H3ロケット4号機打上げ経過記者会見 (※1/24 質疑応答追加)
H3ロケット4号機は2011年11月4日15時48分(JST)に種子島宇宙センターから打ち上げられ、搭載していたXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」を正常に分離しています。
この後、種子島宇宙センターの竹崎展望台記者会見室で打上げ経過記者会見が行われています。
(※一部敬称を省略させていただきます)

・登壇者
防衛省 統合幕僚監部 指揮通信システム部長(空将補) 加藤 康博
防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業監理官(宇宙・地上装備担当) 菊田 逸平
文部科学省 研究開発局審議官 橋爪 淳
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部長 五十嵐 巖
JAXA 理事長 山川 宏
・打上げ結果について(山川)
本日、15時48分00秒に「きらめき3号」を搭載したH3ロケット4号機を打ち上げました。ロケットは計画通りに飛行し、打上げから約29分11秒後に「きらめき3号」を分離したことを確認いたしました。まず今回の打上げに際しましては、当初の打上げ予定日から延期・変更いたしましたが、万全を期して打上げに臨み、本日こうして打上げ結果をご報告できたことに安堵しております。Xバンド防衛通信衛星の整備運用を行う防衛省様及び防衛装備庁様、ならびに「きらめき3号」に携わられた皆様には打上げまでの間、多大なるご理解とご協力を賜り、深く御礼を申し上げます。また、文部科学省様、内閣府様など政府関係機関のご尽力はもとより、ここ種子島をはじめ地元地域の皆様や国民の皆様から、打上げに向けて多くのご支援、励ましのお言葉をいただきました。あらためて感謝を申し上げます。
JAXAといたしましては、三菱重工株式会社様をはじめ、関係企業の皆様と共にH3ロケットの着実な開発を進め、日本の宇宙輸送システムとしての自立性の維持、国際競争力の確保、またひとつひとつ打上げ実績を積み重ねることで信頼を獲得するべく引き続き実直に取り組んで参ります。
・登壇者挨拶(菊田)
本日はH3ロケットが打上げに成功しまして大変喜ばしく感じております。また本日の打ち上げ成功によりH3ロケットの打上げは3回連続の成功であると承知しておりまして、関係者のご尽力に敬意を表したいと思います。今回の成功を受け、防衛大臣よりコメントを預かっておりますので、この場を借りてご紹介をさせていただきます。
『本日、Xバンド防衛通信衛星「きらめき3号」がH3ロケット4号機により打上げられました。これにより、防衛省が保有運用するXバンド通信衛星は、当初予定していた3機態勢が完成することとなります。自衛隊の通信所要が一層増す中、防衛省・自衛隊としては、これら3機の衛星を指揮統制に関わる基幹通信として有効に活用し、各種任務に取り組んでまいります。令和6年1
1月4日防衛大臣 中谷 元』
以上になります。
繰り返しとなりますが、これまで打上げにご尽力いただきました皆様へ感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
・登壇者挨拶(加藤)
本日のH3ロケット4号機の打上げ成功は大変喜ばしい事であるとともに、打上げにご尽力いただきましたJAXAならびに三菱重工の皆様に心からの感謝と敬意の意を表します。「きらめき3号」は現在所定の軌道に向けて飛行中であり、今後初期性能確認を経て今年度内に運用を開始する計画です。運用体制の確立に向け、引き続き衛星製造メーカーの三菱電機、中継機製造メーカーの日本電気、運用維持に携わっていただくDSNの皆様と緊密に連携を図ってまいります。「きらめき3号」の運用開始により、既に運用中である「きらめき1号」「きらめき2号」と合わせ、防衛省が独自に整備したXバンド通信衛星3機態勢の整備が完了します。指揮統制に関わる基幹通信としての重要な役割を担わせ、自衛隊の運営能力の一層の向上を図っていく所存です。私からは以上です。
・登壇者挨拶(橋爪)
本日はH3を応援いただきました皆様、そしてJAXA、三菱重工業をはじめ、関係の皆様に心より感謝を申し上げます。配付させていただきました、あべ文部科学大臣の談話にあります通り、本日のH3ロケット4号機の打上げ、「きらめき3号」の軌道投入成功は大変喜ばしい限りであります。また本年2月の試験機2号機、7月の3号機に続いてのH3ロケットの打ち上げ成功でございまして、着実に打上げ実績を積み重ねている事、これもまた大変喜ばしく思ってございます。文部科学省といたしましては、H3ロケットの継続的な運用に向け、技術の蓄積成熟を図り、実績を積み重ねることで我が国の宇宙活動の自立性を確保するとともに、我が国の技術力向上や産業振興、国際競争力強化等に繋がるよう、引き続き宇宙開発利用の推進にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
・登壇者挨拶(五十嵐)
このXバンド3(きらめき3号)でございますけども、思い出しますに数年前に、まだH3が開発の途上の段階でH3で打ち上げるという事が決まりました。その後いろいろとH3も苦労しながら、お客様の装備庁様とどういう風にこれをH3で打っていくのかという事を相談しながら、そして随分お待たせいたしましたけども、今日この日を迎えるという事が出来まして、しかも成功裏にきちんと約束した軌道に投入することが出来たという事で、本当に嬉しく思います。お客様もそうですし、JAXA様それから関係する機関の方々、それからこのH3ロケットを打ち上げるのに一緒に戦っていただきましたパートナーの皆様、それから三菱重工の中、それから外の関係するエンジニアであるとか現場で働いている方々、皆さんの協力があって今日この成功に至ることが出来たという事で、この場を借りて本当に感謝致します。この後Xバンド3の衛星は軌道を回りまして、きちんと最終的な静止軌道に乗って、きちんと防衛省の大事なミッションを果たしていくという事をとても期待を致しておりますし、そういう風に願ってございます。今日は本当にありがとうございました。
・質疑応答
朝日新聞・H3は2018年にインマルサットと契約を結んで、今年9月にはユーテルサット、10月にはUAEの宇宙庁と打上げで合意したが、現状の受注の状況をどのように捉えているか。
五十嵐・昨年のH3(初号機)の失敗がありまして大変辛い時期もありましたけれども、それを乗り越えて、2号機の成功、3号機の成功という事で引き合いも多くいただいております。その中でH3を選んでいただけるお客様もいるという事で、とにかく一つ一つの打上げを成功させていくという事が次の受注に繋がってくるのではないかという事で、目の前の事を一つ一つやっていくという事でやっていきたいと思います。
朝日新聞・現状として受注は順調に出来ているのか。
五十嵐・勿論いろんな交渉がありますし、引き合いを受けてそれに応えられる、応えられない、いろいろございます。私共としましては顧客目線で、とにかくお客様のご要望になるべく応えられるような事をH3で実現させていくという事で日々営業を行ってございます。
時事通信・今回の成功の受け止めと、防衛省側には今回の成功で3機体制が整うことでどのような事が出来るようになるか、日本の安全保障に与える影響について聞かせてください。装備庁については今回成功することで今後も宇宙状況監視衛星ですとか宇宙領域の利用について色々なスケジュールが予定されているが、こうしたスケジュールに対しての影響についてどのように考えているか。
加藤・本日の「きらめき3号」の打上げ成功によりまして、現在自衛隊の統合運用、それから海外派遣、装備品の高度化等により自衛隊の通信所要が今後ますます増加することが見込まれています。このような将来の通信所要を見据えまして防衛省自らが保有・運用するこのXバンド防衛通信衛星の整備を進めており、これまで利用してきました民間通信衛星に比べまして、まず一つ目としましては陸海空自衛隊の横断的な通信をより可能とすると共に、二つ目、海外と広域で活動する部隊への必要十分な通信所要を確保できることが出来るよう能力を向上させていけるものと認識をしております。今般打ち上げる「きらめき3号」の整備が完了することで技術向上による通信の高速化・大容量化を期待できますと共に、これらを経て日本の安全保障、そして自衛隊の運用能力向上に寄与していけるものと認識しています。
菊田・質問にありましたような宇宙状況監視等々、様々な装備取得を考えてございます。スケジュールは順調に進んでいると思っていまして、今回の成功もこれを後押しするものになると思っています。宇宙安全保障領域、非常に重要性を増しているという事でございますので遅延無く装備の取得を進めていきたいと思っています。今回、防衛通信衛星を打ち上げた訳でございますけども、この通信衛星についても防衛力整備計画においてこのように記載しています。増大する衛星通信の需要に対応するため従来のXバンドの通信に加えより抗堪性の高い通信帯域を複層化する取り組みを進める、このような事でございまして、引き続き通信衛星についても様々開発のための取り組みを進めていく、このような予定でございます。
時事通信・今回の3号機打上げは、もともとの予定時期からかなり遅れましたし、今回は天候の影響で4回の延期があった。どのような感じで待っていたか。また、今後の運用開始までのスケジュールに影響は無いのか。
加藤・今回の打上げ延期等に対してですけども、これについては従来の「きらめき1号」と「2号」、それから民間の通信衛星による衛星通信の確保は確実に行っておりましたので、これが打上げが延期されてきたという所については自衛隊の運用上問題になる事はありませんでした。気持ち的にはやはり色々な諸条件が整わないと打上げが出来ませんので、その辺につきましてはJAXAそして三菱重工の皆様と情報共有をとりながら判断されて本日の成功に至ったと認識しております。スケジュールに関して、今「きらめき3号」は軌道に向かっておりますが、影響はありません。
NHK・4回の延期があった末のH3ロケット4号機の成功という事で、あらためて受け止めと、今日成功と判るまでの気持ちを教えて下さい。
山川・もちろんできるだけ早く打ち上げたいという気持ちはございましたけども、しっかり落ち着いて対応を進めるという事も成功裏に打ち上げるという観点で重要ですので、そういった観点で今回打上げを延期させていただきました。今日打ち上げて最終的に衛星を分離して所定の軌道に投入できたと確認出来た時には、非常に喜ばしいというか、もっと正直に言えばほっとしたというのが私の気持ちでございました。
NHK・年間6機の打上げを目標として掲げているが、今回の成功というのはどのように影響するのか。
山川・年間6機に向けて、もちろん三菱重工さんの営業の継続的な努力の上で、かつJAXAが今後しっかり環境を整えていくことも重要だと思いますし、あと実は今年いわゆる大型衛星は5機目になりますので、そういった数字にもかなり近づいていると私として理解していますので、今後H3ロケット、来年以降ですけども、順調に6機を目指して取り組んで行きたいと考えています。
JSTサイエンスポータル・今回3基態勢が整うことになるが、既に「きらめき2号、1号」の運用が6~7年続いています。そこで運用の前後、各部隊の指揮統制などに具体的な効果、どういうシーンで役立つのか。今までスーパーバードといった民間の衛星を借りるような形で運用されてきたが、防衛省の自前のXバンドで良かったという価値が認識できるのかというものがあればご解説をお願いします。心当たりとしてはソマリアの海賊対策やPKO活動といった事が考えられるが、心当たりの範囲で具体的な効果が上がるところを解説願います。それから「きらめき3号」の開発費と打ち上げ費用を教えて下さい。
菊田・今般「きらめき3号」を整備完了させますと、技術向上による通信の高速・大容量化が期待出来るという事です。また通信の利用帯域の大幅な拡大が見込まれるという事でありまして、これまでも「きらめき1号機、2号機」があった訳ですけども、さらに利便性が向上する。具体的に申し上げますと陸海空自衛隊の横断的な通信が可能になるという事と共に、海外等の広域で活動する部隊への必要十分な通信所要を確保することが出来ると、このように考えているという事でございます。また今回「きらめき3号」の整備等にかかる経費ですが、平成29年度から衛星を構成する中継機等の整備を開始しております。衛星の整備、打上げ運用維持を含めた整備費は、契約ベースで約700億円となっております。
JSTサイエンスポータル・700億円は打ち上げ費用も含むのか。
菊田・その通りです。
JSTサイエンスポータル・ソマリアの海賊対策やPKO活動に既に「きらめき1号、2号」が役立っているという事で良いか。
加藤・その通りで、1号2号共に海外派遣、国際任務における活用をしております。今回の3号により、より充実できるものと認識しております。
南日本新聞・「きらめき3号」はどれくらいかけて静止軌道に着くのか。3基態勢になったが、どこの上空に投入する予定なのか。3機態勢になることで地球全体で使えるようになるという狙いがあるのか。
菊田・今からこの衛星は静止軌道上の所定の位置に移動させまして、性能確認試験などをした後、今年度中に運用を開始したいと思っていますので、その意味ではまだ途上という事でございます。今年度中に運用を開始したいと思っています。具体的にどこの位置なのかという事ですが、静止軌道上のほぼ我が国の上の方の場所に今回の「きらめき3号」は位置されるという事でございまして、1号2号はそれぞれ少し離れた所に位置していて、この3機を連携させながら使っていくという事になります。世界のどこまでという事ですが、我々が活動するような、必要なところには基本的には届かせることができるという風に考えています。
南日本新聞・静止軌道に届く期間はどれくらいか。
菊田・具体的にいつ静止軌道の所定に位置に辿り着くかは存じておりません。今年度中には衛星の確認試験まで終えるという事にしています。
NHK・H3の今後の運用について、コストダウンをしてバージョンアップをしていきながらの打上げが続くと思うが、世界との宇宙ビジネスの競争についてどう見ていて、今後コストダウンが課題だと思うが、それについて今回の打上げが何か影響するか。
五十嵐・なかなか答えにくい。私共のH3ロケットを使って下さいという事で世界中のお客様とお話をしています。コストはもちろんの事、まず第一に信頼性です。それからオンタイムという所は、とても魅力ある部分だという風におっしゃっていただいております。それからH-IIAのロンチサービスをやりながら学んできた事という事で、お客様に寄り添って、いろんなインターフェイスの条件があるのですが、そういったところもなるべくお客様に合うような形をH3というロケットを使って、どういう風に実現させるのかというところを対話を通してお話をするであるとか、そういった透明性といったところでお客様の信頼を勝ち取るという事が第一でございます。その中で打ち上げ成功を一つ一つ重ねていくという事を持ってして信頼していただけて受注に繋げることができるのではないかという風に思っています。そういう意味で今回の打ち上げ成功というのは、また一歩大きな前進になったと思いますので、引き続きいろんな方面で努力をしてまいりたいという風に思っています。

・二部登壇者
三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部H3プロジェクトマネージャ 志村 康治
JAXA 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 有田 誠
・技術的補足(有田)
28日のプレスブリーフィングで、4号機で将来のロングコーストGTOミッションを見据えたデータ取得を行う計画であると申し上げておりましたけども、その状況について簡単にご報告致します。
今回「きらめき3号」を分離した後の約9分22秒後にサンチャゴ局での受信を確認することが出来ました。そしてそこから時間をかけてデータを取得して、良好にデータが取得出来ているという事まで確認できまして、現在まだこのデータを連続して取得している最中という所で、非常に今のところうまくいっているという状況でございます。この詳細につきましては、解析に時間がかかりますので、約1.5ヶ月ほど時間をかけて解析したいと考えておりますけども、このデータの取得の完了につきましては明日の午前中にホームページで皆様にお知らせしたいと考えています。
・質疑応答
産経新聞・H3は初号機は残念な結果でしたが、2、3、4と3連続で成功しました。これの捉え方として開発が本格的に軌道に乗り始めたとの印象を受けるが、それについての受け止めと、本日の率直な気持ちを聞かせてください。
有田・H3ロケットは主なミッションとして、政府ミッションを打ち上げる太陽同期軌道へのミッションと、それから今回初めて打上げました静止トランスファ軌道に向けての打上げ、これを2つの柱として開発をしてまいりました。太陽同期軌道については2号機3号機で成功してきましたけども、この4号機で初めての静止トランスファ軌道への打上げに成功したという事、それから2号機から連続して成功することが出来たという事で、私共としてもH3ロケットを安定した運用の段階に持って来れたのではないかと考えておりまして、非常に大きな一歩だったと考えているところです。載っている衛星の重要性という事から考えても、正直胃の痛くなるところもありましたけども、今は打上げに成功して非常にほっとしているというのが正直なところでございます。
志村・重なる所もございますけども、やはりGTOの軌道に今回成功したという事で、H3にとってまた新しい大きな一歩を築くことができたことが非常に良かったと思います。ロケットにとってはまだ3本の成功ですので、これからも一つ一つ成功を積み重ねていくという事が一番大事だと思いますので、それを一歩一歩進めていくという事と、H3はご存じの通り開発がまだ残っておりますので、30形態ですとか、エンジンを最終的な形態に仕上げるといった所も併せて引き続き頑張ってまいりたいと考えています。
産経新聞・3号機4号機のエンジンについてはType1Aの2基でいきました。それが2回続けて成功しているという事は次のType2への移行というのが見えてきているのではないかと思うが、それにプラスしてType2の性能が確認されてから30形態に移るという考え方なのか、あるいはType1Aで30形態に行くのか。(※一部修正しています)
有田・現在、Type1Aよりも性能を上げるという形で最終的な形態としてのType2エンジンの開発を進めております。これが間もなく技術的に目処をつける試験を行うという状況にありまして、そこでType2エンジンをこういう形にするというのを決められるのがその試験の結果をもってという状況になります。エンジンの仕様をその試験で決めて、その後に更に認定試験で設計を確定させるといったプロセスが必要になりますので、これにはもう少し年単位の時間が必要という状況でございます。一方、30形態につきましてはH3の中でいちばん安価な形態であるという事もあって、これを是非使いたいというお客様がいらっしゃるという事もあって、早く市場に投入したいというところもありまして、私共としてはType2の完成を待たずにType1Aエンジンを用いて30形態の試験機を打ち上げたいという風に考えております。これを来年度には試験機を打ち上げるということで宇宙開発利用部会でも公表させていただいたところです。
産経新聞・今回の「きらめき3号」と他の「きらめき」との投入精度の差はどうだったか。
有田・今回の打上げに結果につきましては、非常に投入精度も良いという事で、(H3の)2号機3号機4号機共に、直近のH-IIAと比べましても軌道投入精度が良いという結果を得ています。諸外国のロケットとの比較につきましては、今明確なデータがございませんのではっきりした事が言えませんか、私共も当然ながらその辺りも意識してロケットのスペックを決めてきていますので、この結果というのは、その決めたスペック以上の結果が出ていますので、諸外国に対しても遜色の無い軌道投入精度を達成できているものと考えています。
NVS・ロングコーストのテストについて、今回ハイゲインアンテナを搭載してテストしているとのことだが、どの辺までデータを取るのか。またテストのために再々着火をしない理由は何か。
有田・どの辺りまでデータを取るのかという事につきましては、イメージとしては最終的には再々着火をするのが目標になりますので、静止トランスファ軌道の片道分、遠地点で再々着火をしますので、そこに行く片道分のデータを取るというイメージで考えていただければと思います。今回、再々着火をしなかった大きな理由は、第一のお客様である「きらめき3号」のご要望に応えるというのがまず第一でございましたので、最適な軌道に入れた結果、残念ながら再々着火をするための燃料がもう残っていない状態になっていたという事でございます。
朝日新聞・28日のブリーフィングで今後の開発について、衛星の需要トレンドが変わっていることにも柔軟に対応して、お客さんを向いた改良をしていきたいという話がありました。今回の打上げ成功を受けて今後どのように開発を進めていきたいか。
有田・H3ロケットを開発した当初には、このSSOとGTOのミッションというのがお客さんの大きな部分を占めておりましたが、現在、小さな衛星を低軌道に沢山打ち上げるといったミッションが増えているという現状もございます。こういったものにH3も対応していくことが市場のニーズに応えるという事になると考えていますので、それをH3でも対応できるような開発というのを、今既に進めている部分と、それから高度化の第一段階でそれを更に発展させていくという事を今考えております。
ニッポン放送・ロングコーストに向けたデータ取得の話があったが、解析に1.5ヶ月かかるということですが、実用化に向けて大丈夫かどうかが1.5ヶ月で判るという事か。また様々なデータがあると思うが、何をもって合格点と判断するのか。
有田・1.5ヶ月でどういう評価ができるのかというご質問だと思いますけども、まず今回データがとれているという事は現時点で判っております。それが2段エンジンを再々着火させるために2段の各部の温度や圧力がどのようになっているかという事を調べるのが大きな目的になると話をいたしました。沢山センサがございますので、その一点一点のデータを、しかも時間が非常に長い、5時間くらいに及ぶデータになりますので、これを時系列に沿ってきちんと評価をして、それから解析的にも、例えば太陽がどっちの方から機体を照らしているかというような事も併せながら、解析モデルとどのように合っているのかていった所の評価をしていくのに非常に時間がかかるかなと思っています。まずはとれたデータがどんな物であったかという所をきちんと出していくのに、その段階で恐らく1.5ヶ月経ってしまうと考えています。将来の実際の再々着火ミッションに向けては解析モデルとこのデータの突き合わせ、こういったものをやって、モデルの確からしさを検証して、その上で実際のミッションに適用していくという流れになりますので、それはETS-9ミッションへの適用を目指していますので、そのミッションでの解析に活かしていくことになろうかと思います。
NHK・Type2エンジンについて、先程技術的な目処をつけるための試験とおっしゃったが、具体的にどのような試験を行っていく予定なのか。現時点でのType2の目処を教えて下さい。
有田・技術的な目処と申し上げたのは、Type2エンジンをType1Aエンジンからどのように変えれば良いか、変えれば翼振動の問題と、それから性能の向上という2つの大きな課題があるのですが、この2つを両立した解を見出せるか、というのが私共の一番の技術的なチャレンジです。このやり方について複数の方式を考えておりまして、それを一つずつ確かめていくというような事をやって、Type2のエンジンはType1Aから変えていくというのを決めていくためのデータを取るための試験を近々予定しているというものでございます。ですので、これはいわゆるフライトさせるためのエンジンを試験するための領収試験ですとか、設計が決まったエンジンを型式を認定するような試験とはちょっと性質の違った試験で、まさに技術データを取るための試験という事でお考えいただければと思います。
NHK・打上げ前ブリーフィングでシーケンスを伺ったとき、衛星の性質上なかなかという事だったが、どこまで出せるかという話になるが教えてほしい。
有田・プレスリリースには飛行結果としての秒時をお示ししていると思います。これは公表できるものとして公表させていただきました。
NHK・(プレスリリースに)出ている実測値というのは実際に分離した時間と同じか。
有田・はい。
NHK・JAXA公式配信の高度や速度はリアルタイムと同じ物か。
有田・速報値という断り書きは付きますが、今日のフライトの結果を示したものです。
NHK・シーケンスについて情報収集衛星は性質上公開は無いと判るのですが、今回のように打上げ後に結果が公表されるものを、打上げ前に教えていただけるのは難しいのか。
志村・答えられる範囲になりますが、この辺のところはお客さんとの相談によってどこまで公表で出来るか、出来ないかは決まっています。お話にありました情報収集衛星はそういうものは衛星の特質上出さないということで、そういう対応をさせていただいております。今回の防衛省さんの衛星は似たところはあるのですが、設計段階、つまり飛ばす前の計画レベルについては外部に示さない、ただし実際に飛ばした結果としましては、飛んだ結果の事実でございますので出しても良いとご相談がありまして、今回の対応にさせていただいております。
NHK・打上げ前に公表できなくて、打上げ後に公表できるのは、違いみたいなものはあるのか。
志村・事前にはあまり外に出すものではないですが、飛ばした結果として、今日のような打上げ中継などを見ていただけれはある程度は秒時とか判りますので、そういった関係でオープンしているとご理解いただければよろしいと思います。
南日本新聞・今回はGTOへの投入だったが、H-IIAが確か約6トン、H3は最大約6.5トンを目指しているという認識で良いか。この6.5トンを実現するにはType2エンジンが必要になるのか。
有田・H-IIAとH3を比較する時に、特にGTOが難しいのは、ロングコーストミッションを使ったような、衛星側にどれだけの静止化するためのΔV(増速量)を求めるかという事で、打ち上げ能力ががらっと変わってしまう。先程H-IIAは6トンとおっしゃったのは恐らくロングコーストではないミッションでの値かなと思います。同じ土俵で比べますとH3は6.5トン、これはΔVが1500メートルというロングコーストを想定した能力になります。これがH-IIAですと204型で4トンくらいで、言いたい事はH3の24形態というのはH-IIAの204型よりも強力なロケットという事と申し上げたかった。この6.5トンという能力を出すためにはType2エンジンが必要というのはご理解の通りです。
南日本新聞・H-IIAより2トンくらい重いものが運べるという表現ができるのか。
有田・おおよそそう考えていただいて結構です。
南日本新聞・来年度に30形態を打ち上げるとのことだが、機体を支える装置の開発は既に済んだのか。
有田・いわゆるホールドダウン機構と呼んでいる、推力が完全に立ち上がるまでロケットを押さえつけておく機構ですけども、30形態の一つのチャレンジの要素としてその部分があるとご説明してきました。これについて実際には今日の打上げにも使った移動発射台ML5に既に装着されています。ですので開発・整備としては既に終わっているのですけども、私共としては30形態の打上げをより確実なものにするために、移動発射台に設置されているホールドダウン機構のデータをもう少し詳細に取って、実際の30形態の打上げに向けて不安要素が無いかという事を追加で確認しようという事を今考えているところです。
南日本新聞・ホールドダウン機構は今回から発射台にあるのか。
有田・いえ、1号機からずっと使っています。ただし22形態でここまで来ましたので、22形態では固体ロケットが付いていますので、エンジンが立ち上がった後も機体を押さえつけておかなければならないというホールドダウン機構の本来の機能は発揮させていないです。機体を移動するときに機体が倒れないようにするために押さえつけるというような事では使っているのですが、発射の18秒前に事前に解除して、後は固体ロケットの力で飛んで行くといったのが22形態ですので、30形態とはちょっと違う使い方をしているというのが現状です。
南日本新聞・Type2エンジンが年単位でかかるとの事だが、30形態は来年度実施予定という事で、目指す50億円の実現というのは前の時に数年かかるという認識を示されたと思うが、今の段階で50億円の実現は何年後になりそうか。
志村・まだ4号機ですので、物作りとしては初歩の段階ですので、どのくらいで出来そうかというのは答えるレベルにはなっていないところです。ただ1本1本作る毎にいろんな工夫をパートナーさんでもそうですし我が社の工場でもそうですがしていって、毎号機毎号機少しずつコストを下げるという活動は着実に進んでいます。最後のいつまでにという所は、答えられるレベルまでには行っていないという感触でございます。
南日本新聞・今回打ち上げ費用(請け負い額)が90億円と聞いたのですが、実際そうとは言えないのか。
志村・その情報がどこからなのか判らないが、打ち上げ費用は恐らく公表はしていないと思います。
読売新聞・今回の飛行でスロットリングは実証されているという認識で良いか。
有田・はい、スロットリングを行いました。
読売新聞・今の段階で判っている実証の結果と、今後スロットリングを使う事で、どういった種類の衛星ならばこのスロットリングが十分に活かせるのか。
有田・今回のスロットリングについては3号機と同様に、データをリアルタイムで見ている限りではほぼ完璧に作動したのではないかと考えております。
志村・スロットリングのメリットとしては、これはロケットと衛星のマッチングのようなものですが、スロットリングを使うという事は加速度が小さくなる、衛星にかかる力が小さくなると思ってもらっていいのですが、衛星の環境条件が低くなって、衛星の構造とかそういったところが作りやすくなるというのがございます。ほぼどの衛星さんも条件が下がれば構造が楽になるので、そういったメリットがございます。使わない方が良い場合もありまして、これは打上げ能力の観点で、これはケースによるのでどちらがという事は無いですが、スロットリングを使わない方が打上げ能力が上がる場合がございますので、その辺のところをお客様と調整して選んでいくということになっていきます。
読売新聞・今後のロケット全体について、次期基幹ロケットの開発で、一部の部品で再利用する動きがあるが、宇宙活動法の改正に向けた議論でどういったものが進んでいくのが望ましいか、現行法の課題について伺えることがあれば教えていただきたい。
有田・今JAXAの方で打ち出している次期基幹ロケットのコンセプトとしては、第1段を再使用していくという事を掲げております。これはコストを下げるのと同時に、やはり高頻度の打上げを目指すためには必要になってくる技術かなと思っています。私共としてはこれをH3、その次のH3の高度化、その先の次期基幹ロケットという形でこれをシームレスにうまく開発を繋げていきたいと考えています。
日経ビジネス・種子島ではH-IIAの49号機を9月26日に打上げてから1ヶ月程での今回の打上げになった。H3が年間6基という目標を掲げている中で、1ヶ月ちょっとの間で4号機を打ち上げる事が出来た意味合いと、この期間での準備のどんな課題が生まれて、それをどうクリアしていったのか。
志村・まず1ヶ月間隔で打てたという事は非常に大きな意義ですが、これはH-IIAとH3が違う組立棟の中で整備できたとかそういうメリットも含めてやっている面がひとつございますので、それを申し上げておきます。ただ中身についてはH3を少しでも短くという事で、コストも同じですが、中の作業をいかに効率的にやるかといったことは日々現場の担当の人、それを計画する人で考えながら進めておりまして、3号機と比べると4号機はより一層射場の作業も短く出来ているという事はございます。
・会見後の有田プロジェクトマネージャ囲み取材より。
(※一部要約しています。また会見場ではなくプレスルームの一角での開催のため、騒音等で聞き取れないところもありました)
Q.射点のフレームデフレクタ冷却がブローダウン方式になったが、うまくいったのか。
A.おかげさまで一発でうまくいきましてほっとしています。その担当者達が大騒ぎしていました。
Q.ブローダウン方式はH-IIAでも使うのか。
A.第2射点にだけ設置しましたのでH3専用です。
Q.第2射点でのH3ロケット30形態のCFTでもブローダウン方式を使うのか。ブローダウン方式は稼働時間が短いと思うがどうなるのか。
A.CFTやLE-9エンジンの燃焼試験でもガスタービンポンプを使います。そのため完全には無くせない。H-IIAや燃焼試験はガスタービンポンプが1基で済むが、H3の打上げでは容量の関係で2基必要になり、冗長性が課題でした。今回ブローダウンを設置したことでガスタービンは1基で良いという運用ができるようになってロバスト性が高まりました。
Q.ロングコーストのデータ取りは5時間くらいとのことなので大体終わった頃か。
A.9時(午後)くらいまでなので、もう少しかかります。
Q.衛星もそのくらいで静止軌道に着くのか。
A.いえ、昔は一発で入れていたこともあるのですが、最近の衛星は液体推進系を使うことが多いので推力があまり大きくない。昔は固体ロケットを使って一気に静止ドリフト軌道に入れていたが、今はもう少しマイルドな液体推進系を使っているのが多いので、「きらめき」がどうかは存じていないが、一般的には液体推進系を使っているので3回くらい軌道を上げるのにかかるのが一般論です。
Q.スパイラルみたいなものか。
A.スパイラルとは違うのですが、遠地点で1回吹いて近地点を上げて、また遠地点に戻ってきたときにまた吹いて更に近地点を上げてというのを3回から4回繰り返して軌道を上げていきます。
Q.機体把持装置はいつから使うか。
A.残念ながら3号機の時に適用出来なかったのですが、検査をしてみるとあまり良くないことが判って、無理に適用するのはやめよう、打上げを最優先にしようという事で適用をやめました。これからその改修をやって、ちゃんと使える物に直して、それの最終的な検証は極低温点検が必要になります。諸説あってこれは私の説ですが、把持装置は機体を柔らかく包み込まないといけない、金属でガシャンと掴むものではない。ゴムチューブのようなもので柔らかく機体を包み込んでやる仕組みになっている。それは機体に優しくて良いが、このゴムチューブが(液体)水素と酸素が入って冷えている機体を掴みにいって隙間が埋まり、そこに雨水や空気中の水分が氷になってしまって取りたいときに取れなくなってしまう事を危惧しています。そのため最終的な検証は極低温点検でやる必要があると思っています。私が考えているのは30形態の試験機の時には射点上で3機のエンジンのCFTをやろうと考えていますので、これは極低温点検と同じ状況になりますので、エンジンを点けるか点けないかの違いはあるが、その機会までに把持装置を改修して30形態のCFTの時に確かめる計画を考えています。
Q.30形態は来年度だがそのタイミングか。
A.その通りです。
Q.把持装置のよくないというのはどういう所か。
A.非常に難しい設計なのですが、良くないというと作った人に大変申し訳ないが、機体を優しく掴まないといけないが、一方で把持装置を何故入れたかというと機体が風に吹かれて倒れないようにするために設置しようとしているものですが、そのためには機体と把持装置、それからアンビリカルマスト、ML、この全体の剛性、変形しにくさ、これの設計が非常に難しい。これをうまく設計してやらないと機体にかかる荷重を抑えることができない。この設計が非常に難しいので検査をしてみたら、ちょっと違うのではないかという話になりまして、もう一度よく考えてみようとなりました。
Q.把持装置はH3のどこを掴む予定か。
A.中央部です。1段の水素タンクと酸素タンクの間、-253度Cと-183度Cの間で、この部分は常温の構造ですが冷たいものに挟まれた構造なのでそれなりに冷たくなる。そんなに冷たくならないので大丈夫という説もあり杞憂に終わってくれれば良いが、でもやはり実証したいということがありそれを計画しています。

有田プロマネによる掴む部分の説明。
Q.掴むことは最初は想定していなかったと思うが、もともとその剛性があったから掴めるということか。
A.H-IIAでは機体支持装置がついていて打ち上がると同時に外れます。H-IIBは直径が太くなったことで全体の剛性が上がってこれが必要なくなった。H3も同じ直径なのでいらないと思いたかったが、MLと組み合わせた剛性、それから横風を当てる風洞試験をやってみたところ、共振が起きる可能性がある、全体の固有振動数が低くなってしまっていて、それと風によるカルマン渦が出来るが、カルマン渦による共振風速が意外と低いという事が判って、このままだと運用できないという話になって、一方でこれを震えさせて倒してしまうような風、一様に綺麗に吹いてくるとそういう現象が起きる可能性があるが、自然の風はそんなに綺麗では無いのでそんな事は起きないという説と、あったらどうするという説があり、最後にあったらどうするかという説となった。これだけの物が万が一倒れてしまったら大変な損失になりますし、特にお客様(衛星)を積んだ状態でそんな目に遭わせる訳にもいきませんので、ここは大事を取って把持装置を作ろうという決心をしたというところです。
Q.5号機の打上げはいつ頃か。
A.今調整中だと思います。
(※この後、2025年2月1日打上げ予定と発表された)
Q.今年度中に上げて、来年度は6機ということか。
A.調整中だと思います。
Q.H-IIAより2トン重い衛星を打ち上げられるということで良いか。
A.それは24形態ではということです。
Q.6.5トンはロングコーストの場合だが、そうでない場合はもっと重い物を上げられるのか。
A.その通りです。8トンを超えるものを上げられます。なかなか説明が難しいところです。
Q.低軌道のコンステレーションにもという事ですが、例えば24形態でロングフェアリングで上げることになるのか。
A.そういう事も出てくるのかなと思います。コンステレーションのお客さんはできるだけ沢山の衛星を積んで下さいという要求になって、そうすると大きなフェアリングが必要になって、その中にいかに沢山の衛星を積み重ねて入れるかという所が工夫しなければならない所です。
Q.今回、フェアリングにJAXAのロゴが入っていなかった理由は何か。
A.大きな意味があるかというとあまり無いらしいです。ひとつあるとすると、お客様がつけないとおっしゃったので、それならばJAXAもMHIも…という事で今回はつけなかったと聞いております。
Q.H-IIAでは移動発射台にロケットの名称と号機(「H-IIA F49」など)とペイントされていたが、H3では無くなっているのは何故か。
A.ある人が決めまして、これからH3は数が多くなるのでやめようとなりました。私としては何号機と判った方がいいと思ったが、そんな時代ではないということになりました。
Q.機体移動から打上げまでの時間を前回より1時間短くしたが、今後短くしていくのか。
A.機体移動というよりも全体の作業開始時間を後ろ倒ししました。今後もそうしていきたいと思っています。今日も機体移動がちょっと遅れたり、第2回GO/NOGO判断が遅れたりといった事がありましたけれども、全体の時間の中で、短くはしたけれどもその中でやりきれましたので、そこも自信を付けたところです。
Q.目標としてどれくらいを目指していくのか。
A.できるだけ短くが良いのですが、もう少し運用を積み重ねて見極めていく必要があるかなと思います。今は今日くらいが身の丈に合っているかなという感じがしなくもないです。
Q.取材側からすると機体移動から寝る時間が無くなります(笑)
Q.昼打ちの場合は昼に出て来てもらえるとありがたいです。
A.昔のH-IIBはそうでした。3日くらい外に出していたこともありました。しかしそれをやっているとなかなか商売にならない気もしますので、全体的には短くしていく方向になるのではないかと思います。
(※機体移動は12時間前くらいが多いが、それよりも前に機体移動を行った例がいくつかある)
Q.(把持装置で)掴む予定が無かったという事は補強を入れる必要があるのか。
A.最初そういう事も考えたが、最終的には変な物をつければ値段が高くなってしまいますから、そういうのは無しでいけるようにしました。
Q.元からそういう強度はあったという事か。
A.それと優しく掴むという事に工夫をした。
Q.H-IIAは高度化の実証をしたが、今回H3がロングコーストの実証をしたということはH3で惑星探査機を飛ばせる素地が出来たという解釈で良いか。
A.まだデータを見ないと判らないですし、機体の銀色のものを貼って蒸発量を抑えるという工夫も将来的にはやりたいなというのはあります。今はまだのせていませんので、どちらかというと今後の改良になっていくかと思います。ただこのままでも十分に惑星探査に使えます。
Q.MMXもこのままいけるのか。
A.はい、このまま行くつもりです。
Q.把持装置で掴む以外の方法も検討されたのか。
A.いろいろありました。本当にいろんな事を考えました。最終的にはそれが一番確実だという話で落ち着きました。
Q.とんでもない案もあったのか。
A.私の出した案にとんでもないものがあって、ちょっと面白すぎて(笑)。
以上です。