投稿日 2014年10月8日(水)23時57分 投稿者 柴田孔明
2014年10月7日16時より、H-IIAロケット25号機とひまわり8号の打ち上げ経過記者会見が行われました。
(※敬称を省略させていただきます。また内容についても一部省略させていただきます)
登壇者
国土交通省 副大臣 北川 イッセイ
文部科学省 副大臣 藤井 基之
内閣府 副大臣 平 将明
宇宙航空研究開発機構 理事長 奥村 直樹
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部長 阿部 直彦
国土交通省 技術総括審議官 森 雅人
気象庁 観測部長 藤村 弘志
文部科学省 大臣官房審議官 田中 正朗
内閣府 宇宙戦略室審議官 中村 雅人
・打上げ結果について(発表文より。三菱重工・阿部)
三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、種子島宇宙センターから平成26年10月7日14時16分00秒(日本標準時)に、静止気象衛星「ひまわり8号」(Himawari−8)を搭載したH−IIAロケット25号機 (H−IIA・F25) を予定通り打ち上げました。
ロケットは計画通り飛行し、打上げ後約27分57秒に「ひまわり8号」を正常に分離した事を確認しました。
ロケット打上げ時の天候は晴れ、北東の風(8.5m/s)、気温24.6℃ でした。
ひまわり8号が軌道上での初期機能確認を無事終了し、所期の目的を成功裏に完遂されることを心より願っております。
本日の打上げ成功でH−IIAは通算25機中24機の成功、成功率96%となりました。H−IIBを併せると通算29機中28機の成功、成功率96.6%です。
当社はこれからも皆様に安定的な打上げを提供出来るようさらに心を引き締め、細心の注意と最大限の努力を傾注して参ります。
今回の打上げに際し、多くの方々にご協力ご支援を頂きました。あらためて関係者の皆様に心よりお礼を申し上げるとともに、引き続きご支援を賜りたくお願い申し上げます。
・質疑応答
NHK鹿児島・H−IIAロケットの19機連続打上げ成功をどう捉えるか。その信頼性で宇宙ビジネスをどのように拡大していくか。
阿部・何機連続ではなく、1機1機成功を積み上げていくと考えている。世界の市場ではH−IIAの信頼性とオンタイム打上げの評価が高い。その評価を生かして価格的な差を埋めていきたい。
NHK科学文化部・H-IIAの成功率が96%だが、今後の開発を含めてどう影響するか。
奥村理事・宇宙の中で信頼性が高いことが、いろいろな成り立ちでビジネスに影響を与える。成功率の高さを次期基幹ロケットに生かしていく。ロケット分野の信頼性と高度化に貢献する大きな一歩。今後とも一機一機ひとつひとつ確実に積み上げていくことが大事。
NHK鹿児島・衛星の今後どのように進めていくか。
藤村・約10日かけて静止軌道に投入したあと確認する。非常に分解能の高い衛星。しっかり確認する。
南日本新聞・世界最先端のセンサを世界に先駆けて打ち上げたが、今どんなお気持ちか。
藤村・世界各国が協力していくことが必要。今後、アメリカやヨーロッパでも同じような機能のものが今後打ち上げられる。その中で最初なので注目されている。提携しながら、しっかり業務に生かしていきたい。
鹿児島読売テレビ・集中豪雨などの予測に期待が高まっているが、データを活用するために気象庁で必要なことは何があるか。
藤村・3つの改善点がある。分解能が二倍、観測センサが増える、観測の間隔が短くなる。局地的な雨では、積乱雲の観測が30分の間隔だったものが2.5分になり迅速に観測が可能になる。
NVS・ひまわり5号までは単独で、MTSATで冗長体勢となった。観測の継続性で、意気込み等。
藤村・5号まて気象衛星、6号と7号は航空管制機能と気象観測の運輸多目的衛星、8号9号はまた気象庁単独の運用。運用にあたって、たとえば民間の実績のあるところの力を借りるなど、高い機能を信頼性のある力で運用につなげていきたい。
不明・今後、打上げ費用を下げるために鍵となるのは何か。どれくらいを目標とするか。
阿部・価格については市場では厳しい。現行のH−IIA/Bでも機能を集約するなど地道にやっているがなかなか到達できない。新基幹ロケットで戦っていきたい。
第二部
・登壇者
気象庁 気象衛星課 課長 森 隆志
宇宙航空研究開発機構 鹿児島宇宙センター所長 打上安全管理責任者 長尾 隆治
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部 技監・技師長 打上げ執行責任者二村 幸基
・質疑応答
NHK鹿児島・今回、台風18号が接近したが、打上げ執行責任者としてどのような判断を行ったか。
二村・打上げ3日前作業の10月5日に作業ができないだろうと予想し、打ち上げ日をキープするために、3日前作業から前倒しをして、予定通りに打ち上げられるように準備した。
読売新聞・ひまわり8号の分離高度をお聞きしたい。
二村・手元に資料が無いので後ほど。
読売新聞・これまでのものと性能的に違うが、今後の気象観測の期待などをお聞きしたい。
森・基本的に3つの性能アップ。解像度が二倍、チャンネルが約3倍、観測頻度が多くなった。総合的にどう生かしていくか。鮮明なデータがとれ、短い間隔でとれる。これらで局地的な大雨の予測。チャンネルが増えることで新しいデータがとれる。カラー画像も取れ、黄砂も識別できる。火山灰も雲と区別しやすくなる。台風の進路予報も大事。今回、台風18号が迫る中で成功し、感謝している。南海上から刻々と迫る台風は観測は静止気象衛星でなければならない。予報の向上につなげていきたい。
南日本新聞・次の9号についての期待。
森・大きな山は一つ越えた、まだ静止化と試験がある。来年夏の運用に向けて着実にやっていく。それまでひまわり7号がバックアップなので、これがしっかりしているうちに9号を上げ、盤石にしていくことが重要。
ニッポン放送・開発で苦労した点があれば。ひまわり8号に予報の現場から要求されたもの。
森・世界最先端のセンサを搭載したことで苦労した。そうでなければ海外の衛星の状況を見ればいいが、最先端なので自分達が真っ先に活用しなければならない。製造過程で安定的に観測できる衛星であることを確認することに力を注いだ。欧米が注目しており、誇りと共に責任感がある。
監視機能を上げることについて、3つの性能アップでこたえた。これを予報業務に生かすため、地上のレーダー等を複合的に活用し、数値予報に生かしていく。
NVS・軌道投入精度はどれくらいか。
二村・静止軌道は久しぶり。極軌道の倍のミッション時間で少し疲れた。数値については差し控えるが、抽象的にいうと「ぴったり」である。
南日本新聞・二ヶ月もしないうちに次の打上げがある。今までと変えている点はあるか。
二村・「はやぶさ2」は11月30日で、我々としては非常に短期間。「はやぶさ2」は注目をされているペイロードである。比較的短期間だが、これまで通り準備していきたい。
長尾・次の打上げが非常に近いので、挑戦、大きな目標を与えられたと思っている。次の台風が来るが、三菱さんと協力して最善を尽くしていきたい。
NVS・島民の方も10年ぶりという大きい台風たが、センターの被害はどれくらいか。
長尾・全てをチェックした訳ではないが、センター内にそれなりに被害が出ている。倒木、屋根、フェンスなど風にあおられやすい所や老朽化した部分に被害が出ていた。早い対応をしたい。
NHK・執行責任者になってからオンタイムだが秘訣は。
二村・残念ながら最初の19号機は非常に延期した。そのあとはオンタイムだが、私に秘訣があるわけではなく、チームワークでやっている。モチベーションの維持や、課題に対して視野を広げ、ほかに要因がないかなど含めて洗い出しをしていることなどがサイクルワーク化している。そういったことにより実現していると思っている。
NVS・8号と9号以降の衛星は。
森・気象衛星は2機体制。一回打ち上げたら修理にいけない。基本は2機。8号と9号は技術の進展で寿命が長くなっている。合わせて14年。そのあとも2機体制だが、その時代にどういったセンサができているかを想像するのが難しい。作るのに5年かかるので、技術進歩が著しいのでただちには考えられない。
会見後、正式発表ではないのですが、パドルは既に展開していると話がありました。
以上です。
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