宇宙作家クラブ
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No.101 :ズヴェズダー打ち上げ成功
投稿日 2000年7月12日(水)14時33分 投稿者 江藤 巌

 ロシアはグリニッジ時間12日4時56分36秒に、バイコヌールから国際宇宙ステーション(ISS)の居住棟”ズヴェズダー”(Zvezda)の打ち上げに成功した。これまでのところ、ズヴェズダーは順調に軌道を飛行中で、アンテナと太陽電池板の展長にも成功している。
SPACE TODAYの打ち上げ中継
 ズヴェズダーは軌道上で各種のテストを行った後、打ち上げから2週間後の7月25日に、すでに軌道上にある”ユニティ/ザリャー”とドッキングする予定である。

No.100 :H-2Aのロケット・モーターに欠陥?
投稿日 2000年7月12日(水)11時35分 投稿者 江藤 巌

 7月6日にお伝えしたH-2AのLE-7Aロケット・モーターの第3回地上燃焼試験において、燃焼停止後に炎が見られた現象に関連して、読売新聞がLE-7Aに設計上の欠陥があると報道している。これに関して宇宙開発事業団からは、7月5日以降発表はない。

 ズヴェズダー打ち上げ関連。
 ミッション概要
 カウントダウン
 打ち上げ後のスケジュール

No.99 :ズヴェズダー・モジュール打ち上げまであと14時間
投稿日 2000年7月11日(火)23時33分 投稿者 江藤 巌


 さて、いよいよ国際宇宙ステーション(International Space Station)のロシアが製作したサービス・モジュール”ズヴェズダー”(Zvezda)の打ち上げが、現地時間の12日に迫った。ズヴェズダーは、カザフスタン共和国にあるロシアのバイコヌール射場から”プロトン”で打ち上げられ、すでに軌道を回っている”ザリャー”(FGB)”ユニティ”(ノード)とドッキングすることになっている。SPACEFLIGHT NOWの打ち上げ速報
 ズヴェズダーは、ISSの宇宙飛行士達が居住し、また全体のコントロールを行うモジュールとして、文字通りISSの要となる部分である。ロシア側の資金不足により、このズヴェズダーの製作が遅れたことが原因で、ISSの製作スケジュールは当初の予定よりも2年以上も遅れている。ズヴェズダーの打ち上げがまたもや延期されたり、万一失敗したりするようなことがあれば、ISSの計画そのものの根本的見直しは避けられない。ISSにはアメリカのNASA、西ヨーロッパ11カ国のヨーロッパ宇宙機関(ESA)、日本の宇宙開発事業団(NASDA)カナダ宇宙局(CSA)ブラジル(INPE)、それにロシア宇宙庁(RKA)の合計16カ国が参加している。

 ところで、宇宙開発事業団の新理事長就任が10日付で発表されている。

No.98 :H-2A地上試験で出火?
投稿日 2000年7月6日(木)13時51分 投稿者 江藤 巌

 宇宙開発事業団(NASDA)が7月5日に種子島宇宙センターの大型ロケット発射場で行ったH-2Aロケットの第1段の地上燃焼試験(第3回)において、燃焼停止後エンジン付近に炎らしきものが確認されましたので消火したとのこと。詳細は不明。NASDAの発表文

 ところで、当欄で伝え、世間でも明らかになっているNASDAの新理事長について、NASDAのサイトではいまだに公表されておらず、NASDAの概要のページは旧体制のままになっている。
 それよりももっと怪訝なのは、総合案内の中のごあいさつのぺージに、名前のない「理事長」のごあいさつが載っていることである。NASDAの概要の方では、現在理事長は不在(五代副理事長が理事長代行を務める)のはずなのだが。顔の見えない組織とはこういうものを言うのだろう。果たしてNASDAは新理事長が正式に就任した後も、この無名の「理事長」の挨拶をそのまま掲載し続けるのだろうか。

No.97 :宇宙開発事業団、公開ホームページ終日運用を再開
投稿日 2000年6月26日(月)19時34分 投稿者 三島和彦

 6月26日、宇宙開発事業団公開ホームページの終日運用が再開された。同ホームページはクラッキングにあい、2月から運用時間を短縮していたもの。
 情報インフラは24時間利用できてこそ価値がある。夜間に閉鎖されるサイトは、夜間断水する水道と同じで不便極まりなかった。
 さっそく下のリンクをクリックしてみてほしい。もう「夜間断水」にはならないはずだ。
宇宙開発事業団ホームページ:http://www.nasda.go.jp/

No.96 :宇宙開発事業団の新理事長内定
投稿日 2000年6月25日(日)14時39分 投稿者 江藤 巌

 内田勇夫前理事長が事実上相次ぐ失敗の責任を取る形で辞任して以来、1カ月以上も空席になっていた宇宙開発事業団(NASDA)の新理事長に、JR東日本(東日本旅客鉄道)会長の山之内秀一郎氏(66歳)の就任が内定した。
 ここ数代のNASDA理事長は科学技術庁の退職者の指定席になっていたが、高級官僚の天下りに対する世間の目が厳しい折から、科学技術庁出身者を避けて人選を行っていたために、後任の決定が遅れたものである。山之内氏の理事長就任は今月末になる予定。ちなみにNASDAの初代理事長の島秀雄氏は、「新幹線の生みの親」と言われた旧国鉄の元技師長であった。

No.95 :経団連が宇宙政策ビジョンを提言
投稿日 2000年6月24日(土)02時15分 投稿者 三島和彦

 他のメディアでもすでにとりあげられているが、6月20日、経団連が宇宙政策ビジョンを提言、政府他関係方面に建議した。


  1. 宇宙開発の役割を明確にすること

  2. 宇宙を重点分野と位置付け、産業化を視野に入れて推進すること

  3. 宇宙開発事業団と企業の役割分担を明確にし、「もの作り」は企業の責任において行なえる体制とすること

  4. 国として、ITを手始めに産業化に向けた研究開発と宇宙インフラの整備を推進すること


が、その骨子である。

 経団連だけでなく、宇宙関連のNPOでも「よりよい宇宙開発」を求める動きが活発になっている。
 「なぜ宇宙開発をするか」を問う時代はもう終わったようだ。これからは「どう宇宙開発をするか」を考えていくべきだろう。

経団連の最近の動き/「経団連宇宙政策ビジョン わが国宇宙開発利用体制の改革と宇宙利用フロンティアの拡大」を建議:http://www.keidanren.or.jp/japanese/news/info/info.html

No.94 :火星に水の流れた跡を発見
投稿日 2000年6月23日(金)02時35分 投稿者 江藤 巌

 火星軌道を周回中の無人探査機マーズ・グローバル・サーヴェイヤー(MGS)の捉えた火星表面の映像から、火星に最近水が流れた跡が発見されたと、NASAが発表した。
 これまでも火星の表面にかつて大量の水が流れていた痕跡と思われる地形はいくつも発見されており、火星の地下数百mの深さに永久凍土のような形で水が残っていると言う説がある。また火星の極地方には、氷の形で水が蓄えられていると言う説も有力である。しかし液体の水が現在も火星表面に存在するという学説はほとんど称えられてもおらず、これが事実であるとすれば画期的な発見と言えよう。MGSは、これまでのマリナーやヴァイキングよりも格段に解像力の優れたカメラを備えており、これが今回の発見に結びついた。
 言うまででもなく、水の存在は将来の火星植民にとって決定的な重要性を持つ。水があれば人間の生活や植物を育てるのに利用出来、また酸素と水素に分解して呼吸用としたり、ロケットの推進剤とすることが出来る。さらに将来的には、大量の水を水蒸気として大気中に放出させて、火星の気候を人類の生存に適した温暖なものとするテラフォーミング(惑星改造)すらも可能かもしれない。
 ただし今回の発表の中にもあるが、火星の表面に液体の水が存在し得る条件はきわめて厳しい。火星の大気圧と気温は地球の成層圏にも相当し、ふつうであれば水はただちに蒸発して失われる。今回発見された特殊な地形を大量の水が流れた跡とするためには、まず火星表面で液体の水が流れ得る条件を示さねばならない。今回の発見については、6月30日号のSCIENCE誌に詳しく発表される。

No.93 :「星の王子様のふるさとへ探査機を」MEF活動開始
投稿日 2000年6月20日(火)18時27分 投稿者 三島和彦


「あなたの手で、星の王子様のふるさとへ探査機を送り出しませんか? 」

 2000年代後半の太陽系小天体探査ミッションを検討する有志団体MEFが活動を開始した。
 MEFの目的は、”Post MUSES-C”として、日本が行うべき新しい太陽系小天体探査ミッション候補を2000年秋までに作ることである。
 MUSES-Cは宇宙科学研究所が2002年に打ち上げ、2006年に小惑星のかけらを地球に持ち帰る計画。MEFはさらにその上をいく先端的なミッションを検討している。

 MEFはプロの研究者だけのものではない。本名、所属と「MEFを知ったきっかけ」をメンバーに公開するなど、いくつかの「紳士協定」を遵守するなら誰でも参加できる。
 市民が参加することで、次世代の宇宙科学は、身近なものになるかもしれない。

MEFのホームページ:http://www.egroups.co.jp/group/minorbody
宇宙研/MUSES-C:http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/muses-c/index.htmll

No.92 :ミール搭乗に名乗り
投稿日 2000年6月20日(火)13時41分 投稿者 江藤 巌

 ミールコープ社は、「市民宇宙旅行者」(Citizen Explorer Program)計画に基づく、初めての一般人の宇宙飛行候補者が名乗りを上げたと発表した。この人はアメリカ人のデニス・ティトー(タイトー?)氏59歳で、元宇宙技術者で現在は投資コンサルタント業を営んでいるという。ティトー氏の飛行のお値段はまだ決まっていないが、ミールコープのジェフリー・マンバー氏によると、「数千万ドルの桁」(数十億円)になるだろうとのことである。ティトー氏はこれから本格的な訓練に入るところで、ミールへの飛行の日程はまだ決まっていない。FLORIDA TODAY Space Onlineの記事。

No.91 :ミールからの帰還
投稿日 2000年6月16日(金)12時20分 投稿者 江藤 巌

 今年の4月初旬以来、ロシアのミール宇宙ステーションで滞在を続けていたセルゲイ・ザリョーチンとアレクサンンドル・カレリの二人の宇宙飛行士は、任務を終えて6月15日にカザフスタンにソユースTM-30で着陸した。
 これでミールは無人飛行に戻ったわけである。ミールがこのさきも宇宙飛行士を受け入れるかどうかは、ミールコープが民間資金をどれだけ集められるかにかかっている。同社のニュースリリース

No.90 :ETS−VIII大型展開アンテナ展開試験の取材を行いました
投稿日 2000年6月7日(水)15時06分 投稿者 三島和彦

 2000/06/05 株式会社東芝、府中工場で技術試験衛星VIII型(ETS−VIII)に搭載される大型展開アンテナの展開試験が報道関係者に公開されました。

 宇宙作家クラブは、この取材を行い、現在、下記のお二人がレポートを公開しておられます。ご一読いただければ幸いです。
青山智樹さんによる小説家:青山智樹の仕事部屋
上條 晃(キッチュ) さんによるNAL, JAMSTEC, ETS-VIII見学記
 また、宇宙作家クラブの内部資料としてのレポートもいくつか提出されています。
 取材で得た知見は今後の作品に何らかの形で役立てられるでしょう。

No.89 :H-2Aブースター地上燃焼試験でトラブル&宇宙開発計画
投稿日 2000年6月5日(月)13時28分 投稿者 江藤 巌

 すでにマスメディアでも報道されているが、6月2日に種子島宇宙センター竹崎射場で行われたH-2Aの固体ロケットブースター(SRB)の地上燃焼試験において、ノズルの部品が損傷するトラブルが発生した。宇宙開発事業団の発表文。今年2月のM-5-4の打ち上げ失敗の原因もノズル破損だっただけに、先行きが心配されるところである。
 宇宙開発委員会のサイトに、5月31日付けで新しい宇宙開発計画(pdfファイル)が掲載されている。
 注目のH-2Aの打ち上げ計画は、
 平成12年度に試験1号機 ヨーロッパ宇宙機関のARTEMIS、高速再突入技術実験(DASH)
 平成12年度に試験2号機 民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)

 平成13年度       環境観測技術衛星(ADEOS-2)、遠隔検査技術事前実証ミッション小型衛星、鯨生体観測衛星(WEOS)、オーストラリアの小型衛星(FEDSAT)
 平成14年度       陸域観測技術衛星(ALOS)、情報収集衛星、データ中継技術衛星(DRTS-W)、次世代型無人宇宙実験システム(USERS)
となった。
 また開発したもののコストが高すぎて使い道がないと批判のあるJ-1については、引き続き平成13年度に光衛星間通信実験衛星(OICETS)を打ち上げるため、2号機の開発を続けるとしている。
 また宇宙往還技術試験機(HOPE-X)に関しては、平成16年度にH-2Aで打ち上げることを目標に開発を進めるとなっている。

No.88 :ゴールディンNASA長官の任期は今年限りか
投稿日 2000年5月31日(水)14時40分 投稿者 江藤 巌

 いささか気が早いが、NASA(米航空宇宙局)ダン・ゴールディン長官退任が取り沙汰されている。来年の1月にはアメリカの大統領が交替することが確実なので、NASAの人事も刷新されるだろうと言うのである。
 ゴールディンは航空宇宙防衛企業のTRW社の幹部から、1992年にNASAの長官(Administrator)に任命され、ブッシュ共和党、クリントン民主党の二代の政権に仕えた。例え民主党のアル・ゴア副大統領が新大統領に当選しても、独自色を出すためにも、就任8年にもなるゴールディンを交替させることはほぼ間違いない。
 「早い、良い、安い」(Faster,Better,Cheaper)のキャッチフレーズを掲げ、NASAの大胆なリストラを進めたゴールディン長官に対して、NASA職員の反発は少なくなかった。火星探査機の連続失敗や、ロシアを引き込んだ国際宇宙ステーション計画の遅れなどから、最近はゴールディン長官のやり方に議会やマスコミからも批判が出ている。
 ゴールディンのNASAを総括するのはまだあまりに早いだろうが、案外後世の歴史家は彼をNASA中興の祖として、第二代のジェイムズ・ウェッブ長官と並べて高く評価するやもしれない。

No.87 :ロケットシステム&宇宙開発事業団&アトランティス帰還
投稿日 2000年5月29日(月)16時09分 投稿者 江藤 巌

 ロケットシステム社(RSC)に出資している73社の中から、金融機関や日立製作所、東芝など40社が資本を引き上げることを決めた。40社の保有する株式は、三菱重工業(MHI)、石川島播磨重工業(IHI)、日本油脂、三菱商事などが引き受ける。三菱重工はRSCの約29%の株式を保有する筆頭株主となり、IHIとIHIエアロスペース(旧日産自動車航空宇宙防衛部門)とが合わせて約28%を保有することになる。これによってRSCは、自社の製品を世界市場に売り込む商事会社としての色彩を強めることになる。

 H-2ロケット8号機の事故原因究明を受けて、宇宙開発事業団(NASDA)はH-2Aロケット標準型の新しい開発計画を策定した。H-2Aロケット1号機の打ち上げは、2000年度の冬期(2001年1〜2月)に予定されている。
 また5月23日付で、NASDA、MHI、IHIの開発担当者からなる合同開発チームを設置することが決まった。これはH-2のLE-7エンジンのトラブルが、MHIとIHIの担当の接続部分から発生したことを重視して、各担当者の連絡を密にするためである。
 すでにマスメディアでは報じられていたNASDAの内田勇夫理事長とロケット担当の十亀英司理事の辞任、五代富文副理事長の理事長職務代行就任であるが、NASDAのニュースページではなく、宇宙開発事業団の概要のページを5月22日付で更新する形でさりげなく公表されていた。

 スペースシャトル・アトランティスは、STS-101の国際宇宙ステーション(ISS)の整備点検のミッションを終えて、5月28日のアメリカ東部夏時間御前2時20分に、フロリダ州ケネディ宇宙センターの滑走路に着陸した。アトランティスはISSの軌道を押し上げた後、26日午後7時3分にISSから離れていた。