投稿日 2012年5月16日(水)16時05分 投稿者 柴田孔明
2012年5月16日13時30分よりH-IIAロケット21号機の打ち上げ前(Y−1)プレスブリーフィングが開催された。
登壇者 左側より
三菱重工業株式会社 MILSETグループ長 並河達夫
宇宙航空研究開発機構 GCOMプロジェクトマネージャ 中川敬三
宇宙航空研究開発機構 射場技術開発室長 川上道生
配付資料読み上げ
並河 H-IIAロケット21号機の準備状況と気象情報について。
・H-IIAロケット21号機の射場作業を平成24年4月9日より開始。
・ロケット、衛星系等、全系の準備が整っていることを5月13日までに最終確認し、発射整備作業を5月14日より開始。
・打ち上げ予定日:平成24年5月18日(金)
・打ち上げ予定時間帯:午前1時39分〜午前1時42分(日本標準時)
・打ち上げ予備期間:平成24年5月19日(土)〜平成24年6月30日(土)
※打ち上げ時間帯は打ち上げ日毎に設定されます。
中川 第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)の準備状況と予定について。
・5月8日までに衛星/フェアリングとロケットを結合。
・X−10.5時間 衛星電源をON(外部電源)。
・X−15分 衛星内部電源(バッテリ)に切りかえ。
・X−0(1:39頃) 打ち上げ
質疑応答
鹿児島テレビ:打ち上げへの意気込みをお聞きしたい。
並河:毎号機、なるべく良い天気で打ち上げたいと思っているが、いまのところ予報は問題ない。隊員の士気も高まっている。民営化後ではデュアル(主衛星が複数)は初めてで、初の海外商業衛星である。必ず成功させたい。
中川:この衛星の開発に5年をかけたが、私はプロジェクトの立ち上げから関わったので足かけ6年くらい費やしている。非常に楽しみにしている。自分のやってきた成果を目の前で見てみたい。
川上:最近は年に数機ずつ打ち上げているが、決して慣れることなく気を引き締めて確実に打ち上げていきたい。
朝日新聞:KOMPSAT-3としずく(GCOM-W1)の分離確認の違いをお聞きしたい。
並河:配付資料の付録にあるが、KOMPSAT-3は打ち上げ後十数分後にグアム局で確認できる。GCOM-W1はグアム局では受信できない。第2段ロケットが地球を1周した後にダウンロードして確認をする。記者会見がいつもより若干遅れる(約3時間後)のはそのためである。
なお、衛星の分離だけは確認できるかもしれない。
西日本新聞:小型衛星の分離確認はどうするのか。
並河:ロケットの機体側のメモリに記録し、2段目が地球を一周した時にダウンロードする。
東京会場
時事通信:物理データ提供は1年後なのか。
中川:気象庁から要望があるのは輝度温度(L1プロダクト)なので8ヶ月後である。
筑波会場
※なし
種子島会場
読売新聞:衛星分離後の動作などの発表はどうなるか。
並河:KOMPSAT-3は軌道投入までの確認。以後は韓国側で行うと思いますが確認します。
中川:しずくについては、JAXAの会見とネットで発表する。SDS-4もJAXAから。小型副衛星は打ち上げ後の初期はJAXAで、その後は大学から発表があります。
産経新聞:衛星分離の判断はロケット側で行うのか。打ち上げ後にKOMPSAT-3の関係者は会見に参加するのか。
並河:地上局で追跡しなくてもプログラムで実行される。衛星側の分離信号はパース局で受信できる。打ち上げ後の会見には韓国の方も登壇予定です。
毎日新聞:デュアルミッションは民間移管後では初だが、これより前は何であったか。
並河:前回は12号機である。なお、5号機と6号機も同様である。毎号、6号機の失敗をふまえて確認し、機器の信頼性を高めている。今号がデュアルミッションだからといって特別な事は無い。
(※H-IIAの5号機、6号機、12号機は全て情報収集衛星の打ち上げ)
東京会場
時事通信:機体のカメラはどこにあるか。
並河:衛星分離の画像は見える予定。主要な分離(SRB等)も確認できるカメラがある。
筑波会場
NVS:今回の21号機の第2段は高度化の改修がされているが、他に変更点はあるか。
並河:前回からの大きい変更は無いが、通信機などが新しいものに変更された。
種子島会場
NVS:しずくのA−Train投入に二ヶ月かける理由は何か。
中川:二ヶ月は長く感じられると思うが、初期に20キロ程度下に投入するのは、ロケット側に誤差が出た場合に軌道がA−Trainを横切らないようにするため。相対位置関係がまずいと、アクア(NASA)を追い越して、もう一周必要になってしまう。 ポイントに入れるためには必要な時間である。
鹿児島テレビ:海外(韓国)の衛星が入るが、建前上は衛星の中身は不明だが、この警備状況で十分か。国内の情報収集衛星(IGS)は国から警備の要請があるが、海外衛星の場合はどうか。
川上:通常と変わらない。現状で十分と考えている。なお、言語などは気を遣っている。
以上です。
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