宇宙作家クラブ
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No.587 :ロケットは成功、しかしDASHが… ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)16時16分 投稿者 松浦晋也

午後2時過ぎから行われた打ち上げ結果記者会見の様子です。

・DASHの分離は未確認。
・VEP3の加速度センサーのクイックルックデータには予想される衝撃が検出されていない(データがフラット)。
・夕刻17時半からサンチャゴ局からのテレメトリー受信に基づいて計算を行って19時半頃にDASHがどうなっているかが分かる予定。


写真は左から
三戸宰NASDA打ち上げ担当理事
山之内秀一郎NASDA理事長
青江茂文部科学省審議官
井口雅一宇宙開発委員会委員長
的川泰宣宇宙科学研究所教授

まず山之内理事長のコメント
 我々の最大の関心事はとにかく2号機が無事に上がるかということだった。特にLE-7Aの改良型の液体水素ポンプが無事に働くことの確認は特に重要だった。また2つの衛星を同時に打ち上げることの実証、そのためのデュアルローンチ用フェアリングの動作確認、さらに打ち上げ能力向上のためのSSBの装着という新規要素を確認を行った。

 ロケットについては大成功である。H-IIA2号機については初期の軌道に衛星を投入できた。

 衛星については現在未確認のことが残っている。MDS-1については現時点では太陽電池パドルも展開でき、順調に飛行している。今後数日にわたってチェックアウトが必要だが、4年ぶりにまともに衛星を打ち上げることができた。

 DASHは分離の確認ができていない。夕刻にサンチャゴ局から情報が入ることになっているが、予期せぬ自体が起きた可能性もある。

続いて三戸打ち上げ担当理事から
 DASHの分離が未確認である。現在分かった範囲内では、VEP3の加速度センサーのデータのクイックルックでは、DASH分離の衝撃が検知されていない。画像についても鮮明な画像が送られてきておらず、分離が行われたかどうかは不明である。

次いで青江文部科学審議官
 2回の失敗以降、関係者の労苦の末作夏の1号機で成果を収めることができた。今回の成功をも踏まえてより信頼性の高い宇宙開発を目指したい。

井口宇宙開発委員会委員長
 ロケットの成果は高く評価している。初のミッションを持った衛星を搭載し、デュアルフェアリングを付けてSSBを使う打ち上げを行えた。
 今後連続打ち上げ成功記録を伸ばしていきたい。

的川宇宙科学研究所教授
 大変見事な打ち上げでした。現在三機関統合の話が進んでいますがそれに弾みをつけると思う。DASHについては午後5時半から1時間、DASHのテレメータを受信する。そのデータを使い計算を行って19時半頃に結果が分かる予定だ。それまでは希望をすてない。

筑波の衛星運用班から
 MDS-1は太陽電池パドルを展開し、所定の電力が発生していることを確認した。今後20日間の初期点検で搭載機器の電源を順次投入する。

質問:三戸理事に。DASH分離がセンサーに出ていないとはどういうことか。
答え:データがフラットということである。

質問:DASH分離はロケットの信号かDASHの信号か
答え:まずロケット側のコンピュータからDASHホイール駆動の信号と、分離イネーブル(分離可能)という信号が出たことは確認されている。それ以降はDASH側が分離を行う。

問い:分離のメカニズムを教えて欲しい
答え:DASHはマルマンバンドというバンドでロケットに固定してある。それを2個所でプーラーというピンで固定してあり、このピンを火薬で飛ばすことでバンドをはずしてスプリングで押し出す。

問い:ロケット側の仕事はすべて済んでいたのだろうか。
答え:(三戸)多分そうだ。ただし、万一の場合としてコンピュータから出た信号がきちんと動作していない可能性も考えられなくもないが、考えにくい。
 的川:これまでのデータではロケット側は仕事を完璧にしたと考える。

問い:MTSAT-1R打ち上げは、2回連続成功を条件にしていたと思うがこれでクリアできたと考えるか。
答え:(山之内)私としてはクリアできたと思うが、判断するのは国土交通省だ。今後も打ち上げ成功を続けることが重要である。

問い:DASHも含めて今回のロケット打ち上げは成功だと言えるか(ダレだ、こんなバカな質問をした野郎は)。
答え:(山之内)非常に答えにくい。ロケットは成功だ。DASHについてはまだわからない部分がある。現時点では、ロケットについてはほぼ成功したと考える。

問い:今後の3号機以降の打ち上げについて変更はないか。
答え:(山之内)変更はない。

問い:今後次々に短期間に打ち上げていく自信はあるか。
答え:(山之内)この1年半に2機しか打ち上げた経験のない男に自信というのは難しいが、1機ごとに打ち上げに自信が出てきていることは間違いない。

問い:DASHを乗せていた上部フェアリングの分離は正常だったか。また前回トラブルを起こした飛行安全計算機は今回どうだったか。
答え:(三戸)ともにノントラブルである。


No.586 :DASH続報
投稿日 2002年2月4日(月)13時03分 投稿者 松浦晋也

 DASH続報です。

・分離を示す分離信号がテレメトリーに載っていなかった。
・サンチャゴ局受信のため、受信装置のトラブルということも考えられるが、それ以外のデータが届いているので分離信号だけが受信に失敗したとは考えにくい。
・第2段の加速度センサーで分離時のショックを検出可能。現在分離したかどうかを分離信号以外のデータで分離を確認できないか検討中。

 以下は松浦及び笹本の考察です。
・分離していない場合、DASHは下部フェアリングのフタと共に飛んでいることになる。この状態では再突入用のレトロモーターの噴射ができないので再突入実験は不可能になるのではないか。(松浦)
・宇宙研資料によると、次にDASHからの電波を受信するのは内之浦上空で10時間以上先のこととなる。ただし今回のトラブルで緊急の追跡支援をかける可能性もある。(笹本)

 プレスセンターは騒然としています。

No.585 :MDS-1分離確認、DASH分離はテレメトリーが届かず未確認
投稿日 2002年2月4日(月)12時39分 投稿者 松浦晋也

MDS−1の分離が確認されました。サンチャゴ局で受信した分離画像が届きました。

 しかしDASHの分離が未確認です。シーケンス上はDASHの分離のほうがMDS-1の分離よりも先なのですが、DASHの分離はまだ確認できていません。データが届いていないようです。

No.584 :ロケットは成功
投稿日 2002年2月4日(月)12時15分 投稿者 松浦晋也

 第2段2回目の燃焼が終了しました。第2段と衛星は静止トランスファー軌道に入りました。

 姿勢制御の後DASH、再度姿勢制御を行ってMDS-1を分離します。

No.583 :打ち上がりました。第2段第1回燃焼までは無事終了 ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)12時09分 投稿者 松浦晋也

H-IIAロケット試験2号機は2月4日午前11時45分、種子島宇宙センターから打ち上げられました。

 雲は完全に晴れて快晴となりました。風は若干強まりましたが打ち上げの許容範囲内です。全くの快晴の打ち上げは久しぶりです。第2段の第1回燃焼までは順調です。

 打ち上げの瞬間、「あれっ」と思いました。非常に遅かったのです。当然です。打ち上げ当初は補助ロケットブースターを点火していません。それだけ重くなった機体を標準型と同じLE-7Aと固体ロケットブースターで持ち上げるのですから重くなって当然です。

 打ち上げ後10秒で補助ロケットブースター2本を点火すると、やっと通常の打ち上げの時と同じ加速になりました。ロケットは青空に登っていきます。固体ロケットブースターの白い噴射煙を残して、空気の中に溶けていくのです。

 最高の打ち上げでした。ミッションは継続中、まだ第2段エンジン2回目の燃焼と衛星分離が残っています。そして未来に向けた再々着火実験も。


No.582 :打上げ時刻、11時45分に延期
投稿日 2002年2月4日(月)10時44分 投稿者 笹本祐一

 打上げ警戒水域内に船が入ったため、その退避のため打ち上げが17分延期決定。
 打上げ時刻は11時45分に再設定された。

No.581 :トラブル詳細とX-60分ターミナルカウントダウン開始 ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)10時31分 投稿者 松浦晋也

 サンチャゴ局での受信に使っている復調機が847ミリ秒ごとに260ミリ秒受信ができなくなるというトラブルです。データが一部歯抜けになるわけです。現在復調機の電源再投入を行って調子を見ています。
 このトラブルが回復しなかった場合、下部フェアリング分離やMDS-1分離などのデータが取得できない可能性があります。画像がコマ落としになるか、場合によっては画像がそもそも得られなくなるかもしれません。しかしシーケンス成功を確認するためのフェアリングや衛星の分離信号の受信には問題はないので、そのまま打ち上げ準備作業を続行します。

 現在午前10時25分、第4回GO/NO GO判断は、GOというアナウンスがありました。Xマイナス60分のターミナルカウントダウンが開始されました。


No.580 :打上げ前状況、10時25分現在 ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)10時25分 投稿者 松浦晋也

 現在午前10時過ぎです。午前9時にチリ・サンチャゴ局でロケット2段の技術テレメータの受信データに一部欠落が発見されました。
 午前10時3分:データ欠落の影響は少ないと判断して打ち上げ作業は続行となりました。

 天候は薄曇り。高層雲が空を覆っています。ただし雲は刻一刻と薄くなっているので、打ち上げ時には雲が切れる可能性もあります。気象通報によれば、発射時刻に向けて気象上の問題はないとの事。

 午前3時31分からはタンクへの低温推進剤充填作業が始まり、午前5時39分にはすべてのタンクへの充填を完了しました。それ以降は蒸発していく分を補充していきます。蒸発した酸素は大気中に放出し、水素はバーンポンドで焼却処理します。

 それに先立ち午前3時48分には半径3km以内総員待避が発令されました。これにより作業者はブロックハウス要員を残してロケット周囲から待避します。


No.579 :天候は微妙なところ
投稿日 2002年2月4日(月)03時20分 投稿者 松浦晋也

 現在午前3時過ぎです。ターミナルカウントダウン開始。ロケットへの極低温推進剤の充填が始まりました。
 プレスツアー時は雲一つない快晴の夜空に星がまたたいていたのですが、現在は薄曇り。明日の打ち上げ時の天気は曇りの可能性がでてきました。風はかなり弱まっているので、明日の打ち上げにさしつかえることはまずないでしょう。


 打ち上げ前日に行われるプレスツアーの流れを以下に簡単に記します。

 本日のプレスツアーは午後10時過ぎから始まりました。プレスは総勢約80名。3台のバスに分乗して射点に向かいます。

 機体移動の取材位置である仮設展望台に着くとすでに機体組立棟の巨大な扉が開いていました。建設用の仮設足場で組んだ展望台は歩くとかすかに揺れます。あまり一個所に人が乗ると危ないと注意がありました。
 実際NASDAの説明員が説明を始めると人が集まり、「あぶないです」という声が上がります。

 午後11時ちょうどにふぉーんと船の出航の合図のようなシグナルが鳴り、ポーン・ポーンと警戒音が鳴ると移動開始です。しかし一度すぐに音が止みました。トラブル発生かと思いましたが、すぐにまた動き出しました。
 移動発射台の動きは速いです。移動の時間は30分とってありますが、56輪のドーリー2台に乗った移動発射台とH-IIAは20分ほどで500mの距離を移動し、射点に到着しました。今回使う移動発射台は3番目の発射台で、H-IIA増強型に対応し、液体ロケットブースターの噴射炎を抜くための穴が空いています。

 次いでVAB前に移動します。VABはのっぺりとしているので大きくは見えないのですが、実際には高さ80m、内部でH-IIA2機を組み立てることができるほど巨大です。VAB前と、VAB屋上から撮影の機会があります。屋上からはバーンポンドの炎も見ることができました。H-IIAの移動をVAB屋上から見たいと思うのですが、移動時には周囲250m立入禁止になるのでできません。

 次いでブロックハウスです。ブロックハウスはVAB横の地下にあり、カウントゼロでロケットが上昇を開始する瞬間までの作業を監視します。

 最後がRCC。こちらは上昇した瞬間からミッション終了までのロケットを監視します。

 プレスツアーは午前1時前に終了しました。


No.578 :下から見上げたVAB ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)01時51分 投稿者 松浦晋也

 真下から見上げたVAB内部です。丸く見えるのはH-IIA組み立て時の整備プラットホーム。整備の時の足場です。


No.577 :VAB屋上から見たH-IIAとバーンポンド ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)01時50分 投稿者 松浦晋也

 VAB屋上から射点に到着したH-IIAを見る。左下の炎はバーンポンドです。気化した水素を焼却処理する施設です。水面下から水素を噴出させて水面上で焼却します。バーンポンドの炎は水素貯蔵開始時から常に灯され、少量であっても気化した水素を常に処理しています。


No.576 :移動するH-IIA2号機画像(その2) ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)01時48分 投稿者 松浦晋也

 射点に到着したH-IIA(午後11時25分ちょっと前):撮影、笹本祐一


No.575 :移動するH-IIA2号機画像(その1) ●添付画像ファイル
投稿日 2002年2月4日(月)01時47分 投稿者 松浦晋也

 午後11時から行われた機体移動の映像です。11時4分から機体移動を開始して、11時25分にH-IIA2号機は射点に到着しました。今回機体は機体組立棟(VAB)から射点に向かって右側の組み立て施設で組み立てられました。1号機は左側だったので移動時に移動発射台が一度右に移動してから射点を目指しましたが、今回はVABから出た移動発射台上のH-IIAはそのまままっすぐ射点を目指しました。


 映像はVABから出たH-IIA(午後11時4分過ぎ):撮影、笹本祐一


No.574 :H2A2号機移動完了
投稿日 2002年2月3日(日)23時56分 投稿者 笹本祐一

 降るような星空の下、2月3日23時過ぎにVABより移動発射台に乗って姿を現わした2号機は、わずか二〇分ほどで射点への移動を完了した。
 間もなくターミナルカウントダウンが開始される予定。

No.573 :SSBの点火と分離のタイミング
投稿日 2002年2月3日(日)20時40分 投稿者 松浦晋也


ブースター点火タイミング
 今回の打ち上げでは、通常の固体ロケットブースター(SRB-A)の他に補助ロケットブースター(SSB)4本が装着されます。これらの点火と投棄のタイミングは以下の通りです。

・SRB-A点火、リフトオフ――0秒
・SSB第一ペア点火――10秒
・SSB第一ペア燃焼終了――71秒
・SSB第二ペア点火――76秒
・SRB-A燃焼終了――106秒
・SRB-A分離――113秒
・SSB第一ペア分離――114秒
・SSB第二ペア燃焼終了――137秒
・SSB第二ペア分離――144秒

 ぱっとみて、1)なぜ4本のSSBを打ち上げと同時に点火しないのか、2)燃焼が終了したSSB第一ペアをすぐに分離せず、SRB-Aが燃焼を終えてから分離するのか――が疑問に思えます。

 答えは以下の通りです。

 SSB第一ペアの点火がリフトオフ後10秒なのは、射点設備を噴射炎で破損しないためです。射点のアンビリカルマストに炎を吹き付けないために点火を遅らせるわけです。もっとも1号機の時にはSRB-Aの噴射炎でアンビリカルマストに大きな焼け跡がついていました。

 4基のSSBを同時に点火せず、2本ずつ順に点火するのは最大動圧を小さく抑えるためです。SSBは燃焼時間が短い割に強力です。打ち上げ時の推力はLE-7Aと2本のSRB-Aで390tf。これが2本のSSBを点火すると推力は一気に500tfにはねあがります。
 H-IIAが打ち上げ時に受ける空気抵抗を動圧といいます。打ち上げ時には速度がどんどん上がっていくので空気抵抗は大きくなりますが、ある程度以上登ると空気が薄くなるので今度は動圧が小さくなっています。ロケットに最大の動圧がかかるところを最大動圧点と言います。H-IIAは最大で4.7tf/平方メートルの動圧に耐えられるように作ってありますが、SSB4本を同時に点火すると最大動圧が5tf/平方メートルを超えてしまい、ロケットが破損してしまうのです。
 このためSSBは2本ずつ点火します。

 燃焼が終了したSSB第一ペアをすぐに分離せずにSRB-A分離の直後に分離するのは、安全に分離するためです。
 H-IIAは、だいたい打ち上げ後100秒ぐらいで、空気抵抗をほぼ無視できる高さまで上昇します。もしもSSBを空気が残っている高さで分離すると、空気のうずや抵抗で思いも寄らない動きをして本体と衝突する危険があるかもしれません。
 そこで空気抵抗が無視できるだけの高さまで燃え尽きたSSB第一ペアを持っていき、そこで分離するのです。

 打ち上げ能力の点からすると、SSBは一気に点火して加速するほうが得です。重力損失が少なくなるためです。
 ロケットエンジンを自重と同じ推力で噴射するとロケットは浮かぶだけで上昇せず、推進剤が消費されるだけです。このようにして生じる損失を重力損失といいます。ロケットは垂直に上昇する時間が短いほど重力損失が少なくなります。ですから、大きな加速度で一気に上昇したほうが重力損失が小さくなり、その分打ち上げ能力が向上します。
 同時に、燃え尽きたブースターはすぐに分離したほうが、余計な質量を加速しないですむので、やはり打ち上げ能力が大きくなります。

 つまり今回打ち上げるSSBを4本付けたH-IIAでは、打ち上げ能力を若干犠牲にすることで安全を確保しているのです。

 ちなみにSSBは米サイアコール社製です。これは「デルタ2」「アトラスIIAS」に使われた補助ブースター「Castor-IVA」を、デルタIII向けに改良した「Castor-IVA-XL」(結局不採用だった)をさらにH-IIA用に改良したもので、ノズルスロートをグラファイト/フェノール複合材から、より信頼性の高い三次元織りカーボン・カーボン複合材に変更しました。比推力はSRB-Aの280秒に対して282秒と、ほんの少し高性能となっています。

 現在午後8時30分移動発射台(ML)移動
準備開始、射点設備系最終準備作業開始のアナウンスがあり、同時に射点から400m以内の立ち入り規制が始まりました。