宇宙作家クラブ
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No.214 :ディスカヴァリー今夜帰還
投稿日 2000年10月22日(日)20時05分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#21
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#20

 スペースシャトル・ディスカヴァリーは、スペースシャトルとして99回目の宇宙飛行を終えて、日本時間の23日の真夜中に帰還する予定である。
 ディスカヴァリーの宇宙飛行士達は、帰還に備えて機内を整理し、再突入と着陸時に使用する反動制御システム(RCS)と空力制御翼面を点検した。ディスカヴァリーの状態は良好で、いまのところ着陸に支障はない。
 予想される唯一の問題は、着陸場所のケネディ宇宙センター(KSC)の天候で、滑走路に対して横風が強く噴いている場合には、着陸を延期することも有り得る。
 最初の着陸のチャンスは軌道169周目で、22日1207CDT(23日0207JST)に帰還のための軌道離脱の噴射を行い再突入して、1314CDT(0314JST)にKSCに帰着する。
仮に気象状況が悪くても次の170周目にも着陸のチャンスはあり、その場合は1343CDT(0343JST)に軌道離脱、1450CDT(0450JST)に着陸となる。
 もし1周待っても気象状況が改善しない場合には着陸は丸1日延期され、23日の午後(日本時間24日深夜)になる。ディスカヴァリーは着陸を延期しても十分なだけの酸素、水、食料、二酸化炭素吸収剤を搭載している。
 169周目と170周目のKSCへの進入経路。169周目ならば南南西から、170周目だと南西からKSCへと進入することになる。
NASDA飛行12日目のミッション内容

No.213 :ディスカヴァリー着陸の準備へ
投稿日 2000年10月21日(土)11時12分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#19

 ディスカヴァリーは国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを解除し、現在は単独飛行通である。
 ディスカヴァリーがISSと結合していた時間は6日と21時間23分、宇宙飛行士は4回にわたって合計時間27時間19分のEVAを行い、またISS内には27時間4分滞在した。
 STS-92でZ1トラスとPMA-3と言う二つのコンポーネントが付け加えられたISSは、現在このような姿をしている。
 STS-92を含めてこれまでに5回スペースシャトルはISSとドッキングし、結合していた時間は合計33日4時間44分、ISS内の作業は20日八時間26分、ISS外作業(EVA)は合計2日21時間34分になる。
 飛行11日目は着陸の準備に充てられ、任務を達成した宇宙飛行士達は比較的のんびりしたスケジュールを過ごす。軌道上での共同記者会見も予定されている。
 ケネディ宇宙センター(KSC)への着陸は22日のヒューストン時間22日の13時14分、日本時間23日の午前3時14分に予定されている。いまのところ天候はやや風が強いものの、わりあい良好と予報されている。KSC周辺の気象

No.212 :ディスカヴァリー ISSから離れる
投稿日 2000年10月21日(土)01時17分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・オービター・ディスカヴァリーは、20日1008CDT(21日0008JST)に、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを解除して、単独飛行に戻った。
 ドッキング解除(undocking)は、前日のISSへの物資搬入とハッチ閉鎖が予定よりも遅れたために、計画よりも軌道1周、約90分遅く行われた。アンドッキングはブラジル上空で行われ、ドッキング装置が解除された後、メルロイPLTがスラスターを噴射してディスカヴァリーをISSから遠ざけた。
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#18
NASAのディスカヴァリーとISSの軌道追跡

 アメリカ空軍は、19日2040EDT(20日0940JST)にケイプ・カナヴェラル空軍ステーションから、アトラス2AロケットでDSCS(Defense Satellite Communications System)B-11軍用通信衛星を打ち上げた。

 ロシアで19日に開かれた宇宙関係機関の会議では、ミール宇宙ステーションを来年早々に破棄すべきかどうかは論議すらされずに終わった。ロシア宇宙庁(RKA)はミールの早期廃棄を望んでいるが、エネルギア社など関係機関はミール計画の存続を求めている。ロシア政府関係者は、ミール問題が関係機関会議の議題にも取り上げられなかったことに失望を表明している。

No.211 :若田宇宙飛行士もISSに入室
投稿日 2000年10月20日(金)10時21分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#17
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#16

 4回にわたるEVAが無事終了し、飛行9日目の活動は国際宇宙ステーション(ISS)の内部に移った。作業が予定より手間取ったため、ディスカヴァリーとISSのドッキング解除(undocking)は9日目には行われず、飛行10日目まで延期されることになった。
 ISS内に入ったメルロイPLTとワイソフMSは、Z1トラスとユニティ・ノードの接続を確認するとともに、ISSの内壁のさまざまな部分から微生物の繁殖を調べるためのサンプルを収集した。また二人は保存バッグに殺菌剤を塗布した。
 マッカーサーMSとチャオMSは、Z1トラス内に設置されているコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の機能を点検した。
CMGはフライホイールを利用することにより、推進剤を消費せずにISSの姿勢を制御するシステムで、今回Z1トラスとともに打ち上げられ、来年のデスティニー・モジュール取り付け以降に使用されることになる。
今回は定格回転数の6,600rpm(回/分)よりもずっと低い、100rpmでジャイロを回転させてテストした。
 若田MSは、ロボット・アームを動かして先端のTVカメラでISSの外回りを点検し、それが完了した後は他の宇宙飛行士を手伝うためにISSに入室した。搬入された物資の中には、コンピューターやIMAXのカメラもあった。
 物資の搬入とCMGのテストが予定より手間取ったために、飛行9日目には予定されたISSの閉鎖は行われず、10日目に持ち越された。
 また予定外の作業として、ディスカヴァリーの船内ではトイレットの固体圧縮機すなわち大便処理装置が詰まってしまったため、ワイソフとメルロイの二人が手袋をはめてトイレ掃除をする破目になった。
 宇宙飛行士達は19日2117CDT(20日0217JST)に就寝し、飛行10日目には20日0517CDT(1017JST)に起床する。飛行10日目にはISSの閉鎖とドッキング解除が予定されている。
 10日目は予備日に当てられているため、宇宙飛行士達のスケジュールはあまり詰まっておらず、余裕があれば軌道上で全員そろっての記者会見も行われる。
 飛行11日目は帰還の準備に充てられ、ケネディ宇宙センター(KSC)への帰還は12日目、日本時間の23日午前3時過ぎになる予定。
飛行10日目のミッション内容
飛行11日目のミッション内容
飛行12日目のミッション内容

 STS-92が完了すれば、次はいよいよISSに最初の恒久滞在乗員が派遣されるが、ロシア人二人、アメリカ人一人からなる最初の遠征隊(Expedition One Crew)の出発は、モスクワ時間の10月31日1053時、アメリカ時間中央時間の0153時、日本時間では0753時と決まったことが、米露双方から発表された。ISSとのドッキングは11月2日になる。
 

No.210 :EVA4終了
投稿日 2000年10月19日(木)13時45分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#15
A HREF="http://www.jsc.nasa.gov/pao/media/mstat/archives/STS-92-14.html">STS-92ミッション・ステイタス・リポート#14

 ワイソフMSとロペス=アレグリアMSによる、4回目の機外活動(EVA4)が18日に行われた。これで計画された4回のEVAはすべて終了、あとは国際宇宙ステーション(ISS)内部への資材運び込みや機器調整を残すだけになった。
 EVA4は18日1000CDT(19日0000JST)に開始され、1656CDT(0656JST)に終了した。STS-92の4回のEVA(延べ8人)の時間は合計して27時間19分になる。
 ワイソフとロペス=アレグリアの二人のMSは、まずZ1トラスから手すりを取り外し、ソーラー。アレイの取り付け部を開閉して作動を確認し、来年のミッションでISSに組み込まれるデスティニー・モジュールの動力接続部を準備した。この間若田MSは、ロボット・アームを操作して足場を提供した。
 続いて二人のMSは、EVA中の事故で宇宙飛行士が漂流した場合の救助手順をテストした。救助に使われたのはSAFER(Simplified Aid for EVA Rescue)と名付けられた、背中に取り付けるコンパクトな推進システムで、窒素ガスの噴射で宇宙飛行士がオービターまで戻って来られるようになっている。
 二人のMSは交互に、長さ15mの命綱(テザー)でロボット・アームの先端と結ばれたまま漂流を模擬し、自力で戻ったり、もう一人に介助されて戻る手順を実験した。
 EVA4が完了した後、ダフィCDRとメルロイPLTは、ディスカヴァリーのスラスターを断続的に噴射して、ISSの軌道を押し上げる3回目のリブーストを行った。3回のリブーストで、ISSの軌道は約5kmだけ高くなった。

 EVA4でISSの外部の作業はすべて終了し、後は内部への物資搬入と艤装だけになる。EVAのため平常の約2/3まで落とされていた機内の気圧は、1気圧(14.7psi)に戻される。
飛行9日目には、若田MSも日本人として初めてISSの中に足を踏み入れる。
また作業が一段落した段階で、宇宙飛行士全員そろっての軌道上での広報イベントがある予定。
飛行9日目のミッション内容
 ISSとのドッキングは飛行10日目に解除され、後は22日に予定されている着陸に備えるだけになる。

No.209 :ミール社創立の裏事情
投稿日 2000年10月19日(木)00時03分 投稿者 江藤 巌

 謎に包まれていたミール社(MirCorp.)の出資者の正体の一端が明らかにされた。WASHITECH.COMの記事
 ウォルト・アンダースン。謎の多い男である。確かにミール社の役員紹介のページでも、アンダースン副会長だけは写真もない。

No.208 :ISSの商業利用に新会社
投稿日 2000年10月18日(水)13時41分 投稿者 江藤 巌

 アメリカのスペースハブ社とロシアのRSCエネルギヤ社は、国際宇宙ステーション(ISS)を商業利用するモジュール製作のために、新会社スペース・ステーション・エンタープライズ(SSE)LLCを合弁で設立した。スペースハブの発表
 エネルギヤは、ISSのロシア製作部分に接続して機能するモジュール”エンタープライズ”を製作する。エンタープライズはニンゲンが中で活動できる与圧モジュールで、内部は研究、物資貯蔵や居住、それにマルチメディア・センターの三つに分かれている。マルチメディア・センターは、史上最初の宇宙スタジオとして機能する。
エンタープライズは長さ8.2m、直径2.9mで、内部の作業スペースは51m3になる。
エンタープライズは2003年初めに打ち上げられる予定である。

No.207 :EVA3終了
投稿日 2000年10月18日(水)10時54分 投稿者 江藤 巌

STS-92ミッション・ステイタス・リポート#13
STS-92ミッション・ステイタス・リポート#12

 チャオMSとマッカーサーMSによる三度目の機外活動(EVA3)は終了した。
EVA3はほぼ計画通りに、17日の0930CDT(18日0030JST)に開始され、6時間48分後の1618CDT(0718JST)に完了した。
二人のMSは、ディスカヴァリーの機内からロペス=アレグリアMSと若田MSが操作するロボット・アームの助けを借りながら、2基の直流直流コンバーター・ユニット(DDCU)をカーゴ・ベイの固定場所から取り外して、Z1トラスに取り付ける作業を行った。DDCUは、Z1トラスに取り付けられる予定のソーラー・アレイの電流を変換して、国際宇宙ステーション(ISS)に供給するものである。
二人のMSは、ISSとZ1トラス、PMA-3の間の配線を接続した。
また次回のシャトル・ミッションの準備として、PMA-2とPMA-3の配線を繋ぎ替え、昨年5月のSTS-96のISS訪問時に使われて残されていた工具を、Z1トラスの工具箱に収納した。
 EVA3完了後、ダフィCDRとメルロイPLTは、ISSの2回目のリブーストを行った。30分間にわたる断続的なスラスター噴射で、ISSの軌道は2.7km押し上げられた。

 飛行8日目に当たる18日には、EVA4が予定されている。EVA4ではISS組立作業の他に、SAFER(Simplified Aid For EVA Rescue)と呼ばれる装置による救難実験が行われる予定である。


NASDAの飛行7日目のミッション内容
NASDAの飛行8日目のミッション内容

No.206 :ISSの形態
投稿日 2000年10月17日(火)12時25分 投稿者 江藤 巌

 STS-92ミッション・ステイタス・リポート#11

 ワイソフとロペス=アレグリアの二人のMSは、予定を15分早めて、ヒューストン夏時間(CDT)16日0915(日本時間16日2315)からEVA2を開始した。
EVA2の終了は1622CDT(17日0622JST)で、EVAは予定より半時間以上長い7時間7分に及んだ。
この間に二人は若田MSがロボット・アームを使ってPMA-3をユニティ・ノードの側面に取り付けるのを手助けし、またZ1トラスのソーラー・アレイ取り付け個所を準備した。ソーラー・アレイは次のシャトルのSTS-97ミッションでISSに取り付けられる。
約8トンのZ1トラスと、1.4トンのPMA-3とが取り付けられたことで、ISSの質量は約80トンになった。
 EVA2が終了した後、ダフィCDRとメルロイPLTはディスカヴァリーのスラスターを噴射して、ISSの軌道リブーストを行った。噴射は1.4秒ずつ18回にわたって行われ、これによりISSの軌道は2.7km上昇した。リブーストはあと2回行われる。
 飛行7日目には、EVA3が行われる。
NASDA飛行7日目のミッション内容

 Z1トラスとPMA-3が取り付けられたことで、ISSの形態は現在この想像図のようになっている。
 向こうからロシアのズヴェズダー・モジュール(サービス・モジュール)(ソーラー・アレイが展長されている)、ロシアの打ち上げた(アメリカ担当部分)ザリャー・モジュール(FGB)((ソーラー・アレイが展長されている)、一番手前がアメリカのユニティ・ノード
ユニティの上(宇宙側)の四角い箱状のものがZ1トラス、Kuバンド・アンテナが上に伸びている。ユニティの下側(地球側)に突き出した黒い筒状のものがPMA-3。
ユニティの右端(画面一番手前側)から突き出ているのがPMA-2で、現在はここにディスカヴァリーがドッキングした状態である。ディスカヴァリーは背中のドッキング装置でPMA-2と結合し、機首を地球側に、腹をこちら側に向けている。
PMA-1はユニティとザリャーの結合部になっている。

No.205 :ロシアがミールに無人補給船送る
投稿日 2000年10月17日(火)09時46分 投稿者 江藤 巌

 ロシアは10月16日2127GMT(日本時間17日6時17分)に、カザフスタン共和国のバイコヌール基地からプログレスM43を打ち上げた。プログレスM43無人補給船は、ロシアのミール宇宙ステーションに自動ドッキングして、ミールの軌道を押し上げることになっている。
ミールには2001年の1月末か2月に新たな短期滞在の乗員が送り込まれることになっており、プログレスはそのための物資もミールに補充する。
ロシアの宇宙当局者としては、この短期滞在が終了した後はミールの軌道を低下させ、意図的に大気圏に落下させたい意向のようだ。しかしミールの計画存続を望む声もあり、ミールの運命はまだ決定していないと言えよう。
FLORIDA TODAYの記事
SpaceDailyの記事
MIrCorp

No.204 :PMA-3取り付け完了
投稿日 2000年10月17日(火)09時32分 投稿者 江藤 巌

 STS-92ミッション・ステイタス・リポート#10

 いくつかの困難にも関わらず、国際宇宙ステーション(ISS)への与圧結合アダプター3(PMA-3)の取り付けは無事終了した。
 2回目の機外活動(EVA2)でディスカヴァリーのハッチから出たワイソフとロペス=アレグリアの二人のミッション・スペシャリスト(MS)は、カーゴ・ベイのPMA-3の固定ラッチを電動工具で取り外すのに手間取った。
このためPMA-3の取り付け作業は計画よりも約1時間遅れたが、ディスカヴァリーのコクピット後部に陣取った若田MSは、ロボット・アームでPMA-3をカーゴ・ベイから持ち上げて、ゆっくりとユニティ・ノードの側面の取り付け位置へと移動させた。
カメラが故障しているため、外の二人のMSの誘導にも助けられながら、若田MSはPMA-3をユニティの側面に取り付けるのに成功した。ディスカヴァリーの機内からメルロイPLTが信号を送って共通結合機構(CBM)を作動させ、PMA-3はユニティにしっかりと固定された。
PMA-3はこの先のシャトルのミッションで、ドッキング装置の役割を果たす。
EVA2は計画を約30分超過して、7時間で終了した。

No.203 :NASDAと運輸省が衛星打ち上げ費用支払いで調停申請
投稿日 2000年10月16日(月)13時11分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)は、運輸省気象庁に対して運輸多目的衛星(MTSAT)の打ち上げ費用支払いを求めて、東京地裁に民事調停を申し立てたことが明らかになった。
 MTSATは、昨年11月打ち上げのH-2-8に搭載されていたが、ロケット第1段の故障で軌道に乗ることなく失われていた。
ロケットの打ち上げ費用は約140億円で、運輸省はMTSAT打ち上げ費用として約100億円を負担することになっていた(残りの約40億円はNASDAの上級官庁の科学技術庁が負担)。
すでにそのうち65億円は分割して支払われているが、残りの35億円については、打ち上げが失敗したことを理由に、運輸省がNASDAへの支払いを拒否している。
このためNASDAが運輸省を相手取って民事調停を申し立てたものである。
 このような場合については、打ち上げ契約では明記されていない。

 私見ではあるが、これは国際慣習上からは運輸省が残額を支払うべきであろう。
打ち上げが失敗したのに費用を払うのが釈然としないのは感覚として分かるが、本来ロケットの打ち上げというものは失敗のリスクを予想しつつ契約するもので、リスクの分は打ち上げ保険でカバーするのが筋である。
ちなみに打ち上げ保険の料率は、カバーする金額の十数%。すなわちロケットの打ち上げは、8〜9回に付き1回は失敗するのが当然と言うのが国際相場なのである。
 もともとは打ち上げが失敗したケースについて、事前に契約に明記しておかなかったのがいけない。
打ち上げがロケット側の技術的理由で遅延した場合、打ち上げたがロケットの問題で軌道に乗らなかった場合、軌道にはなんとか乗ったが使い物にならない場合、計画軌道に乗るために余分な推進剤を消費して軌道寿命が短くなってしまった場合など、想定されるあらゆる場合についてどちらが費用を負担することになるのか、事前に詳細かつ明確に取り決めを行っておかなければほんとうはいけないのである。
官庁と特殊法人と言う関係からか、それを怠ったために、政府所管の特殊法人が官庁を訴えるという珍妙な事態に立ち至ったのである。

No.202 :6時間半のEVA1完了
投稿日 2000年10月16日(月)10時21分 投稿者 江藤 巌

 STS-92ミッション・ステイタス・リポート#9
 STS-92ミッション・ステイタス・リポート#8

 国際宇宙ステーション(ISS)を建設するEVA1は成功裏に終了した。
チャオ(EV1、赤いストライプ)とマッカーサー(EV2、ストライプ無し)の二人のミッション・スペシャリスト(MS)は、15日の0927CDT(15日2327JST)にEVAを開始して、1555CDT(16日0555JST)に完了した。このEVAはアメリカの宇宙計画にとっては90回目(月面での活動を含む)、またシャトル計画にとっては51回目に当たる。
 二人のMSはまず作業に用いる足場や手すりを設置、工具を用意した後、まず昨日設置したZ1トラスとユニティ・ノードとの配線を接続した。
続いてSASA(S-band Antenna Subassembly)をZ1トラスの打上げ時の固定位置から、仮の設置場所へと移し替えた。SASAは11月末に予定されているシャトルSTS-97で、最終的な設置位置に移して稼働状態になる。SASAが取り付けられていた場所には、EVA3で2台のパワー・コンバーター・ユニットが取り付けられることになっている。
続いてさらに配線を接続、SGANT(Space to Ground Antenna)を移設し、アンテナを展開した。
この後二人のMSは工具箱を移し替え、PMA-3の設置の準備をした。PMA-3(与圧結合アダプター)は飛行6日目に取り付けられる。
チャオとマッカーサーの作業中、若田MSはロボット・アームを操作して、彼等の足場を提供した。アームの先に乗ったのはもっぱらマッカーサーで、チャオもEVAの終わりにはアームの先で作業した。
二人のMSは終始上機嫌で、ときおり歓声を上げたり鼻歌を歌ったりしながら、陽気に作業を進めた。

 乗員は15日2117CDT(16日1117JST)に就寝し、16日0517CDT(1017JST)に飛行6日目に目覚める。飛行6日目には今度はワイソフとロペス=アレグリアの二人のMSがEVAを行い、若田MSはロボット・アームを操作してPMA-3をユニティの側面に取り付ける。

NASDA飛行5日目のミッション内容
NASDA飛行6日目のミッション内容

No.201 :EVA1
投稿日 2000年10月15日(日)15時48分 投稿者 江藤 巌

 飛行5日目のハイライトは、最初の機外活動(EVA1)である。
 EVA1は、15日0932CDT(15日2332JST)に開始され、6時間30分の予定である。
 EVA1の主な目的は、Z1トラスの配線接続、Sバンド通信アンテナの移し替え、Kuバンド通信アンテナの取り付け、左舷の機外活動用工具箱(ETSD)の取り付けである。
EVA1で機外に出るのはチャオ、マッカーサーの二人のMSである。
 EVAを行う4人のMSの宇宙服の識別用色分けは、
チャオ            赤の実線ストライプ
マッカーサー         白の実線
ワイソフ           赤の縦線ストライプ
ロペス=アレグリア      赤の斜めのストライプ
となっている。
 なおこれまでロペス=アルジェリアと誤記してきたが、ロペス=アレグリア(Lopez-Alegria)が正しい。
宇宙服について(NASA)
EVAと宇宙服(EMU)について(pdf)
EVAについて(NASDA)

 今回のISS組立作業できわめて重要な役割を果たしたのが、共通結合機構(Common Berthing Mechanism)である。
 CBMは、ISSのロシア部分以外のモジュール同士の結合に使われる結合機構である。
円形のCBMにはアクティヴ(能動)側とパッシヴ(受動)側とがあり、アクティヴ側の4個の把持ラッチと16個のボルトが、パッシヴ側をしっかり掴んで結合が行われる。
組立にあたっては、まず両者を十数cmまで近づけてラッチで保持し、続いて電動モーターでボルトを動かしてしっかりと結合する。
今回の作業では、パッシヴCBMがZ1トラス側に、アクティヴCBMがユニティ・ノードに取り付けられている。
ISSの結合機構にはCBMとは別に、宇宙飛行士の作業(EVA)が必要な手動結合機構(Manual Berthing Mechanism)があり、トラスの結合に使われる。

No.200 :Z1トラス取り付け成功!
投稿日 2000年10月15日(日)11時31分 投稿者 江藤 巌

 STS-92ミッション・ステイタス・リポート#7

 回線のショートによるカーゴ・ベイのカメラの故障と言う困難な条件の中で、国際宇宙ステーション(ISS)へのZ1トラスの取り付けは成功した。
宇宙開発事業団(NASDA)の国際宇宙ステーションの解説
NASDAのZ1トラスの解説
NASDAのロボット・アームと組立作業の解説
 問題のショートは飛行4日目の活動が始まってからすぐに発生し、三つの装置に電気が送られなくなった。
一つはディスカヴァリーからISSへデータとコマンドを送るオービター・インターフェイス・ユニット(Orbiter Interface Unit)、二つ目はオービター宇宙視覚システム(Orbiter Space Vision System)、それにオービターのカーゴ・ベイの底に取り付けられていて、見上げたテレビ映像を送ってくるキール・カメラである。
乗員の応急修理でショートした回線を繋ぎ変えることにより、前の二つは機能を回復したが、キール・カメラは使えないままだった。
若田光一宇宙飛行士(MS)がロボット・アーム(RMS)を操作するディスカヴァリーのコクピット後部からでは、カーゴ・ベイの全体が見通せない。そのためキール・カメラが役に立つはずだった。
カメラの視覚の代わりとして、ISSにロペス=アルジェリアMSが入って、若田MSにZ1トラスの様子を口で伝えることになった。ロペス=アルジェリアMSがISS側から組立作業を観察すること自体は、当初から計画に組み込まれていた。
 この故障のため、組立作業は計画から約2時間15分遅れて、日本時間の15日0時頃から開始された。
困難にも関わらず組立作業自体は順調に進行して、1320CDT(0320JST)にはZ1はISSにしっかり固定された。
ISSのユニティ・ノード内部では、メルロイPLTとワイソフMSがZ1トラスとユニティの配線を繋いた。
組立作業が予定よりも遅れたため、飛行4日目に行われるはずだったISSへの装備の運び込みは9日目に先送りされた。ダフィCDRとロペス=アルジェリアMSが、いったんユニティのハッチを閉じた。
 飛行5日目に行われる機外活動(EVA)に備えて、ディスカヴァリーのキャビンの気圧が1気圧相当の14.7psi(pound per inch、平方インチあたりポンド、1psiは703kg/m2になる)から、2/3気圧の10.2psiに落とされた。これは宇宙飛行士の血液中から窒素を排出して、約1/3気圧(純酸素)の宇宙服を着用しても、減圧症(ベンズ)が生じないようにするためである。
飛行5日目には第1回のEVA(EVA)が行われることになっている。EVA1でディスカヴァリーの外に出るチャオMSとマッカーサーMSは、EVAの準備に専念した。
6.5時間にわたるEVA1では、二人のMSはZ1トラスとISSとの間のコンピューター・データ・ケーブルを接続し、トラスのSバンドとKuバンドの二つの通信アンテナを移設する。若田MSはロボット・アームを操作して、二人のMSの作業の足場を提供する。
また飛行5日目には、ディスカヴァリーのスラスターに点火して、ISSの高度を引き上げるリブースト(reboost)が行われる。STS-92ではこれを含めて5回のリブーストが行われる。
NASDAによる飛行5日目のミッション内容
NASDAによる船外活動(EVA)の解説 
 乗員は14日2117CDT(15日1117JST)に就寝し、15日0517CDT(1017JST)に起床する。