投稿日 2006年12月16日(土)08時39分 投稿者 松浦晋也
午前8時からの延期記者会見の様子です。出席者は佐藤寿晃企画主任。
佐藤:昨日概要を話した天気の件について回復の見込みがないので打ち上げを延期した。
雲の中でプラスとマイナスの電荷が分離すると雷が発生する。雲の中をロケットが高温の噴射ガスを吹きつつ通り抜けるが、噴射ガスが電荷を強めることが分かっている。
気温0℃の層から-20℃の層の間が1.8km以上の厚みがある場合、打ち上げを行わないという制限を設けており、本日はその制限に抵触した。
16日午前2時のゾンデ(風船)観測で、0℃層が高度3300m、-20℃が7200m。この間に雲が存在するかが問題となる。-20℃層を挟む6000mから8800mの間に雲が出ており、条件に抵触する。また、我々の解析と気象庁の予報の両方で、16日はより低い高度で雲が厚くなっていくという結果がでた。
昨日の午後4時半の時点では南西から北東に流れる雲の帯が切れかけており、その切れ目を狙って打ち上げれば大丈夫だろうという判断だった。しかしその後、大陸側の高気圧の押しが予想よりも弱く、16日午後3時に向けて雲が薄くなる見込みがないと判断した。
現在1〜2日周期で天候が頻繁に変わっている。17日は風速が14m/sを超えるという予報が出ている。風速20m/s以下という条件は満たしており打ち上げ準備ができないわけではないが、打ち上げられるかどうか判断に迷うことになるだろう。
18日には移動性高気圧が日本列島を覆い天候が回復する可能性が高い。このため、打ち上げを17日ではなく18日に延期した。ロケット衛星込みで586億円の大型プロジェクトなので、ここは賭けに出るところではないと判断した。
機体は今後午前9時半から10時にかけて組み立て棟に戻す予定。今日の作業は午後3時ぐらいまでかかる。17日午前0時から、再度打ち上げに向けた作業を開始する。
鹿児島テレビ:打ち上げ延期を決めた正確な時刻を知りたい。
佐藤:昨日午後4時半の判断は雲が切れるということでGOと判断した。午後11時の判断では、気象庁の最新データが揃っていなかったので、機体を出せるかどうかをメインに判断を行った。その後推進剤を充填すると、打ち上げ中止にしてから打ち上げ再開に中5日かかる。このため推進剤充填の前、午前5時20分に中止の判断を行った。
鹿児島テレビ:延期によるコストはどのていどか。
天気がよければ出しっぱなしもできるが、明日天候が悪いということなので、機体をいったん戻す。延期費用は正確には積み上げなければ分からないが、1日3000万〜4000万はかかる。巨大プロジェクトなのでこの程度のコストは仕方ないと考えている。
NHK:打ち上げ時刻は午後3時32分でいいのか。
佐藤:現状ではそうだが、毎日行う衝突解析の結果によっては変更される可能性もある。
NHK:明日、作業は夜からだが、昼間の天候判断はどうするのか。
佐藤:午前11時、午後11時です。天候変化によっては臨時の判断が挟まるかもしれない。
以上です。
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