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No.2527 :イプシロンロケット6号機打上げ失敗原因調査状況(2023年4月18日分)
投稿日 2023年4月24日(月)22時33分 投稿者 柴田孔明

 2023年4月18日に宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合がオンラインで開催されました。議題はイプシロンロケット6号機打上げ失敗原因調査状況で、そのあと記者向けのフォローアップブリーフィングもオンラインで開催されました。以下の質疑応答はフォローアップブリーフィングのものです。
(※一部敬称を省略させていただきます。また回線等の関係で一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)

・原因究明結果(配布資料より抜粋)
 ・結論
  ・ダイアフラムがリング間隙間に噛み込み、その後の溶接工程等でその噛み込んだ部分が破断・損傷すると推進薬が液側からガス側に漏洩する。その場合、ダイアフラムが液ポートに覆いかぶさり、パイロ弁開動作時にダイアフラムにより閉塞する。したがって、6号機打上げ失敗の原因は「ダイアフラムシール部からの漏洩」と特定した。

 ・「ダイアフラムシール部からの漏洩」に対してなぜなぜ分析を実施した結果、背後要因は「フライト実績品に対する確認不足」と識別した。
  ・M−VとH−IIA技術を活用した範囲は、ロケットシステムにおいて実績のある技術をベースとして、イプシロンの仕様に合わせた適用開発を行っており、開発段階では新規開発品と同様、約20年来の基幹ロケットの信頼性向上の取組を踏まえた設計・製造工程・品質保証方法の確認を実施している。
 ・2段RCSのダイアフラム式タンクは元々宇宙機で使用するために開発されたものであり、適用開発時には使用条件の違いを考慮した機械環境試験や耐圧試験等のタンク構造としての確認は実施していたものの、ダイアフラムシール部等のタンク内部についてはフライト実績を重視し、使用条件の違いを含め設計の考え方・作動原理等を十分理解した上での確認が不足していた。

 ・背後要因に係る以下の対策をイプシロンSロケット及び水平展開先(今後精査)に反映し、信頼性を向上させる。
  ・フライト実績品に対する十分な確認
   ・フライト実績品を使用すること自体は問題ではないが、当該品の使用条件が想定と異なる場合はもちろん、20年来の信頼性向上に係る開発の目が入っていない場合は、開発当時の設計の考え方や使用条件の根拠、製造工程・品質保証方法に立ち返って確認を実施する。
   ・過去の設計等に立ち返る場合には、2003年のH−IIA6号機打上げ失敗以降、基幹ロケットとして取り組んできた信頼性向上の観点(以下)を十分に考慮して、抜けのないように確認を実施する。
   1.不具合事象への対応、2.メカニズム・動作余裕の確認、3.製造・検査・整備作業の改善、4.連鎖事象への対応、5.安全に係る対応

 ・まとめ
  ・イプシロン6号機の原因究明結果
   ・6号機失敗の原因を「ダイアフラムシール部からの漏洩」と特定した。
   ・ダイアフラムがリング間隙間に噛み込みその後の溶接工程等で破断・損傷。
   ・推進薬が液側からガス側に漏洩してダイアフラムが液ポートに覆いかぶさる。
   ・パイロ弁開動作時にダイアフラムが液ポートに入り込んで閉塞。
  ・直接要因の水平展開
   ・上記の要因となったダイアフラムタンクの水平展開を行っており、ダイアフラム方式を採用している一部の衛星について対象を特定・評価を実施済み。
  ・今後の予定
   ・直接原因の是正として、現タンクの設計変更案とH−IIAタンク活用案を検討してトレードオフを実施して処置を決定する。
   ・背後要因(間接的原因)の分析結果等をイプシロンSロケットの開発に反映して信頼性を向上させる。

・その他
 イプシロンロケットS実証機の打ち上げ見通しが当初は2023〜2024年度となっていたが、ペイロード側の都合により2024年度打ち上げの方向となった。


・質疑応答
時事通信・取り付け時の噛み込みとのことだが、これは取付ミス・製造時のミスと言って良いか。製造時の検査で漏洩を検出できない可能性があるとのことだが、これは製造時の検査の条件では現れなかったということか。RCSはフライト実績品とのことだが、どのような実績があったのか。どういうものに使われていたのか。
井元・噛み込みの部分については、製造工程上非常にバラつく設計になっていた。製造ミスとはちょっと言い過ぎで、そういうところがある。そこは本来きちんと検出しないといけないところだが、そこが検出できる規格になっていなかった。それは開発段階で設定したものによるものだと考えております。検査のところは、結果として全て規格に合格しており、検査としてはスクリーニングできなかった。開発時に設定した検査の規格が噛み込みを検出できるようになっていなかったのが結果になっております。
佐藤・本RCSのタンクは1990年代に開発された衛星のものを使っておりました。中のダイヤフラムについてはその後に設計変更が行われています。

時事通信・製造での取り付けミスでないということは、こういった噛み込みというのは十分あり得ると想定されていて、検査で検出できると思っていたが検出できなかったということか。
・故障モードとしては一般論としてはあるということだが、検査で検出できなかったというのが事実であります。

時事通信・取り付けミスが言い過ぎというところが感覚的にわかりにくい。本来は噛み込んではいけないものなのに噛み込んでしまったのが取付ミスと言えないとなると、どういう評価になるのか。
・そこを検出できないと駄目である。製造のばらつきはよくあることで、そういったところを正しく検出するシステム、そこが重要であると考えています。

時事通信・つまり検出するシステムを含めて噛み込まないものが作られると想定していたが、最終的にそれができなかったことになるのか。
・そうです。

読売新聞・今回の件を整理すると、ダイヤフラムのシール部が溶接時に破損してリーク発生し、それによって膜の上に液体のヒドラジンが乗って変形して配管を塞いだということか。
・まず推進薬が液側からガス側に漏洩します。もともとダイヤフラムは最初の形状が液側にあるというのが通常の形態になっていまして、漏洩していくにしたがって空の状態に近づいていって、液ポートの所に近づいていって塞いだと今のところ推定しています。

読売新聞・検査項目や規格が不十分で見抜くことができずすり抜けたという理解で良いか。
・その通りです。

読売新聞・シール幅の寸法が1〜5号機と違って少し大きく、今までのチャンピオンデータだったとのことだが、大きくても規格の範囲内で合格してしまったと思うが、正常なものよりどのくらい大きいのか。
・周方向の平均値で規格があります。その規格に対してギリギリで合格していたのが実態です。実際は周方向の偏りがあったのが今回の6号機で、偏りが検出できない規格、平均値という形で規格を設定していましたので検出できなかった。どの程度かは0.1ミリ程度のオーダーです。

読売新聞・振り返ってみると製造時の不備の兆候のひとつではあったが、規格の設定が不十分だったために見抜くことが出来なかったということか。
・はい、おっしゃる通りです。

NHK・ダイヤフラムのシール部分の損傷は、破れるというよりは千切れるものなのか、表現としてどういう言葉が適切か。
・挟み込まれて、そのあとの溶接によって圧縮が加わります。その結果として千切れる、もしくは欠損するという表現ですが、適切な表現がなかなか思いつかないです。

NHK・資料の図では断面だが、実際にはぐるっとリング状になっていて一部分が欠損したという形を想像すればいいか。
・360度あるうちの30〜45度くらいの幅で噛み込んでいたと寸法のデータから推定しています。

NHK・一部分が欠損して、その部分を通じて燃料のヒドラジンがガスの圧力で押されてガス側の方に逃げたということか。
・基本的にその通りだが、ガスの圧力ではなくヒドラジンを充填したときにダイヤフラムが垂直方向になる。つまり推進薬が下に行くほど圧力が高くなるということで、その水頭圧で差圧が出る。液とガスで差圧が出て、液の方が少し圧力が高い状態で漏れるという形になります。

NHK・圧力差が無くなるくらい液体が染み出すことになると思うが、空の状態に近づくほど抜け出たことになるのか。
・漏洩量と漏洩時間にも依存するが、漏洩確認試験というものを実施しました。強制的に漏洩を模擬した。9Lの水を充填して、ダイヤフラムを切って漏洩を模擬しました。徐々に、本当に少量漏洩するが、漏洩に伴いまして水が液側からガス側に移動しまして、2日後にダイヤフラムが液側の半球に貼り付くという結果が得られています。

NHK・貼り付いたというのは、燃焼させようと動作したら配管に吸い込まれて塞いだのか、それとも今回の結果では吸い込まれたとは言えないのか。
・吸い込まれて塞いだと考えています。ダイヤフラムが液ポートを覆った状態でパイロ弁を急速に開くと、ダイヤフラムの前後に大きな差圧がかかります。ダイヤフラムの下流側は液ポートを覆ってしまうと大気圧に近いくらいの圧力で、上流側のダイヤフラムの上側は2MPa弱(20気圧弱)くらいの圧力になりまして、その圧力差によりましてダイヤフラムが液ポートの中に詰まった。非常に小さい径だが、その中にダイヤフラムが入り込んだ。それは閉塞試験を実施したあとにダイヤフラムに突起のような跡があった。つまりぐっと伸びて液ポートの中に入り込んだような兆候を示す跡があったことから、液ポートの中に入り込んだと推定しています。

NHK・背後要因として実績のある部品に対して確認不足があった。これで原因究明の区切りになると思うが、信頼性の向上に向けてあらためてコメントをいただきたい。
・まず強化型ロケットの最終号機であるイプシロンロケット6号機を失敗させてしまったということに対しては非常に重たい責任を感じております。まず我々がやるべきことは次のイプシロンSロケットの開発をしっかり実施して、イプシロンSロケットの実証機を成功させる、この一点に尽きると思っています。打ち上げ成功に向けてやれることは全てやる。直接の原因の対策を反映することはもちろんのこと、こういった背後要因ですとか、これまで実施してきた基幹ロケットの信頼性向上みたいなものをより一層充実させて、信頼性の高いロケットにする、そういうことが私の責務だと思っておりますので、それに向かって邁進していきたいと思っています。

NHK・今後の打ち上げ計画で2024年度の打ち上げで調整しているとの報告があったが、現時点でイプシロンSロケットの打ち上げ予定は早くても来年度になったという事か。
・今JAXA方で2024年度に打ち上げる方向で調整されているという話がありました。

NHK・調整しているということは、まだ決定していないのか。現時点では2023年度の可能性がまだあるのか。
佐藤・1号機のペイロードさんと調整を続けてきて、その中でペイロードさん側のご都合で2023年度の打ち上げは無い。2024年度に打ち上げる方向で、お客さんとそれに伴う関係機関と調整をさせていただいている。

NHK・ペイロードのお客様とはベトナムと、間を調整している商社なのか。
・ベトナムの衛星をNECさんから受注したという形になっていまして、NECさんを含めた調整を今しているという状況です。

南日本新聞・今回の原因となったシール部の本来の役割や、赤道リング固定リングの本来の役割を踏まえて噛み込みがどのように起こったのかを噛み砕いて教えてほしい。またダイヤフラムの欠損というのは千切れるとは少し違うとのことだが、平たく言うと傷がつくというようなイメージで良かったか。
・まず赤道リング、固定リング、ダイヤフラムですが、ダイヤフラムの基本的な役割は推進薬を保持することになります。ダイヤフラムで推進薬と加圧ガスを分離して、上からガスで加圧するが、その圧力をもとにパイロ弁を開いた後に推進薬を推薬弁に供給する役割になります。赤道リングそのものに関しては外部のタンク構造と一体になっておりますので、圧力を保持するとか構造体としての役割があります。固定リングにつきましては、ダイヤフラムのシール部を押さえて液とガスを分離し、漏洩が無いように保持する役割になります。

南日本新聞・シール部の役割をもう一度お願いします。
・シール部が機能しないと推進薬がガス側に移動して、搭載した推進薬量、イプシロンでは9リットルになるが、ぐっと減って2段のRCSの機能が果たせない状況になる。
・千切れについては、違うというか近いというか、なんという言葉が適切かちょっとよくわからないが、6mmの厚さがあるが、そのうちの一部が無くなってしまう、噛み込んだあとに残ってしまうイメージの言葉になるので、欠損と言ったが千切れるでも間違いでは無いと思います。

南日本新聞・剥がれるというのはどうか。
・剥がれるは千切れるよりもちょっと遠くなった気がします。

南日本新聞・赤道リングと固定リングはタンク構造と一体とのことだが、タンクの内側についているということか。
・赤道リングはタンクの外側の一部になります。それ以外にガス側半球と液側半球の3つで構成されているもののひとつが赤道リングになります。固定リングは内側に溶接されるもので、ダイヤフラムを押さえシールする機能を持ったものです。

南日本新聞・赤道リングの内側に固定リングがあり、固定リングが膜を押さえるということか。
・はいそうです。

共同通信・イプシロンSでの是正措置で、タンクの設計を変更するかH−IIAのものを使うとのことで、いずれにしても時間がかかるとのことだが、これに対してどれくらいのタイムスパンを考えているのか。
・設計に対する影響、ある程度のレベルで設計しないといけない、両方設計する必要があると考えていまして、夏前くらいを目処に判断していきたいと考えています。

共同通信・それは夏前頃にどちらにするか決めて、それから実作業にとりかかるということか。
・H−IIAのタンクそのものに関しては同じ物を作るだけでして、あとは機体側の設計変更になります。それから現タンクの設計変更案については、今回の原因をしっかり反映しないといけませんので、そういった設計を数ヶ月かけて実施して、必用な試験等も実施することになると考えています。

共同通信・現タンクを変更する方が作業的には大変だということか。
・そこはH−IIAタンクも機体の構造側の変更も必用ですので、どちらが大変かは今は一概に言えないです。

共同通信・いずれにしてもトータルで数ヶ月は見込んでいるということか。
・そうです。

共同通信・イプシロンS実証機の打ち上げが2024年度になった件で、ペイロード側の都合とのことだが、それが無ければ2023年度に打ち上げを目指すことは変わらなかったのか。
・基本計画の工程表では2023年度、もしくは2024年度ということで規定していたというところです。

フリーランス大塚・背景要因として、実績はあるが使用条件の違いについて言及があったが、配付資料を見ると、同じ設計のタンクでも充填量などの条件が違うなどいろいろあるが、こういった違いによってこれまで衛星では不具合が無かったということか。
・基本的にはこういう違いではくて、そもそも噛み込みがあったかどうかと考えています。今回検出できなかった噛み込みがあったか無かったかという形と考えています。

フリーランス大塚同・今回検出できなかったので、これまでもあった可能性があるが不具合が起きていなかったと思ったがそうではないのか。
・それはもう飛んでしまっているのでわからないというのが実態です。

フリーランス大塚・6号機ではいつリークが起きたかだが、充填してから134日あるので、打ち上げ前に推進剤が0.3L以下になってくっついて閉塞する状態になっていたと考えて良いか。
・そこはリーク量にもよるので、わからないのが実態です。完全に無くなって貼り付いた状態だったかもしれませんし、閉塞試験では3L・2Lが残った状態で1G環境でも閉塞した事実があり、そういう状態になっていた可能性も否定できません。いつからリークを開始したかという話とリーク量の関係になるが、そこは今となっては判らないという状況になります。

フリーランス大塚・打ち上げ前にそうなっていたのか、打ち上げ時の加速とか振動でリークが加速した可能性もあるのか、どちらかは判らないのか。
・打ち上げ後150秒で閉塞しているので時間的に短い。その中でリークがあれば継続していた可能性はあるが、そこで一気に加速したという話ではないのではと思っています。

フリーランス大塚・打ち上げ前にリークが起きていたということになるのか。
・はい、そこは恐らく間違いないと思います。

フリーランス大塚・打ち上げ前からリークが起きていて減っていたとしても圧力自体には違いが無いので、圧力センサなど外からは異常が判らなかったということか。
・はい、おっしゃる通りです。

フリーランス大塚・(配付資料掲載の)リークの検査ですが、液側からの加圧というのはダイヤフラムが回り込んで固定リングとの間で結果的にシールされたと判るが、ガス側を加圧したときは延びる方向になるので、ここでリークが検出できなかったのか。ここで検出できない理由はどのようなメカニズムなのか。
・何通りかあると考えています。ひとつは液ポート側にリブがある。ダイヤフラムに関しては圧力を印加すると永久変形が発生することは確認していまして、リブが液ポートの真上に来ないケースだと、圧力が高い(0.1MPa)のでそこでシールすることが考えられます。もうひとつ、今回の漏洩試験はガス側加圧ではなく液側加圧ではあったが、圧力が高いと漏洩が止まるところがあって、それは0.01MPaでも止まっている。それより10倍高い圧力の場合にはシール部のところでシールした可能性もあって、そこは判りませんが、2つくらいの要因が考えられます。

フリーランス大塚・いずれの場合でも液側加圧のときは上にぴったり、ガス側加圧のときは下にぴったりで、実際の状況に近い0.9Lが入った状態のときのテストが無いように見える。もしその状態でテストしていたらリークを検出できた可能性はあるか。
・それはガス側から圧力をかけないで開けていたら、もしかしたら検出された可能性はありますが、ヒドラジンはそういう状況にしてはいけない液体ですので、そこは実施しておりません。

フリーランス大塚・やりたくてもできない条件なのか。
・完全にできないかというと、やり様は無くは無いと思います。通常はやらない。

フリーランス大塚・水でやるのはどうか。
・水でやるやり方はあったと思います。

読売新聞・今後の対応としては設計の変更と、イプシロンSに向けて規格見直しや検査手法の見直しを今後進めるという理解で良いか。
・噛み込みがない設計・工程にするのが一番大きいかなと思います。万が一噛み込んだ場合でも検出できる検査工程、それから漏洩も含めて検査工程、そういったところを考えています。

読売新聞・噛み込みが起きない工程にするとのことだが、噛み込みが起きない構造のタンクに設計を変更するということではないのか。両方やるのか。
・抜本的な設計変更は考えていない。少しの工夫をすることによってリスクを非常に小さくできる可能性があると思っていまして、そういった事を考えています。

読売新聞・H−IIAタンクはそもそも噛み込みが起きない構造と説明があったが、そういうことではないのか。
・H−IIAのものとシールの考え方が全く違う。H−IIAのものに変更するとなると逆に変更リスクの方が高い。現状の設計でいろんなデータを取得しておりますので、変更リスクが大きいと考えています。

読売新聞・H−IIAのタンクを活用するとしても工程は取り入れないで、工程を工夫するということか。
・H−IIAのタンクはそのまま使うのが案になります。H−IIAのタンクを設計変更することは考えていません。どちらかと言うと機体側の変更になります。(※H−IIAタンク活用案)

読売新聞・実績品ということで踏み込んだ確認が出来ていなかったということだが、実績があるというのは、2段RCS自体の実績だと思うが、ミューファイブやH−IIAの実績か、最初の方で衛星で使っていたという話があったがそれはタンク単体の話なのか、RCSとしての実績なのか、それぞれどれくらい使われてきたのか。
・2段RCSのダイヤフラム式タンクは2号機から使っているが、それはもともと宇宙機での実績があるものです。ダイヤフラム式タンクに限ると、イプシロンの2号機から適用している実績になります。

読売新聞・ダイヤフラム式タンクは20年来の実績と言って良いか。
・ダイヤフラム式タンクにする前に、ブラダ式というイプシロン試験機(1号機)で使用していたタンクがあります。それがずっと使われてきたものでして、ダイヤフラム式タンクにつきましても20年とまではいかないまでもその程度前に開発したものでして、フライトで使用したものです。その設計を使いまして、イプシロンの2号機から適用しているものになります。時間軸としてはその程度経過しているものと理解していただくと良いかなと思います。

読売新聞・ダイヤフラム式タンクはロケットのRCSではなく、90年代くらいから衛星の姿勢制御装置の中で使われてきたということか。
・年代がぱっと答えられないが、ブラダ式が1990年代でして、それを少し設計変更してダイヤフラム式にしたのが2000年代より後だったと記憶しています。

読売新聞・踏み込んだ確認というものを行えていれば防ぐことが出来ていたことについて、あらためてコメントをいただきたい。
・かなり踏み込んだ形での確認というものが必要だったという風に反省しております。その反省を踏まえてイプシロンSの信頼性向上に繋げる必要があると思っていますので、そこは気を引き締めて、ここだけではなく全ての所をもう一度チェックして、まだ開発が進行しているところがありますので、設計・試験に反映すべきものはして信頼性を上げていきたいと考えています。

共同通信・ダイヤフラムの破断とか損傷は、穴が開いたというイメージか。
・それは違います。数ミリの厚さが必用なところが、何分の1か欠けてしまうイメージになります。

共同通信・欠けるけども穴が開いた訳では無いということか。
・(資料の図より)噛み込んだ部分が一周360度のうち30度もしくは45度程度噛み込んだと推定しておりまして、その噛み込んだ部分が無くなった、溶接部と固定リングの間に挟み込まれた状態で千切れた。シール側から見ると健全なものが少し無くなっている・欠けているというイメージで、欠けてしまうとシール部の面圧が確保できずに、その確保できなかった部分からどこかに回り込んで漏洩したというメカニズムになります。

共同通信・隙間が出来たという事とも違うのか。
・単純に言うと、本来であればダイヤフラムが潰されてシールする構造だが、潰されなくて少し隙間が開いたという事でも良いかと思います。

共同通信・イプシロンSの設計変更で現タンクとあったが、これは今正に問題となっている燃料タンクと同じものか。
・はい。

共同通信・今後の打ち上げ計画で2024年度とあったが、設計変更に時間がかかるのではなくて積み荷側の事情で2024年度になったという理解で良いか。
・はい。ペイロード側の事情で2024年度ということです。設計変更の時間軸がありましたが、それに間に合わせられるように対応できそうだと考えていますので、あくまでペイロード側の事情ということになります。

南日本新聞・今回のようなダイヤフラムの噛み込みによる失敗は、これまでのロケット打ち上げで報告されたケースはあるか。海外も含めて状況が判れば。
・少なくとも日本では無いです。海外は全て情報がある訳ではなく、失敗原因が全て明らかになっている訳ではないので難しいところですが、私の知っている範囲だけですが、見たことは無いです。

南日本新聞・初めてということで大丈夫か。
・私の知っている範囲では無いということしかわからないです。全ての失敗原因が判っている訳ではありませんので、初めてというのは正確性を欠くかなと思います。

南日本新聞・今回噛み込んだダイヤフラム式タンクはH3では全く使われていないのか。
・これと同じ構造は使われておりません。

フリーランス秋山・水平展開のXRISM(X線分光撮像衛星)などの試験のときに疑似推薬というものが出てくる。この疑似推薬に水を使ったとのことだが、水とヒドラジンはどの程度似ているのか。
・化学成分は全く違うものになりますが、比重的にはかなり似たような、ほぼ同じ物になります。

フリーランス秋山・こうした試験に使う時に、他に適した液体があるが、水の方がコストが安くて取り扱いやすいということもあるかもしれないが、水がかなり似ているので試験で使いやすいという理解で良いか。
・安全性あるいは取り扱い性の観点で、水がいちばん取り扱いやすいものになります。比重が似ているというところで水を使っているものになります。

以上です。

No.2526 :H3ロケット試験機1号機の打ち上げ
投稿日 2023年3月7日(火)11時25分 投稿者 渡部韻

竹崎展望台より撮影


No.2525 :H3ロケット試験機1号機は指令破壊
投稿日 2023年3月7日(火)10時55分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機について、ロケットはミッションを達成する見込みがないとの判断から、10時52分頃に指令破壊信号を送信しました。
2段エンジンの燃焼が確認されていないとのことです。

写真は竹崎展望台の屋上から撮影したH3ロケット試験機1号機

(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)


No.2524 :機体移動(3月6日分)
投稿日 2023年3月6日(月)22時29分 投稿者 柴田孔明

2023年3月6日の16時頃からH3ロケット試験機1号機の機体移動が行われました。
写真は報道向けプレススタンドより撮影。


No.2523 :第2回判断と対応策の最終検証の結果は良好
投稿日 2023年3月6日(月)22時10分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の第2回GO/NOGO判断の結果はGO。推進薬充填作業に移行します。
また機体移動後に実施した電気的離脱手順の見直しについての最終検証も良好とのことです。
(2023/03/06 22:20現在)

(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2521 :H3ロケット第1回判断はGO
投稿日 2023年3月6日(月)11時58分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の第1回GO/NOGO判断会議の結果はGOです。打上げ作業が開始されます。
(2023/03/06 12:30頃発表)
(※上段の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2520 :記者説明会(2023年3月3日分)
投稿日 2023年3月5日(日)15時50分 投稿者 柴田孔明

 2023年3月3日午後にオンラインで行われたH3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS−3)の打上げに関する記者説明会です。
 (※一部敬称を省略させていただきます。また回線等の関係で一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)

・登壇者
 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史

・打ち上げ日について

 我々は去る2月17日に打ち上げを目指しましたけども、1段機体システムの異常を検知したということで、その日の打ち上げを中止致しました。その後昨日まで調査を続けまして、機体と地上設備の電気的離脱時に発生する通信・電源ラインの過渡的な電位変動の影響によりまして1段機体制御コントローラという機器が誤動作したものと考えられまして、必要な対策処置を完了する見込みが得られたということで、あらためまして打ち上げ日を3月6日に設定いたしまして、打ち上げ時間帯10時37分55秒〜10時44分15秒(JST)、ここをまず狙っていきたいと思います。天気の関係も影響してきますので、3月6日の打ち上げの可否については今後の天候の状況を踏まえまして都度判断していきたいと思っています。
 (※翌日3月4日の天候判断で6日の気象条件が整わないことが予想されたため、打ち上げ予定を3月7日に変更しています)

・H3ロケット試験機1号機打上げ中止の原因調査と対応について(配付資料より抜粋)

 ・発生事象
  ・自動カウントダウンシーケンスにおいて、「LE−9エンジンスタート」のステップまで進行し、LE−9エンジンは着火した。その後、LE−9エンジンが立ち上がり、打上げ条件は成立した(フライトロックイン(FLI))。
  (※打上げ条件:LE−9エンジンの立ち上がり(推力90%相当)と各機器の作動状態が正常であることを自動判定)
  ・打上げ条件成立後、リフトオフ直前までの異常監視中に1段機体制御コントローラが異常信号を検知したことから、固体ロケットブースタ(SRB−3)への点火信号の送信を自動停止、安全な状態に移行した。SRB−3に異常はない(フェイルセーフ設計が機能)。
  ・H3ロケット、衛星(ALOS−3)、および地上設備に損傷は生じていない。

 ・原因調査の状況
  ・打上げ条件成立後、SRB−3の点火信号送信前に、1段機体制御コントローラが異常信号を検知し、飛行制御ソフトウェアが以降のシーケンスを停止。
  ・異常内容:1段エンジン用電源供給系統における異常。
  ・この事象に対して原因調査では、機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高いところまで原因を絞り込み、詳細な原因調査を行い、必要な対策を実施した。

  ※前回の訂正:SRB−3に点火信号が出るタイミングでLE−9の停止信号を送信した。

 ・原因調査の結果
  ・原因調査として、機器単体や種子島宇宙センターでの実機を用いた検証試験、ソフトウェアおよび回路の専門家レビュー等に基づき、故障の木解析を中心に原因の絞り込みを実施。
  ・その結果、フライトロックインの直後に、機体と地上設備との電気的離脱(※)が行われる際、地上との通信・電源ライン遮断時の過渡的な電位変動が影響し機体制御コントローラ(V−CON1)が誤作動したものと推定。
 (※電気的離脱: リフトオフ時の物理的な遮断(=アンビリカル離脱)に先立ち、フライトロックイン後に電源ラインおよび通信ラインの電気信号を遮断する操作)

 ・現象に至るシナリオは以下のとおり。
  1.電気的離脱。
  2.電気的離脱時の過渡的な電位変動によりV−CON1内で誤ったコマンドを検知。
  3.半導体スイッチをOFF。

 ・対応策と今後の予定
  ・対応策
   ・電気的離脱手順の見直し:地上設備からの通信・電源ラインをこれまで一括で遮断していたところを、一定の時間差で遮断するよう変更し、遮断時の過渡的な電位変動を抑制。検証試験にて、対策の有効性を確認。
   ・水平展開:地上設備との過渡応答があり得る他の系統を確認し、必要に応じ同様に対策。

 ・今後の予定
  ・打上げ日を「2023年3月6日(月) 10時37分55秒〜10時44分15秒」とし、以下を実施。
   ・3月3日: L−3作業(システム点検、電池最終充電等)
   ・3月4日: L−2作業(火工品結線、クローズアウト等)、カウントダウン移行前確認会
   ・3月5〜6日: L−1/L−0作業
  ・対応策の最終的な検証として、L−1の機体移動後にデータ取得する予定。
  ・打上げ中止事象を受けた対応策の最終検証の追加以外に、2月17日打上げ時点からの変更はない。

 (※FLI:フライトロックイン:LE-9エンジンの推力が充分に立ち上がったことを含む、打上条件の成立)

・質疑応答
読売新聞・過渡的な電位変動を抑制するためにタイミングをずらして遮断するとあるが、(資料の)線の色は何を示しているのか。またそういう対策をするのはプログラムの書き換えになるのか。
岡田・イメージ的には、普通の電源のケーブルで言うとプラスとマイナスがあるが、あれのプラスが1本、マイナスが1本というイメージです。電源だけでなく通信もありますので、通信も1本1本とそれぐらいの単位の数え方です。ですから合計数本のイメージです。

読売新聞・電源と通信のプラスとマイナスで4本ということか。
岡田・正確には5本です。コモンというものがあります。

読売新聞・それを分けるのはどういうものか。
岡田・例えばプラスとマイナスのうち、プラスの部分を先に電気的にOFFにして、マイナスは残すというイメージです。電源ケーブルのプラスとマイナスにそれぞれスイッチをつけて、プラスを切ってからマイナスを切るというイメージです。

読売新聞・プログラムの書き換えということになるのか。
岡田・スイッチをオフにするプログラムが地上にあり、その地上のプログラムのタイミングを書き換えています。

読売新聞・H3のためMLを刷新しているが、その辺りで起こってくる問題か、あるいはH−IIAでも共通して起こりうる問題か。
岡田・H−IIAにも電気的離脱があるが、システムがそもそも違うので一概には比較できないが、電気的離脱という動作はH−IIAでもさせています。H−IIAのこれまでの実績からしても動作に問題無いと考えています。

宇宙広報団体TELSTAR・電気的な離脱あるいはアンビリカルケーブルの物理的な遮断は、先に行われたCFTでは確認していないのか。
岡田・CFTというのはエンジンを燃焼させるものでして、それなりのリスクがある試験です。従って何かエンジンを含む機体が思わぬ動作をしたときに緊急停止する必用があります。そのためにはこの線というのはむしろ必用だとなりまして、逆に外れないようにしなければならないという思いで設定していました。そのため電気的離脱は実施していない。

宇宙広報団体TELSTAR・これは実際に打ち上げに挑んでみないと判らない問題だったのか。
岡田・最終的な組み合わせとしては、複合的な要素も含めまして、2月17日がある意味最初であったということです。

産経新聞・資料の「現象に至るシナリオ」で、電気的離脱とは機体のシステムが地上と切り離されるということか。
岡田・地上と機体を繋いでいる電気の線を、地上装置の中のスイッチでOFFにするというイメージです。電気的に切り離すもので、物理的には切り離されていない。

産経新聞・過渡的な電位変動とは何か。
岡田・ノイズみたいなイメージです。

産経新聞・切り離し時に電気的なノイズが発生して、その結果半導体スイッチをOFFにするという間違った信号が発出されたということか。
岡田・それで結構です。最終的にはその誤った信号が、あたかもそういう動作をせよという信号にすり替わっていた。最終的な指示をするFPGAは、これは正しい信号だといとうところに至ったということです。

産経新聞・対策としては、電気的なノイズが極力小さくなるような電気的な切り離し方をするようにしたということか。
岡田・その通りです。

産経新聞・切り離し時のノイズはゼロではないと思うが、誤動作しない範囲内のノイズであることを確認されたということか。
岡田・その通りです。

産経新聞・これによって打ち上げられる自信を得られたのか。
岡田・故障の木解析ということで、まだ現象は一つかというと、絞り込みを行っているが、その中で網がかかっていると思っています。

産経新聞・再打ち上げに向けての、あらためての意気込みをお聞きしたい。
岡田・今度こそ打ち上げたいと思います。

アラフネ計画・今回の原因が判ってきたのはいつ頃か。
岡田・見えてきたのは数日前だと思います。昨日の夜遅くまで協議を続けていたというくらいの、粘って粘って尻尾を掴むということをやっていました。やはり電気的な物なので目に見えないこともありますし、それが我々が推定している事が本当に証拠として出てくるのかという事も含めてやりましたので、本当に自信を持ってこれならいけるという気持ちになったのは昨日一昨日くらいです。

アラフネ計画・昨日の協議は、本当にこれでいいかどうかというものか。
岡田・そうですね。

アラフネ計画・電気的に見えないところが難しかったのか。
岡田・1回やればそのまま再現するような類のものではなく、設計的に明らかにこれは違うだろうというものが見えていれば判りやすかったが、設計的には正しい設計がされている。動作も正しくなされているという中で、結局こういったものを再現すること自体が凄く難しいようなことに取り組んでいました。実際のロケットを使って再現させるのも限度があり、そこは機器メーカーさんで繰り返しやろうとしても、その条件出しも実際の条件と合っているのかというところもありますし、そこを見極めていくのがなかなか難しくて、最後はなんというか想像力を働かせて、ここが恐らく怪しいという事に対してシミュレーションをかけた。シミュレーションをかけると、もしかするとこのシミュレーションの結果でこれが起きているかもしれないと逆に想像して、それが起きるかどうかを試し始めた。そしたらそれが見事に起き始めて結果に繋がってきたという感じです。

アラフネ計画・電気的な離脱のときに一気にやりすぎたということか。
岡田・結果的にはそういうことになります。

アラフネ計画・それが判ったときの瞬間はどんな気持ちだったか。
岡田・イギリスの諺で、朝焼けの前の暗闇は深いという、あの状態でした。なかなか尻尾が掴めない中で急に朝日が射してきた、そんなイメージでした。

アラフネ計画・ほっと一息という感じだったか。
岡田・私だけでなく恐らく担当者が一番それを感じていると思います。

NHK・X−170に行われる内部電源切り替えと、FLI後の電気的離脱の違いは何か。
岡田・ロケットは最終的に搭載された電池で飛んでいく。内部電源切り替えというのは、電池を使う前は設備から電源が供給されていて、それを充電された電池に全体を切り替えるのが170秒前の電源の切り替えです。それに対して電気的離脱というのは地上とのコミュニケーションをする1段機体制御コントローラと地上の電気設備の間の電気の繋がりを落とすということです。中の電池を使い始めるのが170秒前で、アンビリカルは日本語でへその緒ですが、それを切るイメージです。

NHK・FLI後は電源の切り替えではなくて、FLIの時点で電源は内部に切り替わっているが電気的には繋がっていて、その繋がりをFLI後に断にするということか。
岡田・その通りです。

NHK・電気的な繋がりをFLI後に断したときにノイズが発生したということだと思うが、対策としてFLI前の動作を変更することで、FLI後のノイズを抑えられるということか。
岡田・一部、FLI前の動作を変更しています。これは遮断タイミングを変更するべきものは前に倒していく変更でした。地上のシーケンスと呼んでいますが、発生する時間がパラメータになっているので、そこを変更するという対応は出来ます。手直しとしては割と簡単な方法がとれました。

NHK・再現が難しい現象とのことだが、電気的なノイズ自体は再現できたのか。FLI前にマイルドに断することでノイズを抑えることは確認されたのか。
岡田・ロケットと地上設備を組み合わせた状態で電気的離脱を起こす試験については、ケーブルの途中に計測器を挟み込んで、オシロスコープのようなイメージですが、それで実際の電気の波の形をとることをやりまして、ベースとなるデータをとりました。電気的離脱をするとどういう変異が発生するのかデータをとった上で、そういうデータがあるときにそれがV−CON1に入ったときに何が起きるかをいろいろと条件を変えたりして検討してきたということです。そこで得た結果について、対策を打った後でそこがどうなるかを同じようにデータをロケットと設備を組み合わせた状態でとりまして、それで結果が問題無いことを確認したということです。

NHK・L−1の18時過ぎに行う最終検証は機体が射点に据え付けられた状態で、かつ燃料が入っていないが打ち上げ直前の状態だが、ここでは何を検証するのか。内部電源に切り替えたあと、電気的な繋がりを保ったままFLIを迎える前に段階的に通信と電源を断するところまで検証して、その上で測定器でノイズが抑えられたかを確認するのか。
岡田・大体その通りだと思って下さい。LE−9エンジンが燃焼していないとか設備の水が出ていないなど条件の違いはあるものの、できるだけ内部電池を使うなどやれることをやる。ただしロケットの打ち上げ前の状態はそれなりの仕立てになっていて安全性を十分に確保しながらやらないといけないので、それができる範囲でぎりぎり実際の打ち上げに近い状態にした上でデータ取りをする。ただ実際に波形が取れる装置を挟み込む訳にいかないので、動作が健全であるかの最終確認をするというイメージです。

NHK・測定器でノイズを確認する訳ではないがスイッチが誤動作していないかのデータをとるということか。
岡田・そうです。

NHK・打ち上げの予備期間が3月10日と決められている中で、9年かけて開発し、2年延期していよいよというところで起きたトラブルだったと思うが、そのトラブルを乗り越えるこの数日間を振り返ってどういう気持ちだったか。
岡田・故障の木解析で、回路を見て、いろいろな状況と取れたデータもありますので、そういったものを全部机の上に広げて、いろんな専門家の意見を聞き、故障の木解析は割と早くできた。それが本当にこれでいけるかというところに対して、そこの尻尾を掴むのに割と時間がかかったので、正直ちょっと焦りがありました。どんどんと時間だけが経つような時期もあって、本当に真っ暗闇の中に居た気がします。

NHK・一点の曇りもないロケットを作るという姿勢を貫かれてきたが、焦りがある中でも今回の対応策は一点の曇りもないロケットと言えるか。
岡田・現時点では納得のいく結果とそれに対する対応が取れたと思っています。ただできるだけ最後の最後までそこを確認したいという思いで、1日前というのはあまり聞いたことのない話かもしれませんが、皆でこれをやろうと協議して、打ち上げの作業の中でやれる方法を考えましたので、今はこれで臨めるという気持ちだが、まだギリギリまで粘りたいと思っています。

JSTサイエンスポータル・ロケット打ち上げの成功と失敗の判断基準とその理由をお聞きしたい。
岡田・宿題にさせてください。2月17日から自分達がどうだったのかを振り返る間もなく何とか見極めたいと突っ走ってきたので、頭の中がそういう状態になっていない。成功失敗はそれぞれ尺度があるので私がどうという話は、隣の有田でも違う話になるかもしれませんし、そういうものではないかとも思う。

JSTサイエンスポータル・ロケットの場合はペイロードのお客さんがどう考えるかもある。
岡田・最終的にはALOS−3を宇宙に届けることが我々の成功と言い切れるところなので、それを目指して頑張りたいと思います。

NHK・過渡的な電気変動は、電気の世界ではよくあるのか、それとも滅多にないのか。
岡田・あるなしで言うとあるものだと思います。ただし全く同じものが常に出るというものでもないようです。ようです…というのは私も専門家ではないので、今回いろいろ勉強したが、ほぼ同じ事をやっても違うということがあります。なので再現性という意味では細かく見れば見るほど再現するというものではないような感覚を持っています。

NHK・再現がとれた話もあったが、再現がとれた場合と出なかった場合があったのか。
岡田・そうです。とても頭脳が明晰なエンジニアがおりまして、今回のシミュレーションプログラムを組んでやっているが、それでもやはりある種の確率的な要素が入ってくるし、実現象としてもどこでそのノイズが発生するかが微妙なタイミングで答えが違う。ですので、同じ事をやろうとしてもなかなか同じ事ができない世界でした。

NHK・機体移動後の最終的な検証の、具体的な時間の予定と、どういう所を見るのかをお聞きしたい。
岡田・時間は18時半くらいから行います。30分から1時間の作業だと思います。その中で電気的離脱を模擬的に作り、正しい動作をするかを確認します。

NHK・この検証を含めて22時のGO/NOGO判断が出るのか。
岡田・そうです。

日刊工業新聞・18時半頃から行う最終試験について、これまで他のロケットでは無くて今回が初めてなのか。
岡田・そうです。

日刊工業新聞・今後、2号機などでも行う試験になるのか、それとも今回限りか。
岡田・今回限りとは決めたわけではない。少なくとも今回はあるし、少なくともずっとやるものではない。データ取りはロケットの打ち上げを重ねる中で技術データ取得のため余計にセンサを搭載して打ち上げるのは最初のうちはやる。そういうような類で暫くデータをとってみようという判断はあるかもしれない。まだそこまでは議論が至っていないです。

日刊工業新聞・段階的にスイッチを切り替える手法は他のロケットではあるのか。
岡田・電気の切断の仕方としてこういう方法は一般的にあると思います。他のロケットがどうかという事はちょっと判らない。

ニッポン放送・電気的ノイズはどこから来ていて、完全に抑え込むことはできないものなのか。
岡田・ノイズのトリガは電気的に遮断するタイミングがきっかけです。どこから来ているかは複数考えている。複数とは言っても多数ではなく2〜3という程度。抑えるという意味で言いますと電気的な遮断の仕方を変えることで、ゼロには出来なくても大方無くなるというくらいまでは抑制できるものです。

ニッポン放送・今回ジンバリングの機構が油圧から電気になるなど電動化の部分が多い。これらがノイズとして影響を与えた可能性はあるか。
岡田・無いです。そこは私達もまず疑ってみた。ハイボルテージの電池も積んでいるのでノイズが出やすいのはおっしゃられる通りで、それが影響しているのではないかも疑ってみたが、ここに関する影響という意味では無かった。なので設計の段階と、これまでの開発の段階で排除できていると考えていたところが、現にそうであったという事でした。なのでそこは無関係でした。

ニッポン放送・電気の遮断にディレイをかけるのは地上設備で行っていて、ロケットは触っていないということか。
岡田・そうです。

ニッポン放送・衛星やブースターは点検はしているが特に手を加えていないということか。
岡田・そうです。

ニッポン放送・予備期間の3月10日まで後が無いという感じなのか、まだ時間があるという感じなのか。
岡田・後は無いですね。だからと言って焦るものではない。打ち上げを成功できるという確信を持って打ち上げるような状況でその日を迎えたいと思っています。それがあと数日ということですので、そこを目指して頑張りたいと思います。2月17日に生じたことに関しては、ある程度のところは見極めが付いて、最後の試験が残っていますが、時間の要素を意識しながらやれるだけのことをやって打ち上げに臨みたいと思っています。

共同通信・過渡的な変動のところで、タイミングをずらしてノイズを抑えるとのことだが、一度に切るとライン5本で単純な加算で大きくなるということか。
岡田・必ずしもそうではなくて、プラスとマイナスが微妙な差をもって切れていくときに、思わぬ増長みたいなものが発生するイメージです。全く離れたところで順番に切っていけばお互いに影響しないが、一緒に切ると思わぬ回り込みといったことが生じるという事です。

共同通信・ノイズは事前にここまでは大丈夫といった設定の上限はあったのか。
岡田・それぞれの装置の中に電気のチップがあって、使える条件が決まっている。そういうものが誤動作しないスレッシュホールド(境目)があって、その中で使うことが確認できれば問題無い。

共同通信・今回は事前に想定しがたいノイズの上限オーバーみたいなものが起きてしまったということか。
岡田・過渡的にそういうことが起きたと考えています。

共同通信・原因と対策の目星がある程度ついたところで、この事象の重大性はどのように評価できるか。
岡田・前日に行う打ち上げ前の最後の試験が終わるまでは結論としては申し上げにくい。打ち上げを中止してしまった事は非常に大きな事だと受け止めています。技術的には、結果的に地上設備で対応出来る範囲で良かったと思っています。これで本当にベストの対応になっているかはもう少し時間をかけて、このH3ロケットを良くするという中で、もっと良い方法があれば採用していく、という話ではないかと思います。

フリーランス茜・3月10日までの予備期間で今後の予定を拝見すると準備期間に3日ほどかかるので3月6日か7日まで再打ち上げを決定しないと期間内に打ち上げられなかったと思うが、チーム内でここまでというデットラインで決められなかったら年度内は難しいと設定されていたのか。
岡田・いや、していないです。仮に10日間に合わなくなったとしても、ベストを尽くして目指すべきだと思っていました。あるところで断念という事は、少なくとも考えながらはやっていなかった。ただ、原因調査や対応の時間を別にして、準備をするのに必用な段階的な期間があるので、そこを踏み抜いたら、その日には打ち上げられないとなります。そういう意味ではあるところまではロケットの準備を進めておいて、ここで原因調査と対応の結果を待ってその先の作業を進めるという意味ではタイムリミットはあったと思います。

フリーランス茜・一昨日か昨日の時点で今年度中に再打ち上げができると感じられたときに、あらためてどのように思われたか。
岡田・まだ打ち上げが成功したわけではないのであまり感想は無いが、暗闇の中から一点の光が見えた、これは度々開発の中で感じていることだが、これだけ短期間に事が起きてそれを皆で頑張って解決したというのは初めてだと思います。ですから良かったなと思っていますし、本当に電気関係のエンジニア、三菱重工さん、JAXA、機器のメーカーさん、本当に全力でやっていただいたので感謝しています。

読売新聞・1日前にデータをとるのは異例の事に感じるが、組立棟でロケットが立っている状態で同じような確認はもうされているが、最後にもう一回再現性を見たいということか。
岡田・再現性という部分もあるが、光ケーブルを使うなどやはり厳密には違いがある。そこは最後に確認しておきたい。我々はその段階でのデータ取りを殆どしたことがなくて、打ち上げの本番くらいなので、やはり最後にやるべきだという考えに立ちました。VABの中では発射台ごとVABの中に居るので、殆どの物は組み合わせとしては用意されているが、違いのある部分については念のため確認しようということです。

読売新聞・ノイズの波形が許せるレベルまで抑えられていると確認できればそのまま行くのか。
岡田・波形の取得はしないです。

読売新聞・ノイズをゼロにはできないとのことだが、今までより少し高い場合に打ち上げを止めるとか1日前の試験でNOGOになることもあるか。
岡田・NOGOにする場合は全く違うことが起きて、すっかり大人しくなっているノイズが急に暴れ始めたとか、我々の想像を超えたことが射点で起きたときに結果として打ち上げはできない。

読売新聞・地上側のプログラム書き換えで済んだとのことだが、書き換えに伴って他のシステムに影響は出ないということか。
岡田・出ませんし、出ないことの確認を終えています。

読売新聞・同時に電気的離脱を行うのは、なぜそういう仕組みだったのか。
岡田・(資料より)FLIのところまで引っ張っていますが、これは設計の考えとしては、ギリギリまで繋がって安全な状態を確保したいという思いでギリギリまで引っ張るのが理由です。何かあったときにロケットはとにかくいかなる時も安全にしなければならないという思いで、FLIという最後の最後まで、発射してしまう直前までこれを繋ぎ止めておくという考えに立ったときにこういう設計になったというものです。

読売新聞・ミリ秒単位で見直したところでリスクが高まるという話ではないということか。
岡田・そうです。10ミリ秒単位で考えていきますが、そこは今までの考えを変えない範囲で前倒しをするということを検討しました。

読売新聞・物理的離脱は打ち上がったときに外れるものだが、その前の電気的離脱が行われるのはどういったタイミングか。
岡田・LE−9はX−6.3秒で着火信号が出て、液体エンジンなのでそこからじわじわと立ち上がります。90%の推力になったところを見計らってかつ他の機器が異常で無いとしてFLIした直後に電気的離脱が起きます。SRB−3の点火信号送信が0.09秒で、その0.4秒後くらいにリフトオフするので、0.4〜0.5秒くらい前にFLIと電気的離脱が起きます。

読売新聞・(SRB−3の)点火信号送信のタイミングがX−0.4とあるが、そこと同じで良いか。
岡田・その一桁下の数字なので、ほぼ同じです。FLIから瞬時に点火信号が入るが、この間にロケットとしては3回くらいの判断をしています。

時事通信・資料の「現象に至るシナリオ」でV−CON1内で誤ったコマンドを検知とあるが、具体的にはノイズによってFPGAが誤作動して誤ったコマンドを発行したということか。
岡田・ここはまだ複数あるので丸めてあります。発行はどちらかというと次の段階です。誤ったコマンドは、FPGAとその周辺の回路の中にノイズで姿の変わったコマンドが入ってきたのか、ノイズそのものがFPGAの中でデータを化かしたか、どちらが決め手かは絞れていない。ほぼその二つをひっくるめて表現するとその表現になりました。

時事通信・コマンドを出したこと自体がノイズに直結したことかもしれないし、それ以前で異常が起きたのでおかしいという事でスイッチをOFFにするコマンドを出したことの両方があり得るのか。
岡田・V−CONの中のFPGAは間違っては切りにはいっていない。切るつもりで切りに行っている。何故切ろうとしたかというと、切れと言われたので切ったのか、中で切るとなっちゃったのか、どちらかは特定していない。結果的にはFPGAは半導体スイッチを意図して切ろうとしています。

時事通信・水平展開で必要に応じ同様に対策とあるが、シミュレーション等で同じようなことが起き得たということをいくつか確認されたということか。
岡田・いくつかといってもそんなに多くない。できるだけ早く電気離脱をマイルドに遮断した方がいいだろうという機器は見つかりましたので、それについてはタイミングの前倒しをやりました。

時事通信・2段目にもあったのか。
岡田・ありました。

時事通信・打ち上げ中止からの士気の維持の仕方は何か工夫されていたのか。
岡田・私というよりも電気の担当の頑張りが凄かった。それと有田ロケット主任、それから森ロケット班長、みんな頑張っていました。メーカーさんは私は直接見られないが、それ以上に頑張っていただいた。

時事通信・プロマネの気持ちの持っていき方とかそういうものがあったのではないか。
岡田・そんな事ではちょっと語れない2週間でした。それぞれの使命を全うするつもりで頑張っていました。H3プロジェクトが最高のパフォーマンスが我々も三菱さんも機器メーカーさんも出ていると思うので、打ち上げ成功に向けて冷静に突進していきたいと思います。

フリーランス大塚・FPGAが半導体スイッチをOFFにした理由が、電気的遮断で発生したノイズがたまたま正常なコマンドと解釈できるタイミングで入力したのか、それとも電位変動でFPGAが誤動作した結果OFFにしたのかは絞り切れていないのか。
岡田・はい。絞り切れていないのは特定していないという意味です。その原因たるは絞り込めていて、それは電気的遮断における電位変動であるというところが元々のきっかけなので、そこは特定してある。

フリーランス大塚・電気的な離脱は具体的に何をしているかについて、電源と通信ラインに半導体スイッチのようなものでOFFにしているのか、地上側でOFFにしているのか、モードを変えているのか。
岡田・電気系の地上設備にはメカニカルリレーがそれぞれの信号毎に搭載されている。メカニカルリレーを搭載した地上設備はML5(移動発射台)の中に中継装置としてあります。そのメカニカルリレーを作動させるシーケンサーはLCCの中にあって、そこのシーケンスを書き換えたということです。

フリーランス大塚・メカニカルリレーということは回路的には物理的に離れているということか。
岡田・そうです。

フリーランス大塚・予備期間が3月10日のままだったが、延長交渉の努力はしていたのか、最初から交渉をしないでトラブルシュートに専念していたのか。
岡田・後者です。予備期間というのはそういうものです。我々としてはいただいている予備期間、これはかなり色々な皆さんが長い時間をかけて調整していただいた結果としての予備期間なので、ここを絶対的な条件としてプロジェクトとしては臨むということを考えていました。

毎日新聞・V−CON1内で誤ったコマンドを発出した原因のノイズだが、どこから出たか特定されていないとのことだが、これまでノイズ自体はH−IIAでも確認されているとのことだが、今回半導体スイッチを切るほどの作用を及ぼしたということで、ノイズのレベルが大きいとか特殊な動作をしたとか、何かデータから判っていることはあるか。
岡田・H−IIAでノイズが出ていたことは、私は確認した記憶が無いです。実績としてはこれまで打ち上げが正常に行われているところを見ると問題無く動作していると思います。

毎日新聞・機器の中でノイズが発生する現象は珍しいことではないということか。
岡田・遮断をするときにノイズが出るというのは一般論としてはある。それが回路の中に組み込まれたときに、どうノイズが作用するかは回路毎にある。回路とかケーブルとか、実際の物によって個性がある。リレーを落とすタイミングが微妙に違ったりするとお互いが干渉し合ってノイズが大きく出たり小さく出たりする。全体的にデジタルの世界なので、それによって「1」であったものが「0」に転じることが結果として起きてくる。それによって違う動作をするという流れです。

毎日新聞・H3ロケットは電気系システムを従来のH−IIA/Bから大幅に変えていて、ネットワーク方式を採用してシンプル化したが、それは今回の事象に影響しているか。
岡田・可能性としてはあると思います。新しいネットワーク方式を取り入れていて、そこが何らかの関与をしている可能性はある。だからといって設計変更したことが問題かというと、必ずしもそういうことではないと思っています。

TELSTAR・6日まで「種子島ロケットコンテスト」が開催されていて、参加者の大半が学生だと伺っていますが、6日か7日の打ち上げとすると多くの人がそれを見ることになりますが、参加される学生さん達に何かメッセージをいただけないでしょうか。
岡田・君たち凄いなと思いますね。私は学生時代にそんなことを自分でやろうと思ったことが無いくらいでした。最近は学生さんの時代からそういうことをやって、それが本業になって、それが本当に小回りの利く事業になっていく姿を見ていると本当に凄いなと思いますし、これからの宇宙開発を担ってくれるだろう人達に本物のロケットの打ち上げを見せてあげたいという思いはあります。いま私は観望台(種子島宇宙センター・竹崎観望台)というところでお話しているが、ロケットコンテストの会場が見えていて設営が続いていました。この周りには学生さんがちらほらといらっしゃって、いつもと違う種子島の風景が見えています。私もロケットコンテストを楽しみにしています。

フリーランス秋山・この2週間のことをお聞きしたい。原因究明と対策を進められる間の、ALOS−3のチームとのコミュニケーションはどのようにされてきたのか。また調査の会議などにALOS−3の方が同席したり、中間報告のような場を設けたりしたのか
岡田・まず私とALOS−3のプロジェクトマネージャは、あるタイミングで電話などでやりとりをして、今こういう状況です、もう少し粘らせてほしいとい話であるとか、いろんな会話をホットライン的にやっています。いろいろな検討会とかに出ていただいて、そこで状況や結果を見てもらうというのがあります。さらにALOS−3のプロジェクトからありがたい申し出があり、電気回路のプロフェッショナルがいるので、ぜひ何かあったら力になりたいと言ってもらえまして、現に専門家の集団での議論に一緒に入ってもらって、カスタマーという立場では無くて専門家という立場で議論に加わっていただいている。こういう感じで非常にありがたかったです。

フリーランス秋山・2週間の間一体となって対策に当たってこられたということか。
岡田・もちろん我々にとってはカスタマーなので、そのカスタマーに対する対応をとりつつ、別途コミュニケーションをとってきたということです。あとALOS−3に限らずJAXAのいろいろな専門家にも加わっていただいて、あと三菱さんの専門家にも加わってもらって全力でとり組んできたという感じです。

フリーランス秋山・三菱の中でも別の関係者から第三者的視点でお話をいただいたということか。
岡田・三菱さんの中では研究所の方に参加いただいたのもありました。第三者という独立評価ではなく専門家として加わっていただいた。

フリーランス秋山・そういったところからのご指摘が今回の原因究明に役立つとか、見なくて良い部分を潰すことに役立ったということはあったか。
岡田・それはあります。物凄くディープな、細かく詳しいところにどんどん入っていくときに、いろんな助言をいただいて、JAXAで言うとアビオニクスの担当者で活躍していたのは4人ですが、それに対していろんなアドバイスや気付きを与えてもらったのが、JAXAそれから三菱さんのそれぞれの専門家からありました。本当に感謝しています。

NHK・水平展開で同様に対策したとあるが、具体的に何カ所か。
岡田・この手のもので言うと1桁台で、4〜5箇所だと思います。

NHK・具体的には2段の離脱するところか。
岡田・そうです。

NHK・今のところ機体の他の部分は問題無いということか。
岡田・非常に良好な状態で打ち上げの準備に入っているところです。

フリーランス鳥嶋・もし10日までに打ち上げられなかった場合に関係機関との調整が必用とのとことだが、どういった作業が必要となって、どれくらい時間がかかるのか。
岡田・私が直接それに携わっている訳ではないので、私の知り得る話だけですが、非常に全体的な調整になる。地上の交通を止めるとか、海上とか航空の管制に関係する話もありますし、非常に多くの方が関わっている中での全体的な調整をする訳なので、時間読みができるものなのかは判らないが、かなりのしっかりとした調整で打ち上げの時期が決まるものだと思っています。そのため今いただいている予備期間の中で打ちたい。

フリーランス鳥嶋・10日に間に合わなかったら今年度は難しいのか、それとももう一度出来るくらいの時間はあるのか。
岡田・すみません、そこは私はよく判らないです。少なくとも一から調整させていただくものだと思っています。今年度の前後という話ではないと思っています。どこか適切な時期に設定をするために全体的な調整を1からすることになるということです。

フリーランス鳥嶋・ロケット側で保証期間が来てしまう部品があると思うが、組み上がっている中で部品交換とか保証期間の延長は可能なのか。あるいは逆VOSをして分解しないと交換できない部品はあるか。
岡田・あると思いますし、我々は1号機の逆VOSを何回も繰り返している。そういう時には必要に応じて機体を横にする、必要な物を交換するというのは、次の打ち上げまでの時期によって必用のあるものと無いものが出てくると思います。

・岡田プロマネから一言
 2月17日に打ち上げを目指していたところが、思った通りの結果にならなかったのは先日お答えした通りの気持ちでした。今度こそ3月6日(※)を目指して準備を整えているところですし、今度こそ打ち上げを成功させるべく最後の一瞬まで頑張りたいと思います。これまでロケットエンジニア、三菱さん、JAXAが最高のパフォーマンスを出しているので、打ち上げ成功に繋がると思っています。頑張ります、ありがとうございます。
 (※翌日の天候判断で3月7日に変更済み)

No.2519 :天候判断による変更
投稿日 2023年3月4日(土)13時13分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の打ち上げ予定日は天候判断により3月7日に変更されました。
(2023/03/04 14:00発表)

(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2518 :H3ロケット打ち上げ日時について
投稿日 2023年3月3日(金)16時00分 投稿者 柴田孔明

H3ロケットによる試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」の打ち上げ予定日時は以下の通りとなりました。
打ち上げ日時:2023年3月6日10時37分55秒〜10時44分15秒(JST)
予備期間:2023年3月7日〜2023年3月10日
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2517 :H3ロケット試験機1号機の打上げ中止の原因調査についての宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合より(訂正版)
投稿日 2023年2月26日(日)19時16分 投稿者 柴田孔明

 2023年2月22日の夕方に行われたH3ロケット試験機1号機の打上げ中止の原因調査についての宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合と、その後に行われたフォローアップブリーフィングです。
(※一部敬称を省略させていただきます。また回線等の関係で一部聞き取れない部分があり、省略させていただきました)
 ※SRB−3の点火時間を大きく間違えていたので訂正したものです。

・H3ロケット試験機1号機打ち上げ中止の原因調査について(配布資料より抜粋)
 ・発生事象
  ・自動カウントダウンシーケンスにおいて、「LE−9エンジンスタート」のステップまで進行し、LE−9エンジンは着火した。その後、LE−9エンジンが立ち上がり、打上げ条件は成立した(フライトロックイン(FLI))。
  (※打上げ条件:LE−9エンジンの立ち上がり(推力90%相当)と、各機器の作動状態が正常であることを自動判定)
  ・打上げ条件成立後、リフトオフ直前までの異常監視中に1段機体制御コントローラが異常信号を検知したことから、固体ロケットブースタ(SRB−3)への点火信号の送信を自動停止、安全な状態に移行した。SRB−3に異常はない(フェイルセーフ設計が機能)。
  ・H3ロケット、衛星(ALOS−3)、および地上設備に損傷は生じていない。

 ・原因調査の状況
  ・打上げ条件成立後、SRB−3の点火信号送信前に、1段機体制御コントローラが異常信号を検知し、飛行制御ソフトウェアが以降のシーケンスを停止。
  ・異常内容:1段エンジン用電源供給系統における異常。
   ※誤検知ではなく実現象である。(※質疑より)
   ※現象としては電源がOFFになった。冗長系でリカバリしている。(※質疑より)
  ・この事象に対して原因調査では、機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高いところまで原因を絞り込んでいるところ。詳細な原因調査を行い、必要な対策を実施予定。

 ・今後のスケジュール
  ・現在、以下の作業を並行して実施中。
   1.今回の発生事象に係る原因調査、対策および検証
   2.再打上げに向けたロケット本体および設備の点検等を含む一連の準備
  ・打上げ予備期間内(〜3月10日)に打上げられるよう全力で取り組む。

・以下はフォローアップブリーフィングです。
・質疑応答
産経新聞・資料の「機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高い」の電気的挙動とは具体的にどんな事を指し示すのか。
佐藤・資料の図は1段機体制御コントローラの中の当該部分だけ抜き出しておりまして、このコントローラを通して電池からエンジンをコントロールするエンジンコントロールユニットに電源が供給されるという制御を行っています。半導体スイッチと書いてございますが、ここが切れたり繋がったりするものになっていまして、1段機体制御コントローラの中にある制御用FPGAというものでこのスイッチを制御します。詳細は複雑な回路ですが大まかに言うとこういうものになっています。図のエンジン用電源供給系統はフライトの場合はここがしっかりと繋がって、電気がエンジンコントロールユニットまで繋がった状態で打ち上げに行くが、ここの電圧等に異常が見られたというところで、今回の安全な停止の方向に動いていったというところです。今、こういうところまで絞り込んでおりまして、電気で半導体スイッチを動かしたりするところを、本当にそういうことが起きていたのかどうか、こういったところを今詳細にあたっているというものでございます。

産経新聞・電気的な挙動とは何か。
佐藤・スイッチを開けたり閉めたりする挙動と思っていただければと思います。

産経新聞・スイッチをONしたときにノイズなどの影響が出たということか。
佐藤・スイッチが本当は閉まったまま飛んでいくのが正常な動作です。このスイッチがこれも判っていないのですが、何かしら外からのノイズで開いてしまったりした場合に今回のようなことが考えられるのではないかということを今考えています。
 (※スイッチが閉まる:回路が繋がりON、スイッチが開く:回路が開放されてOFFになる)

産経新聞・スイッチの誤動作の可能性が高いということか。
佐藤・そうですが、まだ完全に絞りきれていないところなので一例としておきます。

産経新聞・図にエンジン用電源供給系統とあり、その先にエンジンコントロールユニットとあるが、これは1段エンジンと表現されているが、これは主エンジンなのか、あるいはブースターも含むのか。
佐藤・このエンジンコントロールユニットの働きは、この先に1段のLE−9エンジンがぶら下がっていまして、LE−9エンジンをコントロールするBOXになります。

産経新聞・LE−9エンジンが対象でブースターは関係無いということか。
佐藤・はい。

NHK・エンジンコントロールユニットはLE−9エンジンのバルブ開閉を意味しているか。
佐藤・バルブの開閉は別のBOXになります。

NHK・エンジンの何をコントロールするのか。
佐藤・ECUですがエンジン全体の制御をしておりまして、H3の特徴として電動バルブとかを採用していますが、電動バルブの動作は別のBOXです。弱電系のコントロールをするのがこのエンジンコントローラというものになっています。

NHK・エンジン全体の制御というのはどういうものか。
佐藤・首振りとかはパワーの大きい電動アクチュエータを使っているのでまた別のBOXです。着火を含むシーケンスを司るものをこのエンジンコントロールユニットで行っています。

NHK・電圧等の異常とのことだが、もう少し詳しく。
佐藤・この系統の電圧が、基本は電池が繋がっていると電圧が立っているが、そこが落ちてしまった。それに伴って電流も落ちてしまったという現象を確認しています。

NHK・一時的に電源が落ちていたということか。
佐藤・一時的に電圧と電流が落ちて、状況が整わなくなったという判断を1段機体制御コントローラの中で自動的にしまして、その先のシーケンスを止めに行ったという現象です。

NHK・電源供給系統の系統とは、回路とか配線とか物理的に繋がっているということか。
佐藤・電源系ですので、配線等を含む物理的に繋がったものを指しています。

NHK・電気的な挙動ですが、その前の「機体や地上設備」で機体とは機器同士を繋ぐネットワークとかではなく、半導体スイッチの開閉操作や誤操作を指して機体と呼んでいるのか。
佐藤・機体制御コントローラというBOXの中の動作、制御用FPGAだけではないかもしれませんので、このコントローラの中と考えています。地上というのは、地上とそこ(機体制御コントローラ内の制御用FPGA)が繋がっていますので、例えば地上から変な信号が来るとスイッチを開けにいってしまうかもしれませんので、こういったところを追い込んでいます。

NHK・V−CON1(1段機体制御コントローラ)内部の電圧と電流が一時的に落ちているというのが異常の内容で、その原因としてスイッチの誤動作だったり、地上との電気信号のやりとりで何かしらの不具合があったりした可能性が高いという整理で良いか。
佐藤・そうです。

読売新聞・今回エンジンの推力の立ち上りは出来ていたが、電力の供給は何に使うものか。
佐藤・LE−9の着火をして、徐々に立ち上がって、一定の圧力を超えたということで、打ち上げ条件成立という信号が出るまでは正常に行われています。燃えているエンジンを制御するため、当該のエンジンコントロールユニットを含めた制御が行われているが、その間基本的には電源がきちんと供給されていた。そのあと途中で異常を検知したというところで落ちてしまったが、実は資料には表していない冗長的な系別がございまして、エンジンのコントロールユニットは別系統で電源が供給されています。そういうことでエンジンは正常に停止信号で立ち下がった。

読売新聞・電圧電流が落ちたというのは一時的にゼロになったという書き方をして良いか。
佐藤・はい、結構です。

読売新聞・電源系統の供給は地上からの指令があったらV−CON1の中のスイッチがONになって、エンジン側に電力が供給される仕組みか。
佐藤・ちょっと複雑で、地上と機体側で協調して動かしています。そういった意味でコントローラの中の制御用FPGAは地上からの信号を制御する部分と、機体側のそれの2つを介して、ある一定条件の中で何個かあるスイッチをシーケンシャル的に入れていく制御になっています。

読売新聞・異常が起きた当時の流れとしては、地上からの指令だったのか。
佐藤・物凄く微妙なタイミングで起きた事です。飛び立つ前に地上側を切る動作があるが、その辺との関係なども調査をしているところです。

読売新聞・どちらかは判らないが、流れとしては繋がっていて、どちらかに原因があるのか。
佐藤・その中で条件が成立しないという異常が出たので、もともと組んでいた通りに止めに入ったという状態です。

読売新聞・スイッチをONにする指令は自動か。
佐藤・はい。240秒前から自動カウントダウンシーケンスが走りまして、その辺から基本的に自動で、地上と機体が連携しながらシーケンスを進めるという流れです。

読売新聞・異常なノイズの要因として振動など環境的な要因は考えられるか。
佐藤・ノイズは一例として申しました。ノイズなのかも含めてまだわかっていない状況です。燃焼が既に始まっていますので、振動とかもあると思いますので、その辺で何が影響するか引き続き調査させていただきたいと思います。

フジテレビ・一般にも関心の高いニュースだが、今回の原因を一般の主婦や中学生にも理解できるようにどう表すか。
佐藤・大変難しい質問です。我々も再現試験を含めて繰り返しているところで、何が原因かというところに完全には至っていない状況ですので、私の語彙力的にも平易にはちょっと難しいと思います。

フジテレビ・機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高いという部分だけでも噛み砕いて言うとどうなるか。
佐藤・平易かどうかですが、ロケットの機体または設備の電気信号のやりとりの中で電圧が落ちたといった表現になります。

時事通信・エンジンコントロールユニットはエンジン全体のコントロールに関係するということで、最初の着火の時も働いているのか。
佐藤・そうです。

時事通信・最初の着火でも監視は行われていて、その時は特に異常は無かったのか。
佐藤・はい、そこは正常に動いています。

時事通信・半導体スイッチは起動時に入って電気が流れるのか。
佐藤・安全の観点から事前にはOFFになっているが、何段階かでこのスイッチを入れていくと、電池からコントロールユニットに繋がるということで、フライト中は繋がった状態で飛んでいくものになります。

時事通信・1段のエンジン用の電池はエンジンコントロールユニットだけに供給するもので、アクチュエーターのようなパワー系のものが動いたりして電圧が落ちるする影響はあるのか、あるいは設計上はあり得ないのか。
佐藤・そこはまだいろいろ検討の余地があると思っています。開発、それからCFTにかけて実環境で動かしてきたり模擬環境で動かしたりする中では問題は無かったことで打ち上げに臨んでいますので、基本的に我々としては問題無いと思っていたところです。今後より詳しく見ていきたいと思っています。

時事通信・電圧のデータは基本的に取れていて、いつ落ちたというのは見ているのか。
佐藤・はい、とっていたデータは全て解析している。

時事通信・電気的な挙動というのは、一例としては電圧が落ちたのが事実としてあったのか。
佐藤・はい、実現象として確認しています。

アラフネ計画・半導体スイッチが何らかの理由でOFFになって電圧が落ちたとのことだが、理由はいくつくらいまで絞り込めているのか、それともまだこれからなのか。
佐藤・今いろいろな環境を使って再現するかを継続してやっています。そういった意味で、まだそこを絞り込むところには行っていません。また設計的にどういうことになるとこういう事が起きるのかの確認も進めています。そういった意味でまだお話できるほど絞り込めていないのが現状です。

アラフネ計画・可能性としていくつものパターンがあるのか。
佐藤・我々もかなり検証を繰り返してきた中で起きた事ですので、設計陣が可能性として考えられるのを何個か出してデータを取りながら検討を進めている状況です。

アラフネ計画・もしも止まらずに飛んだら指令破壊をしなければならない状態になったのか。
佐藤・これは原因になったところが他に悪さをしていないかとか、全部見ていかなければいけないと思いますので、なかなかそのまま飛んでいったら変なことになったかは今の段階ではまだ言えないと思っています。

アラフネ計画・原因が判ったらすぐ対処できるのか。
佐藤・3月10日まで再打ち上げをやりたいと全力でやっておりますので、原因に応じて対策はしっかりとった上でと思っています。ただ原因がまだ絞り込めていない状況ですので、引き続き調査をさせていただきたいと思っています。

アラフネ計画・3月10日までに打ち上げるとしたら、いつまでに原因が判っている必用があるか。
佐藤・いろんな組み替えをやっていて、明確なリミットはございませんけども、いずれにしても打ち上げに向けた作業が必要になるところはありますし、天候も考えながらいろいろ設定していかなければならないかなと思っています。

アラフネ計画・打ち上げの何日前までに発表するのか。
佐藤・ここでお伝えできれば良かったが、まだ原因が絞り込めていないので、この場では明確なことは言えないかなと思っています。

NewsPicks・3月10日を目指すとのことだが、実際に打ち上げができる段階に行くまでには、どういう条件が整えば良いのか。手続き的に何が必要になるか。
佐藤・打ち上げを中止した以降、今機体はリサイクル作業を進めています。再打ち上げに向けて他の部分は整うように作業を進めている。大体終わりに近づいています。イメージで言うとCFTをやった後に今回の打ち上げに臨むのと同じ形で行っています。一番の問題は今回の原因を絞り込んで、どこに対策するかを決めることが大事でして、それによって追加で確認する試験とかも規模がいろいろパターンがあると思っています。その辺を見極めた上で再度の打ち上げのシーケンスに入っていくことになるかと思っています。

NewsPicks・リサイクル作業とは、例えばどんな作業があるのか。
佐藤・この間、液を充填しました。液は翌日にかけて抜いて機体はVABに戻した状況にあります。ロケット打ち上げ前に人がアクセスするようなドアがありまして、そういうものをいったん解除したり、タンクの表面に断熱材がついているが、極低温の液体を入れていますので、その断熱材に割れがないか点検したり、エンジンも極低温の液が入って燃焼まで行っていますので、パージと言ってガスで乾かしたりするような作業をやってきているというところです。

NewsPicks・現時点ではデータやログを調べていると思っているが、今後実機で何か試験や点検は必用になってくるのか、既にやっているのか。
佐藤・今、実機を使った再現試験も並行して行っています。機体のリサイクルの干渉も考えながらやっています。また工場側でシミュレーション環境とか単体の開発品がありますので、同じような外のインターフェイスも考えながら単品で再現しないか、こういった試験も進めている状況です。

NewsPicks・委員の方から3月10日までに再挑戦という事についてご意見はあったか。
佐藤・やはり重要な「だいち3号」を載せているという観点で、やはりそれも意識して3月10日までの中でしっかり上げられるようにやるということが大事だという話はいただいております。

NVS・今回の事象はシーケンスで言うと、170秒前の内部電源切り替えに使用しているスイッチ周りということか。
佐藤・これがひとつ関係します。図にはリレー1個しか書いていないが、何個かの多段になっています。

NVS・シリアルに繋がっていてどれかは判らないということか。
佐藤・はい、そういう風に捉えています。

NVS・今回発生した事象は1回のみか、それとも断続的なのか。
佐藤・電圧が落ちたという話をさせていただいたが、落ちたところで異常だという検知フラグが立ちましたので、その時点で全体のシーケンスとしては止めに行っています。ただ電圧が落ちた状態が数秒間続いたのは把握しています。

NVS・データはデータ収集装置のものと推測するが、そちらは別の電源で動いているのか。もし落ちた電源と共通ならデータは信用できるのか。
佐藤・私も定かではないが、機体コントローラの中の各種のデータはテレメータで取得してまして、このテレメータはデータ収集装置に入って送られてくる。そこから送られたデータとしてそれを確認しているというものです。データ収集装置での他のセンサも含めた取得は問題無く行われていますので、そちらと今回の電源系は違うものですので影響は無いと思っています。

フリーランス秋山・今回のエンジンコントロールユニットは弱電系で、強電系のアクチュエーターとかではないとの説明があったのは承知の上でお聞きしたいが、アクチュエーターがH3で油圧から電動になったなど新しくなった要素がある。そうした電気に関わる新規の開発要素が今回の件に何か関係している可能性はあるか。
佐藤・おっしゃられた通り、今回電気でコントロールするようにH−IIAから変えてきています。そういった観点で今回の主役かなと思っていますV−CON1辺りの中身についてもそれに合わせていますし、エンジンコントローラあるいは図に無い他のパッケージもそれに対応した物に変わっている。高い電圧で動かす物が動いたときに、一般的にはノイズが出るイメージがあるかなと思っていまして、それが大本になって今回のような事が起きるというのは、完全に私見ですがいろいろな背景要因のひとつとしてはあり得るのではないかと思っています。ただそういったところの干渉に関する試験等を繰り返してきていますので、その辺も捨てずにこの後のトラブルシュートを続けていくのかなと思っています。

フリーランス秋山・念頭に置きつつ究明しているということか。
佐藤・あらゆる可能性を捨てずに検討を進めているという所でございます。

フリーランス大塚・半導体スイッチやFPGAのハードウェア的な原因ではなく、それ以外の外部的な要因と見ているのか。
佐藤・まだそれが何かというのは特定できておりません。ここはハードウェア的にコントロールする所ですので、あるいは制御信号というのはソフトウェアで制御していたり、地上設備から繋がるラインでコントロールしたり、いろんな要素がありますので、今ハードがおかしいというのは特段捨てていません。

フリーランス大塚・半導体スイッチはどのタイミングでONになるのか。
佐藤・自動カウントダウンシーケンスの中で安全に配慮して1個ずつ入っていく形になっています。その辺りの細かいところはお示しできないものです。

フリーランス大塚・X−10分以降とか、直近なのか、もっと前なのか。
佐藤・直近の自動カウントダウンシーケンス以降に行われていくことになります。

フリーランス大塚・フライトロックインの判断やSRB−3の点火判断はV−CON1なのか、それとも他の部分が判断するのか。
佐藤・結構複雑ですが、H3ロケットの頭に相当するのは2段にあります機体制御コントローラ(V−CON2)になります。V−CON1とV−CON2は連携していますので、信号そのものは2段のV−CON2の方から出て、それを受け取ってV−CON1で制御していくというシーケンスになります。

フリーランス大塚・メインコントローラはV−CON2と考えると良いか。
佐藤・そうです。機体制御の大本の姿勢を計算するなどそういったフライトコントローラはこちらに入っています。

フリーランス大塚・V−CON1はV−CON2の指令を受け、その下にアクチュエーターコントローラとか推進系コントローラなどがぶら下がっているというイメージで良いか。
佐藤・はい、そういう構成になっています。

月間星ナビ・電池から供給が落ちてアボートした過去の事例はあったか。
佐藤・記憶ではあまり無いと思っています。

月間星ナビ・H2の2号機も直前でアボートしたが、内部的には違う現象なのか。
佐藤・H2はSRBの点火が地上からとなっています。信号のやりとりという意味では似たようなものと言われればそうなのかもしれないが、全体のシステムの中での役割分担が大きく変わってきていますので、全く同じというのはなかなか無いかなと思っています。

南日本新聞・半導体スイッチなどの部品を変更する必要性は今後出てくるか。
佐藤・その可能性は捨ててはおりません。原因究明結果によっては、その辺に課題があれば交換しなければいけないということもあるかと思っています。

南日本新聞・2段のV−CON2も同じような部品を使っているのか。
佐藤・今は正確にはお答えできませんが、同じようなものは使っていると思います。

南日本新聞・部品に問題がある場合、2段のそれも変えなければならない可能性もあるということか。
佐藤・仮定の話なので答えづらいが、部品そのものの不具合という話になれば、おっしゃったことのようなことは考えなければならないと思います。ただ、そういうことなのかという事も判っていないので、何とも答えようがないと思います。

南日本新聞・3月10日までの打ち上げを目指すという報告だったが、仮に3月10日に上げるとしたら、いつまでに発表するのか。
佐藤・そこの目処付けがまだ出来ていないが、打ち上げの2日前には時刻を設定して通知するのがポイントとしてあります。我々としてはその前の段階で判ったことを皆さんにお伝えしていきたいと思っていますが、手続き上は2日前に通知が出来るかがゲートかなと思っています。

南日本新聞・8日がデッドラインか。
佐藤・10日のワンチャンスならそうなるが、今までも苦労していますが天候でその日に上げられないこともありますので、なるべく余裕をもって設定したいと思っています。

宇宙作家クラブ松浦・確認ですが、エンジンコントロールユニットに電源が入り、エンジンが正常に立ち上がり、SRB−3の点火許可が発行された後に、エンジンコントロールユニットの電源が落ちた、そのあとエンジンコントロールユニットは冗長系からの電気を使って動作を続け、LE−9を無事に消火したという理解で良いか。
佐藤・はい、結構です。

宇宙作家クラブ松浦・別系統は地上からか、それとも同じ電池から別配線で行くのか。
佐藤・別の電池の系統を繋げていて、そちらは生きていた。

宇宙作家クラブ松浦・そのまま打ち上げた場合でもうまくいった可能性があるということか。
佐藤・それだけを見れば行った可能性もゼロではない。

宇宙作家クラブ松浦・SRB−3用の熱電池は使ったので交換するのか。
佐藤・熱電池の交換もリサイクル作業の中で行っていきます。

宇宙作家クラブ渡部・打ち上げ時のデータは、現時点で全て検証済みか。他に異常のあるデータは無かったか。
佐藤・今回、我々も検証を積み上げて自信を持って臨んだ中でこういうことが起きたので、直接の原因究明と並行して、その辺に全く抜けがないか別の技術者が洗っています。CFTまでの検証と、今回も本当に直前のところまで行ってSRB−3に火がつくだけという所でしたので、かなりの部分は確認ができてきたと思っています。その辺も水平展開的に抜けが無いか洗っているところです。

共同通信・スイッチが物理的に破損していた可能性はあるか。
佐藤・まだ当該コントローラは機体に載せたまま再現試験等をしていますので中を見た訳ではございませんが、その再現試験の中でいろんな条件でやっているが再現していないので、今のところ動作は正常というところになっています。ハード的な破損というのは今はちょっと考えにくいかなと思っています。

共同通信・ソフトウェアの問題の可能性の方が高いということか。
佐藤・ソフトは一要素として言ったのですが、外からの誤信号とかいろいろな事が考えられますので、まだどれだというのは言いづらいところです。

共同通信・部品の交換は種子島の射場で出来るのか。
佐藤・後続号機用のV−CONが何個かあります。2号機の機体は種子島にあるのでそこにも乗ってますし、工場側にもあります。基本的にV−CONの交換は今のまま出来ると考えていますので、パッケージの交換となれば、どれかのコントローラを持ってきて交換は今のまま出来ると思います。

共同通信・ウインドウ(打ち上げ期間)だが、最初に設定した昨年末のときは2月28日までだったが、その次に延期の発表があったときに3月10日になっていたが、さらに3月10日から拡張するのは軌道などの関係で物理的に難しいのか。
佐藤・そちらの理由よりも、安全管理の観点で警戒域を設定したり、地元の方型や関係機関とかなりの調整をして3月10日まで少し延長させていただいた。そこに時間かけて変更等をやっていますので、このタイミングまで来ているところでは簡単ではないと思っています。

日刊工業新聞・検証するにあたって三菱重工さんと協力して行うと思うが、JAXAさんと三菱重工さんで検証の役割分担はどうなっているか。
佐藤・ハードを動かしての再現試験等、あと三菱さんの工場、そしてV−CONを開発したメーカーさんで手分けしてやっていまして。基本はJAXAと三菱さんが一体で動いています。JAXAの中でも他の専門家の方に加わってもらって技術判断のところをやっていただいていると言うところです。そういう意味でかなり一体で動いているという状況です。

産経新聞・1段機体制御コントローラが異常を検知したのは打ち上げの何秒前になるか。
佐藤・メインエンジンが点火したのが打ち上げ前(X−)6.3秒で、このあと中での確認をして、大体ですが打ち上げ前0.3秒前くらいのタイミングと思います。

産経新聞・それだとSRB−3が点火されているのではないか。(※資料ではX−0.4秒で点火)
佐藤・資料にあるSRB−3点火がX−0.4秒前というのはノミナル的に書いていまして、エンジン(LE−9)がゆるやかに立ち上がる関係でシーケンスは微小にずれるものになります。今回非常にミリ秒オーダーくらいの微小な時間で判断がされていますので、0.3〜0.4くらいのところと捉えていただければと思います。

産経新聞・シーケンスも概数で出ていると思うが、矛盾しない数値が欲しい。
佐藤・打ち上げをX−0とか呼んでいるが、実際のシーケンスはエンジンスタート後の立ち上がりとフライトロックインの時間からカウントしていまして、プラス何ミリ秒とか違う時間軸で定義しています。なので一般的なX−0で言うと0.4の付近という言い方になるが、厳密にはちょっと違うところです。

産経新聞・検知自体は0.4付近という言い方になるか。
佐藤・そういう言い方にしてもらえればありがたいです。SRB−3の点火信号の直前に異常が検知されてすぐに止まったということになります。

産経新聞・物凄いギリギリだったのですね。
佐藤・はい。今回は本当に最後の最後というタイミングでした。

フリーランス大塚・資料の電気系システム構成図にいろいろなコントローラがあるが、それぞれの役割を教えて欲しい。アクチュエーターコントローラはジンバルの制御か。
佐藤・はい。エンジンのジンバルの制御です。

フリーランス大塚・推進系コントローラとエンジンコントローラがあるが、推進系コントローラの方がバルブなのか。
佐藤・エンジン以外の推進系のバルブをコントロールしているのがPCUで、LE−9エンジンのものがエンジンコントローラです。

フリーランス大塚・SRB−3の点火はどこで行うか。
佐藤・SRB−3点火は基本V−CONでやっています。ECUはLE−9エンジンのための制御をするパッケージでして、推進系コントローラ(PCS)は推進系で、エンジンに繋がる配管やバルブの制御です。

フリーランス大塚・そうすると両方ともLE−9用か。
佐藤・LE−9に行く系統のコントロールをしています。

フリーランス大塚・今後の予定だが、今回は予備期間が3月10日までなのでそこを全力で目指すとのことだが、どうしても延長したい場合は可能なのか、それともこれを過ぎると今年度は難しいのか。
佐藤・関係機関を含めて調整してきたもので、結構難しいと思っています。我々としては3月10日までの中でやらせていただくということで全力でやっているところです。

フリーランス大塚・可能性はゼロではないが3月10日を過ぎたら厳しくなるという言い方になるか。
佐藤・そうです。

フリーランス林・CFTを行った時には今回の事象で確認されたシーケンスまで行っていたのか。
佐藤・CFTではSRBはついていないが、今回はSRB−3の点火は主役では無いと我々は思っていまして、LE−9エンジンに関わるところの電源だと思っています。そういった意味ではCFTでも着火させていますので、ここのところの確認は通過しています。ただ外との信号の繋がりといったところで、フライトは飛んでいって切れますので、そういったところの違いが若干あります。その違いで発生したのではないかといったところも含めて色々検討しているところです。

フリーランス林・外との繋がりとは電気系の地上設備か。
佐藤・CFTでは機体が飛んでいかないでエンジンが燃えている状態なので、外から止められるように電気的に繋いだままにしておかないと非常に危ないということで、ここが繋がっています。フライトに行くときは電気的に切った上で飛んでいく形になって、その辺のコンフィギュレーションの違いは若干あります。その辺に起因したものが何か無いかといったところ、実は再現試験をいろいやっている中でまだ掴めていないが、そこの要因についてもテーブルにのせて検討しているというところです。

フリーランス林・異常を検知して停止信号を送った直接の要因は、電圧と電流が落ちたということで、その要因として考えられるのが導体スイッチで、本来は繋がっているべき状態が開いてしまったのではないかという整理があり、その要因として外からのノイズ、または誤信号の可能性があるのではないか、という理解で合っているか。
佐藤・そうです。ノイズがクローズアップされるとまずいのでなかなか明確には言えないですが、何らかの要因で半導体スイッチが開いてしまったというところだと考えています。

フリーランス林・ノイズに限らないが、さきほどの質問にあった高い電圧がかかった可能性が考えられるということか。
佐藤・高い電圧の件は1段のエンジンの上くらいに電気パッケージ等が密集して設置されています。近くでパワーの非常に強いアクチュエーターが動くとなんとなくノイズが出そうなイメージを持っていただけると思うが、それが近くにあるV−CON1に影響して、その外からのノイズで誤動作したということを説明しました。ただそれだと言っている訳ではなくて、可能性はゼロではありませんというところです。

フリーランス林・異常を検知したのがX−0.4秒くらいということで、その前の回答の中で電圧が落ちた状態が数秒間続いたので異常を検知して止めたとの説明があったが、X−6.3秒でLE−9エンジンがスタートした時は電圧は正常だが、異常を検知する数秒前に電圧が突然落ちて、それでX−0.4秒辺りで異常を検知して緊急停止という流れになるか。
佐藤・はいそうです。電圧が復旧したのは全系が安全に止まったあとです。元に戻す過程でそこを繋ぎに行く信号の中で戻っていった、正常動作の形で戻ったので、直接の原因は電圧が落ちたというのがトリガになっていると思っています。

以上です。

No.2514 :打上げ中止会見
投稿日 2023年2月18日(土)14時39分 投稿者 柴田孔明

 2023年2月17日午後に行われたH3ロケット試験機1号機の打ち上げに関する記者説明会です。
 (※一部敬称を省略させていただきます。またネットワークが不調で聞き取れない部分が多く、簡易版とさせていただきます)

・登壇者
 JAXA H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史

・H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の本日の打上げ中止について。

 本日の打ち上げですけども、10時37分55秒(JST)に予定しておりまして作業を進めておりました。ロケットの自動カウントダウンシーケンスも予定通り開始したところですが、その中で機体システムが異常を検知しまして、固体ロケットブースタ(SRB-3)の着火信号を送出しなかったために、打ち上げを中止することとなりました

 現在の所、JAXAのロケットエンジニア、それから三菱重工のロケットエンジニアは、LCCという発射管制棟に籠もりまして原因究明などいろいろな作業に入っております。並行しましてロケットの燃料を抜く作業にも着手しております。
 お手元の資料で今回どういったことが起きたかということですが、H3ロケットの第1段の下の部分、LE−9エンジンの上の部分に第1段の搭載機器が並んでいるのですが、その中で起きた事だと考えています。具体的なシーケンスは、まずLE−9エンジンが立ち上がります。これはリフトオフの6秒ほど前から立ち上がるが、正常に立ち上がったことを確認した上でSRB−3の着火をリフトオフの直前に行います。今回起きた事象は、恐らくLE−9エンジンが正常に立ち上がった後で、SRB−3の着火至る間に異常が検出されたというものであります。(図に)着火信号の経路とありますが、1段の機器類というのはLE−9エンジンの上にいくつかの機器が並んでおりまして、今回異常の検知をしたところ、そしてSRB−3に着火の信号を送出するべきであった機器は1段制御用機器というところです。制御用機器はその他の機器類と電気的にケーブルなどで繋がっていまして、何らかの異常を検知したために着火信号を送らなかったということであります。今、原因は何だと究明している最中ですので、現時点ではこれ以上のことは私自身もまだ判っておりませんが、一旦ここでご説明を終えさせていただきまして、質疑応答の中でできるだけお答えしたいと思います。


・質疑応答より
 ・このあと燃料を排出して機体をVABに戻す。
 ・再打ち上げは予備期間の3月10日までに設定したいが、原因次第である。
 ・LE−9については正常に立ち上がったように見える。(※ただし調査はこれから)
 ・今回LE−9に着火したが安全に停止しているので使える状態である。(※同上)
 ・SRB−3は点火信号の送信前なので問題無いと思われる。(※同上)
 ・現在のロケットは正常。(※シーケンス停止に至った問題点以外について)
 ・衛星と分離機構は現在のところ問題無いが、延期する期間などにもよる。


No.2513 :H3ロケット試験機1号機の状況
投稿日 2023年2月17日(金)10時21分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機のJAXAからの第一報です。

「H3ロケット試験機1号機について、メインエンジンは着火しましたが、SRB-3が着火しなかった模様です」
2023年2月17日11時(JST)
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2512 :第2回判断はGo
投稿日 2023年2月16日(木)21時18分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の第2回GO/NOGO判断」の結果はGo。推進薬充填作業に移行可能と判断されました。
2023/02/16 22:15(JST)現在
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2511 :H3ロケット試験機1号機の機体移動
投稿日 2023年2月16日(木)16時32分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の機体移動が2023年2月16日16時01分から16時35分にかけて行われました。
写真は射点近傍にある報道向けのスタンドより。

(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)


No.2510 :第1回判断はGo(H3ロケット)
投稿日 2023年2月16日(木)11時44分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の第1回GO/NOGO判断会議の結果はGoです。打上げに向けた作業が開始されます。
2023/02/16 12:40(JST)現在
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2509 :打ち上げ時刻について(更新)
投稿日 2023年2月15日(水)13時12分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の打ち上げ予定日時は2023年2月17日10時37分55秒(JST)となりました。
打ち上げ可能時間帯は同日10時37分55秒〜10時44分15秒(JST)です。(2023年02月15日 14:00現在)
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2508 :H3ロケット試験機1号機打ち上げ前プレスブリーフィング
投稿日 2023年2月15日(水)11時08分 投稿者 柴田孔明

 2023年2月13日午後より行われたH3ロケット試験機1号機と、搭載される先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)のプレスブリーフィングです。
(※一部敬称と、前回までと重複する部分などを省略いたします。またリモート開催のため、回線状況等により一部聞き取れない部分があり、そこは省略させていただきました)

・H3ロケット試験機1号機の打上げ準備状況について(※配布資料より抜粋)
 ・JAXA 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史
 ・三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 H3プロジェクトマネージャー 新津 真行

 ・打ち上げ時刻及び打ち上げ時間帯について(注:2023年2月13日時点)
  打ち上げ日:2023年2月15日
  打ち上げ時刻:10時37分55秒(JST)
  打ち上げ時間帯:10時37分55秒〜10時44分15秒(JST)
  打ち上げ予備期間:2023年2月16日〜2023年3月10日
  ※機体移動:2023年2月14日16時頃
  ※準備に6時間の予備時間あり。
  ※ブリーフィング翌日(2月14日)に天候を理由に打ち上げが延期され、新たに2月17日が設定されている。

 ・飛行計画を更新するシステムへの対応
  ・打ち上げ当日の風の状況を踏まえて飛行計画を更新するシステムに確認を要する事項が認められた。
  ・この事項に対応の上で正しく動作することを確認し、打ち上げ日を2月13日から2月15日に再設定した。

・先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ準備状況について (※配布資料より抜粋)
 ・JAXA 第一宇宙技術部門 先進光学衛星プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 匂坂 雅一
 ・防衛装備庁 技術戦略部 技術戦略課 技術戦略課長 藤井 圭介

 ・準備状況
  ・衛星システムの準備完了。
  ・地上システム(追跡ネットワークを含む)の準備完了。
  ・追跡管制隊の準備完了。

 ・打ち上げ後の主要スケジュール
  ・約17分後にロケットから分離され、軌道高度669km、軌道傾斜角98.11degの太陽同期準回帰軌道に投入。
  ・クリティカル運用(打ち上げ〜約24時間):衛星分離後、太陽電池パドルの展開、衛星姿勢の確立、展開構造物(Kaバンドアンテナ、Xバンドアンテナ、光衛星間通信機器)の展開を実施。
  ・初期機能確認運用(約1日後〜約3ヶ月後):衛星システムが所定の機能・性能を有することの確認、観測軌道への軌道修正やミッション機器の機能確認を実施。
  ・初期校正検証運用(約3ヶ月後〜約6ヶ月後):観測センサが取得する画像の品質が仕様を満足するようデータ補正パラメータの調整作業を実施。
  ・定常観測運用(約6ヶ月後からを目標):株式会社パスコからユーザへのデータ一般配布を開始。

 ・「衛星搭載型2波長赤外線センサ」の打ち上げ後の計画
  ・基本性能の確認(令和5年度中盤頃まで)
   ・宇宙空間におけるセンサの動作特性評価。
   ・センサの感度、分解能等の評価。
  ・総合性能確認(令和5年度〜令和7年度)
   ・各種目標、背景観測

・質疑応答
NHK・発射2日前ということで、お気持ちと意気込みをお聞きしたい。
岡田・ようやくここまできたなという思いがまずあります。最後の最後までこのロケットが成功するように、我々は人間ですので、神様ではないので、どこまでやりきれるかというところです。なので最後の一瞬まで気を抜かないで頑張っていきたいと思います。

産経新聞・最終段階まで来たが、成功に向けての自信の程はいかがでしょうか。
岡田・自信の無いロケットを打ち上げる訳にはいきませんので、やれるだけの事をやっているつもりです。結果は後からついてくるものだと思うのですが、準備万端整っているものと考えています。

MBC・これまで沢山の山場があったと思うが、いちばん大きな山場はどこだったか。
岡田・山が多すぎて数えられないが、やはり最後まで苦労したのがLE−9エンジンなので、その山場は試験機1号機のエンジンが完成するかどうかの山ですので、2022年の初夏くらいでしょうか。

JSTサイエンスポータル・約1年前の延期のとき、一点の曇りも無く打ち上げの日を迎えるとおっしゃいましたが、今現在は技術的に一点の曇りも無いということか。
岡田・はい、今時点では一点の曇りも無い状態になっています。あと2日ありますので、ここから先もそのような状態を続けたいと思います。

NewsPicks・打ち上げコストの約50億円はH−IIAの半額ということだが、どのような要請から目指すことになったのか。どんな方法で実現しようとしているのか。目指すとなっているが、いつ頃になるのか、どのような状況で可能になるのか。
岡田・50億は2014年に開発が立ち上がる前に、H3ロケットは何を目指すかという所で要求分析から入った。その段階でロケット打ち上げ市場がどうなっているか、どんなロケットが求められているかを分析した結果として、この形態ではないがH3の30Sという形態で50億を目指す。そこを基準としますと、他のラインナップもどのくらいのコストで仕上げなければならないかが見えてきますので、そこをプロジェクトの目標にしています。その実現手段ですが、これは今からだいぶ時間をいただいても語りきれないが、設計・製造・運用あらゆる面からコストダウンを図っております。例えば設計面ですと機体全体をシンプルにするとか、製造面では設計との狭間だが電気部品を自動車用を90%採用する、あるいはエンジンの3D造型といったものに積極的に取り組むなど、運用についてはH−IIAロケットが46機の運用を三菱重工さんがされていますので、そういった所からの効率的な運用とは何かを一点一点確認して、空雑巾を絞るようなところまで行ってます。いつ達成するかについては運用を始めてみないと何とも言えないところでありまして、製造の習熟がどれくらいのピッチで進むか、細かなトラブルがどう無くなっていくか、この辺のところを見極めて判断していきたいと思います。

NVS・衛星側の要望による打ち上げ時刻とのことだが、もしこれから延期された場合でも変わらないのか。
岡田・打ち上げ予備期間の中では基本変わらない。

NVS・衛星分離のあと第2段に2回目の燃焼があるが。
岡田・第2段の制御落下というのがあります。地球を1周回したあとに南極付近に第2段機体を制御落下させるものです。

NVS・2段の性能を確かめるためにどこかの軌道に入れるということではないということか。
岡田・はい。ただこの制御落下の時には第2段エンジンを燃焼させますので、静止トランスファ軌道に行く時の2回目の着火とか、いろいろな意味での実証を兼ねていると考えています。

宇宙広報団体TELSTAR・先の延期理由について、飛行計画に関するロケット側の機器はH−IIAから更新されているのか。もしその場合、処理が実施されていなかったのは新しいものを使ったことによるものか。
岡田・プロセスそのものは世界中で行われている物で、風を観測してそれを反映するという一般的な話であります。機体に搭載されている装置とか、飛行計画の作り方については、装置は全く新しいですし、飛行計画の作り方もH3ならではの工夫をしているので、H−IIAとは異なっています。

宇宙広報団体TELSTAR・処理が実施できていなかったのは、更新に伴うものか。
岡田・全く同じ物を使っている訳ではなくて設計そのものが新しいですので、それを動作するところで想定と違う部分があったということです。設備から機体に書き込むところのプロセスです。

フリーランス大塚・方向変更観測モードのためにトルクが足りないのでリアクションホイールを7台搭載したとのことだが、どういった配置になっているのか。
匂坂・花弁型と呼んでいるもので、花びらを開いたようなイメージで、そこに7つ並んでいる。6台をそう配置していて、あと1台は特にこの方向に強く向けたいところに軸が出るように配置している。あくまでベクトル上でそう見えるもので、実際の配置はバラバラなところに置いている。

フリーランス大塚・6台は全部軸が違っていて、1台が補強用で、どこかで二重になっているのか。
匂坂・いえ、全部軸は違います。

フリーランス鳥嶋・機体移動はH−IIAなら約13時間前だが、今回のH3は約18時間前から移動ということで、初打ち上げなので余裕を見ているのか、それとも推進薬の量が多いので準備に時間がかかるので早めに移動するのか。
岡田・いちばん大きな理由は初号機で余裕を見ているものです。6時間の予備時間は運用中のH−IIAよりは長い時間を確保しています。その他にも全体的に慎重に進めたいとのことで、できるだけ長い時間、人のローテーションも含めて考えてこの値でまずはやってみようという風に計画しました。

フリーランス鳥嶋・今後運用が定常段階に入っていけば短くできるのか。
岡田・運用は三菱さんが最終的にされるが、できるだけ労働時間を短く打ち上げに臨みたいという思いがありますので、もともとそういう設計をしていますし、そういう風に近づけていきたいと思います。

フリーランス秋山・打ち上げ時刻について、「だいち3号」の観測時間が朝の10時半のためだが、その設定とロケットの打ち上げ時刻の関係について解説をお願いします。
匂坂・初代「だいち」の時間をそのまま引き継ぐということで10時半に設定しています。縦に南の方向に打ちますので、打った時間がほぼそこを通過する時間になる、地方時がその時間になるということなので、10時半に通りたいと思ったら10時半に打つというのが、非常に大雑把な言い方ですがこの時間になったという事です。

フリーランス秋山・24時間でチェックアウトするとのことだが、成果の発表はどうなるか。
広報・それに応じた形でリリース等でお伝えしたいと思います。

フリーランス林・H3の初打ち上げで、ここに注目してほしいという見どころを教えて欲しい。
岡田・H−IIAとH3を比べたとき、第一印象で違うのはフェアリングの形と、固体ブースター付き方が外見としては違うと思います。もうひとつは発射台の中に固体ブースターのノズルとかLE−9エンジンが刺さったような状態で立っています。そこはだいぶH−IIAとは違う状態です。発射するときにずぼっと発射台から抜けて飛び上がるところはだいぶ印象が違う。固体ブースターの分離の方式も違います。第2段も新しいがフェーズはH−IIAと似ている。見どころとしては前半戦を注目してほしい。
新津・大体岡田さんがおっしゃったところがポイントかなと思います。機体がMLに乗っているのではなくて潜り込んだ位置からリフトオフする。固体ロケットブースターの分離は今までと全く違う方式。天気が非常に良ければ地上からでも分離が見えると思います。そういうところがまず注目ポイントかなと思います。

共同通信・今日の作業でアーミングとクローズアウトとあるが、具体的にどんな作業か。
新津・本日やっている作業ですけども、ロケットで沢山使っている火工品を最終的にフライトレディの状態に順番にしていきます。その辺りの火工品の線を結線する作業です。クローズアウトは、アクセスするために開けてあるドアを、こちらもフライトレディにするためにドアを全部クローズして最終的に打ち上げができる状態にする最終フェーズの作業になります。

共同通信・火工品とはどういうものか。
新津・火薬で作動する機器で、ロケットの分離であったり、着火であったり、そういうところに火薬に火を付けて作動させる所が沢山ございますので、その部分に関わる作業になります。

読売新聞・衛星サイズが5.0m×16.5m×3.6mとあり、太陽電池パドル展開時となっているので幅は16.5mとなると思うが、縦と奥行きはどれか。
匂坂・縦が5mになります。奥行きは広域・高分解能センサの奥行きが3.6mとなります。、

読売新聞・打ち上げ間隔について、前回の46号機からかなり短いが、これまでで種子島では最短になるのか。これほど短いのはH3の特徴があったのか、関係者の努力なのか。
岡田・最後の要素が大きいと思うが、46号機の前にH3ロケットの準備がだいぶ進んでいたので、続きをやったので短いです。最短かと言われると確認させていただきたい(※)。条件が他と比べて同じかどうかというのはあると思います。H3ロケットは柔軟性という中に、種子島における整備作業の短縮がひとつの目玉なので、最後にはそこを目指していきたいと思いますので、最終的にはH−IIAロケットよりは短くなっていくと思います。
※後日回答分:過去の最短間隔はH−IIA8号機(2006年1月24日・初代「だいち」)からH−IIA9号機(2006年2月18日・「ひまわり7号」)で、中24日。今回H3初号機が2月17日に打ちあげられた場合、これまででもっとも短く中21日となる。

読売新聞・今回はそれで短いという訳では無いということか。
岡田・直接的にはあまり関係無いかもしれません。

読売新聞・H−IIA/Bのオンタイム率が世界最高水準と言われるが、世界のロケットのオンタイム率はどうなっているか。
岡田・後で回答致します。なんとなく覚えているが誤ってお伝えしてしまうかもしれないので。
※後日回答分:H−IIAについて民間移管(2007年9月14日打上げ)後から2022年11月30日まででの比較で、H−IIA/Bが85.7%なのに対して50%〜70%になる。
H−IIA/B (日):85.7%(36/42)
デルタ4 (米):45.7%(16/35)
アトラス5 (米):64.4%(56/87)
ファルコン9 (米):69.4%(129/186)
アリアン5 (欧):70.0%(56/80)

JSTサイエンスポータル・今日のプレスブリーフィングが遅れた原因は臨時の天候判断を行ったためとあるが、その内容について説明をお願いしたい。
岡田・2月14日に機体移動があります。そのときに風がどうであるか。数日前の予報ではだいぶ強かった。打ち上げの時刻辺りに雲がかかっていたり雨があったりということ。もし15日に準備していて中止になった場合に機体から燃料を抜いてVABに戻すが、そこの風も高所作業などの関係もあり、あまり強くてはいけない。そういったことも15日の後半ではあります。(資料の予報には)ついていないが雷を誘発するような雲の構造にも注目していて、(資料の予報で)読み取れないようなものも含めて、なかなかこの季節はころころと天気が変わりますので、できるだけ直近の予報をもって判断をしていきたいという思いで開催して、その結果を持って今話をしています。

NewsPicks・総開発費について、最新と思われる令和5年1月の数字で2197億円とあるがこれが最新の数字で良いのか。令和4年度の予算要求が2060億円だったと思うが、ここから増えた分はどの辺りに開発費がかかったのか。
岡田・令和4年度で2060億ということで、この辺りでいちばん開発に費用を要しているのはLE−9エンジンの開発によってそれ自体と、それによって打ち上げを2年変更させていただいたことに伴う費用が主です。

NewsPicks・例えば(ターボポンプの)の翼の設計変更があったがその辺りか。
岡田・そうですね、設計変更もさることながら、それに伴う燃焼試験を何度もやらせていただいて、その中から適切な設計を選んできたという開発のアプローチの仕方をとった結果も多く含まれております。燃焼試験は液体水素をかなり使いますので、その燃料代も凄いです。

フリーランス鳥嶋・今回イプシロンの失敗を受けてパイロ弁を交換したが、パイロ弁が原因候補から外れたことで、2号機では予定していたパイロ弁に戻すのか。あとLE−9エンジンのタイプ2の開発状況はどうなっているか。
岡田・パイロ弁についてはまだ決定していない。イプシロンの原因究明の状況を受けてできるだけ早めにどういうものを使うか確定したいと思っていますというのが今の状況です。LE−9のタイプ2と言われる2号機以降のエンジンの開発も、間もなく開始しないといけない時期に来ておりますので、今準備をしているところです。新しいターボポンプの設計を導入して2号機以降に使えるようにすることをまず確認した上で認定試験に入っていく計画です。

フリーランス鳥嶋・確認だが前回のH3に関する記者説明会で、2号機用に向けてタイプ1のバックアップエンジンの燃焼試験をされたとあったが、そちらは順調で仮にタイプ2が間に合わなかった場合でも2号機の打ち上げスケジュールには影響の無いようになっているのか。
岡田・1号機のエンジンのバックアップであり、かつ2号機のエンジンの1基目ということで試験を行いまして、2号機にも1号機にも使えるエンジンとして確認しています。それは現在保管中です。それをもって2号機以降に使っていくことは可能ではあるが、できるだけタイプ2を早く仕上げてそちらを使っていきたいと考えています。

フリーランス大塚・今回の見所について分離とMLから抜けるところとの話があったが、ブースター分離で従来の斜めのストラットからピンになったところが違いだが、JAXAの中継画面で違いが判るか。
岡田・真ん中のコアを棒で押しながら外にずれていくので、ストラットのように大きく分離の動きが見えないと思います。その辺りを想像してCGで動画を作成しているので、だいたいそんな風に見えると思うので、打ち上げのシーケンスのCG動画をご覧いただければと思います。ストラットが無いのが大きな違いなので、そこをご覧いただくくらい。

フリーランス大塚・H−IIAよりあまり離れないのか。
岡田・離れ具合は変わらない。同じように離れていかないと、分離の途中で接触してしまってもいけない。全く同じでは無いと思うが、あるスピード以上で離れていかないとして設計しています。

フリーランス大塚・MLから抜ける場面は中継画面で見えるか。
岡田・今回JAXA放送で準備しているシナリオで申しますと、打ち上げの時は発射台が見えています。

読売新聞・H3の総開発費は2060億なのか2197億なのか。
広報・約2060億は令和4度の予算時点、令和5年度の審査をいただいている最中でそれを反映した総開発費が2197億となります。

・登壇者挨拶
藤井・本事業は防衛省で初めてとなる宇宙空間での技術実証ということで、非常に意義深い、期待しているものでございます。打ち上げのあとも各種試験を予定しておりますが、引き続きJAXAと協力して事業を進めて研究成果を活用して我が国の防衛強化に繋げていく所存であります。

匂坂・以前申し上げた通り、我々衛星としては打ち上げが第一ではなくて、皆様に絵を届けて初めてミッションを始められると思っておりますので、なんとかちゃんと打ち上げてもらって絵を出していきたいという風に思っております。

岡田・これまでH3の開発を見守っていただいた皆さん、本当にありがとうございました。そしてミッションを予定していた方に2年お待たせしたということで、本当にお時間をいただきましてありがとうございました。我々はやれるだけのことはやってきましたので、あとは残りの2日、1発で仕上げられるように三菱重工さんと頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

新津・H3ロケットの開発ということで非常に長い時間をかけて、JAXAさん、それから関連パートナーの皆さんと一緒に、ひとつひとつ積み重ねて今日まで取り組んでまいりました。ここまできましたので、あと2日間ございますが焦ること無く一つ一つ確実に平常心で打ち上げに臨みたいと思います。よろしくお願いいたします。

広報・H3とだいち3号の開発に携わってくださっている皆様、ここに登壇いただいていない皆様が数多くいらっしゃいます。また地元の皆様のご協力あっての打ち上げとなりますので、引き続きJAXA、また関係者一同気を引き締めて取り組んで参りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

以上です。

No.2507 :打ち上げ日変更
投稿日 2023年2月14日(火)10時39分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機ですが、天候判断の結果、打上げ当日の気象条件が整わないことが予想されるため2023年2月17日の打ち上げ予定となりました。
(※上記の投稿時間はサーバー内時間のため、1時間ほどずれがあります)

No.2506 :H3ロケット打ち上げについて
投稿日 2023年2月13日(月)18時01分 投稿者 柴田孔明

H3ロケット試験機1号機の打ち上げ予定日時は2023年2月15日10時37分55秒(JST)となりました。
打ち上げ可能時間帯は同日10時37分55秒〜10時44分15秒(JST)です。
(2023年02月13日 16:45現在)