投稿日 2013年4月18日(木)20時11分 投稿者 柴田孔明
内之浦宇宙観測所では、イプシロンロケットの打ち上げに向けてM型ランチャ発射装置の改修工事が進められていましたが、これがほぼ完成してダミーを使った旋回試験が報道に公開されました。
射場設備の主な改修点としては、イプシロンの1段目が分割できず重量が大きくなるためクレーンの大型化(50トン→100トン)、機体形状に合わせたアクセスフロアの変更、ロケットと衛星に使う空調装置をランチャに設置されていたものから移動車両に変更、遠隔操作への対応、アンビリカル離脱機能の変更、垂直発射化に伴うシュラウドリング/ロケット支持台の変更、煙道の追加などがあります。
登壇者
内之浦宇宙観測所 所長 峯杉賢治
イプシロンロケットプロジェクトチーム開発員 小野哲也
内之浦宇宙観測所 開発員 荒川聡
(※敬称を一部省略させていただきます)
質疑応答
鹿児島テレビ・煙道の新設は音の低減のためとのことだが、どれくらいの効果があるのか。
峯杉・およそ4デジベルの効果がある。3デシベルで半分となるが、人間の耳ではあまり変わったようには聞こえない。しかし衛星やロケットにとって、半分になることは大きい。これまでは衛星が大きな音に耐えられるようにしていたが、それが低減される。
また、他の打ち上げ施設では煙道に大量の水を注入して音響の低減をしているが、ここでは吹き込んだ水が海に飛ばされ漁場が汚される可能性があるためやらない。
(※射場がコンパクトで水の回収が困難である。また、汚れた水の処理施設も必要になる)
毎日新聞・斜め発射から垂直発射へ変更した理由とメリットは何か。
小野・以前は斜めに飛ばすことで早く海上に出すことができるという考え方があった。しかし斜め発射はランチャのレールに乗って滑走するため、そこでの振動が大きかった(※6〜7G)。垂直発射ではそれが無いため振動が緩和される(※2〜3G)。先代のミューファイブでも垂直発射が可能だったが、射場の改修をそこまで行えなかった。
共同通信・これまでの設備を改修したのか。改修の終了はいつか。
小野・これまでの組み立て設備を改修したことになる。工事は本日までに殆ど終わっているが、今日行う旋回試験などの機能検証や、来週に予定されているアンビリカルの離脱試験などが残っている。
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