宇宙作家クラブ
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No.1591 :WE WISHの展開機構
投稿日 2012年6月26日(火)05時36分 投稿者 柴田孔明

WE WISHの展開機構の部分。PEラインという細い糸が張られていて、これが電熱線で切れることにより、アンテナ等が飛び出す仕組みです。
(※先にPラインと書きましたがPEラインが正しいようです)

No.1590 :小型衛星集合写真 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)01時07分 投稿者 柴田孔明

5機は並べて公開されました。奥から2番目のRAIKO(2Uサイズ)の丸い部分が膜を展開する部分です。なお、いちばん奥に少し見えているのが先日公開された放出機構です。


No.1589 :NASA側の衛星その2 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)01時03分 投稿者 柴田孔明

TechEd Sat。太陽電池が三角形で、他と異なる。各衛星のピンで、これだけ特に目立つものが取り付けられている。


No.1588 :NASA側の衛星その1 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)01時00分 投稿者 柴田孔明

NASA側の衛星。NanoRacksCubeSat-1 F-1。スライドスイッチやチップが表面に確認できます。


No.1587 :WE WISH ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)00時56分 投稿者 柴田孔明

明星電気株式会社のWE WISH。小型熱赤外線カメラ(丸い部分)を搭載しており、これは非冷却で使用可能。アマチュア帯で送信するため、受信設備があれば取得可能で、方法などは公開予定とのことです。


No.1586 :FITSAT−1 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)00時50分 投稿者 柴田孔明

FITSAT-1。福岡工業大学小型衛星プロジェクト。主ミッションは小型衛星用高速送信モジュールの実証実験だが、副ミッションの高出力LEDによる可視光通信実験が目立つ。写真はLEDが取り付けられた面。


No.1585 :RAIKO ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)00時45分 投稿者 柴田孔明

超小型衛星RAIKO。50kg級からスピンオフした2.6kgのハイスペック2Uサイズキューブサット。カメラ3台、降下用の展開膜などを内蔵しています。
和歌山大学、東北大学、東京大学の合同チームプロジェクト。


No.1584 :小型衛星の公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月26日(火)00時40分 投稿者 柴田孔明

2012年6月25日午後2時15分よりJAXA筑波宇宙センターにて、国際宇宙ステーション(ISS)から放出の小型衛星の報道公開が行われました。
(※一部敬称を略させていただきました)

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 有人宇宙開発ミッション本部 有人宇宙技術センター 主任開発員 土井 忍 (※小型衛星放出ミッション)
和歌山大学 宇宙研究所所長/特任教授 秋山 演亮 (※RAIKO)
東北大学 大学院工学研究科・工学部 助教 坂本 祐二 (※RAIKO)
福岡工業大学 情報工学科 教授 田中 卓史 (※FITSAT−1)
明星電気株式会社 技術開発部 装置開発部 永峰 健太 (※WE WISH)

・小型衛星に関する説明(抜粋)
・「きぼう」からの小型衛星放出ミッションとは
 1.「きぼう」からの小型衛星放出ミッションの特徴
 ・ISSの中で唯一、「きぼう」だけがもつエアロックとロボットアームの組み合わせにより、「船外活動なしに、衛星を放出することかできる」
 →打ち上げ環境条件が厳しくない。ISS向けの船内貨物として打ち上げるので、振動等の打ち上げ条件が緩い。
 →打ち上げ機会が多い
  (各国のISS向け輸送機が利用できる)
 →打ち上げ後、軌道上でのクルーによる事前チェックアウトが可能。
  (より確実なミッション達成)

 (※今回の小型衛星は、ISSから放出された時から「衛星」になります。H-IIBロケット3号機打ち上げの段階ではまだ衛星になっておらずペイロードの一部です)

 2.技術実証ミッションとは
 ・定常的な利用機会の提供に向けて、放出システムの軌道上検証、利用者とのインターフェース条件、衛星放出までのプロセス・運用手順の確立を図る。
 →技術実証ミッションを通じて「きぼう」からの小型衛星放出機会を広く周知し、合わせて「きぼう」の多様な利用拡大を図る。
 →技術実証ミッションでは、JAXA公募衛星を3機、NASAが提供する衛星を2機放出する。

・超小型衛星「RAIKO」 (※今回、他の衛星が1Uサイズの中、これのみ2Uサイズ)
 1.合計3台のカメラで「国際宇宙ステーション」「地球」「星」を撮像。
  ※カラー広角CMOS、カラー魚眼CCD、モノクロCCD。
  ※衛星放出から30分以内に国際宇宙ステーションの画像を46枚撮像。
  ※タイマコマンド機能で、日本に限らず任意の時刻で撮像が可能。
 2.キューブサットとしては異例の高速データ通信(通常38.4kbps、最大500kbps)
  ※2.2Ghz帯送信機、13Ghz帯送信機、13Ghz帯ビーコン送信機の合計3台。
  (※キューブサットの場合、通常はアマチュア無線の利用が多い)
 3.一辺50cmの膜を展開して高度300kmから急速軌道降下する実験。

・FITSAT−1「にわか衛星」 (※にわか→「博多にわか」より)
 ・衛星撮像画像(jpeg VGA)を4〜6秒で送る。(5.8Ghz帯、115.2kbps、FSK、RF2W)
 ・副ミッションとして高出力LEDによる可視光通信実験(人工星を作る)
 →夜空にモールスコードで字を書く。時間と観測可能な場所はネットでアナウンスする。
 (※北半球向けには緑のLED、南半球には赤色LEDを使用する。これは衛星が永久磁石により方位磁針のように常に磁北を向くため。当初は底面の緑だけだったが、南半球では宇宙を向いてしまう。そのため反対側にも追加した)

・「WE WISH」ミッション概要
 1.開発コンセプト
  ・環境計測を通して人と社会の豊かな環境作りに貢献する。
  ・人工衛星による観測を一般化し、地球環境の監視・調査を望む多くの人々に、その観測手段を提供する。
 2.ミッションの内容
  ・国際宇宙ステーション(ISS)日本実験モジュール(きぼう)から放出後、軌道上から小型熱赤外線カメラにより、地表面の温度分布を観測する。

 ・小型衛星データの利用促進(※小型熱赤外カメラを搭載する)
  ・植生、地表温度の観測(農業資源、温暖化、環境破壊の監視等)
  ・海洋温度分布の観測
  ・市販のアマチュア無線機で観測できる。
   ※送信周波数430Mhz帯、受信周波数145Mhz帯。
  ※社員有志による明星アマチュア無線クラブHPからデータ取得方法を公開。
 ・地域技術教育への貢献
  ・近隣中学・高校での講演、開発見学会の開催、データ受信協力

  (※衛星の太陽電池パドルやアンテナ・ブームの展開は、メジャー(巻尺)のような材質と機構で、なかなか凄い勢いで展開します。展開前はPラインと呼ばれる釣り糸のようなもので押さえていて、これを電熱線で熱してカットするそうです)

・質疑応答

朝日新聞:タイムテーブルと星出宇宙飛行士の作業についてお聞きしたい。
土井:ISSでのスケジュールは2週間前から調整するので確定していない。衛星は放出30分後から本格的な運用が始まる。放出は放出機構#1側の2機(RAIKO,WE WISH)から行われる。インターバル時間(調整中)を経て、続いて放出機構#2側の3機(FITSAT-1,NanoRacksCubeSat-1 F-1,TechEd Sat)の順となる。

毎日新聞:意義と今後について。
土井:小型衛星のニーズは内外で多いが、打ち上げロケットが制限されている。今回の方法が貢献できれば良い。

日本テレビ:ロボットアームで放出するのは星出宇宙飛行士なのか。
土井:まだ調整中である。地上からも軌道からもコマンドが送れる。最初のもの星出宇宙飛行士が起動する予定。

読売新聞:それぞれの衛星の制作費をお聞きしたい。
RAIKOは通信基盤を新規開発したため費用がかかった。3年で3千万。
FITSAT-1は地上局も含めると1千万で、衛星は700万くらい。
WE WISHは2千万程度。

不明:NASA提供の衛星の目的などをお聞きしたい。
土井:これらの衛星についてはNASAか対応する。
 (※当初、これら衛星の公開は予定されておらず、当日になって追加公開された。NanoRacksCubeSat-1 F-1は、CubeSat Magnetometer実証実験、C328低解像度カメラの実証実験、温度センサの実証実験が行われる。TechEd SatはSPA Hardware/Softwareの実証実験が行われる。解説員などの参加は、今回は無し)

フリー・林:軌道の高度が低いが、このミッションの意義はどういった点か。小型衛星は営利目的では参加できないが、明星電気はどういった目的で参加したのか。
秋山:教育と技術革新のための手段である。この高度は薄いながらまだ大気があるが、いろいろな実験を行いたい。
永峰:非営利で社会貢献のため活動している。また、衛星を1から開発する事はチャンスであった。若手の鍛錬の機会にもなる。
小型衛星のビジネス面では、これより大きいサイズにもチャレンジしたい。

東京新聞:今回担当する星出宇宙飛行士に何か一言。
坂本:最後の手順書は学生が書いたが、星出宇宙飛行士がやってくれるというので日本語で書いた。英語だと微妙な所で間違いが出るかもしれないので、ありがたい。
田中:ピンを抜くのを忘れないでねと(笑)。
永峰:やさしくピンを抜いてねと(笑)。どうかご無事に。
 (※各衛星は起動するためのピンが挿入されており、放出前に宇宙飛行士が抜き去る事になっている。忘れると起動しないので非常に重要である。柴田の想像ですが、抜き去ったピンを確認するまでは衛星の制作者は落ち着かないでしょう)

フリー・大塚:宇宙ステーション補給機(HTV)で打ち上げるが、ロケットに直接搭載する場合と比較してどうか。有人であることの影響は何かあるか。
坂本:数字の面で打ち上げ要求は低い。振動試験も半分以下である。だが手間は変わらない。振動が大きい(過振動)場合でもトラブルが出にくいメリットがある。
シャープエッジには気を遣った。書面だけでなく実際に確認した。3週間前に5ミリの削り忘れが判明してしまい、分解せずそのまま削って表面処理をした。

NVS斉藤:今日が衛星の引き渡しだが、学生の士気などをお聞きしたい。
坂本:さきほどの衛星公開時に、私が触れられなかったのは、衛星の作業を学生が担当していて、私がやると壊す危険があるため。彼等が殆どの作業を全て行っていて、この一週間はドタバタしていた。日曜の昼に完成し、早く上がって結果を知りたいという気持ちがある。しかしバグがあると困るので心配。
田中:昨日最終チェックをして、ようやく早く帰れた。ほっとしている。
永峰:地域の中高生が来て開発を見ているが、A4用紙にぎっしりと報告が来て、かなり熱い内容であった。

以上です。


No.1583 :再掲載・HTV3概要説明 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月1日(金)21時45分 投稿者 柴田孔明

 平成24年6月1日、種子島宇宙センターの第2衛星フェアリング組立棟で、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の機体公開が行われました。
 (※一部敬称を略させていただきました)
 (※氏名に誤りがあったため、再掲載いたします。大変申し訳ありませんでした)

・概要説明
登壇者:有人宇宙環境利用ミッション本部
HTVプロジェクトマネージャ 小鑓 幸雄
・「こうのとり」の特徴
 唯一の大型輸送能力(大型ラック、船外実験装置等)
 世界に先駆けた有人対応ランデブ・キャプチャ技術
・「こうのとり」3号機の特徴。
 →開発フェーズから運用・利用フェーズへ

 ・ISSの利用を拡大するための利便性改善
  ・直前の物資搭載能力の改善
  ※7/10〜14に62個、7/18に3個のバッグを搭載予定。
  ※ドラゴンやプログレスは1日前まで搭載可能だが量が少ない。
   ATVはHTVより多く積めるが、現状では3週間前までに搭載を終える必要がある。
  ・軌道上へ予備品緊急輸送
  ※触媒反応器(水再生システム)、「きぼう」用冷却水循環ポンプ

 ・機体開発の完了
  ・主要機器の国産化(技術の完成)
  ※エンジン、スラスタ、通信装置(トランスポンダ、ダイプレクサ、アンテナ)を国産化。
  ※暴露パレットを多目的暴露パレットに変更。
 ・こうのとりの技術輸出(国際競争力のある技術の蓄積)
  ※電池セルやメインスラスタの類似品、近傍接近システムの輸出や、シグナス宇宙船の運用支援等。

 ・有人宇宙開発等に向けたデータ取得
  ・国内企業との共同開発(再突入データ収集装置)
  →「こうのとり」3号は、再突入時のHTV時の破壊状況を観測する[i−Ball]と[REBR]を搭載。i−Ballはカメラを搭載し、与圧部内とカプセル後方を再突入時に撮影。姿勢制御をしていないので、データがとれればエクストラ。パラシュート開傘により減速。着水後、イリジウムで通信する。REBR(Reentry Breakup Recorder)は弾道飛行のまま落下し着水する。

 ・HTV3の再突入後、燃え尽きない部分はニュージーランドの東の海上に落下予定。
 ・小型衛星放出機構を搭載し、5つの小型衛星をISSから放出予定。

・今後のスケジュール
 ・現在 全機点検作業
 ・6月6日 推進薬充填開始
 ・7月10〜18日 約65個の輸送バッグを搭載
 ・7月21日 打ち上げ

・運用管制
 ・約6日間のランデブ(ISSへの接近・飛行)期間
 ・7月27日 ロボットアーム捕獲地点到着予定
 ・約30日間のISS滞在
 ・8月27日 離脱、再突入予定


・質疑応答
鹿児島テレビ・アメリカのドラゴンなど、他の輸送機に対する「こうのとり」の強みは何か。
小鑓・ドラゴンは回収が強みだが、こうのとりは大きな物を運べる。標準実験ラック、暴露で使う大型機器、バッテリーなどが運べる唯一の機種。

不明・打ち上げ日と時間を教えていただきたい。
小鑓・現状では7月21日の午前11時09分頃。
※宇宙ステーションの軌道により今後変更あり。

南日本新聞・資料の記述場所によって「こうのとり」の全長が異なるが、厳密には9.8メートルで良いか。(※約10メートルと9.8メートルがあった)
小鑓:9.8メートルです。

南日本新聞:開発費用はいくらか。
小鑓・開発費は初号機では680億で、2号機以降7号機までは平均で1機140億くらい。

・以降は機体公開の現場にて。
柴田・現在は与圧部と暴露部の2段構成となっているが、与圧部だけ欲しいという要求があったら対応可能か。それで軽くなればH-IIB以外の利用もあるか。
小鑓・HTVはモジュール構造になっており、与圧部2つやカプセル追加の構成も可能。重量によってはH-IIBではなくH-IIAでも打ち上げが可能となる。

柴田・宇宙ステーション補給機としては7号機までの予定だが、補給以外に使う可能性はあるか。
小鑓・コアモジュール(電気モジュールと推進モジュール)以外は変更可能であり、将来は有人機を搭載することも可能である。もしISSの運用期間が延長した場合、HTV7号機以降も可能性がある。

柴田・ドラゴンなど海外の帰還可能な宇宙機を購入する可能性はあるか。
小鑓・再突入カプセルは基幹的な技術のため、それはやれないだろう。逆にNASAがHTVを買うという話は昔あった。(※今はドラゴンなどがあり、その話はありません)

柴田・(海外から依頼があれば)海外機をHTVに搭載することは可能か。
小鑓・もちろん可能である。

以上です。


No.1582 :HTV3 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年6月1日(金)21時09分 投稿者 柴田孔明

公開された「こうのとり」3号機(HTV3)


No.1580 :「一変した世界」 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年5月19日(土)06時18分 投稿者 たまきひさお

離床の瞬間のスケッチ。肉眼での印象。完全な暗闇から世界は黄金色に染め上げられた。


No.1579 :打ち上げ後の第1射点 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年5月18日(金)16時43分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット21号機の打ち上げを終えた第1射点。

今回の主な取材は以上となります。


No.1578 :KOMPSAT−3の取材陣 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年5月18日(金)16時41分 投稿者 柴田孔明

初の海外受注と言う事で韓国から多くの取材陣が入っていた。今回は日本側の報道と交流する機会がなかなか無かったが、今後衛星の受注がまたあれば情報交換のチャンスも増えるでしょう。


No.1577 :打ち上げ後経過記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2012年5月18日(金)16時20分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット21号機打ち上げ後経過記者会見
(※一部敬称を略させていただきました。)

・打ち上げ後会見第1部

・登壇者
文部科学省 大臣政務官 神本 美恵子
宇宙航空研究開発機構 理事長 立川 敬二
韓国航空宇宙研究院(KARI) 院長 金 承祚
三菱重工業株式会社 取締役社長 大宮 英明

・打ち上げ結果報告
大宮取締役社長
本日平成24年5月18日午前1時39分にH-IIAロケット21号機を種子島宇宙センターから打ち上げた。ロケットは正常に飛行を続け、「KOMPSAT-3」「しずく」」を所定の軌道に投入した。「SDS−4」「鳳龍弐号」に対しても計画通り分離信号を送出したことを確認した。
今回の打ち上げは9回目の打ち上げサービスであり、かつ初めての海外衛星打ち上げであった。特にKARIは初めてH-IIAロケットを利用していただいた。期待に添える結果が出て安堵している。打ち上げサービス事業は価格はもちろんだが、信頼性と実績が重視されるので、今回の海外衛星の実績は今後の受注に向けて大きく弾みがつく。引き続き安定した打ち上げを目指す。関係者の皆様に心より御礼を申し上げ、引き続きご支援を賜りたい。

・会見者より
神本大臣政務官:本日、H-IIAロケット21号機による「しずく」「KOMPSAT-3」の打ち上げに成功したことを大変喜ばしく思う。今回、初めて打ち上げに立ち会ったが、大変感動した。ロケットの打ち上がる姿に人間の力、限りない可能性をあらためて感じた。15機連続成功となった。初の商業衛星打ち上げに成功したことで、我が国の宇宙開発が世界レベルであることを強く印象づけた。今後、我が国の宇宙開発が、国民生活の向上や国際貢献などを着実に支えていくことを期待し、私としてもそれらの実現に向けて努力を続けていきたい。

立川理事長:今回JAXAは2つに関わっている。一つは安全管理だが、飛行安全に問題は無く、大変良い打ち上げだった。2つめはJAXAの衛星2基を打ち上げたが、そのうち「しずく」は環境問題で重要な衛星で、計画通りの軌道に投入できたことは大変嬉しく思う。SDS−4も当初の計画通りの軌道に乗った。これから成果を出していきたい。

金院長:仕事着で来たことをお許し願いたい。今回のアリラン3号の打ち上げはH-IIAの優秀な力があって出来た。2時間前に韓国の管制で交信に成功している。初期のデータ解析によると、計画通りであった。約3ヶ月前からKARIの研究員が種子島で作業を行っていたが、国が違えば言葉も違い大変な事もあったが、種子島の温かい歓迎で忘れさせてくれました。今回のH-IIAによる衛星打ち上げによって日韓の協力の始発点になることを信じる。


・質疑応答
NHK:日本は初めて打ち上げ輸送サービスを行ったが、KARIは日本のサービスに満足できたか。
金:成功により非常に満足した。

NHK:KARIはこれまでアメリカやロシアを利用していたが、日本はどう感じるか。
金:私は行ったことが無いのではっきりは言えないが、時差、文化、食べ物の違いがスタッフに負担をかけている。その面からすると、日本は近くて文化や食べ物が似ているので問題が無かった。

NHK:今後も日本のロケットを利用したいか。
金:今回、日本が公開入札で最も低価格であった。低価格で高性能が維持できるなら今後も利用したい。

毎日新聞:韓国はこれまで海外に打ち上げを依頼しているが、自国での開発の状況はどうなっているか、いつごろ実現できるか。
金:韓国は7〜8年前から始めている。ロケットは衛星を軌道に正確にのせることが必要だが、羅老号は2回失敗している。羅老号は技術を学ぶためのもの。韓国国内でもがっかりして、KARIも叱責も受けたが、羅老号から学んだ事を生かし次に着手している。計画では2021年に低軌道に1.5トン級の衛星を打ち上げる予定である。

毎日新聞:今回の商業衛星打ち上げ成功の意義は何か。
大宮:大変意義がある。これまで受注に苦戦してきて円高もあるが、今日の打ち上げも含め最近は軌道投入が正確である。今後の受注に弾みがつくと良い。しかしコスト面で努力が必要。標準化や共通化、民生品の利用などで低コスト化を進めていきたい。

韓国メディア:KARIは満足したとのことだが、逆の立場ではどうか。
大宮: 金院長と意気投合したところである。今後も継続的に続けていきたい。

KTS:今後の受注成功に向けて。H-IIAロケットで4トン以上の衛星の対応は何か。
大宮:信頼性が高く確実であることが必要。最近は良いが、躓くことのないようにしたい。商業衛星受注に向け、まだ国際的な標準より費用がまだ高いので、これを突き破る必要がある。
次の打ち上げでH-IIBが成功すれば当社に移管する予定があるため、ロケットの幅が広がる。

鹿児島テレビ:聞きにくい質問だが、アリラン3号は韓国の安全保障を担っているのか。その点を踏まえて日本の警備は十分だったか。
金:アリラン3号は低軌道衛星であり、いろいろな映像を取得できる。いろいろな分野で活用できるが、安全保障とは一概に言えない。低軌道の衛星という事は全世界を周回する。取得した映像を各国や機関に販売したり渡したりする事ができる。

韓国メディア:韓国経済新聞:韓国は民間事業が宇宙事業に収益の問題で参加できていない。三菱重工業は宇宙関連で昨年どんな収益があったか。それは採算がとれるのか、また続ける意義があるのか。
大宮:収益は開示をしていない。売り上げは400〜500億円の間。赤字ではないが利益率が高い訳でもない。ロケットを打ち上げるのは多くの要素のインテグレーションと、個別の技術が必要。三菱だけでなく関係する企業・機関にも波及できる。技術立国日本という点を世界に示すことができる。この二点をもって継続的に取り組んでいきたい。


記者会見2部

宇宙航空研究開発機構 GCOMプロジェクトマネージャ 中川 敬三
韓国航空宇宙研究院(KARI) KOMPSAT-3プロジェクトマネージャ 崔 海震
宇宙航空研究開発機構 射場技術開発室長 川上 道生
三菱重工業株式会社 打ち上げ執行責任者 二村 幸基

質疑応答
西日本新聞:種子島のホスピタリティについてはどうだったか。
崔:私は長く滞在せず合計で1ヶ月程だったが、島民の方はとても親切であった。これは私だけにではなく、我々全員にであった。私は南種子に滞在したが、小さい町であっても不便さは無かった。皆さんとても親切であった。

読売新聞:KOMPSAT−3の開発費用・性能・次の衛星(3A、5)の目的をお聞きしたい。
崔:開発費用は200億、開発期間は7〜8年、主な性能としては解像度が0.7mである。高解像度の衛星の活用は1つの映像では難しい。今回の3号はCCDによる光学観測、3Aは赤外線、5号はレーダーである。3つの映像を活用してもらえると信じている。

NVS:日本側とのコミュニケーションで難しかった事はあるか。
崔:皆さんに親切にしてもらったが、言葉が通じないので会話の半分はボディランゲージを使った。私は英語に慣れているが、意思疎通が難しい方もいたのでボディランゲージを活用した。言語的に少し問題はあったが、日本側の誠実さと仕事に対する熱意で無いものとなった。

時事通信:「しずく」の状態はどうなっているか。
中川:筑波で衛星の制御をしているが、太陽電池パネルが展開し正常である。

読売新聞:韓国からの交通手段と時間は。
崔:ソウルから鹿児島まで飛行機で1時間20分ほど、そこから種子島まで飛行機で40分ほど。私はバス旅行が好きだが、種子島空港からホテルまで殆ど誰も乗っておらず、貸し切り状態のようで申し訳ないほどだった。正確な時間に停留所に着いたのが印象的であった。フェリーも使ったが、時間はかかるがこれも便利だった。(※高速船?)

韓国メディア:アリラン3号の性能をもっと詳しく。韓国の衛星は世界で何番目か。
崔:分解能0.7メートルの高性能光学カメラを搭載している。何枚かの写真を同時に撮れる能力がある。映像を撮れる衛星を持つ国が4〜5カ国あるので、その後になる。

NVS:A−Train投入の精度で、どれくらいだったか
二村:衛星側の評価を待つところだが、ロケット系としては殆どどんぴしゃであった。

韓国メディア:衛星打ち上げに関して、韓国の衛星や技術スタッフのレベルはどのくらいか。
中川:難しい質問で衛星の判断は難しい。これまで韓国での交流が種子島では無かった。セキュリティという面もあり話をしたことがなく回答できない。

毎日新聞:「しずく」の8種類のデータ取得はいつから行われるか。そのデータを活用して最も早く出る成果は。
中川:A−Train投入に2ヶ月弱かかる。AMSR2の回転を40rpmまで上げる必要もある。それまで低速回転をしており調査もするが、観測データはその後になる。L1は精度を評価した上で、8ヶ月後くらいに公開。その他は1年程度。成果は打ち上げ前から準備を早く始めているユーザーが早く上げられる。気象庁は精度評価を一緒にやることになっている。漁業は海面水温の精度保証があるので1年くらい。

毎日:軌道に正確に運べたとのとことだが、その正確・不正確の定義はどのようなものか。
二村:軌道には傾斜角などの色々な要素があるが、衛星側の要請に従っている。ロケットのセンサで計測し、計画値とどれだけ一致しているかで評価できる。最近は殆ど誤差が無い。
 今回は衛星の評価を待っているが、数千キロに対して1〜2キロというレベル。許容された中でも狭い範囲である。

朝日新聞:後継機の2基の打ち上げは日本のロケットではないが、候補にはならなかったのか。選ばれなかった理由はコスト面か。
崔:私は5号が参加していないので把握できていない。3号は価格など最高得点をとったMHIだった。

一日宇宙記者:「しずく」は水循環を8つの項目について調べるというが、水循環とどのように関わるのか。水循環を知るのにこの8つの他に必要なものはあるか。
中川:「しずく」が観測する8つは水に関わるもので、これで地球の水の循環を観測できる。8つ以外でもあるが、我々の持つマイクロ放射計(電波)で導き出せるものは限られる。ひとつの衛星で全てが出来る訳ではない。そのためA−Trainで各国が協力している。

一日宇宙記者:韓国の国民や子供達は衛星の打ち上げなどをどう見ているか。
崔:韓国にも宇宙少年団がある。今回は種子島に一緒に来る事ができなかったが、韓国でも興味を持ち楽しみにしている子供達がいる。子供の頃から交流していけば、幅が広がるでしょう。

読売新聞:軌道投入精度について、どういったものかもう少し詳しく説明していただきたい。
二村:例えば7000キロに対して10キロ程度。軌道の傾き90度に対して0.1〜0.2度という精度が要求されるが、これの誤差が殆ど無かったようなもの。

大塚:Y−1プレスブリーフィングで打ち上げが楽しみとおっしゃっていたが、今の感想は。
中川:正直なところ、ロケットから分離したという信号を受け取るまで緊張して固くなっていた。無事に軌道に投入され正常であるとのことなので、観測できる状態まで早く持って行きたい。



・打ち上げ後経過記者会見第三部(技術説明)

宇宙航空研究開発機構 宇宙実証研究センター 平子 敬一 センター長
宇宙航空研究開発機構 産業連携センター 込山 立人 主任開発員
九州工業大学大学院修士 冨田 健太

・質疑応答
朝日新聞:SDS−4と鳳龍2号の状態をお聞きしたい。
平子:SDS−4は発生電力等、順調である。
冨田:鳳龍2号は受信電波を解析中。衛星の周波数が若干ずれていたので時間がかかっている。

西日本新聞:電波を受信した時の感想は。
冨田:電波の解析はできていないが、音(信号)を確認してほっとした。

NVS:SDS−4はパネルが展開し三軸制御に移っているのか。
平子:まだ三軸制御までいっていない。機器をチェックした後、実験に入るのは一月後くらい。

NVS:鳳龍の高電圧実験についての意気込みをお聞きしたい。
冨田:まだ先だが、世界初の300V発電を成功してギネスにのせたい。

日経新聞:SDS−4の出来映えと、制作した若手にかける言葉をお聞きしたい。
平子:大型衛星と比べると低コストの衛星だが、30代中心で作り上げたものとしては立派である。2010年から始まった努力の集大成である。経験のないものがここまで来たのは立派である。

読売新聞:鳳龍の周波数のずれがあったとのことだが、受信まで時間がかかったなどのトラブルがあったのか。電波を受信したときの気持ちは。
冨田:受信時間は決まった通りだった。受信を東京大学のTwitterで知ったが、本当は電話連絡で知りたかった。

大塚:鳳龍の周波数ずれた原因で可能性があるものは。
冨田:担当者に聞いたが、原因はまだ不明です。

大塚:鳳龍2号の色は黒と銀だが、どういった考え方のものか。
冨田:黒と銀は熱設計で成立させるため。黒が2面で、色は表面処理である。

NVS:周波数がずれている事による今後の影響はあるか。
冨田:最初は受信に時間がかかって解析できなかったが、次からは調整位置が判るので問題ない。

時事通信:鳳龍2号の分離はうまくいったのか。基本機能はどこまで確認できているか。
冨田:ロケットのデータと衛星の電波発信で確認している。電波が出ている事から衛星のスイッチが入ったことが判る点まで。

NVS:H-IIAによる副衛星打ち上げが増えているが、回数が増える事による成熟具合は。
込山:これまでJAXAは計10基の副衛星を打ち上げており、今回の鳳龍2号で11基目の相乗り衛星となる。安全審査でJAXAの要求が大学に適切に通せるようになっている。だいぶ技術的な意味でマチュアになってきている。これから11基の相乗り衛星が計画されており、充実した支援をしていきたい。

NVS:今後は副衛星に商業的な衛星はできるか。
込山:今は研究開発や人材育成向けで商用利用はできないが、これができるか検討していきたい。

大塚:今回は鳳龍2号だが、1号はどうなっているか。
冨田:1号はインドから打ち上げ予定だったが、2年前に2号の相乗りが決まり、1号は同時並行作業を行うのが厳しいので断念している。1号の機体は完成はしている。

以上です。


No.1576 :打ち上げ経過記者会見(速報)
投稿日 2012年5月18日(金)07時26分 投稿者 たまきひさお

打ち上げ後の記者会見を終えて。H-2AF21、ロケット側としては打ち上げは大成功。軌道投入も1000分の1の精度で高く、分離された衛星もGCOM-W1、KOMPSAT-3、SDS-4、鳳龍弍号それぞれで正常動作を確認されている。打ち上げ執行責任者のMHI二村氏は「どんぴしゃ」という言葉を使って評価した。H-2Aの打ち上げは15回連続成功、成功率95.2%。