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No.2080 :H-IIAロケット35号機打ち上げ前プレスブリーフィング 2 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年8月18日(金)16時57分 投稿者 柴田孔明

 2017年8月18日13時00分より、種子島宇宙センター竹崎展望台記者会見室にて、H-IIAロケット35号機/みちびき3号機(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)の打ち上げ前ブリーフィングが行われました。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット長 長田 弘幸
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 MILSET長 平嶋 秀俊

・打ち上げ日時
 機体移動:2017年8月19日0時30分(JST)
 打ち上げ日:2017年8月19日(土)
 打ち上げ時間:14時29分00秒(JST)
 打ち上げ時間帯:14時29分00秒〜22時16分00秒(JST)
 打ち上げ予備期間:2017年8月20日(日)〜2017年9月30日(土)
 ※予備期間中の打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に設定します。

・準備状況
 8月12日のカウントダウン作業において実施した。1段ヘリウム系統の点検において、ヘリウムタンク圧力の降下量が、過去の実績傾向に対し、大きい事が判明。その後の調査で原因が特定できず、飛行中に圧力降下が増加しないことが言い切れないことから、8月12日の打ち上げを中止した。

・打ち上げ中止後、以下の作業を実施。
 ・原因究明のため追加データを取得し、機体をVABへ移送後、機体が外観点検を実施。
 (8月12日〜8月13日)
 ・上記追加データより1段ヘリウム系統に漏れが推定されることから、漏れ箇所の特定を行い、部品交換/交換後の点検を実施。
 (8月14日〜8月15日)
 ・発射整備作業を実施中。
 
・1段ヘリウム系統に関わる調査・確認結果概要
 ・調査
  ・当該系統の加圧による漏れ箇所の特定。
  ・漏れ箇所の部品取り外しによる原因の特定。
 ・原因
  ・ヘリウムタンク(気蓄器)の封止プラグ部に付着したシールの異常(異物付着)が原因と判明。
 ・対策処置
  ・シールを新品に交換した上で、再点検を実施。
  結果、圧力降下量は従来平均レベルとなり、正常復旧を確認した。

 (※ヘリウムタンク:常温ヘリウム気蓄器のこと)

・質疑応答
NHK・この部分はヘリウムを入れる場所なのか。
平嶋・図で充填部は省略。封止プラグとは逆のところから充填します。

NHK・異物はシールの不良か、それとも作業で付着したのか。
平嶋・シール自体は不良では無く、作業中に入ってしまった。

NHK・異物とはどんなものか。
平嶋・コンマ5ミリ位の非金属。

NHK・封止プラグは何に使うのか。
平嶋・製造上どうしても反対側に穴を開ける。片側は充填・供給に使う。もう片側は利用しないので封止する。

NHK・どんな作業中だったか。
平嶋・封止プラグにシールをつけて装着するときに付着した。気蓄器を艤装する中で組み立てるときに、気蓄器を入れてから封止プラグをさし込んでトルクをかけるが、その工程で入ってしまった。

NHK・隙間ができていたということか。
平嶋・そうです。

NHK・シールの材質は何か。
平嶋・金属で、テフロンコーティングをしているものです。

鹿児島テレビ・今後の再発防止策、延期後の打ち上げに臨む気持ちをお聞きしたい。
平嶋・装着するときの異物混入対策の徹底をもう少し強化し徹底しなければならない。一週間くらい延びましたが、変わらずひとつひとつ丁寧にこなしていきたい。

産経新聞・ヘリウムタンクの封止プラグと逆から充填とあるが、この部分から充填して、その後に蓋をするのではないのか。
平嶋・封止プラグは止めるだけ。ヘリウムを供給するラインから逆流させて充填する。

産経新聞・封止プラグは何のためか。タンクは丸い形で良いのではないか。
平嶋・半割れに作り、両方をくっつける形状になっています。加工上、同じ物をくっつけるので片側は蓋をして、もう片側を充填と供給に使う。工程上の都合。

産経新聞・異物は具体的に非金属の何か。
平嶋・タンクの断熱材の接着らに使う、エラストフォーム※というものです。
(※注:エラストボンドと同じ)

産経新聞・打ち上げ3時間前に異常が判ったが、その段階でないと気づけなかったのか。
平嶋・この段階でないと気づけなかった。それまでは正常であった。

産経新聞・そもそも異物が入らない対策はどうだったのか。
平嶋・前々から徹底していたが、このような事になってしまったので対策をもう少し強化しなければならないと考えている。

産経新聞・これまでの対策はどのようなものか。
平嶋・写真記録を残して、多数の目で見ながら装着している。見えにくいところもあったということで、もう少し改善しなければならない。

産経新聞・もう問題無く正常に打ち上げられるということか。
平嶋・はい。他の件もデータが良好と確認できている。

産経新聞・今回は35号機で今まで正常であり、基礎的な技術ではなかったか。
平嶋・基礎的だが、こういうことが起こったということで新たな知見を得たと考えています。

日経新聞・3時間前でないと気づかなかった理由は何か。
平嶋・打ち上げ直前でないと確認できない。ラストチャンスという事で見たところ異常が見つかった。それまでは状態が良かった。

日経新聞・ヘリウムタンクが密封されるのがこのタイミングなので、これ以降でないと気づけないということか。
平嶋・はい、その通りです。

ニッポン放送・シールそのものはどんな形なのか。
平嶋・ドーナツ型の平板。気蓄器側に少し傾いてテーパーがある。気蓄器側の形状に合わせて若干シールのプラグ側が厚くなっている。中がえぐってある。

ニッポン放送・組み立てる時、プラグを差し込んでからシールを付けるのか。
平嶋・封止プラグにシールを入れて、ねじ込んでトルクをかけるものです。

ニッポン放送・異物は配管ではなく外から来たものか。
平嶋・はい、その通りでございます。

朝日新聞・シールの材質と大きさ。また付着物の大きさ。
平嶋・A286という母材にテフロンコーティングをしたもの。大きさは約19ミリ。付着していた異物はだいたいコンマ5ミリのものでした。

朝日新聞・A286とは何か。
平嶋・鉄成分が主の耐熱合金です。

南日本新聞・異物は断熱材の貼り合わせるための接着剤で良いか。また断定できるのか。
平嶋・断熱材を付ける接着剤。断熱材は液体酸素タンクや液体水素タンクの外側を覆うもの。成分を分析した結果、そうなっていました。

南日本新聞・接着するのも組み立て作業の一部か。
平嶋・そうです。

南日本新聞・付着したことで金属製のシールがどうなって漏洩したのか。
平嶋・金属が負けてしまい漏れパスが出来てしまった。異物があってしっかりシールできず形が変わった。隙間ができた。圧痕が残っていた。

南日本新聞・シールとプラグの間に異物が入ったのか。
平嶋・厳密にはシールと気蓄器との間に入っていた。

南日本新聞・これは目視で確認するのか。
平嶋・これでいいよねという写真記録を残して、付けますよとやった時にぽろっと入ってしまったと考えている。見えないところで隙間が出来てしまって、その隙間に運悪く異物が入ってしまい、そのまま装着してしまった。

南日本新聞・これを発見できなかったのは見落としではないのか。
平嶋・しっかり見ていたつもりだが、確認できない隙間で入ってしまった。

南日本新聞・0.5ミリなので確認できない大きさだったのか。
平嶋・確認できないほどの大きさではございません。

南日本新聞・つまり見落としという評価ではないか。
平嶋・気蓄器は非常に見にくいところで、こんなことになってしまった。

南日本新聞・気蓄器側に付いていて、そこに気付かずシールをしてしまったのか。
平嶋・そこはわからない。

南日本新聞・改善だが、具体的にどういうものか。
平嶋・どうしても環境が悪さをするところ。装着する人が異物を持ち込まない、まわりの環境がいいように、物が落ちてこないように改善を図らなければならない。

南日本新聞・チェックの仕方を変える予定はないか。
平嶋・これから検討しなければならない。

南日本新聞・これは人為的ミスなのか、あるいは不可抗力なのか。
平嶋・人為的で無いとは言い切れないが、狭歪部で作業をしているので限界があった。

フリーランス大塚・このヘリウムの漏れ今まで起きたことが無いということは、今号機特有の何かがあったのか。
平嶋・気蓄器の装着はもっと前の工程だったが、気蓄器の入手時期が遅れ、タンクの近くで作業することが必要になったのが特異なところ。
平嶋・ヘリウムタンクはエンジン部に単体で付けるものが間に合わなかったので、液体酸素タンクとエンジン部がついた中で付けなければならなかった。そのため確認しにくい狭歪部で取り付けることになった。

フリーランス大塚・今までは断熱材の無いところでやっていたのか。
平嶋・100%ではないが、今回そういうことになった。

フリーランス大塚・入手が遅れた理由。
平嶋・ヘリウムタンク(気蓄器)は作るのが難しい。なかなか合格品が来なかった。

フリーランス大塚・前回の説明で当日漏れが大きくなって、それまでは平均値だったと理解していたが、今の説明だとシールしたあと漏れを確認する機会が無かったということか。
平嶋・飛島工場に出す前にいちど点検している。種子島に着いてからも機能確認で確認しています。最後に打ち上げ前にも確認します。三段階でやっています。

フリーランス大塚・前には出ず、当日になって出た理由は何か。
平嶋・そこはよくわからない。異物が非金属なので、動きが変わったのかもしれない。金属なら簡単にすぐわかったのではないか。

NHK・異物は接着剤だが、材質は何か。
平嶋・タンクを覆う断熱材を接着する接着剤。エラストフォームというものです。

NHK・延期後のこれまでの作業は迅速にできたのか。
平嶋・燃料を抜いて機体の返送することも含め、トラブルシュートを2日間でやれたので最短だったと思っています。

南日本放送・今回のトラブルは初めてで、ロケットの問題で中止したのは2011年のH-IIAの19号機以来だが、このことの現場の受け止めはどうだったのか。打ち上げに向けてどのようにモチベーションを上げて行かれたのか。
平嶋・機体事由で止まったのは久しぶりだった。打ち上がった後でガスが抜けて失敗に至る可能性を回避できた。次の打ち上げに向けて万全を期してひとつひとつ確実丁寧に作業して打ち上げ成功を継続させたい。

ニッポン放送・エラストフォームとは、見た目はどのようなものか。粒子なのか。
平嶋・ボンドのようなもの。ねばねばしている。付着したのは粒だが黒い色をしていた。付着したのはコンマ5ミリの塊がひとつで、サイズは0.4×0.18ミリ。

ニッポン放送・これ一つで気密がとれないと理解していいのか。
平嶋・はい結構です。

以上です。


No.2079 :H-IIAロケット35号機打ち上げ中止記者会見(2017/8/12) ●添付画像ファイル
投稿日 2017年8月16日(水)02時15分 投稿者 柴田孔明

 2017年8月12日午後に打ち上げ予定だったH-IIAロケット35号機ですが、ロケットの推進系統の一部点検作業に時間を要し、カウントダウンホールドの後に打ち上げは中止となりました。
 同日17時より、種子島宇宙センターの竹崎展望台記者会見室にて打ち上げ中止記者会見が行われています。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門鹿児島宇宙センター長 打上安全管理責任者 藤田 猛
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙ドメイン 技師長 打上執行責任者 二村 幸基

・延期について(配付資料)
 三菱重工業株式会社及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、種子島宇宙センターから「みちびき3号機」(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)を搭載したH-IIAロケット35号機の打ち上げを平成29年8月12日に予定しておりましたが、ロケットの推進系統に確認を必要とする事項が生じたため、本日の打ち上げを中止いたします。
 なお、新たな打上げ日については、決定し次第お知らせいたします。

・推進系統の特記事項について(配付資料、二村)
 打ち上げ当日のカウントダウン作業において実施した、1段ヘリウム系統の点検において、ヘリウムタンク圧力の降下量が要求値内とはいえ過去の実績傾向に対し、非常に大きい結果となった。
 ・35号機降下量実績値:0.96Mpa/hour
 ・スペック値:1.0Mpa/hour MAX
 ・過去号機平均降下量実績値:0.58Mpa/hour

・推定原因(二村)
 1段ヘリウム系統からの漏洩。

・処置(二村)
 打ち上げ時間をずらしながら、降下量の大きな原因を追及していたが、残念ながら調査で原因の特定に至らなかった。この漏洩量が飛行中に更に増加しないことが否定できないことから、本日の打ち上げを中止した。
 現在機体は返送前だが、今後必要なデータを取得し、燃料等を排出した後、ロケットをVABに返送することで計画しています。


・質疑応答
NHK・ヘリウム系統のバルブからの漏洩が考えられるとのことだがもう少し具体的に。また、次の打ち上げ予定日の見通しはいつになるか。
二村・ヘリウムガスを球体状の気蓄器に充填する。フライト中にこのガス源を使って各種バルブを作動させる。ヘリウムの気蓄器から各バルブに配管が延びていて、バルブを作動させる圧力になっている。電動ならモーターだが、空圧はガスで物を動かす。いろいろなバルブがある。例えばエンジンを着火させるために液体水素/酸素までの温度にラインを十分冷やすための予冷バルブがあり、必要なタイミングで開け、エンジンが冷えたら閉める、そういったバルブの作動。予冷は打ち上げ直前までずっと。
 原因の追及が終わっていないのではっきりした事は申し上げられないが、現在の所で4日後の打ち上げは無い。燃料排出をしてロケットを組立棟に戻すのに、恐らく明日未明までかかる。機体にアクセスするのが明日の午後以降。そこで各種トラブルシュートを行って、場合によっては物の搬入と交換がある。その後の再点検などを加味するとそれが最短であり、それ以前は無いと思っている。決定では無いが17日以降と思っていただいて良い。少なくとも明日明後日に打ち上げがあることは無い。

鹿児島テレビ・今回の事象がヘリウムタンクの圧力低下が要求値内であっても過去の実績の値より倍近いということか。
二村・この点検は打ち上げ当日に燃料等を全て充填した後の最後の確認試験。その段階でとれたデータが降下量の実績値0.96MPa/hour。ここの断面だけを見るとスペック値の1.0MPa/hourよりも小さいので打っていいのではという話になると思うが、それ以前の点検フェーズでも当然データをとっていて、それは過去号機と殆ど同じぐらいの降下量と判っている。従って今日の段階になって急に大きな降下量になったということで、その特異性の説明がつかないか、というのが原因追及の主な目的になる。残念ながらこれを説明しきるだけの原因追及に至れなかった。
 打ち上げ当日以外は過去のデータと同等の降下量であった。それが通常より大きいまま作業していたのであれば、それなりの評価ができたと思うが、それまでの点検では過去と同様であり、今日に特異なデータがとれてしまった。

鹿児島テレビ・機体の戻しはいつになるか。早くて未明、0時ということか。
二村・具体的なスケジュールは決まっていないが、現在は燃料等が入っている状態で、追加でデータを取得しておくべきものがないかどうかを吟味している。これ以上とるデータが無いということであれば早急に燃料の排出、そのあと機体のVABへの返送を行います。それが0時に終わることはまず無い、明日にかかると思います。
(※実際のロケットのVAB返送は翌日午後に行われた)

NHK・打ち上げ中止をどのように受け止めているか。
二村・我々はあくまで衛星を所定の軌道に運搬し、正常にそれを分離することが仕事。一点の疑義もないロケットに仕上げた状態で打ち上げる。今回残念ながら今日打ち上げることができませんでしたけども、我々としては万全を期している。次の打ち上げで確実に打ち上げられるように、この原因の追及、あるいはその処置といったものを淡々と進めていくことになろうかと思っております。
藤田・打上安全管理側としても安全で確実に打ち上げを成功させるということが果たすべき責任だと認識しております。今回、三菱重工さんが万全を期すということで延期されたのは適切であったと思いますし、確実に対策をうっていただいて、また打ち上げの再開を果たしていただきたい。

不明・過去にこういった特異的にヘリウムの圧力が下がる例はあるか。圧力が下がる、漏れるというのはタンクが破損していると考えられるのか。
二村・過去において多少大きめの降下量だった事はあります。ただH-IIAにおいては、これほど大きいものは過去に出ておりません。可能性としてタンクは無いのかというのは、まだ調査をしないとわかりませんけども、少なくとも今日かけている最大圧力に近い状態で点検しておりますので、いわゆる気蓄器本体にクラックが入ることなどは今のところ存在しないと思っているが、機体を返送して、十分に調査を予断無く進めていきたいと思っています。

ニッポン放送・少なくとも17日以降ということで、みちびき4号機が来年度本格と聞いているが、この辺りへの日程の影響はいかがでしょうか。
二村・衛星の運用計画そのものは内閣府さんの所掌。当然我々は次に打ち上げをひかえている4号機、そういった運用計画を含めまして、打ち上げ時期につきましては影響が最小限になるように調整をしていくつもりでおります。

時事通信・35号機にヘリウムタンク関係の設計変更はあるか。また、今見込んでいる点検はVABで機体を立てたまま数日間で行えるのか。
二村・設計については変えているポイントはございません。原因が明確にならないと、どの規模になるか判っていない。今回の不具合の原因を追及するにあたっては、機体が起立したままの状態で、しかも衛星が乗っていますが、このコンフィギュレーションを大きく崩すことなく実施できるものと思っています。
(※前回34号機からコストダウンの継続適用として、1段目ヘリウム レギュレータをオペレーション耐性のある2段用ヘリウム レギュレータと共通化している)

朝日新聞・バルブの値は継続的にとるものなのか。
二村・何回か点検する機会がある。気蓄器という所にヘリウムガスを蓄えて圧力をかけて降下量をとることを実施しています。日常的にその値を見るのではなく、意図的に点検する機会を設けてやっている。

南日本新聞・次の打ち上げは4日後は無く、早くて17日以降なのか。
二村・可能性としては、それが高い。もし30分程度で修理できるなら少し早めることにトライはしたい。ですが現実解では17日以降になると思っています。

南日本新聞・燃料充填後に抜くと、費用は結構かかるのか。
二村・かからないというと嘘になる。今回充填した液体水素と酸素を100%捨てる訳ではないが、一部はどうしても廃棄しなければならない。また窒素やヘリウムなどのガス系統もそうである。そういったものは当然追加で手配する費用が今後かかってまいります。また当然誰も働かずにロケットを打っている訳ではないので、打ち上げ当日に関わった人間の費用がもう一度発生する。具体的な数値は申し上げられないが、当然それなりの費用がかかります。

不明・ヘリウムの圧力が下がるとバルブが作動しなくなるのか。
二村・そうです。ガス源が必要な圧力を下回ってしまうと何かを動かそうとしても力が足りない。

不明・燃料と酸化剤をエンジンに送るバルブもこのヘリウムでやっているのか。
二村・全てではないのですが、基本的にそうです。

NHK・過去の実績より低い値が出たのは何時頃か。
二村・値の確認が出来たのは10時半過ぎ。もともとの打ち上げ予定時刻の約3時間前に圧力降下の値がどうも大きいという結果が得られている。

NHK・これは1段メインエンジンのバルブ?
二村・必ずしもそうではないが、1段系のバルブ。エンジン系のバルブと括ってしまうと、その範囲に入らない。タンクからエンジンに送るためにいくつかバルブが入っていて、エンジンとして持っているバルブ以外に、燃料供給系に持っているバルブも含まれている。エンジンや配管、ターボポンプを冷やすことなどに使うバルブと思っていただいた方が正しいと思います。

NHK・ガスが漏れている可能性ということか。
二村・おっしゃるとおりです。圧力降下量が大きいということは、想定しないだけのガスが何らかの形で外に行っている。通常の点検では確認できないような大きな値になったので、どこからか漏れる場所があったと思っています。

不明・圧力が大きいと確認をされた時点では0.98MPa/hourではないのか。
二村・いえ、その時点と思っていただいて結構です。

NVS・推定原因として1段ヘリウム系からの漏洩と断定しているが、例えばセンサが誤った値を出している可能性はあるか。
二村・気蓄器の外に出たところにある圧力センサで、センサの単体異常ではなく系統の何らかの漏れと判断しています。
気蓄器には高い圧力を供給している系統と、低い圧力を供給している系統がある。今回、高調圧系が大きく変化しているが、それに引っ張られるように低調圧系も下がる事象が起きていますので、物理的な現象として圧力が下がるようになっていたと判断しています。

NHK・仮にこのまま飛ばしていたらどうなっていた可能性があるとして止めたのか。
二村・最悪の場合、バルブが動かせなくなる、開かなければならないタイミングで開かなくなるということで、場合によってはエンジンが停止する事象に繋がる可能性がある。

NHK・ヘリウムガスの役割は油圧みたいなものか。
二村・そうです。それをヘリウムガスでやっていると思っていただければ結構です。

NHK・それに加えて配管やエンジンなども冷やしているのか。
二村・それはヘリウムガスの圧力を使って開けたり閉めたりするバルブの役割であって、ヘリウムの役割とは異なります。

フリーランス大塚・漏洩箇所は調査中で断定できないが、配管の継ぎ目とかパッキンとか、可能性のある場所は何があるか。
二村・断定はできないが、可能性があるのは正におっしゃったところ。気蓄器から配管があって、その下に一定の圧にコントロールする調圧器(レギュレータ)みたいなものがあります。この調圧器の下にバルブがぶら下がっています。調圧器より気蓄器に近い側で漏れているのではないかと我々は思っていますけども、これはまだ一概には言えません。これからの調査に委ねられるところでありますが、そこに存在するものとして継手のようなものがございますので、それらを不具合の原因として調査していくことになります。

フリーランス大塚・ヘリウムの特性としては分子が小さくて漏れやすいのか。
二村・そうです。

フリーランス大塚・H-IIAでこれだけ下がった例が無いのか。
二村・おっしゃるとおりです。

フリーランス大塚・他のロケットでは記憶にあるか。
二村・私個人では無い。

不明・これは不具合と言えるのか。
二村・不適合と思っています。(会社内では不具合という言葉が無い)

不明・バルブに不具合が起きているのか。
二村・バルブよりも、継ぎ手部といった所を疑っているが、予断無くやるためには可能性のある所は全部調べようと思っています。配管ではなく、配管と配管を繋ぐジョイントのようなものがあって、例えばその部分の締めが緩んだとかが漏れの原因となり得る。

産経新聞・ヘリウムを使って開け閉めをしているバルブを流れるのは液体水素と液体酸素か。
二村・基本的にそれです。

産経新聞・漏れがエンジンの中か、タンクからエンジンに至る部分なのかが判らないのが現状か。
二村・そうです。更にはもっと大本の気蓄器から出た辺りにも継ぎ手部があるので、そういった所も視野に入れて調べたいと思っています。

産経新聞・単純に割り算をして通常の平均値の1.65倍として表現して良いか。
二村・平均値に対してそれぐらいとするなら間違いでは無いと思います。

南日本放送・今回の不適合と思われる事象の深刻度はどのぐらいのレベルか。
二村・ひとことではまだお答えしにくい。継ぎ手部は深刻度では、さほどではない。交換部品としては難しくない。気蓄器本体となってくるとかなり影響が大きい。箇所によって違うので一概には言えない。

鹿児島読売テレビ・バルブはヘリウム圧で動いて、エンジンの配管を冷やすのは液体水素と液体酸素か。
二村・おっしゃるとおり。

南日本放送・今日のカウントダウンを止めた時刻はいつか。
二村・ホールドしたのは11時45分(JST)。

南日本放送・直前ホールドは、直近ではいつ以来になるか。
二村・調査して後ほどお答えします。

NVS・みちびき4号機は、3号機の原因究明に時間がかかった場合に順番の入れ替えはあるか。オペレーション的には可能か。
二村・現時点では考えていない。機体のコンフィギュレーションが違っていて、機体を入れ替えるとかなり大事になる。

ニッポン放送・本来、タンクにかかっている圧力はどれくらいか。
二村・通常30Mpa程度。降下量の規定値は1時間あたり1Mpaを超えなければ良い。

ニッポン放送・降下量がそれを上回ると最悪の場合エンジンが停止可能性があるのか。
二村・フライト中に圧力はどんどん減っていきますので、途中で必要最低限の圧力を切ってしまうとバルブが作動しなくなることに繋がります。必要最低限の圧力はバルブによって違います。

産経新聞・H-IIAロケットはオンタイム打ち上げが世界的に誇るところといった趣旨の事がよく出ていたがが、今回残念ながらそれが叶わない結果になった。お受け止めは。
二村・オンタイム打ち上げを一つの売りにはしていたが、それ以前にまずは成功させることが必然だと思っております。通常我々が考えているのは、一点の曇りも無い状態にして機体を打ち上げるのが使命と思っています。今回は勇気を持ってちゃんと止められたと考えている。いわゆる疑義を生じない機体をちゃんと仕上げて打ち上げることの1ステップと思っている。オンタイム打ち上げに関しては今回実績に載らないまでも、できるだけ短期間で再度打ち上げられる状態に持ち込もうというのもまた一つの価値観だと思っておりますので、それに向けて努力して参りたいと思っております。

産経新聞・オンタイムにはならいが、いかに延期を短くとどめるかに尽力されるということか。
二村・そうです。衛星のお客様からは、この期間での打ち上げをしてくれれば良いと頂いておりますが、我々はお客様の立場に立って、極力打ち上げて欲しい期間の一番前で打とうと努力しておりますけども、今回のような事態が発生したとしても、それをできるだけ短期間でリカバリーすることに向けて努力したいと思っております。

読売新聞・204型と5Sフェアリングは原因に関係するか。
二村・現時点で全く無い。204と202であれど今回の系統では同じデザインで、因果関係は無い。

NHK・打ち上げが16日以前になる可能性は考えられるか。
二村・本当に状況が把握できていないのではっきり申し上げられないが、16日打ち上げという線はほとんど無いと思っております。それより前は無いと思っていただいて良いと思います。断言はできないが、16日の打ち上げはかなり厳しい。不具合の原因が非常に簡単で、交換も早くて再点検をするのに時間がかからない場合。まだ見てみないと判らない。15日より前に打つことは100%無いが、17日と言ったではないかと言われると困るので、少し頑張らせていただきたい。

共同通信・17日の打ち上げの可能性が高いということか。
二村・それは判りません。最速で17日になる可能性が高いのではなかろうかと思っているだけで、調査の結果によって処置が手間取る場合は当然それより後ろにずれることになります。

共同通信・現在の不具合の見通しなどで、主なところを点検すれば17日には修理も含めて打ち上げの体制が整えられるということか。
二村・それはまだなんとも申し上げられない。我々としては最悪でもその時期を狙ってなんとか詰めていきたいと思っております。人が作るものですので、そういったものの手配が間に合わないというものがもし出てくれば、その分は遅れてしまうので、そこは避けられないと思っています。
手配が間に合わないものは遅れる。

共同通信・17日以降は天候の影響も出てくるが、それがずっと続くのか。
二村・原因が特定できて処置が決まれば、少なくとも3日前には打ち上げ日を公表することになっています。それを加味して、それより前に出ることは殆ど無いと思っていただいて結構です。

不明・早ければ17日というのは、天候判断は別ということか。
・二村・全くおっしゃる通りです。設定をしたあと天候判断は別途行う。流れとしてはまず不適合の原因を追及して、回復見通しがどれくらいかがはっきりした段階で、いつを打ち上げ日にしようかというのをまずは設定します。設定をしたあと、その日に本当に打てるかどうかの天候判断は別途行うということになります。

以上です。


No.2078 :打ち上げ中止
投稿日 2017年8月12日(土)16時16分 投稿者 柴田孔明

連絡があり、本日(2017/08/12)H-IIAロケット35号機の打ち上げは中止です。

以下連絡の内容です。

「本日打上げを予定しておりましたH-IIAロケット35号機について、これまでカウントダウン作業をホールドしておりましたが、ロケット推進系統の一部のデータに再確認を要するため、打上げを中止いたします。新たな打上げ日時については、決まり次第、ご連絡いたします。」

No.2077 :カウントダウンについて第二報
投稿日 2017年8月12日(土)14時35分 投稿者 柴田孔明

第二報です。
「現在、ロケットの推進系統の一部点検作業に時間を要しており、引き続きカウントダウン作業をホールドしています。新しい打ち上げ時刻につきましては、16時以降となる見込みです。
決定次第、速やかにご連絡します。」

No.2076 :カウントダウンホールド中
投稿日 2017年8月12日(土)12時30分 投稿者 柴田孔明

2017年8月12日の正午過ぎに連絡があり「現在、ロケットの推進系統の一部点検作業に時間を要しており、カウントダウン作業をホールドしています。なお、新しい打上げ時刻につきましては、改めて連絡します。」とのことです。

No.2075 :第2回判断の結果はGO
投稿日 2017年8月12日(土)05時57分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット35号機について『「第2回Go/NoGo判断会議」の結果、Go(ターミナルカウントダウン作業開始可)と判断されました。』と連絡がありました。

No.2074 :H-IIAロケット35号機の機体移動 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年8月12日(土)01時00分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット35号機の機体移動が2017年8月12日0時頃から行われました。


No.2073 :Go/NoGo判断1回目
投稿日 2017年8月11日(金)20時47分 投稿者 柴田孔明

20時43分頃連絡があり、H-IIAロケット35号機の第1回Go/NoGo判断会議の結果はGo(機体移動作業開始可)と判断されました。

No.2072 :H-IIAロケット35号機の新しい打ち上げ日時
投稿日 2017年8月10日(木)14時22分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット35号機/みちびき3号機の打ち上げ時刻が決定しました。

打ち上げ日:2017年(平成29年)8月12日(土)
打ち上げ時刻:13時40分00秒(JST)
打ち上げ時間帯:13時40分00秒〜22時14分00秒(JST)
打ち上げ予備期間:2017年8月13日(日)〜2017年9月30日(土)

※打ち上げ予備期間中の打ち上げ時間帯は、打ち上げ日毎に設定します。

No.2071 :H-IIAロケット35号機 打ち上げ前記者ブリーフィング ●添付画像ファイル
投稿日 2017年8月10日(木)00時59分 投稿者 柴田孔明

 2017年8月9日17時30分より、種子島宇宙センター竹崎展望台記者会見室にて、H-IIAロケット35号機/みちびき3号機(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)の打ち上げ前ブリーフィングが行われました。当初は14時の開始予定でしたが、気象状況の判断のため16時に変更され、その後に機体の点検作業に時間を要したため更に17時30分に変更されています。
 (※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 企画官 衛星開発責任者 松本 暁洋
宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター射場技術開発ユニット長 長田 弘幸
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 MILSET長 平嶋 秀俊

・打ち上げ延期について
 三菱重工業株式会社および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「みちびき3号機」(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)を搭載したH-IIAロケット35号機の打ち上げを平成29年8月11日に予定しておりました。ですが、当日の気象状況・発雷等を慎重に判断した結果、下記の通り打ち上げ日を変更いたします。
 打ち上げ日:平成29年(2017年) 8月 12日(土)
 打ち上げ時間帯:14時00分頃〜23時00分頃(JST)
 打ち上げ予備期間:平成29年(2017年) 8月 13日(日)〜平成29年(2017年) 9月 30日(土)
 ※打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に設定します。

・ロケットの準備状況
 ・コア機体は6月30日に飛島工場を出荷後、射場作業を開始。
 ・機能点検(7月14日〜7月25日)
 ・カウントダウンリハーサル(7月26日)
 ・みちびき3号機とロケット機体の結合作業(7月22日〜8月3日)
 ・ロケット機体の最終的な機能点検(8月2日〜8月4日)
 ・台風5号が8月5日〜8月6日にかけて接近して作業が出来なかったが、台風通過後に機体・設備の点検を行い、打ち上げに影響する異常が無いことを確認しています(8月7日)。
 ・Y-1(8月9日)、打ち上げ当日の気象状況(発雷等)を慎重に判断した結果、打ち上げ日を変更しています。
 ・電波系統点検の中で疑わしいデータが確認され、設備か機体かの切り分けをしたところ、機体は健全であることが確認できた。これに時間を要したため、プレスブリーフィングが遅れることになりました。作業は予定通りやりきる予定です。
 ・天候について、当初の8月11日は機体の移動から液(液酸・液水)を充填する近辺で発雷の恐れが続いていて、非常に大気が不安定であり、落雷した場合の懸念が消えなかった。8月12日は回復傾向にあり、発雷・強風・大雨等の予報が出ていないため、この日を打ち上げ日とする判断に至った。

・今後の予定
 ・8月11日20時30分頃、機体移動の可否判断。
 ・8月12日00時00分頃、機体移動。
 ・同日04時00分頃、ターミナルカウントダウン作業開始判断。
 ・同日04時30分頃、ターミナルカウントダウン。
 ・同日13時00分頃、X-60分作業開始判断。可ならX-60分からターミナルカウントダウン。
 ・同日13時50分頃、X10分作業開始判断。可ならX-10からターミナルカウントダウン。
 ・同日14時頃(日本標準時)リフトオフ
 ・打ち上げ後28分35秒(高度416 km)、衛星分離予定。
 ※打ち上げ時刻は8月10日に決定する予定のため、上記時刻は変更されることがあります。

・準天頂衛星システムの予定
 ・1号機は昨年度末にJAXAから内閣府に運用を移管。
 ・2号機は6月1日に打ち上げられ、軌道上で健全性の確認等を行っている。
 ・3号機は今回打ち上げ。
 ・4号機は今年度中に打ち上げ予定。
 ・平成30年度から衛星4機体制でのサービスを開始予定。
 ・平成35年度をめどに7機体制を構築予定。

 ・現在、MTSAT-2(ひまわり7号)から放送しているSBAS信号を、MTSAT-2が寿命を迎える2020年度から、準天頂衛星3号機を利用して提供。
 (※SBAS:Satellite Based Augmentation System)

・みちびき3号機の打ち上げ後の予定
 打ち上げ後約10日:静止軌道到達
 同約1.5ヶ月:衛星搭載機器機能確認完了
 同約2ヶ月:QZSS End to End確認
 同約3.5ヶ月:測位チューニング
 同約3.5ヶ月後:測位試験サービス開始

・質疑応答
NHK・延期について気象が打ち上げ準備にどう影響して延期になったのか。12日について意気込みをお聞きしたい。
平嶋・11日は朝9時頃まで発雷の予報が出ています。9時になりますと機体に推進薬が充填された状態になっており、そこで万が一落雷するとダメージが懸念されます。より確実な8月12日に打ち上げ日とすることで決定致しました。延びましても、ひとつひとつ確実丁寧に作業を進めてまいりたいと考えています。

鹿児島テレビ・機体移動の時に落雷の恐れがあるため打ち上げ条件を満たさないということか。
平嶋・機体移動よりも、そのあと射座にいるときの状況です。前線の通過で不安程度が増す予報が出ている。

産経新聞・今号機に新たな改良や変更はあるか。また不具合等はあったか。
平嶋・仕様は固体ロケットが4本、5mフェアリングと違うが、作業の実績のあるもので淡々と進めることができた。不適合はなく順調です。

NHK・ウインドウが14時から23時だが、正確には明日の臨時天候判断以降に決まるのか。
平嶋・その予定です。

NHK・台風による疲弊はあったか。
平嶋・台風が来るということで、あらかじめ食料を調達していた。2日間くらいで通り抜けるだろうという予想通りで、今後についても予定通り進められると考えています。

NHK・8月12日でもウインドウの手前(※14時)を目指すのか。
平嶋・詳細は明日発表だが、変わらない予定。数字自体は前後するかもしれない。

南日本新聞・12月上旬頃に3機体制でスタート予定だが、どのような向上が期待されるのか。
松本・3機の状態に意味がある訳ではなく、まずは来年度の4機体制でのサービスを目指す。4機体制の意味としましては、常に1機以上が日本の高い位置にありますので、ビル等に邪魔されずに常に安定した信号を受けられる。GPSと同等の信号でも利用時間が増え、品質の良い信号を受けられるので精度が上がると同時に、補強信号でより高精度な測位信号が24時間受信できるようになる。

南日本新聞・4機体制になるまでに開始されるが3機体制の性能は。
松本・準天頂衛星を利用することでGPSのみ利用するユーザーより精度が高い。ただし4機が揃わないと日本上空にいない空いた時間が出来てしまう。4機揃った時がこのフェーズでのゴールとなります。

南日本新聞・3機だと今(2機)よりも空いている時間が減るということか。
松本・4機に向けて段階的に向上している。

南日本放送・みちびき3号機は、危機管理の性能がついているが、もし九州北部豪雨で運用されていたらどんな働きをすることができたか。
松本・地上の通信インフラが仮にダウンした状況下の場合、安否情報の専用端末を避難所に設置して準天頂衛星と直接通信を確保できる。

産経新聞・4機の中で唯一の静止衛星。みちびきの特色をなす大事な衛星。3号機のそういった意味での重みの認識と、いよいよ打ち上がることの気持ちをお聞きしたい。
松本・この衛星のみのサービスがあり非常に重要な衛星と認識している。内閣府としては4機をそろえることが重要。来年度頭での4機体制でのサービス開始に向けて取り組んでいきたい。

以上です。


No.2070 :段間部 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年6月27日(火)21時56分 投稿者 柴田孔明

35号機の段間部のロゴは前回34号機(みちびき2号機)と同じ。


No.2069 :H-IIAロケット35号機 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年6月27日(火)21時53分 投稿者 柴田孔明

H-IIAロケット35号機
手前の1段目は上側、奥の2段目はエンジン側。


No.2068 :H-IIAロケット35号機コア機体 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年6月27日(火)21時50分 投稿者 柴田孔明

公開されたH-IIAロケット35号機のコア機体。
(※真ん中が1段、奥が2段)


No.2067 :H-IIAロケット35号機のコア機体公開 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年6月27日(火)21時49分 投稿者 柴田孔明

 2017年6月27日午後より三菱重工業株式会社飛島工場にて、H-IIAロケット35号機コア機体の報道公開と概要説明が行われました。

・登壇者
三菱重工株式会社 執行役員フェロー 防衛・宇宙セグメント 技師長 H-IIA/H-IIBロケット打上執行責任者 二村 幸基
三菱重工株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 H-IIA/H-IIBロケットプロジェクトマネージャ 徳永 建

・H-IIAロケット35号機の計画概要
 ・みちびき3号機(準天頂衛星システム 静止軌道衛星)を所定の軌道(静止遷移軌道)に投入する。
 (※みちびき初号機は2010年9月11日H-IIA F18で打ち上げ。みちびき2号機は、2017年6月1日H-IIA F34で打ち上げ)
 ・打ち上げ予定日時:2017年8月11日(金) 14:00頃〜23:00頃(日本標準時)
 ・打ち上げ予備期間:2017年8月12日(土)〜2017年9月30日(土)
 ※打ち上げ予備期間の打ち上げ予定時刻は、打ち上げ日毎に設定する。
 ・基本コンフィギュレーション
  ・H2A204型(※コア機体+固体ロケットブースタ(SRB-A)4本)
  ・直径5mシングル衛星フェアリング(5S型)
 ・参考:みちびき3号について
   衛星質量 4.7トン
   衛星寸法(収納時) 高さ 約5.4m × 幅 約3.2m × 奥行き 約4.1m
 ・特記事項
  ・4機目の204形態(F18、F29、F32)
  ・H-IIA F11(2006年12月18日「きく8号」)以来の5S型フェアリング。
 ・コストダウン項目
  ・第2段電動式アクチュエータ制御装置(EAC2)について、2つの制御演算モジュールを1モジュールに統合。
・今後の予定
  ・2017年6月30日に飛島工場より出荷し、同年7月3日に射場に搬入予定。
  ※固体ロケットブースタ(SRB-A)は射場において燃料充填済。
  ※衛星フェアリングは、射場へ搬入し準備作業中。
・H-IIA F34の飛行について
  ・みちびき3号機を所定の静止軌道に投入する。
  ・衛星分離は打ち上げから28分40秒後の予定。

・質疑応答
読売新聞・コストダウンはどのくらいの金額か。微々たるものか、それともかなりの額になるのか。
二村・具体的な金額はお答えできない。国産の高級乗用車程度。比較的小さなコストダウン。我々はひたすらコストダウンを追求し続けている。毎号機、何らかのコストダウンを行って、打ち上げる機体にフィードバックをかけることを繰り返しやっている。塵も積もれば、という言葉があるがまさにその世界。

日経新聞・削った重さは。最初の204型からのコストを比較するとどれくらいになるか。
二村・コストについては公表しておりません。重さは後ほどあらためて広報から。

読売新聞・5メートルのフェアリングを使ってこれまで打ち上げた衛星は何か。
二村・4号機「ADEOS-II(みどり2)」、7号機「MTSAT-1R(ひまわり6号)」、8号機「ALOS(だいち)」、9号機「MTSAT-2(ひまわり7号)」、11号機「ETS-8(きく8号)」を打ち上げています。従いまして11号機以来、久しぶりとなります。

毎日新聞・万全の態勢だと思うが、仮に何らかのトラブルがあった場合、次は4号機になるのか、あるいはその前に予備機を上げるのか。
二村・打ち上げに失敗した場合は衛星も失うが、その後衛星をどうするかは衛星側に委ねられて我々は関与しない。契約上、我々が衛星を手配する責任も無い。
ロケット側は、打ち上げで万が一トラブルが生じた場合、当然原因の究明が行われ、次のロケットの製造を進める訳にはいかない。原因がその号機特有のものなら再開は比較的簡単にできると思っていますが、根の深い問題の場合は、たとえば作りかけのロケットも含めて設計を変更しなければいけない場合は、打ち上げは少し時間をあけるケースもある。

・コストダウン以外に、改修など特別やったことはあるか。
二村・今回はありません。

東海テレビ・SRB-Aが4本だが飛行距離などに違いは出るのか。
二村・ロケットの能力は乗せている衛星の重量との関係となる。重い衛星を乗せると、そのぶん速度エネルギーを与えなければならない。比較的軽い衛星を乗せて余裕がある場合は、もう少し遠くまで、あるいはもう少し高くまで飛ぶ。衛星とのバランスで決まる。

東海テレビ・制作過程で難しかったところ、こだわりなどがあれば。
二村・期待を裏切る回答だが、我々は原則的に同じものを同じようにしっかり作るのがいちばんのベースになります。むしろ設計を少し変えたところは、過去に実績が無い部分なので、今まで以上に気を遣う、あるいは点検を慎重に行う。そういったことは日常的に行っている。今回の機体で特に苦労したところなどは無く、いつも通りしっかり作っております。

・このあと「みちびき4号機」も控えているが、ロケットなどの準備は始まっているのか。
二村・我々としては当然ロケットの準備は進めている。今日ご覧いただいた工場の奥に並んでいた機体のうちどれか。(みちびき4号機の)打ち上げ時期については今年中の予定。

共闘通信・基本的なことだが、ロケットの直径と重さをお聞きしたい。
二村・204型と202型のコア機体は直径4m。H-IIBは1段が直径5.2m、2段は4m。H-IIBは1段の能力を高めたもの。(H-IIAの)重さは、衛星無しの打ち上げ直前で442トン(燃料込み)。燃料無し(ドライ重量)では1段機体は約12トン、2段機体は約2.7トン。


以上です。


No.2066 :H-IIAロケット34号機の飛行 ●添付画像ファイル
投稿日 2017年6月3日(土)21時02分 投稿者 柴田孔明

飛行するH-IIAロケット34号機