宇宙作家クラブ
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●表紙ギャラリー
ホームページのトップを飾った歴代の表紙をご紹介します。
解説は松浦晋さんです。

※各イラストの著作権は作者が有します。無断転載を禁じます。
●「ペンシルロケットと3人の勝利の女神(トリニティ)」 (長谷川正治 さん)
 ペンシルロケットは1955年3月に発射された日本で最初のロケット。それまで日本は兵器としてのロケットは研究・生産したことがあったが、宇宙を目指すロケットはこのペンシルロケットから始まる。
 東京大学教授だった糸川英夫博士らが開発した同ロケットは直径18mm、全長230mm、重量200g。最初の報道公開で糸川博士は大まじめにカウントダウンを行い、報道陣の失笑を買った。「なんと大げさな」。糸川博士は記者の失笑を意にも介さなかった。「これは将来の大型ロケットにむけたリハーサルだから、手順は大型と同じに行うのだ」と言ったという。

 どんな計画にも最初の一歩がある。最初の一歩がみすぼらしかったとしても、その一歩がなければすべてはあり得ない。確かにペンシルは小さなロケットだったが、月へ、火星へ、さらに遠くへの道を開いたロケットだった。だからペンシルにこそ勝利の三女神はふさわしいと言える。

日本宇宙開発のはじまり――ペンシルの時代
日本のロケット開発(1)――初期小型試験ロケット時代
ペンシルロケット

●「セレーネ」 (小林伸光 さん)
 女の子の手の上で回っているのはNASDAの月探査機「セレーネ」、2003年の打ち上げを目指している。
 1999年はチャレンジャー事故が起きた1986年以来の宇宙開発厄年だったかもしれない。しかし、絶望の中でも希望は芽吹く。セレーネがその一つ でありますように。
 新たな世紀へあと1年。ともあれ、世界中の人へ「メリー・クリスマス」。

 セレーネについて
 「ふたたび月へ」

●「HTV」 (夢野れい さん)
 H-II Transfer Vehicleの略。日本語では「宇宙ステーション補給機」と言う。
 現在建設中の国際宇宙ステーション(ISS)が本格的に稼働すると、さまざまな物資を補給する「貨物運搬船」が必要になる、現在宇宙開発事業団(NASDA)が 2002年か らの運用を目指して開発している輸送船がHTVだ。
 液体ロケットブースターを付加した「発展型H-IIA」ロケットで打ち上げ、ステーションにドッキングして物資を補給。その後はゴミなどを積んで大気圏に突入させて燃え尽きさせる。ちなみにロシア の宇宙ステーション「ミール」では「プログレス」とその改良型「プログレスM」という補給船が使われていた。
 かなりの容積のカーゴ・スペースを持つので、関係者の間では「誰がビニール袋に空気を詰めて密航するか」などとジョークが交わされている。
 イラストのHTV回収に向かう機体と宇宙服は残念ながら架空のもの。こういうものが早く実用化するといいな、と思う。
 HTVのページ
 HTVの概要
 H-IIAロケット開発状況

●「HOPE-X」 (田巻久雄 さん)
 宇宙開発事業団(NASDA)が2003年打ち上げを目指して開発中のミニシャトル。H-II Orbiting PlanEの略。
 当初は実用機HOPEを一気に開発する予定だったが、技術上と予算上の困難から、まず実験機HOPE-Xを打ち上げ、成功後に機体を改造して貨物室(ペイロード・ベイ)を持つ 実機へと改装することになった。
 日本もシャトル開発に向けてじりじりと技術を蓄積しつつある。――

 HOPE-Xのページ