空白に第1段切り離しが入るのではないか。

園田 各段切り離しはモニタ可能。第2段の第1回と第2回燃焼の間は、コースティング、つまり慣性飛行をしており特にイベントがないので、モニタはしない。

共同通信 具体的時間は。

園田 プレスキットのイベント表の12番以降の7〜8分程度。打ち上げ後13分で小笠原が信号受信を終了、その後クリスマスが20分30秒後からクリスマスが受信を始める。この間が空く。

共同通信 その間は何が起きても分からないということか。

園田 データ受信をしていないので、そうだ。

アビエーション・ウィーク 資料でCOLA解析の対象は有人宇宙システムとあるがISS以外はないのか。

園田 スペースシャトル、ソユーズなどだ。今回は両方とも飛んでいないので、対象はISSだけとなる。

不明 過去の2024と比べてSSBの天下タイミングが異なるが、上昇速度、炎の出方などどう異なるかを知りたい。

筒井 SSBは約60秒燃焼する。打ち上げ後10秒と20秒に分けて点火するので、LE-7A、SRB-A SSBのすべてが打ち上げ後20秒から50秒間は燃焼する。この間は炎が大きくでる。また、晴れれば4本のSSBが分離するところが見えるだろう。速度は、最初はゆっくりだ。SSBが点火すると加速が大きくなる。ロケットは燃えると軽くなっていくので、同じ推力でも加速は大きくなる。

東京新聞 ISSとの衝突については、具体的にどの程度避けるということになっているのか。

園田 ISSの進行方向200km、それ以外は50km以内に入ると避けるということになっている。

イカロス出版 この衛星に関して航空管制では、どのような準備をしているのか。また神戸の航空衛星センター、福岡の航空交通管理センターの開設とどう関係しているのか。また、1号機でトラブルが出たと聞いているが、

日原 すでに1号機は神戸の航空衛星センターで管制している。昨年の末に発表したトラブルは地上側の問題で、すでに解決している。今年2月16日に管制権を東京から福岡の航空交通管理センターに移している。今後衛星経由の管制は、航空衛星センターを経てすべて福岡の航空交通管理センターから行う。

毎日新聞 2機連続のメリットが大きいということは当初から予測していたか。作業者負担の増加ということだが、特にきつかったのはどのへんか。

園田 鹿児島の所長として申し上げると、2機シリーズで準備が進んだので土日の休みがなかなかとれないということになった。打ち上げ準備のほかに施設保全の通常業務があったので、

共同通信 延期なしで打ち上げたらいつ以来か。

園田 H-IIAの5号機以来だ。

不明 ロケットシステムとしては最後のH-IIA打ち上げとなるはずだが、現在の心境を聞きたい。

筒井 昨年9月頃から整備が始まっているので、今まで考えるヒマがなかった。今回最後に、MTSAT-2という国民生活に影響の大きい衛星を打ち上げさせて貰う。是非とも成功させたい。

読売新聞 衛星のスケジュールだが。搭載ミッション機器の評価試験はどれぐらいまでかかるのか。また衛星2機による航空管制は再来年度からと聞いているが、具体的にいつ頃か。

大原 衛星の静止化成功後、数ヶ月はかかるだろう。夏までには、と考えている。

日原 まず衛星が上がることが大前提。まだH19年度のいつ頃からできるかは、まだ確定できない。

読売新聞 ロケットシステムが残した教訓はあるか。

大木 打ち上げサービスの契約、衛星とのインタフェースのノウハウなどは蓄積されたと考えている。

 以上です。


No.975 :宣伝:2月11日(土曜日)、新宿・ロフトプラスワンのトークライブ「ロケットまつり10」に出演します
投稿日 2006年2月11日(土)01時55分 投稿者 松浦晋也

 今週の土曜日に「ロケットまつり10」を開催します。1970年2月11日、日本初の衛星「おおすみ」打ち上げが成功しました。それから36年目の2月 11日、「おおすみ」打ち上げとラムダロケットについてお聞きします。笹本、松浦の「はやぶさ」タッチダウン取材の話もあるかも。

 林さんの誕生日ということでちょっとしたイベントあり。

宇宙作家クラブPRESENTS
「ロケットまつり10」
1970年のおおすみ発射の日。そしてロケット班長であった林紀幸さんが生まれた日でもある、この日に10回目を開催!

【Guest】林紀幸(元ロケット班長)、垣見恒男 (日本で初めてジェットエンジンを設計)
【出演】浅利義遠(漫画家)、笹本祐一(SF作家)、松浦晋也(ノンフィクション・ライター)、他
2月11日土曜日
Open/18:30 Start/19:30
ロフトプラスワン :新宿・歌舞伎町

¥1000(飲食別)
当日券のみ

No.972 :JAXA提供画像:展開した太陽電池パドル ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)15時22分 投稿者 松浦晋也

 「だいち」搭載カメラがとらえた、展開した太陽電池パドルです。


No.971 :JAXA提供画像:第2段から分離する衛星「だいち」 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)14時35分 投稿者 松浦晋也

 JAAXA提供画像です。ロケット第2段の燃焼が終了し、分離する衛星「だいち」を、第2段に搭載した機上カメラが撮影した画像です。


No.970 :JAXA提供画像:分離するSSBとSRB-A ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)14時33分 投稿者 松浦晋也

 JAXA提供画像です。機上カメラが捉えた、分離する固体ロケットブースター(SRB-A)と固体補助ブースター(SSB)です。


No.969 :記者会見第二部 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)14時26分 投稿者 松浦晋也

 記者会見第二部です。

 出席者は写真右から、富岡健治衛星主任、園田昭眞JAXA企画主任、遠藤守H-IIAプロジェクト・マネージャー。

 その他、志村勝也経済産業省・宇宙産業室長。

筑波より中原潤二郎追跡ネットワーク主任。

 園田主任から説明。
 本日午前1時からターミナルカウントダウンを開始。推進剤充填はスムーズに行われ、ほとんどトラブルは発生しなかった。ロケット主任が途中で居眠りをしたほど、今回の打ち上げは余裕を持って進めることができた。
 打ち上げではロケット追尾局も予定のデータをすべて取得することができた。極めてスムーズな打ち上げだった。

 富岡衛星主任から
 以下数字は仮のものである。日本時間10時49分に衛星分離、10時54分にオーストラリア・パース局で太陽電池パドルの展開を確認。テレメトリと衛星搭載CCDカメラの両方で確認できている。
 現在三周目で、パース局の可視に入っており、太陽電池パドルの発生電力は約8kWであることが確認された。ノミナル7.3kWであり、極めて順調だ。パドルの太陽追尾も動いている。
 明日、打ち上げ後23時間後に衛星間通信アンテナを展開する。明後日、打ち上げ50時間後に合成開口レーダーを展開する。

志村宇宙産業室長 今回の成功は我が国の技術水準の高さを示したもの。関係者の努力のたまものだ。国際的な打ち上げビジネス参入に弾みがつくだろう。
 今後、経産省が共同で開発した合成開口レーダーの用途を、鉱物資源探査から更に広範囲へと広げていく。

以下質疑応答

西日本新聞  3機目の1機目が成功したという観点から意義と意気込みを。また富岡さんには、日本の地球観測衛星が軌道上にあることの感想を教えて下さい。

園田 テレメ送信機についてはめったに起こらないトラブルだった。昨日の設備トラブルも、ロケットについてはほとんどトラブルがない打ち上げだった。これは職員、メーカーのチームワークの結果であり、9号機につなげていきたい。

富岡 パドル展開というクリティカルなシーケンスの最初の一つが成功し、胸をなで下ろしている。今後に控えるクリティカルなシーケンスを確実に進めたい。実運用にはまだ時間がかかると思うが、それをすませれば、ALOSに課せられたミッション達成にがんばっていきたい。

NHK 延期2回の末の成功で胸をなで下ろしていると思うが、これまでのところでもっとも難しかったことは何か。

園田 そんなに難しい打ち上げではなかった。

遠藤 テレメ送信機のトラブルはめったにおきないことが起きてしまった。中身が理解できないような事象があれば止まる。ロケット野郎としては15分の間にすべてをかけるわけで、止めたのは当然だろう。
 昨日についてはこの事象が及ぼす影響が分からず、4時間はずれこんでしまった。一体何が起きたかは、わからなかったが、今日ぐらいスムーズにいけば多分打ち上げはできた。
 しかし、トラブルがどこまで及ぶのが分からない。影響を最小限にしなくてはならない。ブロックハウスの各担当者に、「明日に延期できるか」と聞くと、全員が出来ると言ってきたので、延ばしたほうがいい、と判断が付いた。

共同通信 ロケットはロングノズルでデータを取っているはずだが、順調にデータを取得できたか。衛星のテレメは順調なのか。リアクション・ホイールは大丈夫か。

遠藤 この会見が終わって私が現場に戻ると、関係者全員でデータを持ち寄って検討会を行う。ただしセンサーは一切異常を起こしていないにので問題はないだろう。
 最終的には約一ヶ月をかけて最終的な解析結果をまとめる。今後 9号機に向けた影響の有無を大優先にデータの解析評価をしたい。一週間程度で9号機との共通項目をやりたい。最終的には時間をかけて全体の評価をする。


共同通信 9号機はSSB4本だが、データを使い回すことができるのか。

遠藤 得られた成果をちゃんと使って次の打ち上げに挑むということだ。9号機は長ノズル2機目。実績を評価しないで2機目をやるというのは技術者として出来ない。


富岡 衛星については筑波宇宙センターの衛星管制室に集める。一般に極に近い極は衛星とリンクをとれる時間が長い。現状クイックなデータを落としているだけ。データレコーダーに溜めた衛星ハウスキーピング系のデータをいずれ落として解析をすることになる。
 打ち上げ後3日目まではガスジェット三軸姿勢を制御する。ホイールを使うのは4日目以降。

東京から

朝日新聞 今後地球観測衛星は中型小型で開発することになっているが、「だいち」で得られた知見をどうつかうのか。また9号機の打ち上げスケジュールはどうなるのか。

富岡 結果的にALOSは3つのセンサーを複合的に使う。衛星の総点検委員会というのが実施されているが、そこでは衛星の寿命についての知見が足りないのではないかという議論がでた。ALOSで得られるデータは、中・小型衛星でも使えるはずだ。

園田 すでにスケジュールを検討しているが、私は検討結果を聞いていない。一月中には明確にしたい。2月15日打ち上げはなかなかきびしい、と私は聞いている。今日一日は喜びを噛みしめさせて欲しい。


 筑波から中原追跡ネットワーク主任のコメント。

中原 衛星間アンテナが展開した後、データ中継衛星「こだま」経由の通信を行う。現状は何も問題はない。

東京新聞
 昨日の計測機器不良の原因詳細を知りたい。経済産業省はPULSERデータをどう使うつもりか。

遠藤 現在H-IIAは移動発射台(ML)1とML3とを使っている。ML1とML3ではアラートのパラメーター設定方法が異なる。ML1でML3のテーブルを使ってしまった。ML1にML3のテーブルを使用してしまうと、問題の数値だけML3のデータが送付されてしまう。
 なぜ、ML3のテーブルを使用してしまっったか現状まだ不明。
 今日の打ち上げではML3のテーブルの数値もML1と合わせて、どっちを使っても問題が出ないようにした。

志村 合成開口レーダーのデータはERSDACという組織で画像解析を実施して画像データ化する。今年8月ぐらいからデータ配布を始めたい。

時事通信 「だいち」は10年以上かけた衛星だが、富岡さんはもしも好きに使えるとしたら地上のどこを見てみたいか。

富岡 考えたこともないが、自分の自宅でしょうか。小さいので見えるかどうか分からないが土地の輪郭ぐらいは見えるのではと思う。

西日本新聞 会見冒頭からの話ではさほど不安なく本日を迎えているとのことだが、どういう自信があったのか。

遠藤 居眠りをしたのは2日徹夜をしたから。年齢も年齢だし。トラブルについては制約された時間の中で解決しなくてはならない。だから逆に納得できるまで解決しなくてはならないし、そうでなくては打ち上げてはならない。
 やはり急いで失敗するよりも、遅れたが最後はうまくいくというのが一番。三戸理事も「みんな分かってきた」といっていたが、私も含めて失敗を経験しつつ立ち上がってきているので、皆私と同じ気持ちになっていたのではないか。

富岡 衛星は軌道に入ってから本番。一番心配していたのが太陽電池パドルの展開だった。とりあえず一つ安心した。昨年はリアクションホイールの部品トラブルと、高速データ通信の一部がノイズになってしまうというトラブルが出た。私も含め関係者、特に担当者が「満足行くまで試験を行って直した上で打ち上げたい」として、地上で十分な検証を行うことができた。

園田 ロケットと衛星の主任が自信を持っているなら私としては信じるのみだ。延期になって点検するということは、それだけ信頼性が上がっているということだと理解している。

西日本新聞 衛星の定常運用になってからに、経済産業省としては何を期待しているのか。

志村 我々はPULSERは資源探査を目的に予算化した。それに限らず色々な用途に使って貰って、宇宙利用が拡大すればいいと思っている。

東京と筑波にマイク移るが、質問なし。

種子島にマイク戻る。

鹿児島テレビ 衛星の分離の瞬間、何を感じたか。

園田 ほっとしたと同時にどっと疲れがでた。

遠藤 ロケットは15分の一本勝負で勝負の付く瞬間が衛星分離。だからその瞬間、皆でうわっと喜ぶのが毎回のパターンです。それ以外あまりないです。分離イコール「うわー」です。衛星の方には申し訳ないのだけれど。

富岡 RCCでは、ロケットへは「おめでとう」、衛星には「これからがんばって」という。これがすべてです。

不明 中長期的に何か抱負があれば。

園田 鹿児島から上げるロケットはすべて成功させるというのが、現在の私の役目である。

読売新聞 10年かけた衛星が成功したことについて感想を。

富岡 色々ありました。技術的なつまずきもあったし、資金管理の関係で試験がうまく進まないということもあった。大きな区切りにはなったと思うけれども、衛星はこれから3年(予定した衛星寿命)が勝負。折り返し点を超えたということでしょうか。

西日本新聞 あらためてなんですが、衛星とロケット、お互いに対するコメントを聞きたいです。

遠藤 では私から。ロケットというのは基本的に籠かき。しかも雲助で、でこぼこ道を100km/hで走るような車に乗せて「壊れたらお前のせい」で、分離したら「はいさようなら」なんです。ロケットは長くても30分でお終いだけれども、衛星は場合によっては10年以上。
「衛星を長く役立ててくれ」そして「乗り心地悪くてごめん」です。

富岡 我々、かなり以前からのコンビで「遠ちゃん、健ちゃん」でやってきたんですが、持ちつ持たれつなのかも。遠藤主任は30分の勝負というけれど、時間の長さじゃないんじゃないかと思います。

南日本新聞 今回のトラブルに関して反省点と課題はあるか。

遠藤 ロケットの打ち上げ回数も足りていない状況で、まだまだバグが出てくる状況です。H-IIAというシステムは、まだ成熟していない。世界にこのロケットが出て行くためには、まだまだ成熟させる必要がある。
 打ち上げが延びたことについては、これが商業的な打ち上げ事業になっても立ち止まって信頼性を確保するということは当然ではないかと思う。商業打ち上げでは保険がかかるし、保険会社だって技術スタッフを持って、色々見ているわけで、信頼とコストが両立しないと世界ではやっていけない。ß様々な会社の人たちと協力して(成熟に向けた)課題を達成していきたい。

以上です。

 写真撮影へ 遠藤「もう偉い人撮ったからいいじゃない!」プレスから「あれはダミーです。現場の人を」という声がかかる。


No.968 :午後0時の記者会見第一部 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)14時21分 投稿者 松浦晋也

 午後0時からの成功を受けての記者会見の様子です。

 出席者は写真右から、三戸宰JAXA理事(打ち上げ実施責任者)、立川敬二JAXA理事長、井田久雄文科省大臣官房審議官、松尾弘毅宇宙開発委員会委員長代理。筑波宇宙センターから堀川康理事(衛星管制実施責任者)

 立川理事長、三戸理事の挨拶から。

立川 「だいち」は10年前に計画した衛星だ。色々あったが、今は職員を慰労したい。これまで苦労した関係者に敬意を表するものだ。

三戸理事から衛星の現状について。衛星は打ち上げ後16分30秒で分離した。パドル展開も確認できた。

井田審議官から、ロケットのさらなる信頼性の向上を期待するとのコメント。

松尾 最初の関門パドル展開はクリア。残る2打ち上げを行う2月に向けて、万端の準備を期待する。



以下質疑応答です。

西日本新聞 成功の意義を聞きたい。
三戸 昨年打ち上げたH-IIAの7号機は6号機の信頼回復、リベンジへの第一歩だった。今回は、これからロケットを20機、30機と打ち上げていくための第一歩としてとらえている。二月の9号機連続打ち上げに向けて幸先のの良い第一歩だ。

立川 8号機の打ち上げは若干遅れたが、衛星の部品の問題だった。10年待ったのだから急ぐ必要はない。遅れたことはもうしわけないが、今後も着実に打ち上げを実施していきたい。

NHK 次回の打ち上げの抱負について聞きたい。

三戸 昨日の延期だが、以前ならあのまま突き進んでいたろう。最近のJAXAは失敗に対する反省が浸透しているのかと思った。こういう精神が根付いていけば今後の打ち上げも安心ではないか。もちろん直さなければいけない部分はタイムリーに改善していく。

時事通信 井口雅一宇宙開発委員会委員長が一時期ALOSは中型衛星2機に作り直したほうがいいと言っていたが、どう見ているか。

松尾 ALOSについては総点検で井口先生の発言もあって、大分議論した。もちろん絶対確実とは言えないが我々としては毫も心配を抱いてはいない。

NHK ロングノズルを今回初めて使った。打ち上げは今後民間に移管されるし、ロケットの大型化も進む。今後JAXAはどう宇宙開発を進めていくつもりか。

立川 ロケットは衛星を運ぶツールであり、ツールはツールらしくしていくべき。今後どうやってツール化するかが重要だろう。昨年に続き成功したので、これまでの積み上げは良かったのではないかと思う。これからどのようにスムーズに民間の三菱重工に移管するかを考えていくことになろう。

東京にマイクが移るが質問なし。

堀川理事から衛星追跡についてコメント

堀川 現在順調に衛星は飛行している。衛星についてはこれから4日間のクリティカルフェーズの後、定常運用に移る。今後、データ中継衛星用アンテナや合成開口レーダーの展開があるので、これを慎重に進めていく。

筑波にマイク移るが質問なし。

種子島にマイク戻る。

NHK 「だいち」は国際貢献をしていくということだが、現在具体的な予定はあるのか。

立川 災害チャーターというものに昨年加盟した。今回衛星が上がったことによってやっと我々は一人前の会員になったかと思う。今後ノードセンターを整備して衛星取得データの配布を進める。

西日本新聞 文科省として打ち上げ成功の意義をどう捉えているか。科学技術立国の観点からどう考えているか。

井田 第三期の計画のなかには基幹技術というものが入っている。ロケットについては日本の基幹ロケットH-IIAの信頼性を高めていくことが重要である。ここ数年の信頼性向上の努力の現れと考えている。今後とも信頼性確保がますます重要になると考えている。

 東京と筑波にマイク移るが質問なし。

以上。この後写真撮影の時間が入った。


No.967 :太陽電池パドル展開
投稿日 2006年1月24日(火)12時19分 投稿者 松浦晋也

 地球観測衛星「だいち」(ALOS)は、オーストラリア・パース局による第一可視で、太陽電池パドル展開が確認されました。

No.966 :固体補助ブースター点火 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)11時23分 投稿者 松浦晋也

 打ち上げ後10秒、固体補助ブースター(SSB)点火の瞬間。噴射煙一瞬大きく広がっている。

 撮影:牧野知弘


No.964 :リフトオフ直後 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)11時19分 投稿者 松浦晋也

撮影:牧野知弘


No.963 :ワイドで撮影した打ち上げ ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)11時18分 投稿者 松浦晋也

撮影:牧野知弘


No.962 :後に残る噴射煙 ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)11時03分 投稿者 松浦晋也

 打ち上げ直後、地上と雲を結ぶ噴射煙の柱。

 成功を受けての記者会見は午後0時頃からの予定です。


No.961 :衛星分離
投稿日 2006年1月24日(火)10時50分 投稿者 松浦晋也

 ただいま、衛星分離のアナウンスがありました。打ち上げは成功した模様です。

No.960 :行きました ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)10時46分 投稿者 松浦晋也

 午前10時33分、H-IIAロケット8号機は打ち上げられました。


No.959 :空は晴れそうにありません ●添付画像ファイル
投稿日 2006年1月24日(火)10時07分 投稿者 松浦晋也

 打ち上げまで30分を切りました。ターミナルカウントダウン続行中。

 空は雲がますます厚くなってきています。晴れそうにありません。午前9時55分撮影