宇宙作家クラブ
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No.478 :ディスカヴァリー帰還
投稿日 2001年8月23日(木)17時42分 投稿者 江藤 巌

・ディスカヴァリーとISS第二次遠征隊帰還
 スペースシャトル・ディスカヴァリー(STS-105/ISSフライト7A.1)は、アメリカ東部夏時間の8月22日の午後2次3分(日本時間23日午前3時23分)にケネディ宇宙センター(KSC)に着陸した。ディスカヴァリーの着陸は、KSC周辺の天候不良から計画より1周遅らされた。
ディスカヴァリーには出発時からのスコット・ホロウィッツ機長ら4人の乗員の他、国際宇宙ステーション(ISS)で日間の長期滞在任務を終えた第二次遠征隊のユーリー・V・ウサチョフ(ロシア、遠征隊長)、ジェイムズ・S・ヴォス(アメリカ)、スーザン・J・ヘルムズ(アメリカ)の三人の宇宙飛行士が乗っていた。第二次遠征隊の宇宙滞在は165日と4時間10分になった。
ウサチョフら三人は、今年の3月8日に同じディスカヴァリー(STS-/ISSフライト5A.1)からISSに乗り込み、ISSにマニピュレイター(ロボット・アーム)やジョイント・エアロックを取り付けるなどの建設作業を行った。
フライト7A.1ではISSの遠征隊の交替の他に物資補給や実験機器の運び込みが行われ、レオナルド多目的補給モジュール(MPLM)に積み込まれた12台のラックがISSに移されて取り付けられた。ディスカヴァリーの乗員は二度の機外活動(EVA)を行った。
 現在ISSにはディスカヴァリーで8月10日に飛び立ったフランク・L・カルバートスン(アメリカ、遠征隊長)、ヴラジーミル・N・ジェジューロフ(ロシア)、ミハイル・チューリン(ロシア)の三人の第三次遠征隊が滞在している。第三次遠征隊は今年の12月初めまでISSに留まり、STS-108/ISSフライトUF-5(エンデヴァー)で帰還する予定である。

STS-105 Post-Mission Summary
Mission: International Space Station Flight 7A.1
Shuttle: Discovery
Launch Pad: 39A
Launch: Aug. 10, 2001 4:10 p.m. CDT
Window: Less than 5 minutes
Docking: Aug. 12, 2001 1:42 p.m. CDT
EVAs:  2 space walks
Undocking: Aug. 20, 2001 9:52 a.m. CDT
Landing: Aug. 22, 2001 1:23 p.m. CDT
Duration: 11 days,21 hours,13 mins
Orbit Altitude: 122 nautical miles
Orbit Inclination: 51.6ー

スペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-105/国際宇宙ステーション組立ミッション(7A.1))の着陸について
これまでのISS組立フライト及び今後の予定
FLORIDA TODAY
FLORIDA TODAY STS-105ミッション速報
FLORIDA TODAY シャトル帰還スライド・ショー
CNN
Space.com
SpaceDaily

・ISSからプログレス切り離し
 ディスカヴァリーが離れた直後のISSからは、ロシアのプログレス4無人補給船が切り離されて、大気圏に突入して燃え尽きた。
プログレス4は今年の5月下旬に打ち上げられて、ISSに補給物資を届けた後もドッキングしたままになっていたが、新しいプログレス5を受け入れるために切り離されたものである。
 プログレス5はカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、8月21日の午後6時23分(日本時間)に打ち上げられており、23日午後7時前後(日本時間)にISS途ドッキングする計画である。
ISSステイタス・リポート
ロシア・プログレス補給船(国際宇宙ステーションへの補給ミッション(5P))の打上げについて

No.477 :H-2A打ち上げは28日以降に延期
投稿日 2001年8月22日(水)13時19分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)は8月22日の午前、H-2A試験1号機の打ち上げ延期を発表した。
 H-2A-1は8月25日午後に種子島宇宙センターから打ち上げられる計画だったが、19日の点検中に第2段の酸素タンク加圧系統の圧力調整弁に異常が見付かり、検査のため名古屋の工場に送り返すことになった。台風11号接近で種子島の交通が途絶えたため、バルブの返送と交換用のバルブの取り寄せが遅れたが、21日には問題のバルブは名古屋工場に到着した。
 台風のため打ち上げ準備作業が一時停止していたこともあって、NASDAでは25日に予定されていた打ち上げを28日以降に行うことを決定した。具体的な打ち上げ日は今後の作業の進み具合を見て決定される。
 しかし作動不良がこのバルブ固有のものか、あるいは設計やシステム的な問題があるのかは、工場でバルブを分解して子細に点検しなければ判明せず、もし大きな問題があったなら打ち上げはさらに遅れて9月4日以降まで延期される可能性もある。
H-IIAロケット試験機1号機の打上げ延期について
H-IIAロケット試験機1号機 打上げ整備作業全体スケジュール
H-IIAロケット最新情報

No.476 :H-2A 1号機打ち上げは延期?
投稿日 2001年8月20日(月)23時18分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)のH-2A試験1号機は、8月25日午後に予定されている打ち上げに向けて準備が進んでいるが、打ち上げが遅れる可能性が出て来た。
 現在九州の東を台風11号がゆっくり北上中で、悪天候のために子島宇宙センターでの打ち上げの準備作業はほとんど停止している。
 さらに19日の夜の点検で、H-2Aの第2段の酸素タンクの加圧バルブが正常に作動していないことが発見された。このバルブを取り外して名古屋の工場に送り詳しく点検すると共に、新しいバルブを取り寄せてH-2A試験1号機に取り付ける予定だが、現在種子島と外部との交通手段はほとんど欠航しており、いつバルブを輸送できるか目途が立っていないようだ。
 宇宙開発事業団では、H-2A試験1号機の打ち上げを数日間延期することも検討しているようだが、まだ正式の打ち上げ延期発表はない。
NASDA H-2A最新情報とカウントダウン
大型ロケット発射場定点カメラ
種子島宇宙センター気象情報

No.475 :ディスカヴァリーISSとドッキング
投稿日 2001年8月13日(月)03時56分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・ディスカヴァリー(STS-105/ISSフライト7A.1)は、アメリカ東部夏時間8月12日の午後2時42分、日本時間13日午前3時42分に、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。

No.474 :ディスカヴァリー打ち上げ、ISSの滞在乗員交替へ
投稿日 2001年8月12日(日)00時44分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・ディスカヴァリー打ち上げ
 スペースシャトル・ディスカヴァリーは、アメリカ東部夏時間の8月10日午後5時10分(日本時間11日午前6時10分)に、ケネディ宇宙センター(KSC)からSTS-105/ISSフライト7A.1に飛び立った。
 前日の試みと同様に天候悪化による打ち上げ中止が懸念されたため、異例のことにディスカヴァリーの打ち上げは計画の午後5時15分を5分間早めて行われた。
 ディスカヴァリーにはS・ホロウィッツ機長以下7人が乗っている。このうち3人は国際宇宙ステーション(ISS)の第三次遠征隊員で、現在ISS”アルファ”に滞在中の第二次遠征隊3人と交替する。第二次遠征隊は約4カ月の滞在を終えて、ディスカヴァリーで帰還することになる。
 第二次遠征隊は今年3月8日にディスカヴァリー(STS-102/ISSフライト5A.1)でISSに赴いており、往復とも同じシャトル・オービターを利用することになった。
 ディスカヴァリーはISSにドッキングして長期滞在乗員を交替させるほかにも、多目的補給モジュール(MPLM)”レオナルド”に搭載した3トンを超える補給物資をISSに移し、また初期アンモニア・サーヴィサーなどの機器をISSに取り付けることになっている。
FLORIDA TODAY
FLORIDA TODAY
Space.com
CNN
SpaceDaily
ミッション内容

No.473 :ディスカヴァリー打ち上げ延期
投稿日 2001年8月10日(金)11時16分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・ディスカヴァリーの打上げは、ケネディ宇宙センター(KSC)周辺の天候悪化を理由に延期された。
KSCの上には厚い雲が垂れ込め、発射台の近くでは雷雨も観測されるなど、打ち上げの条件を満たしてはいない。
NASA(米航空宇宙局)では10日夕刻(日本時間11日早朝)にも再度打上げを試みることにしているが、天候は一層悪化しており、シャトルが1〜2日以内に打ち上げられる可能性は低い。
 ディスカヴァリー(STS-105/ISSフライト7A.1)は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している宇宙飛行士を交替させ、補給物資を送り込むことになっている。

No.472 :シャトル10日早朝に打上げ他
投稿日 2001年8月10日(金)02時54分 投稿者 江藤 巌

・シャトル間もなく打上げ
 スペースシャトル・ディスカヴァリーは、日本時間の10日午前6時38分にケネディ宇宙センター(KSC)からSTS-105/ISSフライト7A.1に出発する。
ただしKSC周辺の天候は悪化しつつあり、気象条件が打上げに適する確率は60%とのことである。
NASAカウントダウンHP
FLORIDA TODAY打ち上げ速報

・H-2Aロケット極低温点検完了
 宇宙開発事業団(NASDA)のH-2Aロケット試験1号機は、8月9日に種子島宇宙センターの大型ロケット発射場において極低温点検を実施した。
極低温点検は、8月25日に予定されている本番の打上げと同じ手順で液体推進剤をロケットに充填して、ロケットおよび地上設備の機能等を確認するものである。
極低温点検はH-2Aの第1段・第2段と固体ロケットブースター(SRB)を組み上げた形で行われるが、ロケット最上部のペイロードとフェアリングはまだ取り付けられていない。
H-2Aロケット最新情報
極低温点検の結果について
リフトオフプランについて
種子島宇宙センター大型ロケット発射場ウェブカメラ

・太陽の黄金の林檎
 NASA(米航空宇宙局)は8月8日ケイプ・カナヴェラルからデルタ2でジェネシス(Genesis)太陽観測衛星を打ち上げた。
ジェネシス(旧約聖書の創世記)は、太陽から吹き出す荷電粒子(太陽風)を採取して地上に持ち帰る衛星で、地球と太陽の間で引力の釣り合ったラグランジュ点(L1)の回りを周回する光輪軌道(Halo orbit)に乗せられる。
この軌道上で自転車のタイアくらいのコレクターを用いて太陽風を収集、2004年の9月に地球に戻って大気圏に再突入、地上にサンプルを持ち帰る。
サンプルのカプセルは降下中をヘリコプターで空中回収される予定である。
 ジェネシスの打上げは当初7月30日に計画されていたが、天候不良のため8月8日まで延期されていた。
NASA・JPLジェネシス計画HP
Space.com
CNN
SpaceDaily

No.471 :シャトルの打上げは9日他
投稿日 2001年8月8日(水)03時11分 投稿者 江藤 巌

・スペースシャトルの次の打ち上げは8月9日
 NASA(米航空宇宙局)のスペースシャトルの次のミッションは、8月のアメリカ東部夏時間9日午後5時38分、日本時間10日午前6時38分と決定した。
 シャトル・オービターOV-103ディスカヴァリーSTS-105ISSフライト7A.1では、国際宇宙ステーション(ISS)の第三次遠征隊の3人をISSに運び、今年3月以来ISSに滞在している第二次遠征隊の3人と一緒に帰還することになっている。打上げが9日に行われた場合、ケネディ宇宙センター(KSC)への帰還はアメリカ東部夏時間の8月21日午後になる予定。
 第三次遠征隊はアメリカ人の遠征隊長フランク・カルバートスン、ロシア人のヴラジーミル・ジェジュロフ、同じくミハイル・チューリンの3人からなり、今年11月までISSに滞在する予定である。
 ディスカヴァリーには行き帰りのISS遠征隊3人ずつの他に、スコット・ホロウィッツ機長ら4人の宇宙飛行士が搭乗する。
 またディスカヴァリーはISSに補給物資を運び込むために、イタリア製の多目的補給モジュール(MPLM)”レオナルド”を搭載して行く。
 ディスカヴァリーのSTS-105については、固体ロケット・ブースター(SRB)の一つの推力変向システムに異常がある可能性が指摘され、部品交換のため打ち上げが延期される可能性も伝えられていた。
NASAの9日の打ち上げ決定は、SRBの問題は打ち上げには差し支えないと判断したことを意味する。
スペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-105/国際宇宙ステーション組立ミッション(7A.1))の打上げ日の決定について
国際宇宙ステーションの組立フライト 7A.1補給艤装フライト STS-105
FLORIDA TODAY
FLORIDA TODAYミッション・プレビュー
FLORIDA TODAYミッション速報
CNN
Space.com

・H-2Aの打上げ準備順調
 8月25日に種子島から予定されている宇宙開発事業団(NASDA)のH-2Aロケット試験1号機の打ち上げに向けた準備は、現在まで順調に進んでいる。
打ち上げ整備作業全体スケジュール図(pdf)
H-2A試験1号機のペイロードであるVEP-2(H-IIAロケット性能確認用ペイロード2型))が、8月3日に種子島宇宙センターの衛星フェアリング組み立て棟において公開された
H-2Aロケット最新情報
打上げ整備作業進行状況
H-IIAロケット試験機1号機打上げ整備作業状況について.(その2:7月24日〜7月31日)

・ミッション実証衛星公開
 NASDAは8月2日に、H-2Aロケットの2号機で2002年の冬期に打ち上げられる予定のミッション実証衛星(MDS)の1号機(MDS-1)を公開した。
MDS-1公開

・アリアン5の失敗原因は燃焼不安定
 7月12日に打ち上げに失敗したアリアン5の10号機(フライト142)の原因調査報告が8月7日に発表された。
 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)がまとめた報告書によれば、アリアン5の第2段の推進剤供給に異常が起き、第2段エンジンの燃焼が不整になり推力が低下した。また推進剤を本来よりも早く消費することにもなり、第2段エンジンが計画よりも早く停止し、結果的に計画軌道を達成できなかった。
 アリアン5の10号機は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のアルテミス通信技術衛星と日本のBSAT-2Bディジタル放送衛星を搭載していたが、2機の衛星は計画の静止遷移軌道よりも低い長楕円軌道に乗っている。
 推進剤供給の異常の原因は、第2段の推進剤供給系統とエンジンの不整燃焼が共振したことと見られる。
ESA報告
CNN

・北朝鮮の金総書記がロシアの宇宙センター訪問
 ロシアを公式訪問中の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のキム・ジョンイル(金正日)総書記が、モスクワ近郊のフルニチェフ宇宙センターやミッション管制センターなどを見学した。
SpaceDaily
Space.com

・タイタン4で軍事衛星打ち上げ
 アメリカ空軍は8月6日ケイプ・カナヴェラル空軍ステーションから、タイタン4Bで国防支援計画(Defense Support Program)衛星を軌道に乗せた。
DSPは弾道ミサイル発車を探知する早期警戒衛星で、静止軌道に乗せられる。
Space.com

・神舟3号無人の打ち上げ間近か
 中国が今月中にも「神舟」(Shenzhou)有人宇宙機の3号機を無人で打ち上げるとの観測が高まっている。
そのひとつの根拠は、中国の衛星追跡船「遠望」(Yuanwang)級3隻が7月30日に上海港を出て、太平洋上で配置に就いたことである。
 中国はあと1〜2回神舟の無人の試験飛行を行った後、早ければ2002年中にも有人宇宙飛行を試みるものと見られている。
自力で有人の打ち上げを行った国は、これまでソ連(ロシア)とアメリカの2カ国しかない。
SpaceDaily

No.470 :アトランティス帰還
投稿日 2001年7月25日(水)13時11分 投稿者 江藤 巌

 スペースシャトル・アトランティスは、アメリカ東部夏時間の24日23時39分、日本時間の25日12時39分に、フロリダ周のケネディ宇宙センター(KSC)の滑走路に着陸した。
アトランティスは1日前の深夜に着陸を予定していたが、KSC周辺の降雨のため着陸を延期していた。

FLORIDA TODAY
FLORIDA TODAYミッション速報
CNN
Space.com

No.469 :アトランティス着陸1日延期
投稿日 2001年7月24日(火)15時41分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・アトランティスは23日深夜の着陸の試みを中止して、24日深夜までケネディ宇宙センター(KSC)への着陸を延期した。
これはKSC周辺の天候が悪化しているためで、シャトル・オービターが雨の中を飛行すると機体表面のタイルが損傷し、空力特性が変化して危険なので、雨中飛行は規定で禁止されている。
 アトランティスが24日深夜にKSCに着陸した場合、飛行時間は当初の計画より二日間長い13日間になる。

No.468 :アトランティス雨で着陸延期
投稿日 2001年7月24日(火)13時11分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・アトランティスの着陸は、ケネディ宇宙センター(KSC)に雨が近づいているため延期となった。
アトランティスは地球をもう1周して現地時間午前2時14分(日本時間午後3時14分)に再度の着陸を試みるが、雨が降り続いた場合には、25日深夜まで着陸を先延ばしにする可能性もある。
FLORIDA TODAYミッション速報
NASA
KSCの天候

No.467 :アトランティスまもなく帰還他
投稿日 2001年7月24日(火)12時23分 投稿者 江藤 巌

・アトランティスまもなく夜間着陸
 スペースシャトル・アトランティスは、国際宇宙ステーション(ISS)にジョイント・エアロックを取り付けるミッション(STS)-104/ISSフライトAを成功裏に終えて、ケネディ宇宙センター(KSC)に深夜の着陸を試みる。
アトランティスの着陸予定時刻はアメリカ東部夏時間7月24日の0時34分、日本時間の午後1時34分である。
 当初の計画では、アトランティスは23日深夜に帰還することになっていたが、ISSに取り付けたエアロック”クウェスト”からの空気漏れ対策と、誤って内部に飛び散った水を始末する作業のためISSとのドッキングを1日延長していた。
FLORIDA TODAY
Space.com
CNN

・ソーラー・セイル実験は失敗
 7月20日にロシアの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を用いて行われたソーラー・セイルの展開実験は、セイルを載せた頭部がロケット本体と分離せず、実験は失敗に終わったことが明らかになった。
この実験はアメリカの惑星協会コスモスの名で計画しているソーラー・セイル(太陽帆船)の予備実験で、SLBMから投射したセイルの模型を宇宙空間で展開することが目的だった。
セイルを載せた頭部はミサイルと一緒にカムチャトカ半島に落下したものと思われ、ロシア側は回収を目指して捜索中である。
惑星協会は2001年中のコスモス打上げを目指していたが、今回の実験の失敗で計画が遅れるのは必至である。
惑星協会ニュース・リリース
Space.com
CNN

・中国が近く神舟3号を無人で打上げ
 中国は近いうちに神舟(Shenzhou)有人宇宙機の三度目の無人打上げを行う者と見られる。
この飛行が成功すれば、中国は来年中にでも米ソ(露)に続く三番目の有人宇宙飛行を試みることになろう。
 中国が2001年の1月9日に打ち上げた神舟2号は、本体が回収された後も切り離された軌道モジュールが周回飛行を続けていたが、打上げから半年経過した現在も軌道モジュールは順調に飛行を続け、宇宙環境を利用した実験も行われているようである。
SpaceDaily
Go Taikonauts!
Shenzhou Gallery
Shenzhou

No.466 :シャトル・アトランティス24日に帰還他
投稿日 2001年7月22日(日)23時25分 投稿者 江藤 巌

・アトランティス帰還の途へ
 スペースシャトル・アトランティスは、アメリカ東部夏時間の7月22日午前0時54分(日本時間同日13時54分)に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを解除して、24日深夜(同日昼過ぎ)の着陸に向けて準備に入った。
 これに先立つ7月17日から18日にかけて、ジム・ライリーとマイク・ガーンハードの二人の宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)は、STS-104ミッションでの二度目の機外活動(EVA2)を行い、ISSに新しく取り付けられたジョイント・エアロック”クウェスト”の側面に高圧ガス・タンク(HPGT)を取り付けた。このEVA2ではアトランティスのペイロード・ベイ内のエアロックが用いられた。
 エアロックの空気漏れや水漏れの問題の解決のため、NASA(米航空宇宙局)ではアトランティスの飛行を1日延長することを決めた。空気漏れの原因になっていると思われたバルブを交換したが、空気漏れは完全には解消していないようである。
 20日には同じ二人のMSが、初めてISSのエアロックを使用して三度目のEVA(EVA3)を行った。二人はEVA2で取り付け残した4個目のガス・タンクをエアロックの側面に取り付けた。これで今回のアトランティスのSTS-104のすべての課題が成功裏に果たされた。
STS-104ステイタス・リポート
FLORIDA TODAY STS-104ミッション速報
CNN
CNN
Space.com

・ソーラー・セイルの展開実験
 アメリカの惑星協会が計画しているソーラー・セイル(太陽帆船)"コスモス1”の予備実験として、7月20日にセイルの展開実験が行われた。
実験はロシアの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の弾頭部にセイルを載せて、潜航中の潜水艦から発射した。弾道飛行の頂点でセイル展開の指令を地上から送ったが、次の切り離しの指令にも関わらずセイルとミサイル弾頭部とが分離せずに、そのままカムチャトカ半島に落下した。
現時点では実験が成功したのか、失敗したのか不明である。
ソーラー・セイル計画HP
惑星協会実験詳報
Space.com
SpaceRef

・ヴァイキング2ランダーはソーフェン
 NASAのゴールディン長官は19日、NASAが約25年前に火星に着陸させたヴァイキング探査機の着陸機(ランダー)を、先ごろ無くなった宇宙生物学のパイオニアに因んで”ジェラルド・ソーフェン”と命名したと発表した。
 ヴァイキング2ランダーは1975年に打ち上げられて、1976年の9月3日に火星のユートピア平原に着陸、火星表面の映像をはじめ貴重なデータを送信して来た。
 ヴァイキング1のランダーは、いまからちょうど25年前の196年7月20日に火星のクリュセ平原に着陸している。
ヴァイキング1ランダーの方は、1982年に死んだ惑星地質学者に因んで”トーマス・マッチ記念ステーション”と名付けられている。
Space.com
ヴァイキング火星計画
FLORIDA TODAY

No.465 :ISSのエアロックで空気漏れ他
投稿日 2001年7月17日(火)13時30分 投稿者 江藤 巌

・ISSのエアロックで空気漏れ
 14日に国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられたジョイント・エアロック”クウェスト”で、空気漏れが発生していることが判明した。
ただしNASA(米航空宇宙局)では空気漏れは軽微であるとして、19日には新しいエアロックを使った最初のEVA(機外活動)を行う予定である。
 またエアロックとISS本体(デスティニー)の配線・配管を接続する際に、あやまって冷却水がコップ2杯分ほど漏れ出したため、宇宙飛行士達は無重力で漂う水滴を拭って回らねばならなかった。
 アトランティスのガーンハードとライリーの二人の宇宙飛行士(ミッション・スペシャリスト)は、17日に二度目のEVA(EVA2)を行い、エアロックの外側に高圧ガス・タンク(HPGT)を取り付けることになっている。
HPGT(High Pressure Gas Tank)は直径約0.9mの酸素タンクと窒素タンク二つずつからなり、EVA用宇宙服のタンクに高圧酸素を充填するほか、ISSの空調系統にも酸素・窒素を供給する。タンクの酸素・窒素は、ISSにドッキングしたスペースシャトル・オービターから補充できる。
STS-104ミッション・ステイタス・リポート
CNN
SpaceDaily

・官僚天下りの実態
 朝日新聞が情報公開法に基づいて請求した資料によると、77ある特殊法人の常勤役員約700人のうち、中央官庁からのいわゆる天下り役員が4割以上を占め、天下り役員に支払われている給与・ボーナスの総額は年に53億円に達しているという。
宇宙開発事業団(NASDA)文部科学省(2000年までは科学技術庁)主管の特殊法人で、8人の理事(非常勤2人)のうちで官僚出身者は2人である。
NASDAの歴代の理事長はほとんどが科学技術庁の官僚出身者であったが、現在の山之内秀一郎理事長はJR東日本出身である。

・コロンビアがお蔵入り?
 NASAではスペースシャトル・オービター中で最古参のOV-102コロンビアを、当分保管状態(モスボール)に置くことを検討している。
 今後ISS関連の予算が増大し、一方NASAの予算全体は延びないと言う状況が予想される中で、NASAはスペースシャトル計画の予算切り詰めに苦慮している。考えられる一つの方策がコロンビアのモスボール入りで、現在使われているオービター4機の中ではコロンビアだけが装備上ISSとのドッキングが出来ない。またコロンビアは一番最初に造られただけに機体重量が大きく貨物搭載量が少ない、整備に手間がかかるといった問題もある。
 コロンビアは2002年に2回のミッションを計画しているが、それ以降はいまのところ予定がない。
 コロンビアがお蔵入りするとなると、NASAは当分の間OV-103ディスカヴァリー、OV-104アトランティス、OV-105エンデヴァーの3機のオービターをやりくりしてISS計画を支援して行くことになる。
 コロンビアは1981年4月にスペースシャトルとして初めて飛行し、これまでに通算26回宇宙を飛んでいる。
Space.com
FLORIDA TODAY
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No.464 :欧州は,マスコミも測位衛星システムに注目している
投稿日 2001年7月17日(火)07時37分 投稿者 松浦晋也

 今回の打ち上げ,そして打ち上げ失敗の記者会見でもっとも印象に残ったことを書いておきます。

 以下,旅先のために十分な資料なしに書いていますが,大筋では間違っていないと思います。

 それは欧州のマスコミが「ガリレオ」計画に強烈に興味を持っているということです。記者会見においてもアルテミス,特に搭載されているガリレオ用ペイロードについての質問が多かったことは,それを象徴しているでしょう。

 ガリレオは,アメリカの「GPS」に対抗する欧州独自の測位衛星システムです。欧州は例によってフランスが中心になってアメリカとは独立した測位衛星システムを持とうとしています。それがガリレオです。GPSが地上2万kmの円軌道を巡る衛星群で構成されているのに対して,ガリレオは低軌道衛星と静止衛星を組み合わせてGPSと同等の測位を提供するシステムです。もっともガリレオ計画実現の財政的な基盤はまだ不安定で,今回ガリレオに使えるLバンドのトランスポンダーが,アルテミスに搭載されたのです。

 欧州が独自の測位衛星を持とうとする背景には,測位衛星システムが次の世界の覇権にとっての極めて重要なインフラストラクチャであること,そして欧州は「アメリカの言いなりにならない」ためにもガリレオを持とうとしているということがあります。

 そしてそのことを欧州のマスコミは理解しており,ガリレオに強い関心を示しているのです。

 日本ではまだ,測位衛星システムが国家覇権の根幹を担うという認識は一般化していません。日本の宇宙開発での測位衛星への取り組みは,次期技術試験衛星ETS-VIIIに測位の要である高精度原子時計が搭載される程度です。


 小泉首相以下,日本のトップは,欧州のマスコミですら気が付いている測位衛星の重要性にまだ気が付いていません。そもそもそんな問題が存在することすら意識していないでしょう。

 現在のところ,もっとも可能性の高いシナリオは,おそまきながら測位衛星の重傷性に気が付いた日本政府に,米,または欧州から「世界的な測位衛星システム維持のための分担金」が要求されるという構図です。

 日本に要求されるのは金です。技術ではありません。湾岸戦争と同じ構図です。


――――――――――――

 GPSは米国防総省が1970年代末から巨額の投資を行って構築したシステムです。高度2万kmの複数の軌道に,精密な時計を搭載した衛星を全部で24機,軌道上予備をも含めれば28機を打ち上げて,地球上のどこでも数mの誤差で位置を測定できるようにするというシステムです(なぜ精密な時刻情報がわかれば位置が測定できるか,興味のある方は考えてみてください。歴史的に位置測定には精密なクロノメーターが必要だったことを思い出してください)。

 その軍事的価値は言うまでもないでしょう。実際,湾岸戦争ではGPSは絶大な効力を発揮しました。

 ところが実際にサービスを開始してみると,GPSは予想以上に民生分野で様々な使い道があることが分かってきました。カーナビが一例です。あるいは物流分野では,特定の貨物を運ぶトラックが今どこにいるかをリアルタイムで把握するシステムにGPSが遣われるようになりました。GPSは物流の根幹に入り込んだのです。
 あるいは航空機の位置把握にGPSを遣うということも可能になりました。

 GPSは軍用の一システムという位置付けから,全世界の生活を支えるインフラへと変わっていったのです。

 そのインフラをアメリカが独占しているのは,特に欧州にとっては不愉快なことです。パックス・アメリカーナを容認することになるからです。
 そしてガリレオ計画は立案されました。

 ちなみにロシアは旧ソビエト時代からGPSと同等の「グロナス」というシステムを構築していますが,最近では財政難から,寿命が来た軌道上の衛星の代替を打ち上げるのにも苦心しています。

 ガリレオは莫大な投資を必要とする計画です。まだ完全にゴーサインは出ていません。しかし欧州は,アメリカの独占を許さないという意志を持っているわけです。その意志は,マスメディアに至るまで認識されています。

 日本はどうするのでしょうか。正直,私はこの問題は,GPSの威力が実証された1990年時点で,政府上層部は認識すべきだったと考えています。



 2001年夏現在,アメリカは次世代GPS衛星の計画を進めています。次世代衛星では,地球上の特定の地域に限定して測位の精度をさげることができるような仕組みが組み込まれる予定です。それはパックス・アメリカーナをより強固なものにするでしょう。

 2001年夏現在,欧州は測位衛星の重要性に気が付き,ガリレオ計画を立ち上げています。計画の先行きは巨額な投資をどの国が負担するかという問題もあって不透明です。欧州のマスコミもその先行きについて注目しています。

 2001年夏現在,いまだに日本は測位衛星に関する確固としたしたポリシーを持っていません。内閣は小泉純一郎首相以下,遠山文部科学大臣にいたるまで,問題の存在にすら気が付いていません。

 どの官庁もこの問題に対する対策を打ち出していません。マスコミは何も理解していません。

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 最悪のケースを考えれば,カーナビに税金がかかるかもしれません。その税金は日本政府を通過して,アメリカに払われることになります。GPSの維持運用に関する負担金です。

 すると日本政府の存在意義は?

  税金が通過するだけの組織は,一般的に「中間搾取をしている」と言われます。