宇宙作家クラブ
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No.119 :有人宇宙飛行のパイオニア ギルラス博士死去 他
投稿日 2000年8月18日(金)10時21分 投稿者 江藤 巌

 マーキュリー計画からアポロ計画に至るアメリカの初期の有人宇宙飛行を率いたロバート・R・ギルラス博士が、8月17日に86歳で亡くなった。ギルラス博士は航空技術者としてNASA(米航空宇宙局)の前身であるNACA(全米航空諮問委員会)に入り、1958年のNASA創設と共に有人宇宙飛行計画の指導者となった。1962年の有人宇宙機センター(後のジョンスン宇宙センター)創設に尽力し、1972年のNASA引退まで所長を務めた。ジョンスン宇宙センターの追悼ページNASAの初期の有人宇宙計画の歴史

 アメリカ空軍は8月17日午後7時45分(アメリカ東部夏時間、グリニッジ平均時17日23時45分)に、カリフォーニア州のヴァンデンバーグ空軍基地からタイタン4Bを打ち上げた。ペイロードは秘密とされているが、国家偵察室(NRO)の偵察衛星と思われ、低高度軌道に乗せられた。

 アリアンスペース社(フランス法人)は、8月17日23時16分(GMT)に、フランス領ギアナのクールー宇宙センターからアリアン44LPを打ち上げて、ブラジルサットB4とナイルサット102の2機の通信衛星を静止遷移軌道に乗せるのに成功した。

 スペースシャトル・アトランティス(OV-104)は、8月13日にケネディ宇宙センター(KSC)の機体組立ビルディング(VAB)から移動発射台に載せられて、射点39Bへと移動した。アトランティス(STS-106)は9月8日に打ち上げを予定している。シャトルの現状

No.118 :宇宙開発事業団がNECに不正請求返還を要求
投稿日 2000年8月14日(月)15時55分 投稿者 江藤 巌

 すでに新聞等でも報道されているが、日本電気が宇宙開発事業団(NASDA)に対して過大な請求を行っていたとされる問題に関して、NASDAのサイトで発表があった。NECによる過大請求に係る追加調査結果
及びこれを踏まえた返還請求について
。NASDAはNECに対して過払い額11億円に金利等5億円を加えた損害額計16億円を請求するとともに、NEC系列の日本航空電子工業に対しても平成4年度以前の契約について追加調査を行ない、過払いがあれば請求するとしている。

No.117 :NASAが2003年火星ランダーを計画
投稿日 2000年8月11日(金)13時38分 投稿者 江藤 巌

 火星探査機が2回連続して失敗したため、以後の火星探査計画を根本的に見直していたNASA(米航空宇宙局)だが、このほど2003年に2台のローヴァーを送る計画を公表した。この探査計画は、ジェット推進研究所(JPL)が担当する。JPLの発表
 この構想は1997年のマーズ・パスファインダー(MPF)の延長上にあるもので、
MPFと同じく探査機をバルーンに包んで火星表面に半軟着陸させる方式が採用される。火星表面に着陸したランダーからは6輪のローヴァーが降ろされて、90日以上にわたって着陸地点の周囲を観測する。2機の同型の探査機の最初のランダーは2003年の5月22日に打ち上げを予定しており、2004年1月2日に火星に到着、2号機は2003年6月4日打ち上げ予定で、2004年1月20日に到着する。探査機1号機の製作と打ち上げのコストは合計3億5000万ドルから4億ドル、2号機のコストは2億ドルと見積もられている。

No.115 :ルンバとタンゴ、サルサとサンバ
投稿日 2000年8月11日(金)02時09分 投稿者 江藤 巌

 スターセムは8月9日1113GMTに、カザフスタンのバイコヌール基地からソユース/フレガート打ち上げ機で、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)クラスター科学衛星の3号機と4号機を同時に打ち上げた。クラスター3/4号機はそれぞれルンバ、タンゴと名付けられている。
 クラスター衛星の1号機と2号機は7月16日に同じくスターセムのソユース/フレガートで打ち上げられて、サルサとサンバと命名されている。4機のクラスター衛星は高度19,000kmX119,000kmの長楕円軌道に乗り、太陽の活動が地球の磁気圏に与える影響を観測する。現在は11年ぶりの太陽活動の極大期に当たる。
 スターセムは、ソユース打ち上げ機の商業化のために、ロシアとフランスが設立したコンソーシアムで、フランスのアエロスパシアル・マトラ、アリアンスペースの社と、ロシアの宇宙庁(RKA)、サマラ宇宙センター(TsSKB)プログレスの二つの機関が参加している。スターセムは1996年に設立され、1999年2月以来これまでに10回の打ち上げを行っている。
 ソユース/フレガートは、ロシアが1960年代半ばより使用して来ているソユースの改良型で、フレガート(フリゲイトの意)と名付けた上段を載せている。

No.114 :無人補給船が国際宇宙ステーションとドッキング
投稿日 2000年8月10日(木)00時02分 投稿者 江藤 巌

 ロシアが8月6日にカザフスタン共和国のバイコヌールから打ち上げた無人補給船プログレスM1-3が、9日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。宇宙開発事業団(NASDA)の発表NASA(米航空宇宙局)の発表ドッキングの想像図
 プログレスM1-3は、ISSに軌道修正用の推進剤や水、食料、衣料、機器などを補給するため送られた。プログレスMはソユース有人宇宙機の無人型で、1800kgまでの貨物などを搭載出来る
 今回のプログレスM1-1のミッションは、ISS計画の中ではフライト1Pと呼ばれている。このミッションが先に紹介したISSの組立スケジュールの中に書き込まれていないのは、ロシア独自のミッションと見なされているからである。ロシアの無人補給船打ち上げは、今年11月のISSの有人運用開始までにもう1回予定されている。

No.112 :感謝とおわび
投稿日 2000年8月8日(火)14時08分 投稿者 三島和彦

 8月5・6日に開催された日本SF大会Zero-Conで、田辺英二さんによる個人誌『ロケット システム』の販売が行われました。予定販売分の10冊は、初日に完売。SFファンの宇宙開発に対する関心の高さを証明するものとなりました。売上は全額、田辺英二氏の口座に振込みます。

 購入してくださった皆様、そして、純粋に好意から手数料等なしで販売してくださった、作家の都築由浩さん堀晃さん、また、このボランティア販売計画を可能にしてくれた宇宙作家クラブのネットワークに深く感謝いたします。

 そして、僕は謝らなければなりません。
 当日、「ロケット システム」グループ購入希望者用向けに、名刺サイズの紙に印刷した田辺氏の連絡先・口座のメモを何人かにお渡しいたしました(あのメモは三島が作成したものです)がその口座は存在しません。現在正しい振込み先を問い合わせ中です。

 この件に関するお問い合わせは三島和彦までお願いいたします。また、この件に関するご報告が遅れましたことをお詫びいたします。

 末筆となりましたが、頂点は高く、裾野は広く。宇宙の開拓がさらに進むことを願っております。

No.110 :HOPE-X製作中止?
投稿日 2000年8月3日(木)01時58分 投稿者 江藤 巌

 8月2日付の朝日新聞によれば、科学技術庁は2004年度の打ち上げをめざして開発中だった無人宇宙往還機HOPE-Xの実機製作中止を決め、4日の宇宙開発委員会計画調整部会に報告する。朝日新聞では、最近浮上した再使用型宇宙航空機「スペースプレーン」構想もふまえ、将来の宇宙輸送システム開発計画全体を見直す動きが強まりそうだ、と報じている。Asahi.comの記事。この件に関して公式の発表はまだない。

No.109 :若田宇宙飛行士応援サイト
投稿日 2000年8月2日(水)01時20分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)が、この秋にスペースシャトルSTS-92に搭乗予定の若田光一宇宙飛行士への、応援メッセージと質問を募集している。

若田宇宙飛行士へ応援メッセージを送ろう
 http://jem.tksc.nasda.go.jp/iss/3a/cheer.html)
応募期間
 2000年8月3日〜ディスカバリー号着陸3週間後

若田宇宙飛行士に質問をしよう
 http://jem.tksc.nasda.go.jp/iss/3a/question.html)
応募期間
 2000年8月3日〜ディスカバリー号着陸1週間後

 若田宇宙飛行士の訓練レポートSTS-92/ISSフライト3Aのミッション概要
 STS-92のプレスキット(PDF)は、ここからダウンロード出来る。

 7月29日の108で、ゼニート3SL/PAS-9の打ち上げ時刻を書き落としたが、
グリニッジ平均時29日22時4分である。

No.108 :シー・ローンチ打ち上げ成功
投稿日 2000年7月29日(土)18時10分 投稿者 江藤 巌

 アメリカ・ロシア・ウクライナ・ノルウェイ合弁のシー・ローンチ社が、4回目の打ち上げに成功した。ゼニート3SL打ち上げ機は、パンナムサット社のPAS-9静止通信衛星を軌道に乗せるのに成功した。
 シー・ローンチは、ロシア/ウクライナ製のゼニート3SLを、洋上の移動プラットフォームから打ち上げるユニークな会社である。1999年3月に初の打ち上げを成功させ、最初の商業飛行になる2度目の打ち上げも成功したが、ICOグローバル・コミュニケイションズ社のCIO-F1衛星を載せた2000年3月の3回目の打ち上げは失敗に終わっていた。同社のこれまでの打ち上げ記録

No.107 :第1回宇宙開発事業団改革推進委員会
投稿日 2000年7月28日(金)12時50分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団改革推進委員会の第1回会合が、7月26日に開催された。
宇宙開発事業団改革推進委員会の構成メンバーは以下の通りである。 
委員長
久保田弘敏 東京大学大学院工学系研究科教授
委員
生駒 俊明 日本テキサス・インスツルメンツ(株)代表取締役社長
大橋 秀雄 工学院大学学長
桑原 洋 (株)日立製作所代表取締役副会長
坂内 正夫 東京大学生産技術研究所所長
蛇川 忠暉 トヨタ自動車(株)副社長
立花 隆 ジャーナリスト
鳥井 弘之 日本経済新聞社論説委員
土居 範久 慶應義塾大学理工学部情報工学科教授
中原 恒雄 住友電気工業(株)特別技術顧問
馬場 錬成 読売新聞社論説委員
畚野 信義 (財)テレコム先端技術研究支援センター専務理事
松尾 弘毅 文部省宇宙科学研究所所長
[敬称略、五十音順(委員長除く。)]

 第1回会合の議題は
(1) 宇宙開発事業団改革推進委員会の進め方
(2) 宇宙開発事業団の経営改革についてのアクションプラン
で、出席した委員は
久保田委員長、生駒委員、大橋委員、蛇川委員、鳥井委員、中原委員、馬場委員、畚野委員
であった。
 詳しくは宇宙開発事業団(NASDA)の第1回宇宙開発事業団改革推進委員会の開催結果についてのページを参照のこと。



No.106 :ISS居住棟ドッキングに成功
投稿日 2000年7月26日(水)10時31分 投稿者 江藤 巌

 例のコンコルド墜落事故の余波で、日本では大きく報道されないことになりそうだが、
2週間前にロシアが打ち上げた国際宇宙ステーション(ISS)の居住棟”ズヴェズダー”が、
昨年から軌道を周回している”ザリャー・ユニティ”モジュールとのドッキングに成功した。
NASAのISSステイタス・リポートFLORIDA TODAYCNN

No.105 :21世紀夢の技術展
投稿日 2000年7月21日(金)23時48分 投稿者 江藤 巌

本日(21日)から、日本経済新聞社主催で「21世紀夢の技術展」(愛称:ゆめテク)が、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される。公式HP。会期は8月6日まで。展示は五つの分野に分けられているが、宇宙・海洋開発分野には
宇宙開発事業団(NASDA)
海洋科学技術センター
科学技術庁・航空宇宙技術研究所
国立天文台
東京大学海洋研究所
文部省・宇宙科学研究所(ISAS)
の六つの機関が出品している。

No.104 :LE-7A認定型エンジン試験でターボポンプに損傷
投稿日 2000年7月19日(水)00時01分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)は7月11日に種子島試験場において、H-2Aロケットの第1段エンジンのLE-7Aの第8回認定型エンジン燃焼試験(試験ナンバーS7-165H)を行った。LE-7A No.3エンジンはほぼ予定通りの336秒(計画値350秒)の燃焼を達成したが、試験後の点検で液体水素ターボポンプのガイドプレートとタービン動翼ストッパの損傷が発見された。このため工場で改めて詳細点検を行うことになり、7月21日に予定していた第9回燃焼試験(S7-166H)は延期されることになった。損傷が発見された個所は、7月5日のGTV燃焼試験で異常作動したリフトオフシールの近くだが、直接の関係はないものと思われる。

No.103 :国際宇宙ステーション計画年内の予定
投稿日 2000年7月15日(土)02時58分 投稿者 江藤 巌

 さて、ロシアのズヴェズダー居住棟も無事に軌道に上がったところで、これからの国際宇宙ステーション(ISS)計画の予定だが、まずズヴェズダーはテストの後26日(日本時間)無人で軌道を周回しているザリャー・モジュール/ユニティ・ノードとドッキングすることになっている。ズヴェズダーの打ち上げは、ISSの組み立てスケジュールの中では1Rと呼ばれている。
 これが成功したら、次はスペースシャトルSTS-1062A2bミッションである。今年の9月8日に打ち上げを予定し、7名の乗員を乗せて、11日間飛行する。主な目的は結合した三つのモジュールの点検と内外の艤装である。
 これが成功すると次はSTS-92ミッション3Aで、10月5日に打ち上げを予定している。日本の若田光一を含む7名の乗員が搭乗し、10日間飛行する。STS-92の主な任務は、ユニティ・ノードにPMA-3( Pressurized Mating Adapter - 3)、ITS(Integrated Truss Structure) Z1、CMG(Control Moment Gyros)などを取り付けることである。STS-92ミッション内容若田宇宙飛行士の訓練レポート
 これら二つのシャトル飛行でISSの形が整えられると、いよいよ恒久的な宇宙滞在が開始される。国際宇宙ステーションの第1回滞在(Expedition 1と呼ばれる)の要員として指名されているのは、アメリカ人の海軍大佐ウィリアム・M・シェパード、ロシア人の空軍大佐ユーリ・P・ギジェンコ、ロシア人のエンジニアのセルゲイ・K・クリカリョフの3名である。3人とも宇宙飛行経験を有するベテラン宇宙飛行士で、10月30日にカザフスタン共和国のバイコヌール基地からロシアのソユースTM(204)に乗って飛び立ち、ISSに乗り移って4ヶ月間内部で生活する。ミッション概要
 彼等がISSに滞在中の11月30日に、STS-97ミッション4Aが打ち上げられる。STS-97では9日間の飛行中に、先にSTS-92で取り付けたPMA-3に太陽電池アレイやラジエーターを取り付けることになっている。
 この4Aで年内のミッションは終わりで、予定通りであれば、最初の3名の滞在宇宙飛行士達の帰還は21世紀になる。

No.102 :LE-7A欠陥報道について
投稿日 2000年7月13日(木)00時26分 投稿者 江藤 巌

 一部に設計上の欠陥との報道もあった、LE-7Aの地上燃焼試験における炎について、
宇宙開発事業団(NASDA)から正式な発表があった。
 詳しくは発表文を見ていただくとして、今回問題になった「後燃え」(正規の燃焼を終えた後のロケット・モーターのノズルから炎が吹き出した現象)は、LE-7Aが100秒間(予定通り)の燃焼を終えてエンジンを停止した後に、燃料(液体水素)ターボ・ポンプ(FTP)のポンプ側からタービン側に少量の低温水素が漏洩し、主燃焼室からノズルへと抜けて、大気中の酸素により燃焼したものと見られる。
 FTPのポンプ側とタービン側とは、リフトオフシールで仕切られており、燃焼中にはポンプの吐出圧力によりばねが縮んでシールが開いて水素ガスがタービン側に流入、タービンを冷却するようになっている。エンジンが停止して吐出圧力が低下すれば、ばねが伸びてシールが閉まるはずである。
 7月5日の第3回燃焼試験では、このリフトオフシールがなんらかの理由で開いたままになり、低温水素がタービン側に漏洩したものと推測できるが、問題のシールを常温の状態で検査したところ漏洩は認められなかった。燃料系統に混入した水分の氷結あるいは異物の混入(コンタミネイション)などが原因とも考えられるが、メーカーにて問題のFTPの詳細な分解点検を実施することになった。
 実際の打ち上げでは、例え少量の水素が主燃焼室に漏れ出たとしても、周囲に酸素がないので後燃えは起こらず、その後の飛行に支障はないであろう。NASDAでは、「原因が現在想定している範囲であれば、大きな設計変更にいたることはなく、次回のGTV-1が当初計画より遅れるが、GTV-1終了後の種子島における打上げに向けた準備作業には余裕があるため、試験機1号機の打上げに影響は無いと考えられる」としている。
 NASDAのこの説明が正しいとすれば、LE-7Aエンジンに欠陥があり、設計変更が必要とする7月12日付読売新聞の報道は勇み足であったと言えよう。

NASDAの”ズヴェズダー”打ち上げ成功発表文
山之内NASDA理事長談話
毛利宇宙飛行士談話
NASDAの国際宇宙ステーションのサイト