宇宙作家クラブ
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No.134 :最年少宇宙飛行記録
投稿日 2000年9月21日(木)22時34分 投稿者 江藤 巌

 ひとつ書き落としたが、チトフはヴォストーク2の飛行時に年齢25歳と11カ月で、これは宇宙飛行の最年少記録である。現在は宇宙飛行士には肉体的な若さよりも、豊かな経験や学識が求められているので、この記録が破られることはおそらく当分はないであろう。

No.133 :宇宙飛行士第2号チトフ死去
投稿日 2000年9月21日(木)22時31分 投稿者 江藤 巌

 人類史上二番目に地球軌道を飛んだ旧ソ連の宇宙飛行士ゲルマン・ステパノヴィッチ・チトフが、20日にモスクワで亡くなった。享年65。
 チトフはモスクワ市内の自分のアパートメントのサウナで死亡しているのが発見され、警察では一酸化炭素中毒による事故死と見ている。
 ゲルマン・ステパノヴィッチ・チトフは1935年9月11日生まれ。
空軍のパイロットだったチトフは、1960年に他の19人とともにソ連最初の宇宙飛行士に選ばれ、1961年4月ヴォストーク1の史上最初の軌道飛行でY・A・ガガーリンのバックアップを務めた。チトフ自身も同年8月6日にヴォストーク2で25時間18分の飛行を行い、地球軌道を周回した二人目の人間となるとともに、初めて軌道上で1日以上を過ごし、食事や睡眠を取った。またチトフは、いわゆる「宇宙酔い」の症状を初めて明かにもした。
 チトフの宇宙飛行はけっきょくこの1回だけで、1970年代以降は事実上引退した宇宙飛行士として過ごした。1995年以来ロシア下院の議員を務めていた。
各サイトの訃報。FLORIDA TODAY Space OnlineSPACEDAILYCNNEncyclopedia Astronauticaのチトフの経歴

No.132 :アトランティス着陸
投稿日 2000年9月20日(水)17時03分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスは、日本時間午後4時56分(現地時間午前3時56分)に、ケネディ宇宙センターの滑走路15に着陸した。
 次はシャトルのミッションは、通算100回目の打ち上げとなるSTS-92である。

No.131 :アトランティスまもなく着陸
投稿日 2000年9月20日(水)12時37分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスはSTS-106を終えて、まもなくケネディ宇宙センター(KSC)に帰還する予定である。
着陸予定時刻は東部夏時間で20日の午前3時56分、グリニッジ平均時(GMT)で同日7時56分、日本時間では午後4時56分の予定。FLORIDA TODAYのミッション速報
 アトランティスの再突入コースはここで見ることが出来る。国際宇宙ステーション(ISS)関連のミッションは、軌道傾斜角が大きいので、従来のシャトルの帰還よりも南寄りからKSCに進入することになる。
 シャトルから見たISSをかげろうのようだと形容したが、もっと鮮明なISSの映像が公表された。

 ところで、次のシャトル・ミッション(STS-92)が無事完了すると、いよいよISSに常住クルーが乗り込むことになるが、彼等が軌道上から行うTV中継の絵コンテが公表されている。実際に行われる放送とどれくらい違っているか、見比べるのも一興かもしれない。

 NASAのX-33計画の問題を衝いた記事が向こうで問題になっているようだ。
"I think the X-33 will never fly, and I'm not alone in that opinion,"
 私も同意したい気になってきた。このままだとX-30の二の舞にしかならない。

No.130 :蜉蝣
投稿日 2000年9月19日(火)02時58分 投稿者 江藤 巌

 ミール宇宙ステーションの実態を描いた「ドラゴンフライ」(ブライアン・バロウ)と言う本があるが、スペースシャトル・アトランティスから眺めた国際宇宙ステーション(ISS)の姿も、まさにドラゴンフライを思わせる。

No.129 :アトランティス帰還へ
投稿日 2000年9月18日(月)13時51分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスは、国際宇宙ステーション(ISS)との8日間のドッキング飛行を終えて、18日にISSとのドッキングを解いた。アトランティスは20日の帰還に向けて準備に入るが、ケネディ宇宙センターのあるフロリダ州にはハリケーン”ゴードン”が接近しており、天候を理由に帰還が延期されるか、カリフォーニア州のエドワーズ空軍基地に着陸地点が変更になる可能性もないではない。KSCの気象現況
 アトランティスのSTS-106ミッションの主な目的はISSの内外の艤装と補給物資の運び込みで、宇宙飛行士は食料や衣類、筆記用具、歯ブラシ歯磨きなど日常生活用品を中心に、約3000kgの物資をアトランティスからISS内部に運び込んだ。また自転車型の運動用具やトイレットを取り付けた。
 先のニュースで作業が遅れたため飛行時間を延長すると書いたが、実際にはその逆で、作業が順調に進みすぎたために地上側がそれではと追加の作業を指示し、それをこなすため飛行が一日延長されたと言うのが実状のようである。
 アトランティスの着陸は、20日の東部夏時間午前3時50分の予定。シャトルのスケジュール
 シャトルの次の飛行は、若田光一宇宙飛行士の乗るSTS-92だが、ハリケーンの接近で準備作業に支障が生じた場合には、10月5日に予定されている打ち上げが多少遅れるかもしれない。

No.128 :アトランティスのミッション延長
投稿日 2000年9月13日(水)01時58分 投稿者 江藤 巌

 国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングしているスペースシャトル・アトランティスでは、
NASAのエドワード・ツァン・ルーと、ウクライナ生まれのロシアの宇宙飛行士ユーリー・I・マレンチェンコとが
9月10日に6時間にわたるEVA(船外活動)を行い、ISSの外壁に通信と送電のケーブルを取り付けた。
続いて11日深夜(米東部夏時間)にはISSとの間のハッチが開かれて、宇宙飛行士がISSの内部に入った。
アトランティスの宇宙飛行士は現在はISSの内部に食料や機器を運び込んでいるところだが、
作業が意外に手間取っているため、NASAではアトランティスのミッションを1日延長することも検討している。
ミッションが延長された場合、アトランティスの帰還は9月20日の東部夏時間午前4時30分になる。

No.127 :アトランティスISSとドッキング
投稿日 2000年9月10日(日)15時52分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスは、10日の米東部夏時間午前1時51分37秒に、国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングした。アトランティスの7人の乗員は、ISSの艤装作業に取り掛かる。
 STS-106/フライト2A.2bの詳しい進行は、チェックリスト(pdf)で見ることが出来る。SPACEREF.COMのSTS-106ミッション概要
 _STS-106では、二人のミッション・スペシャリストがEVA(Extra-Vehicular Activity=船外活動)を行う。このEVAは、シャトル計画にとっては50回目のEVAとなる。シャトルのEVAと宇宙服については、ここ(pdf)を参照。

No.126 :アトランティス打ち上げ
投稿日 2000年9月8日(金)23時30分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスは、計画通り8日のアメリカ東部夏時間時午前8時45分、フロリダ州のケネディ宇宙センターから、STS-106/フライト2A.2bに飛び立った。帰還は19日の予定。

No.125 :第一回微小重力科学国際公募
投稿日 2000年9月7日(木)10時46分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載する実験装置を利用した微小重力科学分野の宇宙実験テーマを国際的に募集する。詳細はここに

No.124 :STS-92延期の可能性
投稿日 2000年9月6日(水)15時27分 投稿者 江藤 巌

 すでにこの掲示板にも書いたとおり、若田光一宇宙飛行士の搭乗するスペースシャトルのミッションSTS-92/フライト3Aが、延期される可能性が出て来た。
 STS-92に搭載されて国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられるZ1トラスに搭載されているコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)は、温度センサーに異常が発見されており、問題の解消には12ヶ月から15ヶ月間を要すると推定されている。このためNASAでは、STS-92の打ち上げを1年以上延期するか、異常を抱えたままCMGを打ち上げるか、あるいはZ1からCMGを降ろしてSTS-92を打ち上げ、後で別のミッションでCMGを送り込むか、三つの代替案から選択を迫られている。
 また2001年の1月18日に打ち上げを予定していたSTS-98フライト5Aも、一月から二月延期される可能性が高い。コンピューターとソフトウェアに問題が発見されたため。フライト5Aは、ISSにアメリカの研究モジュール(研究棟)”デスティニー”を取り付けるミッションである。

No.123 :STS-106カウントダウン開始他
投稿日 2000年9月6日(水)02時49分 投稿者 江藤 巌

 NASA(米航空宇宙局)は、スペースシャトルOV-104アトランティスのミッションSTS-106に向けたカウントダウンを開始した。STS-106は、シャトルにとっては99回目の打ち上げになる。現在の予定では、STS-106の打ち上げは9月8日の午前8時45分(現地時間)に予定され、帰還は9月19日になる。ローンチ・ウィンドウは2.5分と、これまでのシャトル打ち上げでももっとも狭い。STS-106/フライト2A.2bの主な目的は、国際宇宙ステーション(ISS)の内外の艤装と補給物資運び込みである。NASAのカウントダウン・オンライン

 インターナショナル・ローンチ・サーヴィセズ社は9月5日に、カザフスタンのバイコヌール基地からプロトン打ち上げ機で米シリアス・サテライト・レイディオ社の放送衛星シリアス2を打ち上げるのに成功した。ILSは米ロッキード・マーティン社と露フルニチェフ社、エネルギヤ社の合弁企業である。ILSのプレス・レリース

 繰り返し使用可能な低コストの打ち上げ手段開発を目指すNASAのX-33X-34の計画が、どちらも技術的問題から大幅に遅れているようだ。
 まず大型のX-33だが、複合材料製の液体水素タンクがテストで剥離を起こす重大問題が生じた。開発メーカーのロッキード・マーティン社では、タンクを軽合金で造り直すことも含めて検討中だが、まだ解決の目途は立っていない。当初の計画では今年の半ばに予定されていたX-33無人実験機の初飛行は、早くとも2002年の後半にずれ込む見通しである。X-33計画の現状
 小型のX-34の方も、すでに無人の実験機が完成しているものの、今年末の初飛行の予定が大幅に遅れて2002年になりそうである。また実験計画も縮小されて、最大速度はマッハ8からマッハ2.5へ、飛行回数は27回から6回へとダウンしている。X-34はオービタル・サイエンシズ社(OSC)が開発している。OSCのX-34のサイト
 このようにX-33とX-34のどちらも技術的問題を抱え、開発コスト超過が予想されるだけに、今後計画が縮小される、あるいはキャンセルされる可能性も考えられる。
 
 ボーイング・スペース・システムズ社が8月23日に打ち上げたデルタ3の3号機が、同社の言うような成功ではなく、実質的には部分的な成功(あるいは部分的な失敗)しか収めていなかったのではなかったかとの議論が提示されている。
 デルタ3の3号機は、ボーイング社の試験ペイロードを近地点185kmX遠地点25408kmの長楕円軌道(静止遷移軌道)に投入する計画になっていた。しかし実際にはペイロードは、正確な原因は不明だが、153kmX20671kmの軌道にしか乗れなかった。もしこれが商業ペイロード(静止衛星)だとすると、不足する高度を引き上げるために姿勢/位置制御用の推進剤を消費することになり、衛星の軌道寿命が短くならざるを得ない。衛星打ち上げ保険を扱う保険会社では、この場合打ち上げ失敗として保険の支払いを請求されることも有り得るとしている。
 これに対してボーイング社では、打ち上げ当日の大気の状態を考えれば、目標とする軌道は181kmX23378kmに変換され、軌道のずれは指摘されるほど大きくないと主張している。しかし識者からは、そもそも計画軌道は打ち上げ当日の気象条件によって変動するようなものではないとの指摘がなされており、ボーイングの主張は「ボールを蹴ってからゴールを移動させるようなもの」とも揶揄されている。
 ボーイングが開発したデルタ3は、1998年の1号機、1999年の2号機の打ち上げが連続して失敗に終わっており、このため同社は3号機には有償の商業ペイロードを搭載せず、自社の試験ペイロードのみを載せて背水の陣を期していた。同社としては、3号機の打ち上げは断乎として失敗と言われたくないようである。

 

No.122 :デルタ3 三度目の正直
投稿日 2000年8月23日(水)22時49分 投稿者 江藤 巌

 ボーイング・スペース・システムズ社は8月23日の東部夏時間7時5分(1105GMT)に、ケイプ・カナヴェラル空軍ステーションから、デルタ3の3号機を打ち上げ、ペイロードの模擬衛星を計画通りの軌道に投入するのに成功した。ボーイング社の発表
 ボーイングのデルタ3は、1960年代初期から使われている同社(旧ダグラス系)のデルタ打ち上げ機シリーズの最新型である。デルタ3は1998年8月にデビューしたものの、打ち上げ71秒でに空中爆発して衛星と共に失われ、1999年5月の2号機も第2段の異常で衛星を所定の軌道に投入することに失敗していた。相次ぐ失敗で窮地に立たされたボーイング社では、デルタ3の3号機には有償の商用ペイロードの代わりに質量4,300kgの模擬衛星ペイロードを積んで、打ち上げ能力を実証しようとしていた。
 今回の成功で、デルタ3は再び商業衛星打ち上げの国際市場に加わることとなる。ちなみにデルタ3の推進剤タンクは、日本の三菱重工業が製作している。

No.121 :H-2A地上試験
投稿日 2000年8月23日(水)22時21分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)は、8月23日午後4時30分に種子島宇宙センター大型ロケット発射場において、H-2Aロケットの地上試験機(GTV-1)の第1段燃焼試験(第4回)を行った。第1段のLE-7Aエンジンは計画通り150秒間燃焼し、その他のデータもほぼ計画通りであった。これでH-2Aは来年春のデビューに向けた関門をひとつクリアしたことになる。NASDAの発表文画像
 H-2Aロケット概要H-2Aロケット開発状況

No.120 :LE-7A燃焼試験でボルト損傷発見
投稿日 2000年8月19日(土)11時46分 投稿者 江藤 巌

 8月7日に種子島宇宙センターで行われたLE-7A認定型エンジンの燃焼試験(350秒)の実施後の分解点検で、液体水素ターボポンプ(FTP)の部品(ボルト)が損傷していたことが判明した。宇宙開発事業団(NASDA)の発表文

 NASDAの若田光一宇宙飛行士も搭乗するスペースシャトルSTS-92フライト3A)の打ち上げが、当初の予定の今年10月5日よりやや送れる可能性が出て来た。これはSTS-92に搭載されるコントロール・モーメント・ジャイロに修理の必要が生じたため。FLORIDA TODAYの記事
 ちなみに、20世紀最後のシャトル打ち上げとなるSTS-92は、シャトル計画で100番目の飛行となる。STS-92には、女性パイロットを含む7人の宇宙飛行士が搭乗する。