宇宙作家クラブ
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No.684 :有翼・再使用型宇宙船の蹉跌
投稿日 2003年2月7日(金)20時03分 投稿者 野尻抱介

 CNNの記事Is the shuttle worth it?で、マサチューセッツ工科大学のシオドア・ポステル教授はこう述べている。
「シャトルは有人飛行に適しているだろうか? また、その技術は科学調査に適しているだろうか? どちらもノーだ。シンプルなカプセルを積んだ使い捨てロケットなら、安全で低コストで、長期にわたって使用できる」
「大気圏突入にあたっては、シンプルに乗組員を連れ戻すべきだ。タイルに包まれた巨大な飛行機型の物体であるべきではない」

 その通りだと思う。以下に個人としての意見を述べる。
 私は宇宙開発事業団先端ミッション研究センター日本独自の有人宇宙船構想通称《ふじ》プロジェクトに関わってきた。《ふじ》はアポロやソユーズと同様、カプセル型の宇宙船である。
 検討を重ねた結果、私はこう結論している。
「原子力エンジンに匹敵する画期的なエンジンが実現するまで、軌道との往還はカプセル型でやるべきだ」
 先の記事やコロンビア号の悲劇に便乗するようであざとく感じられるかもしれない。しかしこれは何年も前から一貫した意見である。

 カプセル機とスペースシャトルを比較して、後者がいかに複雑な大気圏突入プロセスをとるかを説明しよう。
 カプセル機は平衡滑空軌道と呼ばれる軌道(弾道)にそってなめらかに降りてゆくだけだ。加熱限界と荷重限界に触れないことも条件だが、カプセル型はどちらの許容量も大きいので楽にクリアできる。
 スペースシャトルの場合は平衡滑空限界、加熱率限界、最大荷重限界、動圧限界に囲まれた狭い回廊の中をくぐらなければならないので、4種類の飛行軌道を組み合わせる。
 江藤巌氏が本掲示版のNo.676で解説している、温度制御段階(temperature control phase)、平衡滑空段階(equilibrium glide phase)、抵抗一定段階(constant drag phase)、遷移段階(transition phase)がこの4種類にあたる。
 なぜこのような複雑なプロセスが必要かというと、ひとえにシャトルが熱にも荷重にも脆弱だからである。ある高度では温度が上がりすぎないよう、別の高度では荷重がかかりすぎないよう、あるいは風圧がかかりすぎないよう、慎重に制御し、機体をいたわりながら降りてくるわけだ。

 シャトルがなぜ脆弱かといえば、ぎりぎりまで軽量化することを迫られているからである。スペースシャトルの打ち上げ時の総重量は約2000トン。このうち約100トンが軌道に乗る。軌道に物を運ぶコストは、同重量の黄金に匹敵すると言われる。ところがスペースシャトルの場合、100トンのうち70トンはシャトル自身に使われてしまう。結局、軌道に運べる本当の荷物は30トンしかない。増強型のH-2Aロケットと大差ない輸送能力である。少しでも輸送能力を上げるためには、シャトルを軽量化するしかない。
 シャトルの70トンのうち、10トンはタイルなどの断熱材に使われる。これは主に、帰還のためにある。このタイルのおかげで再使用型宇宙機の名目がかろうじて立っているわけだが、実際には1回飛行するたびに大量に張り替えている。かつて日本で試作された断熱タイルも、再使用率は2に満たなかった。つまり1度飛行すれば全面張り替えになる。これが実状である。
 アポロ計画で使われた月ロケットの打ち上げ時の総重量は約3000トンで、スペースシャトルはこの2/3に匹敵する。シャトルを3回打ち上げるのは、月ロケットを2回打ち上げるのとエネルギー的に大差ない。我々はシャトルの打ち上げをあたりまえのように見ているが、それがいかに浪費的であるかを認識する必要がある。

 それもこれも、元はといえば化学燃料を使ったロケットエンジンの性能が低いからだ。原子力ロケットなら、シャトルのようなコンセプトの宇宙機でも充分な強度と熱防御をほどこすことができるだろう。しかし原子力ロケットは原子炉の一次冷却水を噴射するような代物だから、地上と宇宙の往還には使えそうもない。
 化学燃料を使いながら、大気を利用するタイプのエンジンも研究されている。しかし実験は失敗ばかりで、先年かろうじて「空気抵抗より少し大きな推力」が出せたにとどまっている。だがそうしたエンジンは、使用できる高度領域が限られているので、他の領域では単なるお荷物になる。研究者たちの「これぞ理想のエンジン」というアピールに惑わされてはいけない。

 アポロやソユーズなどの使い捨てカプセルは、断熱に融除材を使う。融除材はその字のとおり、大気圏突入の熱で溶けながら熱を捨てる、グラスファイバーのような物質だ。使い捨てゆえに安全確実で、熱に対する許容量が大きい。
 カプセル型宇宙機は、形状がシンプルだから軽量で高い強度が得られる。ソユーズは再突入中に姿勢を乱したことがあったが、乗組員は無事だった。
 使い捨てのカプセル機には翼も車輪もタイルも必要ない。どれもコロンビア事故の原因として疑われている場所ばかりだ。
 翼のついた、流線型の再使用型宇宙機こそ理想の宇宙往還機だと多くの人が信じている。シャトルの後継機として、NASAはおよそ2年おきにそんなコンセプトを発表しているが、実用化されたものはない。
 日本でも、見た目だけは素晴らしい再使用型宇宙機が提案されている。私はそれを見るたび、「ポンチ絵で国民をあざむくのはいいかげんにしてくれ」と思う。我々は20年も前からそんな想像図を見せられては裏切られてきた。それが何をもたらすかは、オオカミと少年の話を引くまでもないだろう。

 仮に再使用機ができたとしても、打ち上げ途中に緊急事態が起きたら、人が乗っている部分だけ切り離せという話になるだろう。打ち上げ途中のスペースシャトルがオービターだけ緊急帰還できるのはブースターや燃料タンクを切り離せるからで、完全な再使用機はそれができない。燃料を捨てる時間はないし、引火の危険もある。人間だけパラシュートで脱出することもできない。コクピット全体を切り離して脱出させ、そのコクピットに帰還能力を持たせるとなれば、結局カプセルを積むことになる。
 一段目で失敗したH-2ロケットやM-Vロケットのシチュエーションでも、カプセルなら無事に脱出できたはずである。人が乗ったクリティカルな部分をスタンドアローンなカプセルに納めて保護する方式は末永く有用で合理的な基礎技術であって、「中国が先にやったからやめよう」とか「時代遅れだからやめよう」などというものではない。

 再使用型宇宙機の幻想から目を覚ます時が来ている。有人飛行はカプセル型宇宙機で行うべきだ。そのことを改めてアピールしたい。

No.683 :NASAはタンク断熱材の衝突原因説を否定
投稿日 2003年2月6日(木)13時59分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・コロンビアの事故原因について、NASAは打ち上げ時に外部タンク(ET)の断熱材が打ち上げ時に剥がれて、コロンビアの主翼下面に衝突して断熱タイルが損傷したとの説を否定した。
NASAでは打ち上げ時に地上から撮影した画像などを再度詳しく調査したが、剥がれ落ちたETの断熱材の大きさ重さなどから、タイルに重大な損傷を与えるようなものではなかったと結論している。
またETの断熱材に氷が付着して重量が増していたのではないかとの憶測に関しては、断熱材は防水になっているし、打ち上げ時の気象条件では着氷は考えられない、打ち上げ前の点検でも着氷は認められていないと反論している。
これが正しいとすると、事故原因の推理はまた振り出しに戻ったことになるが、NASAではテキサス上空で空中分解する直前のコロンビアの挙動に注目しているようだ。
通信途絶の直前のテレメトリーのデータでは、コロンビアの自動操縦システムは左翼側の抵抗の増大を補正するためエレヴォンを大きく動かし、さらにヨーイングを止めるために姿勢制御スラスター(RCS)まで1.5秒間噴射している。
このコロンビアの姿勢の変化はどうして起こったかが、事故の原因を探る鍵とNASAでは見ているようである。
通信途絶の直前には不明瞭なデータしか送られて来ていないが、NASAではこのデータもより詳しく分析して、真相を探り出そうとしている。

No.682 :コロンビア事故の参考サイトなど
投稿日 2003年2月5日(水)18時46分 投稿者 野尻抱介

 現在、江藤、松浦らはコロンビア事故関連の仕事に忙殺されているため、本掲示板での情報提供が難しくなっています。
 いっぽうで一般向けの報道や情報提供が充実してきましたので、参考になりそうなサイトを以下に示します。

宇宙開発事業団のプレスリリーススペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について
日本惑星協会TPS/Jメール 2003年2月5日号
・英語サイトではFlorida today紙の特集ページCOLUMBIA LOSTなど。

 また、宇宙作家クラブは会員有志のコメント集スペースシャトル コロンビア号事故に関してを発表しました。
 個人的な印象ですが、事故から三日たったいま、有人宇宙飛行や宇宙開発に対する反発の声が、思ったより低いと感じています。
 1986年のチャレンジャー事故の時と決定的に違うのは、毛利さんや向井さんなど、フライトを終えた日本人宇宙飛行士が、飛行士たちのコミュニティを等身大の視点で生き生きと伝えていることです。
 チャレンジャー事故からの17年をひとくちに言えば「冬の時代」です。しかし状況は少しずつ変わってきている。悪いことばかりではないということです。

No.681 :ハッキング(クラッキング)の可能性はほとんどない
投稿日 2003年2月3日(月)02時27分 投稿者 松浦晋也

 ネットその他で、「コロンビアの事故は地上からのハッキング(正しくはクラッキング)が原因では」という話がでています。

 2月2日付の主要紙朝刊に一応目を通しましたが、ソースは産経新聞2面に掲載された宇宙工学アナリスト・中冨信夫氏のコメント「ハッカー妨害可能性」のようです。

 結論から言えば、クラッキングの可能性はほとんどないといっていいです。

 スペースシャトルの制御系については以下のNASAのホームページで読むことができます。
 http://www.spaceflight.nasa.gov/shuttle/reference/shutref/orbiter/avionics/

 シャトルを制御するのはIBM社製の「General-Purpose Computers(GPC)」というコンピュータです。5系統の多数決プラス予備1系統というアーキテクチャで信頼性を向上させています。GPCは、1990年代初頭に一度アップグレードされ、より高速のプロセッサと大きな容量のメモリを与えられました。

GPCの解説:
 http://www.spaceflight.nasa.gov/shuttle/reference/shutref/orbiter/avionics/dps/gpc.html

 GPCには「Mass Memory Units(MMU)」という外部記憶装置が接続されています。これはテープ式の記憶装置で、GPCは必要に応じてMMUからプログラムをロードして実行します。

 MMUの解説:
 http://www.spaceflight.nasa.gov/shuttle/reference/shutref/orbiter/avionics/dps/mmu.html

 GPCは機体内のネットワークを経由して、シャトル各部のデータを収集したり、機体を制御したり、地上と通信したりします。地上との通信は双方向で、地上からのコマンドでGPCのソフトウエアを更新する機能もあります。ただし地上からの送信したプログラムは厳重なヴェリファイ(確認)を受けます。

Computer Data Bus Network:
 http://www.spaceflight.nasa.gov/shuttle/reference/shutref/orbiter/avionics/dps/databus.html

 帰還時のシャトルは、まずMMUから帰還時の制御に用いるプログラムをGPCにロードします。
 つまり、この段階でのクラッキングは、物理的にシャトルに搭載するMMUのテープにアクセスできる人物によるものしか考えられません。この可能性は排除していいでしょう。

 また、ロード後、1時間ほどで再突入、着陸へと進むので、その間にGPCに地上から不正アクセスをかけてロードされたプログラムを書き換えるのはほとんど不可能でしょう。特に今回は降下シーケンスは時間通りに行われているようなので、クラッキングがあったとしたらプログラムを破壊したのではなく、特定のパラメータを書き換えたことになります。

 いうまでもなく、GPCは広く使われているWindowsでも、ハッカー(クラッカー)が好むUNIXでもない独自のアーキテクチャで動いています。通常のクラッキングの知識では、まったく歯が立たないでしょう。そんなシステムをクラッキングして特定のパラメータを書き換える者がいる可能性は極めて低いと考えて間違いありません。

 結論を繰り返すと、ハッキング(クラッキング)が事故原因である可能性はほとんどないと考えてよいです。

松浦

No.680 :シャトル計画とISS計画の今後
投稿日 2003年2月3日(月)02時07分 投稿者 江藤 巌

重大事故が起こった場合の当然の処置であるが、スペースシャトルの飛行は無期限に停止されている。事故の原因が完全に究明されて、再発防止策が講じられるまでは、飛行は再開しない。

どのくらいシャトルの飛行が休止するかは、原因が一過性のものであるか、根本的なものであるかによって違って来る。
ちなみに1986年1月のチャレンジャー事故の場合は、飛行が再開されたのは2年半以上経った1988年9月であった。

例え飛行が再開されても、シャトルの運用はこれまでのようには行かなくなる。
現在NASAには3機のシャトル・オービターが残されている。
OV-103 ディスカヴァリー
OV-104 アトランティス
OV-105 エンデヴァー
これまでNASAは4機のシャトルを運航して来たが、4機のうち1機が整備や改修のため長期間現役を離れていることが多く、実際には3機のローテーションだったと言える。常時稼働しているオービターが2機しかないとなると、年間に5回から6回の打ち上げがせいぜいだろう。

コロンビアの代替としてオービターが新造される可能性はまずない。オービターの生産ラインはすでに閉じられているし、製作に従事した工員も散ってしまっている。
エンデヴァーは、失われたチャレンジャーの代替として製作されたが、この場合は構造スペアの名で未完成の機体が用意されていた。
しかし現在はそのようなスペアも無く、まったく新規にオービター1機を製作するとなると、いったいどれくらいの期間と費用が掛かるかも見当が付かない。

ここ数年間シャトルの飛行のほとんどは国際宇宙ステーション(ISS)の建設と補給、遠征隊交代のためで、再開後のシャトル飛行でもISS計画の支援が最優先されることだろう。
しかし年間飛行回数が減ってしまうと、ISSの建設スケジュールは大幅に遅れざるを得ない。
日本の実験モジュールの「きぼう」(JEM)の打ち上げも2006年に予定されていたが、先送りになるのは確実である。日本人宇宙飛行士の出番もいつになるか分からない。
シャトル以外の打ち上げ手段には、ロシアのソユースとプロトンがあるが、ISSのモジュールの大半はシャトルによる打ち上げ専用に設計されており、プロトンで打ち上げるのは無理である。またロシアの財政事情などを考えても、ソユースとプロトンでISSを維持して行くことも難しい。
場合によってはISSの運用を一時停止して、無人のままに漂流させる決断が下されるかもしれない。
なお現在もISSにはアメリカ人とロシア人からなる遠征隊が滞在しているが、緊急帰還船としてソユースがISSに接続しているので、シャトルが運航を停止していても地球に戻ってくることは出来る。実際には予定の滞在期間が終わるまではISSに留まるだろう。

No.679 :コロンビアの事故原因の推測
投稿日 2003年2月3日(月)01時31分 投稿者 江藤 巌

コロンビアの事故原因について、現在は憶測しか出来ない段階だが、空中分解の前数分間の経過からすれば、オービターの左翼が異常な熱を受けて構造が局所的に強度を失い破壊に至ったか、あるいは過熱して空気圧が過大となったタイアが破裂して構造を傷つけ、そこから破壊が拡がったか、いずれにしても熱による構造破壊の可能性が高いように現時点では思われる。

コロンビアからのテレメトリーでは、通信が途絶するより7分前の午前8時53分(アメリカ東部標準時)に、左翼の内外エレヴォンの油圧系統の温度センサーが計測不能(offline)となっている。
その約3分後には左降着装置収納ベイの温度センサーが温度の増加を記録している。
8時58分ころには、左翼の構造に埋め込まれた接着ライン(bondline)温度センサーが突然機能を停止している。
8時59分ごろには、左主降着装置の二つの車輪のタイア温度センサーと圧力センサーがいずれも計測不能となっている。
NASAでは、計測不能は温度の過大か過小かどちらを示すものか現段階では判定不能、と慎重だが、他の状況からすれば、温度が計測範囲を超えて上昇してデータが遅れなくなったと考えても良かろう。いずれにしろテレメトリー・データをより仔細に検討することで、温度が過大であったかどうかも決定できるだろう。

ヒューストンのミッション管制センターは、8時59分ころにコロンビアと最後の交信を行っている。
ヒューストン「タイア圧力の信号を監視している。最新の(データ)が受信出来ていない」
コロンビア「了解」(以後聞き取り不能)
この直後にコロンビアとの交信が途絶え、テレメトリーのデータが受信出来なくなっている。

ここでだれもが考えるのが、コロンビアの打ち上げの際に外部タンク(ET)の表面の断熱材(茶色のフォーム)が剥がれ落ちて、コロンビアの左翼部分にぶつかっている事実である。
NASAは打ち上げ後に地上からの映像を調べて、飛行の継続には支障がないと判断したが、この判断の是非が改めて問われるだろう。
断熱材の衝突でコロンビアの機体表面の断熱タイルが傷つけられ、再突入の空力加熱によってその傷が拡がって断熱の機能を失い、オービターの構造にまで熱が伝わった可能性が指摘できる。
また断熱材の衝突で直接構造が傷つけられ、そこから破壊が拡がった可能性もある。
断熱材の衝突が操縦系統を傷つけ、オービターが操縦不能に陥って、致命的な熱あるいは空力荷重を受けたことも考えられるが、NASAによれば通信途絶の瞬間までオービターは正常に飛行していたとのことで、この可能性は低くなる。

No.678 :スペースシャトルOV-102コロンビアの履歴
投稿日 2003年2月2日(日)17時12分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトルOV-102コロンビア(Orbiter Vehicle 102 Columbia)は、シャトル計画において宇宙飛行用に製作された最初のオービターである(OV-101エンタープライズは大気圏内でのテスト飛行専用)。
コロンビアは1972年7月にロックウェル・インターナショナル社(現在のボーイング社ノースアメリカン部門)に発注され、1974年6月に製作を開始した。1978年4月23日に機体は完成、1979年3月8日にパームデイル工場において完成披露(ロールアウト)式典が行われた。同月にケネディ宇宙センター(KSC)に運び込まれ、KSCで機体表面へのタイル貼り作業が行われた。1981年2月20日、コロンビアは初めて発射台上でのエンジン試験(Flight Readiness Firing)を行い、打ち上げ準備に入った。
コロンビアの飛行
STS-1
 1981年4月12日打ち上げ。飛行日数2.26日。から乗員2名。
STS-2
 1981年11月12日打ち上げ。2.26日。2名。
 燃料電池の故障で飛行を切り上げて早期帰還。
STS-3
 1982年3月22日打ち上げ。8.00日。2名。
エドワーズ空軍基地(AFB)の天候不良で、ホワイトサンズミサイル試射場に着陸。
STS-4
 1982年6月27日打ち上げ。7.05日。2名。
STS-5
 1982年11月11日打ち上げ。5.09日。4名。
 シャトル計画での初めての商業運用。
STS-9
 1983年11月28日打ち上げ。10.32日。6名。
 スペースラブ1搭載。日本の人工オーロラ実験(SEPAC)。
ミッション61C
 1986年1月12日打ち上げ。6.09日。7名。
 ネルスン下院議員の宇宙視察。
STS-28
 1989年8月8日打ち上げ。5.04日。5名。
 軍事ミッション。
STS-32
 1990年1月9日打ち上げ。10.88日、5名。
STS-35
 1990年12月2日打ち上げ。8.96日、7名。
STS-40
 1991年6月5日打ち上げ。9.09日、7名。
 スペースラブ・ライフ・サイエンス。
STS-50
 1992年6月25日打ち上げ。13.81日、7名。
 マイクログラヴィティ・ラブ搭載。
STS-52
 1992年10月22日打ち上げ。9.87日、7名。
STS-58
 1993年10月18日打ち上げ。14.01日、7名。
 スペースラブ2(医学生物学)搭載。
STS-62
 1994年3月4日打ち上げ。13.97日、6名。
STS-65
 1994年7月8日打ち上げ。14.75日、7名。
 向井千秋搭乗。
STS-73
 1995年10月20日打ち上げ。15.91日、7名。
STS-75
 1996年2月22日打ち上げ。15.74日、8名。
 テザー衛星実験。
STS-78
 1996年6月20日打ち上げ。16.91日、7名。
ライフ&マイクログラヴィティ・スペースラブ。
STS-80
 1996年11月19日打ち上げ。17.66日、5名。
STS-83
 1997年4月4日打ち上げ。3.97日、8名。
 微小重力科学ラボラトリー(MSL-1)搭載。燃料電池の故障で披講を討ちきって帰還。
STS-94
 1997年7月1日打ち上げ。15.70日、8名。
 STS-83の再飛行(乗員ペイロード同じ)。
STS-87
 1997年11月19日打ち上げ。15.369日、6名。
 土井隆雄EVA。
STS-90
 1998年4月17日打ち上げ。15.91日、7名。
 スペースラブ・ロング・モジュール。
STS-93
 1999年7月23日打ち上げ。4.95日、5名。
 女性機長(E・コリンズ)。上昇中にメイン・エンジン故障。

1999年9月より整備と回収のため工場入り。

STS-109
 2002年3月1日打ち上げ。10.92日、7名。
 ハッブル宇宙望遠鏡の軌道上整備。

No.677 :テロリズムの可能性はゼロ
投稿日 2003年2月2日(日)16時03分 投稿者 江藤 巌

イスラエルの宇宙飛行士が登場していたことから、今回のコロンビアの事故について、テロリズムや敵対国の攻撃を示唆する言説が出回っているが、その可能性は事実上存在しないことをここで明言しておく。アメリカ政府当局も、テロリズムあるいはサボタージュ(破壊工作)の可能性は当初から排除している。

今回のミッションは、イスラエル宇宙飛行士が同乗することから、ふだんにもまして厳重な警戒下で行われた。その隙をぬって爆弾を仕掛ける等の工作を行える可能性はまず無いし、打ち上げ時に狙撃を行える可能性もほとんどない。
またオービターは太平洋上空で大気圏に突入して、アメリカ上空を通過してフロリダ州のケネディ宇宙センター(KSC)に帰着する。
この間にテロリストあるいは某国が攻撃することは出来ないし、そもそも高度60km以上、速度マッハ十数の宇宙船を攻撃出来る手段が実用になっているのであれば、TMDなどとっくに実現しているはずである。

No.676 :オービターの突入過程
投稿日 2003年2月2日(日)15時56分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・オービターの再突入(突入)の過程についてまとめておく。

NASAではシャトル計画において「再突入」(reentry)の用語を使用せず、「突入」(entry)と称している。理由は不明である。

突入は、広義には宇宙船の軌道離脱(deorbit)のための噴射と減速に始まり、着陸に至る過程である。
また狭義には、宇宙船が大気圏上層に到達して、大気との抵抗で減速を受けるようになってから、最終の着陸フェイズを開始するまでであろう。
大気は徐々に薄くなりながらオービターの軌道周回高度まで拡がっており、どこからが宇宙空間でどこからが大気圏と言う明確な境界は存在しない。
NASAの定義では、突入は高度121.92kmを切ったときから始まる。これは400000フィートとヤード・ポンド法では切りの良い数字と言うことで、数値自体に特に意味はない。

いずれにしろ今回のコロンビアの事故は突入(再突入)中の出来事で、再突入が終わった後のことではない。

オービターの突入期の誘導は五つの段階(フェイズ)に分かれている。
1.前突入段階(preentry phase)
突入界面通過から0.176G(1.73kgm/s2)が検出されるまで。
RCSによりバンク角は0度、迎え角(AoA)は40度を保持。
通常は高度310000フィート(94.5km)まで。
2.温度制御段階(temperature control phase)
0.176Gを検知してから、通常は高度220000フィート(67.0km)付近まで。
一定の温度上昇プロファイルに従って操縦。
3.平衡滑空段階(equilibrium glide phase)
通常は220000フィート(67.0km)から高度約180000フィート(54.9km)まで。
揚力と重力が釣り合うように飛行。
速度はマッハ数で約17から10に相当する。
4.抵抗一定段階(constant drag phase)
抗力が33フィート/s2(10.1m/s2)に達してから、この抵抗値を保つように操縦。
通常は高度約170000フィート(51.8km)弱まで。
5.遷移段階(transition phase)
突入からTEAMへの移り変わりの段階。

TAEM(Terminal Area Energy Management )は、滑走路に着陸するため最終的な速度と高度の調整を行う段階で、TAEMインターフェイスは高度約82000フィート(24994m)、速度約2500フィート(762m/s)から始まり、進入/着陸捕捉ゾーンの始まる高度約4572m、等価対気速度288ノット(533km/h)まで。
TAEMにおいてオービターは、滑走路の手前に設定される仮想の大きな円筒の外側に巻きつくように螺旋形に降下する。
この円筒はHAC(Heading Alignment Circle)と呼ばれ、この旋回によって速度と高度を落して、最終進入の態勢を整える。

No.675 :熱による構造破壊?
投稿日 2003年2月2日(日)05時58分 投稿者 江藤 巌

日本時間2日午前5時半過ぎよりNASAジョンスン宇宙センター(JSC)にて記者会見が行われてその席上、
コロンビアの通信途絶の数分前から左翼の温度センサー等が異常な値をテレメトリーで示していたことが明らかにされた。
これから推測すると、コロンビアは左翼が熱によって構造破壊を起こして脱落、姿勢を大きく乱して空中分解したと推測出来る。
左翼の加熱の原因はまだ不明。

No.674 :シャトルの再突入
投稿日 2003年2月2日(日)05時31分 投稿者 江藤 巌

スペースシャトル・オービターの典型的な再突入パターン。
時間は再突入インターフェイスをゼロとして分秒で表す。
再突入インターフェイスは高度400000フィート(121.92km)に設定された仮想的な面で、特に空力的な意味はない。

0分 再突入インターフェイス 高度121.92km、速度7.450km/s。
2分39秒 高度98.1km、速度7.53km/s。動圧(q)が2.44kg/m2に達してオート・エレヴォン・トリム作動。
3分32秒 90.5km、7.53km/s。q=9.76kg/m2。空力制御開始。ボディフラップ飽和の可能性(マッハ24.6〜22.5)
4分49秒 80.8km、7.47km/s。クローズドループ制御開始。温度制御フェイズ。フーゴイドダンパー作動。
5分0秒 80.8km、7.50km/s。ロール反動制御システム(RCS)ジェット不作動に。q=48.8kg/m2。
5分18秒 79.2km、7.47km/s。第1回のバンク・コマンド。
6分10秒 77.7km、7.41km/s。表面温度が最大になる領域(マッハ19.4〜24)。
8分4秒 75.6km、7.16km/s。q=97.6kg/m2でピッチRCS不作動に。Nyトリム・アクティブ。
11分49秒 71.3km、6.49km/s。ドラッグ=11でドラッグHアップデイト。
13分40秒 68.6km、6.22km/s。MPSフィードライン加圧。
13分45秒 68.3km、6.65km/s。平衡滑空フェイズ。
14分17秒 68.9km、5.9km/s。最初のバンク・リバーサル(切り返し)
14分42秒 64.6km、5.79km/s。降着装置油圧隔絶バルブ・システム3開に。q=244.1kg/m2でRCS作動ライトを変更。パワーダウンしていた系統をパワーアップ。
17分47秒 57.0km、4.42km/s。抵抗一定フェイズ。アルファ・ランプ40度より下げ。

事故が起きたのは平衡滑空フェイズ(Equilibirium Glide Phase)の段階で、再突入インターフェイスから約16〜17分の当りと思われる。

No.673 :シャトル・コロンビア事故経過
投稿日 2003年2月2日(日)04時43分 投稿者 江藤 巌

とりあえずFLORIDA TODAY(http://www.floridatoday.com/journal/020103landing.htm)より事故の経過をまとめてみる。
時間はケネディ宇宙センター(KSC)のあるアメリカ東部標準時(EST)。
ジョンスン宇宙センター(JSC)のあるヒューストンは中部標準時(CST)で、東部標準時よりも1時間遅くなる。

2月1日 午前5時32分
JSCのミッション管制センターからコロンビアに、ペイロード・ベイ・ドアを閉じるよう指示が出される。

午前5時38分
コロンビアのペイロード・ベイ・ドアを閉じて、冷却システムを切り換える。ペイロード・ベイ・ドアの内側には機内の熱を宇宙に放出するラジエーターがある。

午前5時50分
ペイロード・ベイ・ドア完全に閉鎖。

午前6時8分
オービターのコンピューターを着陸体制に切り換える。

午前7時12分
ミッション管制センターからコロンビアの乗員に軌道離脱のエンジン噴射を準備するよう指示。

午前7時50分
軌道離脱噴射の準備にゴー。

午前8時5分
KSC滑走路周辺の霧の状況から、コロンビアがどちらの方向から滑走路に進入するかの決定を先延ばしとする。

午前8時9分
JSCのミッション管制センターよりコロンビアに軌道離脱噴射にゴーの指示。

午前8時19分
コロンビア軌道離脱噴射完了して大気圏再突入に向け降下開始。

午前8時22分
コロンビア大気圏再突入に備えて姿勢を整える。余分な推進剤を放出。

午前8時29分
コロンビアをどちらの向きから滑走路に誘導するか決定せず。気象条件から滑走路33の方が有利だが逆になる可能性も残されている。

午前8時36分
KSCでは5ノットの西風。

午前8時46分
着陸まで30分だが、いまだ滑走路決定せず。コロンビアの高度は109km、速度は27400km/h。

8時51分
KSCでは滑走路15を用いる可能性について検討中。コロンビアはKSC滑走路まで5500kmの地点に。

午前8時52分
コロンビア高度76km、速度26400km/h。減速のための最初のバンク操縦開始。

午前8時56分
コロンビアがネヴァダ上空を通過。

午前8時57分
コロンビアはアリゾナ・ニューメキシコ国境付近の上空を通過。速度22500km/h。2回目のバンクを開始。

午前9時
コロンビアと地上との通信途絶。

No.672 :空力破壊
投稿日 2003年2月2日(日)02時54分 投稿者 松浦晋也

 帰宅してテレビで繰り返される映像を見ました。まずは気が付いた点を。

 爆発ではない。空力破壊に見える。

 すでに日本のメディアは「爆発、爆発」と繰り返していますが、空力破壊と爆発はまったく異なります。過大な空気抵抗の結果機体が破壊されるので空力破壊で、爆発は空力破壊の結果として起きます。
 爆発というのは爆発物(例えばロケット推進剤や高圧タンクなども含む)が爆発することです。

 映像からは、まず機体の一部が脱落し、それが次の脱落を呼び、次々と機体破片が脱落してついに(おそらくは高圧タンクか推進剤タンクの爆発で)最終的な破壊に至った様子が見て取れます。機体が失われた主因が爆発ならば、一気に機体が破砕されて破片が飛び散るはずです。

 ただし、最初の脱落を誘起したのが小爆発であった可能性は、映像からは否定することはできないと考えます。テロではなく、例えば機体各所のスラスターで小爆発が起こるとか。

 テキサス州を中心に、コロンビアの破片が見つかっていると報道されています。日本時間午前3時からNASAオキーフ長官の記者会見が開かれる模様。

松浦晋也

No.669 :シャトル事故について
投稿日 2003年2月2日(日)01時51分 投稿者 松浦晋也

 スペースシャトル「コロンビア」STS−107は、帰還途中、テキサス州上空63km、マッハ6で、空力破壊を起こして四散したようです。米航空宇宙局(NASA)は非常事態を宣言しました。コロンビアは最初の飛行、STS-1に使われた、シャトルフリート中最高齢の機体です。

 私はSACの例会を終えていい気分で酔って帰還途中でした。突然野尻抱介さんから電話が入り、「スペースシャトルが通信途絶したようです」と告げられました。驚くまもなく元日経エアロの先輩から「空中で四散したようだ」、次いで一足先に帰宅していた江藤巌さんから「えらいことになりました」と電話が入りました。

 聞いた途端に思い出したのが、米会計検査院(GAO)が1990年だったかに出した報告書でした。同報告書には、スペースシャトルの信頼性は98%で、50回に一回は事故を起こすだろうと記述されていました。NASAが反発したこともあって。当時宇宙開発関連ではかなり話題になったニュースでしたが、覚えている人は少ないでしょう。100回少しのフライトで、チャレンジャーとコロンビア。GAOの報告書ははからずも正しいところを指していたのかもしれません。

 昨今の世界情勢を考えるとテロという可能性も頭に浮かぶのですが(特に今回はイスラエルの飛行士が搭乗していました)、テロならば帰還ではなく打ち上げ時をねらうはずです。テロではなく、何らかの失敗(技術的、あるいは運用的)な事故だと思います。

 この原稿を書いているのが帰りの電車の車中でして、知り合いがかけてくる電話で情報を得ています。フロリダ・トゥデイには、打ち上げ時に翼の耐熱タイルが破損し、帰還前日の会議では問題ないだろうと判定されていたとの記事が載っているそうです。また、帰還時の軌道が通常よりも高かったとも。
 それらから判断すると、私、松浦には、2つの問題(タイルの破損と突入軌道のずれ)が重なった結果の事故に思われます。詳細は事故調査にまつしかありません。


 今後の影響は、ある程度予測できます。
 
 国際宇宙ステーション(ISS)は人員輸送だけならソユーズができますが、補給がプログレスだけでは追いつかない可能性があります。建設はシャトルに依存しているので、」建設はもちろん長期間にわたって中断、場合によっては計画から離脱する国が出て、計画は中止になるかもしれません。現在の滞在中の飛行士はソユーズで帰還できます。

 ロシアは、ソユーズが、人類にとって宇宙への唯一の有人アクセス手段となります。これが今後どうなるか、あまりに流動的で予測できません。

 今回の事故でもっとも大きなメリットを得るのは中国でしょう。今年10月に予定されている最初の有人飛行を成功させれば、冷戦終結以降のアメリカ、欧州という国際政治構造に、ポリティカルパワーの第三極としての地位を大きくアピールすることが可能になります。

 そして日本、国際宇宙ステーション日本モジュール「きぼう」の打ち上げは大幅延期は避けられません。たとえ計画継続になったとしても、フライト品の寿命その他で、シャトルの延期以上の計画遅延は確実でしょう。

 宇宙への有人アクセスという点では、シャトルに頼り切っていた日本の宇宙開発政策は大幅な見直しが必要だと思います。残るのは基本形が30年以上昔に開発されたソユーズのみというのは、人類にとってあまりに不健全です。

 これを言うのは、本当に不謹慎で我田引水かも知れません。が、あえて書きます。

 一昨年以降、私は筑波宇宙センターの「日本独自の有人宇宙船構想」に関与してきました。シャトルのような有翼宇宙船の不合理さを排し、最新技術を援用して短期間でシンプルな使い捨てカプセル宇宙船「ふじ」を日本独自に開発しようというものです。
 計画の公表後、あちこち説いて回ったのですが、官庁や既存の宇宙開発関係の反応は概して冷たいものでした。
 その、最たるものが「アメリカのスペースシャトルがあるのだから日本が独自に有人宇宙船を開発する必要はない」というものでした。

 今、私は痛切に「今我々の手に『ふじ』があったなら」と感じています。シャトルのバックアップを務めることで宇宙開発の中断を避けることができたでしょう。実に様々な使い道があったはずです。

 少し前に、ふじ計画に関与した作家の野尻抱介さんが、自分の掲示板に今年の1月7日、「 国際宇宙ステーションは現在3人常駐体制です。これではステーションのメンテナンスだけで手一杯で、宇宙実験などできません。計画どおり7人常駐体制にできないのは、NASAが開発していた緊急帰還用のリフティングボディ機が開発中止になったからです。いま使っているソユーズさえ製造ラインが止まって調達が危ぶまれている。
「いまここに、ソユーズ以外で使い捨てカプセルがあったら!」と地団駄踏んでいる人が各国にいます。」
と、書きました。

 まさかこんなに早くきりきりと「ふじ」が欲しいと感じる事態が来ることになるとは。
   

 ご存じの方は多いと思いますが、ケネディ宇宙センターにはこれまでに殉職した宇宙飛行士の名前を刻む碑があります。そしてその碑には広い空白が残っています。

 最近、私は鉄道草創期のことを調べているのですが、実に多種多様な事故で、鉄道は死者を出してきたのには驚かされます。単線の正面衝突のような、一見単純に思える事故ですら何度となく繰り返され、その都度新しい安全策が考案されました。最終的に「絶対信号方式」という方式が確立しましたが、それでも人的な手順無視によって、例えば1991年の信楽事故のような事故が起きています。

 有人宇宙飛行は、鉄道どころではないフロンティアに出ていく行為です。そこには日常以上のリスクがあり、参加する者はリスクの報酬として、非日常的な体験を得ます。

 リスクを排除した近代社会に生きていると、安全第一が全てと思いがちですが、フロンティアに出ていく場合にはそうではありません。己の望み・渇望を、リスクとを天秤にかける必要があります。天秤は一人にひとつ。だれか他人が判断できるものではありません。

 今度の事故で「宇宙開発なんて危ない、そんなことやめろ」と思われるでしょうか。それとも?

 7人の宇宙飛行士の冥福を祈ります。

 とりあえず、航空のパイオニア、オットー・リリエンタールの言葉で最初の書き込みを終えます。何度も自らグライダーによる滑空実験を繰り返して、ついには墜死したリリエンタールは、次のような簡潔にして残酷、覚悟に満ちた言葉を残しています。

「犠牲は払われねばならない」

S.MATSUこと松浦晋也

No.668 :NASAのシャトルの情報
投稿日 2003年2月2日(日)01時24分 投稿者 笹本祐一

 NASAのサイトの情報によれば、シャトルが連絡を立ったのは高度二十万三千フィート、速度マッハ18。空力加熱で燃え上がっても不思議のない速度である。