宇宙作家クラブ
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No.1747 :打ち上げ経過記者会見第3部登壇者 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月26日(月)05時44分 投稿者 柴田孔明

打ち上げ経過記者会見第3部登壇者


No.1746 :打ち上げ経過記者会見第2部登壇者 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月26日(月)05時44分 投稿者 柴田孔明

打ち上げ経過記者会見第2部登壇者


No.1745 :打ち上げ経過記者会見 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月26日(月)05時43分 投稿者 柴田孔明

2014年5月24日13時50分より、H-IIAロケット24号機打ち上げ経過記者会見が行われました。

第一部・機関代表報告

第一部登壇者
文部科学副大臣 櫻田 義孝
内閣副大臣 後藤田 正純
宇宙航空研究開発機構 理事長 奥村 直樹
三菱重工業株式会社 取締役常務執行役員 防衛・宇宙ドメイン長 水谷 久和
第一部側面列席者
文部科学省 大臣官房審議官(研究開発室担当) 磯谷 桂介
内閣府 宇宙審議官・宇宙戦略室長 西本 淳哉
三菱重工業株式会社 宇宙事業部長 阿部 直彦


打ち上げ結果について・水谷
 本日12時05分(14秒)にH-IIAロケット24号機を種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打ち上げました。ロケットは正常に飛行を行い、独立行政法人宇宙航空研究開発機構殿の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」を所定の軌道に投入することに成功しました。「だいち2号」が軌道上での初期機能確認を無事に終了し、所期の目的を成功裏に完遂することを心より願っております。
 これが当社にとりましてH-IIA 12回目の打ち上げサービスでございます。今回の打ち上げ成功でH-IIAの連続成功は18機となり、通算の打ち上げ成功は23機、打ち上げ成功率は95.8%となります。なお、H-IIAとH-IIBをあわせると、当社にとって13回目の打ち上げサービスであり、今回の打ち上げ成功で、連続成功は22機となり、通算の成功は27機、成功率は96.4%となります。これからも皆様に安心してH-IIA/Bをご用命いただけるよう、打ち上げに当たっては100%の成功を目指して細心の注意と最大限の努力を傾注して参る所存であります。
 今回の打ち上げに際しましてこれまで多くのご協力ご支援をいただきましたJAXA殿、文部科学省殿、宇宙開発利用部会など関係機関の皆様、パートナー企業の皆様、地元の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
 今後も我が国にとりまして重要な衛星打ち上げが予定されていまして、当社は関係者一同、更に心を引き締めて最善を尽くし、打ち上げ連続成功を続けて参る所存でございますので、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

奥村理事長・三菱重工様よりご報告がありました通り、H-IIA24号機は所定の計画通りに打ち上げていただきました。確かこれまで6機連続で予定された日時に打ち上げ成功という実績を作ったのではないかと思います。衛星の持ち主としては大変ありがたいことだと思っております。打ち上げを正確に行うということは、衛星にとって極めて優しい、良い条件を提供していただけることに繋がっております。より正確に衛星機能を発揮できる条件を整えていただき、また所定の軌道に投入していただいたことで、衛星が燃料を余計に使わずに運用できる可能性が広がって、衛星の寿命にも好影響を与えると期待しております。私共JAXAはロケットの打ち上げに安全管理という責任を背負っているが、この責務を今回果たすことが出来ました。地元のみなさん、国民のみなさんをはじめ、関係の企業、関係の政府機関の皆様に、大変多くのご支援をいただき、毎回打ち上げをさせていただいてますが、今回も改めて関係の皆様に私の方から改めて御礼を申し上げたいと思っております。
 今回打ち上げました「だいち2号」につきましては、最初の「だいち」に引き続き、より高機能な観測機能を持った衛星であり、分解能を上げ地上の変転をより正確に観測できる。その情報を従来以上に的確に活用していただけるように、既に関係するところと緊密な連絡をとっていますが、更に活用対象を広げていけるように今後とも努力して参りたいと思っております。国民の安全安心を守り、地球の環境の変化を敏感に観察していく衛星機能として、世界に少しでも役に立つように努力して参りたいと思います。JAXAとしては今後とも、日本国民ならびに世界の皆様に出来るだけ有効に活用いただけるような情報提供を続けていく所存であります。引き続き皆様方のご理解とご支援を賜りますようあらためてお願いして私のご挨拶とさせていただきます。

櫻田副大臣・今回の「だいち2号」の成功を皆様と共に喜びを分かち合いたいと思っております。下村文部科学大臣の談話にあります通り、基幹ロケット打ち上げに23機連続で成功したことは、我が国の有するロケット技術の着実な発展と信頼性の向上を示すものであり、大変喜ばしく思っております。今後、陸域・海域の精密かつ高頻度の観測が可能となる「だいち2号」が大いに活躍し、国内外の防災・減災対策などに貢献できるよう、引き続き文部科学省として関係機関とともに努力していきたいと思っております。打ち上げに際し、ご尽力ご支援をいただきました関係者の方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げたいと思っております。
 私としましても今回の打ち上げ成功に立ち会い、たいへん感激をしているところでございます。この成功を機に今後社会や国民からの様々な要求に応えながら宇宙開発利用において国民生活の安全確保、地球規模の環境課題の対応、経済活動への貢献を積極的に果たしていきたいと思っています。

後藤田副大臣・本日はH-IIAロケット24号機により観測衛星だいち2号の打ち上げが成功いたしました。そのことを皆様方と共に共有できたことをたいへん嬉しく思っております。今回の衛星については災害状況の把握、地球環境問題の対応、エネルギー政策に関係する資源対策等々、さまざまな用途に活用されることになっております。今後衛星の運用が順調に進められることを宇宙政策の内閣府として期待をしております。また、今回の成功によりまして我が国の基幹ロケット打ち上げが23回連続で成功したことになりました。このような実績は我が国の宇宙活動における自律性の確保と宇宙利用拡大の観点から重要な意義を持つものであります。
 我々と致しましては、引き続き宇宙の総合政策を担当する内閣府として、積極的に宇宙の活用、また利用開発を推進してまいりたいと思います。


質疑応答・種子島会場
NHK・自前の衛星を持つ意義と、この衛星の産業化についてお聞きしたい。
奥村・自国でこういった衛星を持つことの意義は、持ち主として生のデータをいち早く入手できることがある。このことは災害対策で極めて重要な要素である。回帰日数も短くなり、上から地上への情報伝達も早くなった。最初の情報をいかに早く把握して対策立案するのは、自国で衛星を持つ最大の意義であると考える。今後、この効果効能を上げていけるのではないか。
 産業化については、こういった情報は受け取る人によってはビジネスに生かせる。官公庁だけでなく多くの民間企業にも活用してもらいたい。ビジネス利用ならば負担も必要だが、「だいち2号」もそういった世界的な競争力が持てるように、我々も情報の出し方の改善も含めてビジネス展開しやすいように持って行きたい。

NHK鹿児島・迅速な災害情報提供はどういったことに繋がるのか。
奥村・例えば鹿児島ならば火山の状況をいち早く把握し、対策していただくよう気象庁と話をしている。梅雨に向けて地殻の変動などで対策がとれるように、国土地理院と話を進めている。災害シーズンに向けて少しでも貢献できるように考えている。

南日本新聞・H-IIAが18機成功で信頼性が高くなってきたが、国際競争力を高めるにははどうするのかを次期基幹ロケットも含めてお聞きしたい。
水谷・商業衛星受注は大きな課題で挑戦していきたい目標と思っている。H-IIAとH-IIBで培ってきた安全性と信頼性を維持向上していくことと、高度化も視野に入れ、さらに製品としてのブラッシュアップを考えている。
 新型基幹ロケットは私共がプライムコントラクターと選定され、基本協定も締結した。具体的にはこれから。社内の体制も整備し、具体的な概念設計に取り組んでいき、コスト的に競争力のあるものに挑戦していく。

東京事務所
SAC鳥嶋・海外誌でだいち2のデータの軍事利用という話があったが、要望があれば提供はあるのか。
奥村・私共JAXAはJAXA法によって平和目的となっている。判断の範囲では平和目的。その先については、違うところで検討判断をすることになる。

種子島会場
朝日新聞・JAXA法的に平和利用とのことだが、政治判断で軍事利用もあるのか。提供先は防衛省も含むか。
奥村・平和利用の範囲である。提供については関係する府庁が相談していくことになる。

共同通信・「だいち2号」の競争力について、どういったニーズと戦略があるのか。国としてどう支援するか。
奥村・「だいち2号」については事前に機能を公開しているため、かなり多くの関係先から問い合わせがある。官公庁を含め、多くの民間にも使っていただけるように考えている。
後藤田・宇宙戦略の基本計画を25年1月に決定したが、宇宙の平和的利用と国民生活の向上、産業の振興、人類社会の発展、国際協力等の推進、環境への配慮がある。そういったものにしっかりと対応していくための産業政策なり、サービス提供なりをしっかり機能させて、新しい産業が生まれてくればありがたい。社会政策と産業政策をどうバランスをさせるかに対し、適切な戦略と予算獲得を含め提案をしていきたい。

南日本新聞・次期基幹ロケットについて、技術の継承の観点はどう体制に反映しているか。
水谷・新型は緒に就いたばかりだが、現在のH-IIA/Bも高度化を進め、並行して新型開発も進めていく。ウエイト付けをしつつ双方に注力する人間の連携をとって、これまでの技術をうまく新型基幹ロケットに繋げていく。若手の技術者育成に繋げていけるマネジメントにしていきたい。


第二部・技術説明

登壇者
宇宙航空研究開発機構 ALOS−2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 鈴木 新一
宇宙航空研究開発機構 鹿児島宇宙センター所長 打上安全管理責任者 長尾 隆治
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長 打上げ執行責任者 二村 幸基

質疑応答
読売新聞・今回、スケジュール通りの打ち上げだったが、その感想をお聞きしたい。
二村・私は7機の打上執行責任者を務めた。最近は予定日の予定時刻に打ち上げている。衛星顧客側から高い信頼を得られ、今回の時刻通りの打上は意義がある。

読売新聞・衛星打ち上げを見守った感想と、分離以降の手順などをお聞きしたい。
鈴木・見守るのは初めて。昨夜の射点移動で、ロケットと一緒に歩かせていただいた。衛星が搭載されたロケットの実物を見て、これが飛んでいくんだと感慨があった。打ち上げは肉眼ではなく管制室のモニタごしだったが、微かに打ち上げの振動を感じることができた。
衛星分離後、太陽電池パドルを展開し電力も発生した。合成開口レーダーの三段階の展開が約1日かかる。あさって夕方には全ての展開物の展開を終了し、通常の姿勢モードに入り、クリティカル運用を終了して、その後のチェックに入っていく計画となっています。

朝日新聞・既に衛星の確認がとれている事は何があるか。
鈴木・太陽電池が二翼共に展開し電力が正常に発生している。現状で正常である。

東京会場
SAC鳥嶋・第2段の高度化の取り組みでトリクル予冷を行ったとのことだが、その結果をお聞きしたい。またこれはどういった実験か。
長尾・トリクル予冷は2段目で長い時間エンジンを止めて再起動する時、予冷をするための液体の量を効率よくするもの。これまでは長くて数十分の停止と再起動だったが、もっと長い停止から再起動ができるようにするための実験。地球一周後、地上局でデータを取得した。

フリー秋山・今後合成開口レーダを展開するが、この三段階がどう進むのか、またどういった点が重要か。
鈴木・アンテナは5枚が折り畳まれている。真下に来るのが1段目、後ろに展開するのが2段目、前に展開するのが3段目という順になる。非常に大きなアンテナです。展開はバネではなくモーターで軸を展開していく。

筑波会場
NVS・軌道投入の精度はどの程度だったのかをお聞きしたい。
二村・ロケット系として計測しているが、1キロから2キロ程度のずれ。衛星側の評価が必要だが、我々としては精度良く入れることができた。
鈴木・衛星側としては狙った軌道に入れてもらえることが重要。今回は時間が重要で、12時ジャストに赤道を通過できる。太陽に対して直角になり、衛星に均等に太陽が当たるので長寿命に貢献するためありがたい。

種子島会場
産経新聞・だいち2号の使命感などで、打ち上げ後の感想をお聞きしたい。また、今年度はH-IIA打ち上げが多い。引き続き成功することへの意気込みをお聞きしたい。
鈴木・衛星はロケットに上げてもらって、これからが勝負。最初の三日間を確実にこなして、安定した状態にもっていく。各機能の点検を効率的にこなして、待ち望んでいるユーザーにデータを届ける。
二村・今年は打ち上げが多い。任務としては毎回確実に打ち上げる。打ち上げの多い・少ないは関係なく、しっかり打ち上げていく。

NVS・「だいち2」の定常運用で最初に観測したいものは何か。
鈴木・定常運用に関しては基本観測プランを作っている。観測内容が多くバラバラの運用では不効率。共通の観測を増やして効率的になるようにしている。初期段階では基本となるベースアップデータを早く集めることが必要。地殻変動の差分を見るためのデータの元とする。日本国内において必要な分を早く揃えることで、短時間で地震や火山等の地殻変動に結果を出すことが出来る。

NVS・「だいち1号」と「だいち2号」の差分はとれるか。
鈴木・同じ角度で撮る必要がある。今回と前号とは軌道も回帰も違うが、偶然に一致するところもある。狙っては難しい。

共同通信・基本のデータを集めるのは、全国くまなくなのか、場所を絞るのか。
鈴木・国内は全て。ただ全ての観測モードと入射角を集めると何年もかかるので、基本的なモードで全国をカバーする。世界は使う物を絞って全球をカバーする。目標は干渉SARを72時間以内で、それに必要なものは観測開始1年位で揃うが、時間を緩めてモードを限定すると最初の3ヶ月くらいで基本的なものが作れる。

東京会場
不明・海底油田を探せるということだが、どういったものか。金属資源を探せるのか。
鈴木・海底から湧き上がってきた油が観測できるので、それを検出する。海面の把握であり、沈んでいる金属などは原理的に出来ない。

筑波会場
NVS・筑波の管制室にだるまがあったが、発案者と目を入れるのはいつか。
鈴木・データ解析チームが準備したもの。片目は私も入れた。残りは把握していない。


第3部・小型副衛星

登壇者・( )内は小型副衛星名
学校法人日本大学 大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士前期課程2年(SPROUT) 三田 恭平
国立大学法人北海道大学 教授(RISING−2) 高橋 幸弘
国立大学法人和歌山大学 宇宙教育研究所長(UNIFORM−1) 秋山 演亮
株式会社エイ・イー・エス 筑波事業所アドバンスドテストディビジョンディレクタ(SOCRATES) 松本 紘明
JAXA研究開発本部研究推進部 次長 渡戸 満


・小型副衛星の状況説明
RISING−2はロケット搭載カメラで分離を確認。1時40分頃に東北大で受信を確認済。
UNIFORM−1もロケット搭載カメラで確認。和歌山大学で受信を確認済。
SOCRATESもロケット搭載カメラで確認。受信も確認済。
SPROUTは放出方向の関係でロケット搭載カメラによる確認作業は無し。国内外のアマチュア局複数と日本大学で受信を確認済。

三田・SPROUTは、20センチ立方の衛星から1.5メートルの正三角形のインフレータブルチューブと、膜面から構成される複合膜面構造物を展開する実験を来年1月に行う。将来においてソーラーセイルや太陽光発電衛星に、今回の複合膜面構造物が使えることを証明していきたい。またスペースデブリ対策で、何もしない場合に20年前後かかる軌道降下を、膜面の展開で4年前後となることを確認し、複合膜面構造物が宇宙開発に使えることをアピールしたい。
 アマチュア局から受信報告が多数寄せられている。13時40分に日大局でも受信できている。23時頃にアップリンクを試みる予定。

高橋・RISING−2だが漢字で「雷神−2」。この衛星は東北大学(衛星バス)と北海道大学(センサ)の共同開発。2009年の1号機は不具合が出て、十分な観測ができる前に通信が一方的になってしまった。そのリベンジをかけた衛星である。目的のひとつは、スプライト観測という世界最先端のターゲットを世界に先駆けて実現すること。これは前号機からのターゲット。三カ国のライバルがいるが、我々がトップを走っている。もう一つは望遠鏡のミッション。地上で5mの解像度をもつ。特殊な液晶フィルタと衛星の制御を組み合わせることでスペクトルカメラとして、400色の中から任意の色を選んで画像を撮影できる。この種のスペクトルカメラとしては大型衛星も含めて世界最高の空間解像度を目指す。これにより将来的に木の一本ずつの種類や農作物の生育状況を計測が可能になる。炭素の排出取り引きやAI農業、森林分野に貢献できる。東南アジアと協力して将来的に50基くらいを国際協力で打ち上げたい。フィリピンやタイといったところが我々の大学と共同開発をすることを目指している。その大きな一歩。

秋山・UNIFORM−1は文部科学省の直系のプロジェクトである。UNIFORMというプロジェクトの中での1基目。プロジェクトとしては先にRAIKOを上げているので2基目となる。平成20年に宇宙基本法が出来て宇宙の利用を進めようとなり、文科省からも開発だけでなく実利用に向けどういったことができるのかということを考えていた。そして宇宙利用には国際協力が欠かせず、この場合に文科省の役割が大きいとなり、これにJAXAが行っていたプロジェクトを加えて始まったのがUNIFORMプロジェクト。そのためこのプロジェクトは衛星の開発ではなく、衛星の製作や運用を各国と一緒にやることがメインになっている。衛星技術を提供していただく「ほどよし」プロジェクトの打ち上げ遅れがあって開発などが大きくなったが、ようやくUNIFORMの1号機が打ち上がった。1号機にはベトナム、ブラジル、韓国からそれぞれ製造過程でメンバーが参加している。1号機には可視カメラに加え熱赤外カメラを搭載しており、地上の熱異常が計れる。目的としては森林火災等の自然災害を早期に検出できることなどを想定している。UNIFORMプロジェクトは和歌山大だが、衛星の製造は東大などが中心。運用は北海道大学の力をかなり借りることになる。衛星の状態について、1時45分に受信してコマンド実行も成功した。バッテリと温度も良好である。25日にパドルの展開、同夜に太陽指向した後、早ければ26日に初画像を撮って27日にダウンリンクしたい。まずは運用を着実に進めていきたい。

松本・SOCRATESのミッションは小型衛星の標準バスの実証と、先進的ミッション/要素技術の軌道上実証環境の提供がある。ノルウェーのKSAT局で送受信ができた。テレメトリ受信とダミーコマンドの送信を行った。

質疑応答
共同通信・2009年のトラブルからのリベンジだが、感想をお聞きしたい。
高橋・2009年も、ここまではうまくいっている。試験観測の後でトラブルが出た。ここまでは来た道で、これからが本番であると気を引き締めていく。

NHK・有償の相乗りが増えると、無償の大学の枠などが減ったりはしないか。
渡戸・限られているため、有償が増えると無償の枠が狭まるが、一方で有償でも大学の参加ができる。これにより小型衛星の利用が盛んになるのではないか。

読売新聞・RISINGの2009年のトラブルについてどう改善したのか。
高橋・前回のトラブルの原因はほぼ掴んでいる。ソーラーパネルが伸展物で隠れ、電圧が低下したことが引き金になった。今回は伸展物は無い。電源系には細心の注意を払ったので心配はしていない。

NVS・今回のものはインフレータブルな展開物があるが、実験は何年くらいを想定しているか。三軸制御は膜の展開後もやるのか。
三田・来年1月に展開し、それから3、6年。85%の展開をして4年でどの程度降下するか、軌道情報から見ていきたい。三軸制御は膜の展開前後での変化を確認する。

東京会場
日本大学新聞・日本大学の学生が関わっているが、心境をお聞きしたい。
三田・電波を受信してほっとしている。しかしメインミッションの膜面展開がまだ、アップリンクもまだでこれからが本番。打ち上げで喜んでいるが、どきどきしている面もある。

不明・小型衛星の標準バスの実証だかビジネス展開はあるのか。有償でも行うか。
松本・考えている。次号機の開発はまだ行っていない。何件か話はいただいている。まずは運用を成功させることに力をそそいで、その後検討していく。有償についてはミッションの内容にもよるが、視野の中には入れるべきと考えている。

不明・ソーラーパネルのトラブルに対しては、どういった改善策を行ったのか。
高橋・電源系がどういった状態でも動くようにした。また、前回のマストのような伸展物が無いので原理的に同じトラブルは起こらない。

筑波会場
読売新聞・小型衛星の標準バスの実証だが、ミッション機器は搭載されているか。
松本・ミッション機器は二機搭載して、JAXA開発のメサという超小型の地球センサと、NICTの先進的光学通信ミッション機器。これらは電源ONのコマンドは送っていない。

NVS・SPROUTだけ分離機構が違うが、その理由をお聞きしたい。
三田・小型衛星の規格が今回のものは違っていた。衛星の自由度を上げるために作った。

種子島会場
NVS・国際事情としてウクライナのドニエプルロケットの利用が難しいが、H-IIAで小型衛星を運べるようにする意向はあるか。
渡戸・ドニエプルで多くの超小型衛星を打ち上げることをやっているが、日本での需要がまだよく把握していないので調べていく。

NVS・今は50センチ角の衛星だが、大きさの発展はあるか。
渡戸・現時点では検討していないが、希望が多い場合はサイズ変更もあるかもしれない。

NVS・1パスで電波がとれたが、感想をお聞きしたい。
渡戸・開発に苦労してきたと聞いているので、順調と判ってほっと一安心した。

共同通信・有償化で大学にとって負担が大きいが、どういったアプローチをとるのか。
渡戸・こうしてくれとはいうべきではないが、無償の場合は選定があり、提案が採用されるとは限らなかった。有償で契約すれば必ず打ち上げ機会が得られる。有償ならば定期的に打ち上げの機会がとれ、自由度が増して新しい取り組み方が出るのではないか。

産経新聞・カメラと電波で確認がとれたとのとこだが、所定の軌道に乗っているか。
渡戸・分離後は所定の軌道に乗っている。

東京会場
フリー秋山・超小型で膜面展開する衛星は欧州でも上がるが、それとの違いはどういったものか。デブリ対策はどういったものか。
三田・インフレータブルチューブの展開に付随して膜面が展開するのが世界初となる。軌道降下し大気圏突入することでデブリ対策に有効であることを証明する。

フリー大塚・有償の価格決定はどうしていたのか。ユーザーには確認したか。
渡戸・今まで経験してきた相乗り衛星の経費から実費相当分から算出している。世界市場と違いすぎないようにした。価格決定について、ユーザーに確認はしていない。

以上です。


No.1744 :打ち上げ2 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月24日(土)19時57分 投稿者 柴田孔明

打ち上げから衛星分離までロケットは成功しています。衛星も順調に確認が進んでいます。


No.1743 :H-IIAロケット24号機のリフトオフ ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月24日(土)19時53分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機は、2014年5月24日12時5分14秒に種子島宇宙センターから打ち上げられました。


No.1742 :射点への機体移動が終了しました ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月24日(土)02時59分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機は、5月23日午後11時頃にVABからの移動を開始し、20分ほどで射点に到着しました。このあと第2回のGO/NOGO判断会議の結果もGOとなり、ターミナルカウントダウン作業開始可と判断されています。


No.1741 :第1回GO/NOGO判断会議
投稿日 2014年5月23日(金)19時59分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機、第1回GO/NOGO判断会議の結果は「機体移動作業開始可」(GO)となりました。5月23日23時頃より、VABから射点までの移動作業が行われる予定です。
なお、GO/NOGO判断会議は、計4回行われる予定です。

No.1740 :第二部・だいち2号に期待される防災利用やビジネス利用についての登壇者 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月23日(金)00時15分 投稿者 柴田孔明

先に掲載した第二部の登壇者です。


No.1739 :H-IIAロケット24号機Y−1プレスブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月23日(金)00時13分 投稿者 柴田孔明

2014年5月22日14時より、種子島宇宙センターでH-IIAロケット24号機打ち上げに関するY−1プレスブリーフィングと、「だいち2号」利用計画に関する記者説明会が行われました。
(※一部、敬称を省略させていただきました。また内容に関しても一部省略しています)

・Y−1プレスブリーフィング登壇者
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 製造・発射整備部長 MILSET長
 並河 達夫
宇宙航空研究開発機構 ALOS−2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ
 鈴木 新一
宇宙航空研究開発機構 鹿児島宇宙センター 射場技術開発室長
 長田 弘幸

・打ち上げ時刻等について
 打ち上げ日:2014年5月24日(土)
 打ち上げ時刻:12時05分14秒(JST)
 打ち上げ時間帯:12時05分14秒〜12時19分07秒(JST)
 打ち上げ予備期間:2014年5月25日〜2014年6月30日
 予備期間中の打ち上げ時刻は12時05分14秒〜12時19分07秒の間で設定する予定。
 機体移動:2014年5月23日23時頃
 天候については、現在のところ問題ない予報になっている。

・だいち2号(ALOS−2)の準備状況
 2月25日〜 :種子島宇宙センターに搬入、射場搬入後試験
 4月14日〜19日 :衛星への燃料充填、最終外観検査、最終組立後点検
 (※燃料:ヒドラジン・126kg)
 5月8日  :衛星と衛星分離部(PAF)を結合
 5月10日 :衛星とフェアリング結合
 5月15日 :衛星/フェアリングとロケット結合

・衛星の今後の予定
 X−11時間 :衛星電源をON(外部電源)
 X−16分  :衛星内部電源(バッテリ)に切り替え
 X−0    :打ち上げ
 X+15分42秒 :ALOS−2分離(高度633km)
 (※X+24分38秒〜37分05秒の間に小型副衛星4基を順に分離予定。最後に分離するSPROUT[日本大学]は、独自の分離機構を用いる。他の3基・UNIFORM−1[和歌山大学]、RISING−2[東北大学]、SOCRATES[株式会社エイ・イー・エス]はJAXA提供の分離機構[PAF239M]を用いる)

・だいち2号の運用の概要
 打ち上げ後約30分 :ロケット/衛星分離〜レートダンピング〜太陽電池パドルの展開
 打ち上げ後約1日 :Lバンド合成開口レーダ(PALSAR−2)のアンテナ展開
 打ち上げ後3日 :クリティカル運用終了
 衛星の各機器の機能・性能確認の実施
 打ち上げ後約1ヶ月 :観測軌道投入
 打ち上げ後80日 :PALSAR−2による観測開始
 打ち上げ後約6ヶ月後 :プロダクトの提供開始
 (※災害観測要請があった場合、未校正でも提供する場合あり)

・質疑応答
鹿児島テレビ・打ち上げへの意気込み。打ち上げによって災害関連での変化はあるか。日本独自のLバンドレーダについて。
並河・ロケットの準備作業は順調に進んできている。どの衛星に対しても所定の軌道に定められた日に打ち上げる気持ちで進めている。天候は良い。確実に作業を進めて成功に結びつけていきたい。前の2機は夜間の打ち上げだったので、今回は昼に打ち上がるロケットを皆さんに見ていただきたい。
鈴木・衛星は関係のチームで、やり残しの無いようにやるべきことをやってきた。天命を待つ心境。個人的には入社以来、打ち上げを初めて見る。胸が躍る思い。前号機「だいち」が停止後、日本は災害観測衛星を保有していないので、自国の災害を自前の衛星で観測できることで、待ち望まれている。
Lバンドは「ふよう」、「だいち1号」から3世代目になる。改善と改良が進んで、最高のレーダができた。分解能が10mから3mになり、観測範囲も広がった。細かい工夫もしてある。また軌道を正確にコントロールできるようになった。前号機の経験が生きている。

産経新聞・準備や点検で前号機と違う点はあるか。
並河・大きく変わったところは無い。細かいところでは、発射台へ未燃焼ガス処理用の火工品トーチを取り付ける日を、従来の発射整備作業前から昨日(Y-2)に変更して若干効率をよくした。連続して作業できるようになる。

同・Lバンドレーダは日本独自だが、他国はなぜ採用しないのか。
鈴木・歴史的なものである。ヨーロッパとカナダのCバンドの歴史が長く、海などを見ている。イタリアやドイツはXバンドで市街地を見ている。日本は地球資源衛星から始まり、結果的にLバンドは地殻の変動を見られるため地震の多い日本にフィットしていた。

東京事務所
SAC鳥嶋・ALOS−2の打ち上げが25年度の予定から遅れた理由は何か。
鈴木・「だいち2号」は25年度の打ち上げ予定だったが、東日本大震災でJAXAの関連施設が被災し、やりくりの関係でスケジュールぎりぎりになった。しかしGPM主衛星の計画もあったので、年度末に2機を打ち上げるのが難しくなった。GPM主衛星はアメリカの財政的なシャットダウンの影響もあった。それらの関係もあり、ALOS−2はGPM主衛星の後になった。

筑波宇宙センター
NVS・ロケットの二段目を制御落下する計画はあるか。
並河・今回は、制御落下の計画は無い。

種子島宇宙センター
共同通信・試験画像の取得は打ち上げ後約1ヶ月後になるのか。
鈴木・そのあたりに公開したい。初画像取得の後にチェックしてゆく。本観測は打ち上げ後80日後から開始する。

NVS・今回の打ち上げで、軌道上に残る物体で衛星以外の物はあるか。
並河・軌道上に残るのは2段目とALOS−2と小型副衛星。他に分離するものは無い。



第二部・ALOS−2利用計画について

・登壇者
宇宙航空研究開発機構 第一衛星利用ミッション本部 防災利用システム室 室長
 戸田 謙一
宇宙航空研究開発機構 第一衛星利用ミッション本部 地球観測研究センター 研究領域総括
 島田 政信


・だいち2号に期待される防災利用やビジネス利用について
 ・人工衛星共通の特徴
  広い範囲を観測できる。
  繰り返し観測できる。
 ・レーダの特徴
  夜でも観測できる。
  雨や雲を通して地表を観測できる。
  草や木を一部通して地表を見ることもできる。
  地面の動きを精密に観測できる。※Lバンドの特徴

・だいち2号による森林保全への貢献について
 ・地球環境の保全のために、宇宙からの森林監視が重要。
 (森林面積や森林炭素量の把握、REDD+)
 (※REDD+:開発途上国における森林の減少及び劣化による排出の削減並びに森林保全、持続可能な森林経営及び森林炭素蓄積の増加のための取り組み)

質疑応答
NHK・「だいち2号」がレーダ専用になった理由をお聞きしたい。防災面で要望が強いのか。
戸田・「だいち1号」は光学観測とレーダーによる観測ができた。しかし衛星が大きく(4トン)なり、壊れた場合に全てのセンサが同時に失われてしまう。機能を分けることにより衛星が軽くなり、センサも分散できる。災害を観測する場合、天候の影響や夜間を勘案してレーダー衛星が先になった。

共同通信・利用事例(サンプル)は「だいち1号」や航空機で取得したものだが、今回のだいち2号星で実用的になったものはあるか。
戸田・「だいち1号」の分解能では見えなかったり粗かったりするものがあった。「だいち2号」では分解能が良くなり、例えば橋などの細かいものも見えるようになる。また感度や精度も良くなった。
更に「だいち2号」ではAIS(船舶自動識別)の信号受信とレーダーを両方搭載している。沖合など地上局から遠くてAISが受信できない場合にも衛星で受信できる。

毎日新聞・ALOS−2は災害観測に特化した計画だが、東日本大震災の影響があるのか。
戸田・東日本大震災の発生時には既に衛星の開発は始まっていたので、計画のスタートには影響していない。結果として災害対策に生かせることになる。

東京会場
朝日新聞・リクエストから1時間で観測し、1時間でデータを提供できるということだが、24時間の観測が可能なのか。どういった作業で提供していくのか。
戸田・24時間連続で観測している訳ではなく、普段は決められたところのデータを取得している。災害が発生した場合に、その要求に応じて観測を変更する指示を出す。それが1時間くらいになる。だいち2号のレーダは衛星の真下についているが、機体を傾けてデータを取得することもできる。

時事通信・光学とレーダーの同時観測ができないが、そのデメリットはどんなものか。
戸田・厳密には、だいち1号は光学とレーダの向きが違っていたので、同時に同じ場所を観測できていた訳ではない。

時事通信・だいち2号の予算についてお聞きしたい。
戸田・だいち2号の開発費は約374億円。だいち1号は約704億円。

NHK・センサは3mの分解能だが、地殻変動の観測では数センチ単位の精度がある。そのあたりの説明をお願いしたい。
戸田・2センチの変化を検出していくのが目標。蓄積したデータから時系列で見られるので、ミリ単位の変化が観測ができるようになるようにしたい。

NHK・衛星の距離で判るなら、横の動きも判るのか。
島田・衛星は通過方向が昼(北→南)と夜(南→北)と違うので、その組み合わせで検出できる。

スペースニュース・ビジネスという面で「だいち1号」から使いやすさなどが向上する点について。今後利用する企業などがあれば教えていただきたい。
戸田・「だいち2号」はレーダーのみ搭載しているため、効率よく、また頻度が高く観測できる。よりタイムリーにデータが出せるようになる。企業については具体的な名前は差し控える。

同・JAXAからは無料で提供するのか。
戸田・災害時については無償で各機関に提供する。一般利用については、事業者に有償での提供となる。

筑波会場
NVS・国際的な観測計画に参加する予定はあるか。
戸田・災害時に対応する国際的協力の枠組みがあり、「だいち2号」も参加する。同様の枠組みはアジアにもあり、これも参加する。

種子島会場
産経新聞・地殻変動の観測で2センチ程度の精度で、いずれミリ単位を目指すとのことだが、初代ではどうだったか。
島田・精度に関しては昔から議論が続いており、アルゴリズムの関係がある。イタリアやドイツなどがXバンドで何度も観測した。そのため沢山のデータから取捨選択ができるようになった。差分干渉と時系列解析の二つがある。差分干渉は2枚あれば良くて、ALOS−2では2センチが目標となる。時系列解析は例えば1年間なら約24個のデータ、さらに1年で48個のデータがとれる。ゆっくりした沈降など一筋縄ではいかない事例を集めることで2ミリくらいの精度がとれるのではないか。データが無いときは2センチくらいの精度で、データの蓄積で2ミリになるのではないか。これは単独の衛星の目標である。複数でもいいが海外の衛星はバンドが違うので、見え方が違うため使えないことがある。

不明・先の開発費は衛星のみか、打ち上げ込みか。
戸田・衛星開発と打ち上げ込みである。

不明・最短で観測1時間前のリクエストに応えられる点と、日本付近なら12時間以内に観測という点についてお聞きしたい。
戸田・観測時間による。日本上空通過は12時頃と0時頃になるため、それぞれの時間帯を過ぎると次の機会まで待たなければならない。たまたま近ければ1時間で可能。

不明・分解能が上がると、差分干渉と時系列解析の精度も上がるのか。
島田・断層が大きく変異した場合、分解能が悪いと干渉処理が動かないことがある。だいち1号の28Mhzから2号は84Mhzになるので大きい断層面がくっきり見えるようになる。差分干渉と時系列解析の精度が帯域幅で変わるかというと、あまり影響は大きな違いは無い。

東京会場
フリー林・省庁や研究機関などでなく、エンドユーザーなどでは精度が上がると使いにくくならないか。研修を受けると使えるのか。
戸田・性能が上がっても使いにくくはならない。エンドユーザーの使い方では、全てを自分で解析する場合は知識が必要。先に専門的な所で解析し、そのデータを受け取ることで衛星に詳しくなくても利用ができるようになる。

同・アマゾンの違法伐採検出についてJICAのプロジェクトが動くことになるのか。
島田・まだ2014年のJAICAの動向を把握していないが、JAXAは年6回位の頻度で計画的にアマゾン領域のデータを取得しており、違法伐採を把握するベースとなるデータとなるのではないか。JAICAも解析能力がついていると聞いており、「だいち1号」の時よりはデータ取得に時間はかからない予定。

以上です。


No.1738 :H-IIAロケット24号機打ち上げ取材を開始しました ●添付画像ファイル
投稿日 2014年5月22日(木)11時45分 投稿者 柴田孔明

 宇宙作家クラブ取材班は種子島宇宙センターで活動を開始しました。
 今回の打ち上げはH-IIAロケット24号機で、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS−2)と、4基の相乗り小型副衛星が搭載されています。


No.1737 :H-IIAロケット24号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年4月2日(水)19時38分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機

このあと4月5日に工場から出荷され、4月7日から種子島宇宙センターでの作業が始まる予定です。


No.1736 :H-IIAロケット24号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年4月2日(水)19時34分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機 1段目エンジン方向から


No.1735 :H-IIAロケット24号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2014年4月2日(水)19時33分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット24号機 段間部と2段目エンジン部分


No.1734 :会見時の様子から ●添付画像ファイル
投稿日 2014年4月2日(水)19時31分 投稿者 柴田孔明

・登壇者(右から)
三菱重工株式会社 宇宙事業部 技監・技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者
 二村 幸基
三菱重工株式会社 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ
 秋山 勝彦

(※先に掲載したものに追加しています)


No.1733 :H-IIAロケット24号機コア機体公開
投稿日 2014年4月2日(水)19時27分 投稿者 柴田孔明

 2014年4月2日午後、三菱重工株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 飛島工場でH-IIAロケット24号機のコア機体が報道陣に公開されました。併せて機体の説明と質疑応答も行われています。
 コア機体とは、H-IIAロケットの1段目と2段目(段間部を含む)を合わせた名称で、SRB-Aや衛星フェアリングなどは今回の公開内容に含みません。

(※敬称を一部略させていただきます)

・登壇者
三菱重工株式会社 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者
 二村 幸基
三菱重工株式会社 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ
 秋山 勝彦

・計画概要
 1.H-IIAロケットにより陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS−2)を所定に軌道に投入する。
 2.打上能力の余裕を活用して小型副衛星4基に対し、軌道投入の機会を提供する。

・コンフィギュレーション
 H-IIA202型【コア機体+固体ロケットブースタ(SRB-A)2本】
 直径4mシングル衛星フェアリング(4S型)

・打ち上げ時期
 2014年(平成26年)5月24日(土)
 12時5分〜12時20分(JST)
 予備期間:2014年5月25日〜同年6月30日
 (打ち上げ予備期間中の打ち上げ時間帯は同じ)

・搭載衛星
 主衛星:陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS−2)
 小型副衛星1:日本大学(SPROUT)
 小型副衛星2:東北大学(RISING−2)
 小型副衛星3:和歌山大学(UNIFORM−1)
 小型副衛星4:(株)エイ・イー・エス(SOCRATES)

・軌道について
 「だいち2号(ALOS−2)」を太陽同期軌道に投入する。
 上記分離後、小型副衛星4基を順次分離する。

・今後のスケジュール
 ・コア機体は飛島工場作業を終了し、出荷準備作業中。4月5日に射場へ向け出荷予定。
 ・固体ロケットブースタは射場へ搬入済であり、コア機体起立後にコア機体に結合予定。
 ・衛星フェアリングは射場へ搬入済。
 ・5月24日打ち上げに向け、4月7日より種子島宇宙センターで、コア機体起立以降の射場作業開始予定。
 (※ALOS−2も種子島宇宙センターに到着しています)

・質疑応答
機体公開中に行われた質問への回答
二村・1段目の燃料(液体水素)と酸化剤(液体酸素)の総重量は101トンで、そのうち約1/6の重量が水素となる。2段目は合計17トンで、比率は同じです。

朝日新聞・今回の24号機は前回23号機からの変更点は無いとのことだが、H-IIAはこれが完成形なのか。
二村・H-IIAはデザインフリーズであり製品として固まっている。打ち上げの価格面で苦戦をしているので、微々たるものを積み重ねていく努力は続けていきたい。

朝日新聞・前号機と変わっている点はあるのか。
二村・ものづくりとしては特に変更はない。種子島に搬入後、打上までの点検作業のやり方を少しずつ工夫し短くしてコスト削減などにトライしていく。

不明・海外にはアメリカのスペースXやヨーロッパのアリアン等があるが、コストでどう対抗していくのか。どういった面でコストを下げていくのか。
二村・H-IIAは設計的には完成している。このロケットはJAXAの開発したもので、それを使って打ち上げサービスを我々が行っている。そのため、与えられたものに対して設計や飛ばし方の大幅な変更が我々独自にはできない。そのためもの作りの部分でのコスト削減はハードルが高い。幸い、成功が続いているため引き合いはある。今年から来年までは非常に打ち上げが多い。そのため部品のまとめ買いなどで削減ができる。運用面で工夫してコスト削減をやっていく。

不明・打ち上げサービスの目標数は1年でどれくらいか。
二村・多いほどいいが、年4基程度の打ち上げ機会は最低限持ちたい。

日経ビジネス・部品のまとめ買いという話があったが、どれくらいの数があり、そのうち日系のメーカーがどれくらいあるか。またサプライヤーを変えるなどのコスト削減策はあるのか。
二村・H-IIAは公称で約百万点ある。日系メーカーだけの数は把握していない。普通に流通している一般的なパーツなどは変えることもできるが、アルミの板材ひとつでも特殊なものは入手できるところが限られる。また同じ仕様のものでも、納入先によって微妙に組成が違っていたりすると加工時に違ってくるため、できるだけ変えたくない。電子機器やバルブなど、特に液体水素を扱えるものは汎用パーツが無い。コスト削減には、部品を個別に試験をするより、1ロットで買って1つだけ試験するやり方などがある。

不明・今年の打ち上げ予定はどれくらいあるか。
二村・今年度はH-IIAとH-IIBを合わせて5基程度。まだ確定していないので、予定ということになる。

中京テレビ・H-IIAが設計的に完成したというのはどういった意味か。
二村・ロケットというものはもっと追求できるが、H-IIAとH-IIBについては大きく変える要素が無い。

中日新聞・新型ロケットの開発計画が発表されているが、それに対する抱負などをお聞きしたい。
二村・次のロケットの開発と打ち上げサービスの選定を受けたが、開発主体はJAXAでその下で我々がやっていくことになる。我々業界としても技術の継続と、技術者の離散を防ぐぎりぎりのタイミングだった。このタイミング決まったことは大変幸いなこと。新たなロケットが見えてきたが、今のロケットも着実に続けなければならない。今のロケットで失敗すると開発の足下をすくわれる。今のサービス事業について、手も気も抜かないでやっていきたい。

NVS・今は改良しにくいということだが、新型で対策の目処などがあればお聞きしたい。
二村・基本の調整中でまだ決まっていない。

NVS・「しずく」の時は衛星2基(デュアル)だったが、似た重量の今回はサブペイロードが無い。今回、サブペイロードの受注活動はやっていたのか。
二村・二つ運んだ方が単価が下がるが、デュアルローンチは衛星の条件が2基でそろう必要がある。顧客としては最適な条件を望むため、シングルとなることもある。

NVS・年間4機程度打ち上げたいとのことだが、生産可能な機数はどのくらいか。
二村・厳密には答えにくいが、平準的な生産の場合はH-IIA/H-IIBで年間3機/1機である。今年度は多いので早めに作っていきたい。

以上です。